ドラフト部門 6-0デッキリスト
晴れる屋メディアチーム
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みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームです。
久しぶりの開催となったプロツアー・ファイレクシアはリード・デューク/Reid Duke選手の優勝で幕を閉じました。優勝デッキのイゼット《不屈の独創力》は豪快なコンボデッキであり、早く使ったみたいですね。
決勝トーナメントが構築戦だったこともあり、パイオニアばかりが話題に上がりますが、ちょっとお待ちを。プロツアーは2つのフォーマットで争われる形式であり、ドラフトも実施されました。
本稿ではプロツアーで実施されたもうひとつのフォーマット、ドラフトに焦点をあてていきます。最多勝を獲得したのはどの色の組み合わせだったのでしょうか。
ここでは1日目と2日目のドラフトで3勝した34名のデッキの色の組み合わせをみていきます。2日目のドラフトで3勝したプレイヤーの内9名の色が不明なため、本来よりも少ない情報となりますが、ご了承ください。
デッキカラー | 使用者数 |
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6 | |
5 | |
4 | |
4 | |
4 | |
3 | |
2 | |
2 | |
2 | |
2 | |
合計 | 34 |
2マナクリーチャーの価値が高く、かなりの高速アーキタイプ環境といわれている『ファイレクシア:完全なる統一』ドラフト。3勝したデッキの中では赤白と緑黒が一歩抜きんでていることがわかります。
赤白はコモンの層のアツい白を筆頭に、環境を定義する《呪い金の斬撃》の組み合わせたテンポ面の優れたアーキタイプです。古の「生体武器」を彷彿とさせる「ミラディンのために!」はトークンのサイズが2/2ということも相まって、非常に使いやすくなっています。仮に相手のクリーチャーと相打ったとしても、こちらには装備品が残るわけですから。
《信念堅い決闘者》が優秀なのはいうに及ばず、赤白では《大顎の大司法官》も素晴らしい2マナ域となります。「ミラディンのために!」などのアーティファクトが取れれば常にサイズアップが狙え、絆魂を絡め手ダメージレースを有利に進められます。
質の高い低マナ域と交換効率の優れた除去、プレイするだけでアドバンテージが取れるシステムと隙のないアーキタイプです。
緑黒は「毒性」をメインコンセプトに、「増殖」をサブコンセプトにすえた組み合わせです。最強除去と名高い《苦痛ある選定》にスタッツの優れた緑のクリーチャーがセットになっています。2マナ域に複数の「毒性」クリーチャーがおり、序盤からプレッシャーをかけていくアーキタイプとなります。
《ドロスの囁き》や《腐り腹のネズミ》など「増殖」を持つカードが多く、ひとたび毒カウンターをのせるのに成功すれば、「堕落」ラインまであっという間です。《丸呑みの屑鉄罠》、《非道なティラナックス》など高マナ域にもアーキタイプに沿ったクリーチャーがラインナップされており、長期戦も戦える布陣です。
このカラーが優秀なのは毒戦略をメインコンセプトにしつつも、「増殖」により油カウンターも絡めたデッキ狙える点にあります。毒カウンターは勝敗にこそ直結しますが「堕落」以外で戦闘にほとんど関与しないのに対して、たとえば《格子刃のカマキリ》や《油喰らいのトロール》はゲームを優位に進められます。同じ毒戦略をとる白黒や緑白よりも受けが広く、戦闘に長けたアーキタイプなのです。
緑黒のサンプルリストはのちほどご紹介します。
また、意外だったのが下馬評では最弱色と言われた青の下剋上です。最多勝こそのがしたものの、青白と青赤の組み合わせで4名ずつのプレイヤーが3勝をあげています。毒や油カウンターに頼らず、アーティファクトやスペルによるややテクニカルなアーキタイプです。
軸になっているのはアンコモンの4マナクリーチャー。セット本来のシステムとはかけ離れており、ピック難易度は上がりますが、構築できれば素晴らしいアーキタイプとなります。不人気色を選択することで、これらのカードを安い巡目でピックでき、デッキパワーの向上へ繋がった可能性があります。
上記のデッキリストはプロツアーで実際に構築されたデッキであり、キーとなるアンコモンが複数枚入った強力な仕様です。
逆に厳しい現実が待ち受けていたのが白です。コモンの層が厚く、最強色と謳われた白ですが、毒戦略を前面に押し出した緑白と白黒は3勝プレイヤーこそいるものの、わずか2名ずつにとどまっています。何が原因だったのでしょうか。
思うにコモンの層の厚さが仇になったと思われます。本来のドラフトではピックが進むにつれてカードが枯渇していくわけですが、白のコモンは全体的に質が高く、中盤以降もデッキに入るだけのカードが回ってきます。白への参入チャンスするプレイヤーが増えた結果、卓の許容人数を越えた白いデッキがドラフトされてしまい、デッキの質が下がってしまった可能性があります。
緑黒の部分でも触れましたが、毒戦略は優秀ではあるものの、「堕落」以外ではゲームに影響をあたえません。緑白は優秀な「増殖」カードが少なく、白黒は「増殖」カードはあれど増えるのは毒カウンターのみと戦闘に寄与しません。そこに来て人数も増えてしまい、毒戦略を貫き通すのはやや難しかったようです。
今回の結果から、たとえ弱い色であっても卓内の人数次第ではほかのデッキ対等に戦えるといえます。愚直に最強色を目指すのも手ですが、流れてくるカードから空いている色に飛び込むのもドラフトには必要な選択なのです。
最後に2回のドラフトラウンドを無敗で切り抜けたプレイヤーのデッキリストを掲載いたします。見事6勝したのはMichael Belfatto、八十岡 翔太、加茂 里樹の三選手です。
1~2マナ域から始まるかなり高速環境と言われる『ファイレクシア:完全なる統一』ドラフトですが、6-0のデッキリストはやや重い構築となっています。攻める一辺倒ではなく受けつつ、低マナ域にタフネス3の壁役となるクリーチャーを配置し、除去も絡めて5、6マナやレアへと繋ぐどっしりとしたデッキです。
特に緑のデッキに共通して採用されている《空鎌の飲み込むもの》は6マナと重いながら制圧力のある1枚。シナジーもないため、環境的にアンプレイアブルかと思われていましたが、ロングゲームでは頼もしい存在です。
2マナ域のクリーチャーをコンバットトリックでサポートして簡単に押し切れる対戦ばかりではなく、ときには出だしでつまづいてロングゲームになりえます。ただやみくもに軽いカードばかりをピックしていては、中盤以降カードパワーの差から勝ち切るのは難しくなります。序盤に出遅れてはゲームになりませんが、カードパワーの高い5マナ以降のクリーチャーを採用しておくことも必要不可欠なのです。