はじめに
いよいよ明日からプレイヤーズコンベンション横浜2023が始まります。同大会ではオープントーナメントや統率者戦、チーム戦などさまざまなイベントが予定されており、プロツアーへの最終関門である「チャンピオンズカップファイナル サイクル2」も開催されます。
本日、晴れる屋トーナメントセンター東京では「チャンピオンズカップファイナル サイクル2」への最後の参加権利をかけて、ラストチャンストライアルが開催されました。
本稿では、ラストチャンストライアルのメタゲームをお送りしていきます。
メタゲームブレイクダウン
ラストチャンストライアルは合計3回実施され、重複を含めて120名ものプレイヤーが参加いたしました。以下はその合計です。
デッキタイプ | 使用者数 |
---|---|
グリクシスミッドレンジ | 28 |
赤単アグロ | 22 |
白単ミッドレンジ | 11 |
アトラクサミッドレンジ | 10 |
エスパーレジェンズ | 9 |
ジャンドミッドレンジ | 7 |
マルドゥミッドレンジ | 7 |
青単テンポ | 6 |
グルールアグロ | 5 |
アゾリウス兵士 | 4 |
その他 | 11 |
合計 | 120 |
『ファイレクシア:完全なる統一』加入前と変わらず、メタゲームのトップはグリクシスミッドレンジですが、2番手以降は勢力図が大きく入れ替わっています。
本命のグリクシスミッドレンジに対し、赤単アグロがピッタリとマークについています。続いて白単ミッドレンジ、ひとつおいてエスパーレジェンズと打倒グリクシスミッドレンジを掲げたデッキばかりが並びます。参加者の多くは、グリクシスミッドレンジこそ真に倒すべきデッキと見定めていたのです。
グリクシスミッドレンジ
現在のメタゲームのトップランナーに位置しているのがグリクシスミッドレンジ。除去、打ち消しを中心にゲームを組み立て、中盤からはカードアドバンテージを得て主導権を握っていきます。デッキの大半が2~3マナと非常に軽くカードで構築されており、同一ターンに展開と妨害、妨害とドローなどの複数行動が可能です。
攻め手の中心は環境を代表するエンチャント《鏡割りの寓話》であり、マナを伸ばし優位を確固たるものとします。《税血の収穫者》、《死体鑑定士》と《キキジキの鏡像》のコピー先として優秀なクリーチャーが揃っており、スタンダードにおいてこの英雄譚をもっとも上手く使えるデッキといっても過言ではありません。
赤単アグロ
ラストチャンストライアルで数を伸ばしたのが伝統の赤単アグロ。1マナから始まるクリーチャーによるプレッシャーを、多数の速攻クリーチャーと直接火力でサポートしていきます。環境にはびこる多色デッキのタップイン土地の序盤のもたつきを咎める存在です。《怪しげな統治者、スクイー》による横展開は単体除去中心のグリクシスミッドレンジに対して効果抜群であり、伝説のクリーチャーながら4枚採用されています。
《焼炉の懲罰者》は特殊土地を多用しているデッキに対し、恒久的なダメージソースとして機能します。《ザンダーの居室》を中心とした3色土地、ファスト/スローランドなど土地が強いがゆえに多色化が容易であり、メタゲームによる採用となります。《切り崩し》の当たらないスタッツも頼もしく、もっとも注目されている1枚です。
白単ミッドレンジ
グリクシスミッドレンジを本命とするならば、その対抗馬とされるのが白単ミッドレンジ。単体除去と《婚礼の発表》、《放浪皇》でボードを支え、相手にとって攻められない戦場の構築を目指す守りのデッキです。ゲーム展開をスローダウンさせていき、《セラの模範》、《勢団の銀行破り》でリソースに差をつけていきます。
環境を定義する《鏡割りの寓話》に対しても《第三の道のロラン》、《骨化》の二段構えで対応可能であり、パーマネント干渉手段が豊富なデッキとなります。
新プレインズウォーカー《永遠の放浪者》は攻防を支える存在であり、膠着時には毎ターン二段攻撃持ちのトークンを生成し、強固な戦場を作り上げます。《神憑く相棒》、《第三の道のロラン》など[+1]の明滅と相性の良いクリーチャーも多く、いつ引いても無駄になりません。ゲームを決定付けるフィニッシャーなのです。
アトラクサミッドレンジ
スタンダードにもっとも影響を与えたであろう1枚、《偉大なる統一者、アトラクサ》。ラクドス、ジャンド、グリクシス、はては5色と多岐にわたりますが、そのほとんどが《ギックスの残虐》によるリアニメイトプランを内蔵しています。
わずか5マナで登場する7/7のスタッツに、ダメージレースを圧倒する飛行と絆魂。《グリセルブランド》も驚く、圧倒的なカードアドバンテージと戦場に出た瞬間からゲームを支配してしまいます。
しかし、あまりの強さゆえに現在はガッチリと包囲網が敷かれている状況です。各デッキともサイドボードに墓地対策は標準装備されており、赤単アグロからは《血の裏切り》による友情コンボが。今後は手札からも安定してプレイできるかが焦点となりそうです。
エスパーレジェンズ
エスパーレジェンズはマナカーブに沿って伝説クリーチャーを並べ、そのカードパワーと《策謀の予見者、ラフィーン》によるバックアップでビートダウンを狙うデッキです。呪文を縛る《スレイベンの守護者、サリア》、流行の墓地戦略を咎める《敬虔な新米、デニック》とミッドレンジ戦略に強いカードで構築されています。
先手番は《スレイベンの守護者、サリア》がイージーウィンをもたらしてくれますが、問題は後手番。《切り崩し》、《喉首狙い》で綺麗に対処されて、反撃の糸口を掴みにくくありました。
新たに採用された《離反ダニ、スクレルヴ》は待望の1マナクリーチャーであり、後続を単体除去から守る保護役。自身はアーティファクトクリーチャーのため《喉首狙い》で対処されず、結果的に生き残りやすくなっています。
《金属海の沿岸》の獲得により1ターン目から白マナの捻出が安定し、円滑な展開が見込めます。
スタンダードと聞くと、反射的にグリクシスのみと一括りにしてしまいがちですが、赤単アグロやエスパーレジェンズのようにここにきて数を伸ばしているデッキも確認できました。打倒グリクシスミッドレンジを掲げて、当たり負けしない工夫を施し、持ち込んでいるのです。
本戦である「チャンピオンズカップファイナル サイクル2」は明日より開催されます。プレイヤーズコンベンション横浜2023のカバレージページや配信もあるためお見逃しなく!