はじめに
みなさんこんにちは。
先週末は『プレイヤーズコンベンション横浜2023』で『モダンオープン』が開催されましたが、みなさん楽しかったでしょうか?
気になる禁止改定もモダンはノーチェンジでしたね。今回の連載では、『モダンオープン』と『Modern Super Qualifier』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
プレイヤーズコンベンション横浜2023 モダンオープン
Amulet Titanが参加者748名の頂点に
2023年3月4日
- 1位 Amulet Titan
- 2位 Jund Saga
- 3位 Jund Saga
- 4位 Merfolk
- 5位 5C Creativity
- 6位 Rakdos Evoke
- 7位 Jund Saga
- 8位 Temur Cascade
渡辺 菖太
トップ8のデッキリストはこちら
今大会で優勝したのは『ファイレクシア:完全なる統一』から新戦力を獲得したAmulet Titanでした。
現環境でもっとも人気があるIzzet Ragavanはプレイオフでは見られませんでしたが、多種多様なデッキが活躍するモダンらしい結果となりました。
デッキ紹介
Amulet Titan
『ファイレクシア:完全なる統一』がリリースされて以来、結果を残し続けているAmulet Titan。新カードの《マイコシンスの庭》は《精力の護符》になることができ、デッキの一貫性の向上と爆発力に貢献しています。
Izzet Ragavanを苦手としていますが、《魂の洞窟》によって《原始のタイタン》や《耕作する巨躯》といったフィニッシャーがカウンターされなくなるので圧倒的に不利なマッチではなく、《血染めの月》も《耐え抜くもの、母聖樹》で対策することができます。
☆注目ポイント
《マイコシンスの庭》は追加の《精力の護符》として機能しつつ、無色マナを捻出できるマナ基盤としても機能します。フィルターによって好きな色マナを捻出することができる点も優秀で、プレビュー段階からモダンで使えるカードの1枚として注目を集めていました。3ターン目に《原始のタイタン》をプレイしやすくなり、デッキが高速化することによって、苦手なマッチアップであるIzzet Ragavanにも押し負けることが少なくなります。
サイドの《内にいる獣》は、《耐え抜くもの、母聖樹》と同様に《血染めの月》など置物対策として機能しつつ《濁浪の執政》に対するアンサーとしても機能するフレキシブルな除去です。相手に3/3を与えてしまいますが、《イリーシア木立のドライアド》で止めることが可能です。
従来のリストよりも無色マナ土地が多いので少し出しづらいですが、カウンターされない脅威である《ティラナックス・レックス》が採用されています。《魂の洞窟》を必要としないので、主にIzzet Ragavanなど青いフェアデッキとのマッチアップで活躍します。
Merfolk
Merfolkはモダンに古くから存在する部族アグロデッキですが、最近登場したセットから多くの収穫があり上位でも見られるようになりました。
このデッキは《魂の洞窟》と《霊気の薬瓶》のおかげでカウンターに耐性があり、メインから採用された《否定の力》やサイドの《虚空の杯》によってコンボデッキとも渡り合えます。
☆注目ポイント
『モダンホライゾン2』から登場した《激浪の形成師》と《海と空のシヴィエルン》は、Merfolkをトーナメントレベルにまで押し上げるきっかけを作りました。
《激浪の形成師》は多色デッキのマナ基盤や《ウルザの物語》などを妨害しつつ、アタッカーとしても機能する優秀なクリーチャーです。また、《アトランティスの王》の「島渡り」によって攻撃を通すことができるようになります。
《海と空のシヴィエルン》は自軍のマーフォークに除去耐性を付けつつアドバンテージを稼ぐことができ、強力な単体除去や《激情》といったカードが活躍するモダンで輝くカードです。
そして、さらなる強化となったのが『団結のドミナリア』から登場した《ヴォーデイリアの呪詛抑え》です。瞬速であることを活かしてコンバットトリックとしても機能し、火力除去や《激情》に対応してプレイすることで相手の計算を大きく狂わせることができます。能力はそれだけではなく、マーフォークをソフトカウンターに変換することができるため、「続唱」をはじめとしたコンボデッキとのマッチアップで活躍します。
サイドの《緻密》はマーフォークではありませんが、最近活躍が著しいAmulet TitanやRakdos Evoke、Golgari Yawgmothなど多くのマッチアップで活躍します。《虚空の杯》は主に「続唱」系とのマッチアップ用のカードですが、Hammer TimeやBurnなど1マナのスペルを多用するデッキとのマッチアップでも使えます。
Modern Super Qualifier
モダンで許されているコンボデッキ
2022年3月5日
- 1位 Izzet Breach
- 2位 Rakdos Evoke
- 3位 4C Creativity
- 4位 Tron
- 5位 5C Creativity
- 6位 5C Creativity
- 7位 Rakdos Evoke
- 8位 Esper Control
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長丁場の予選を制したのはIzzet Breachでした。レガシーではすでに禁止になっている《死の国からの脱出》ですが、モダンでは健在です。
デッキ紹介
Rakdos Evoke
スイスラウンドを全勝してプレイオフにまで勝ち残ったFunkiMunkiは、Rakdos Evokeを使用していました。
《悲嘆》+《不死なる悪意》の組み合わせによって、1ターン目から場に4/3を残しつつ相手のベストカードを2枚落とす強力なコンボを内臓しているデッキです。先手であればいきなり相手のゲームプランをズタボロにすることができます。
その強力な動きに加えてメインから無理なく《血染めの月》を運用することができるため、Amulet Titanなど土地コンボが散見される現環境では最高のミッドレンジといえます。
☆注目ポイント
基本的には《悲嘆》+「不死」スペルが安定した選択肢ですが、メインの除去が《稲妻》と《邪悪な熱気》のIzzet Ragavanに対しては《激情》+「不死」スペルも有効です。早い段階からカウンターが乗って出てくる4/4の《激情》を対処する手段が限られているので、十分な脅威となります。
ラクドスカラーということもあり豊富な除去がそろっており、《濁浪の執政》への解答となる《終止》も使えます。サイドには《仕組まれた爆薬》や《碑出告が全てを貪る》といったスイーパーも搭載されているため、Hammer TimeやIzzetに強いデッキです。特に《仕組まれた爆薬》は《ヴェクの聖別者》対策にもなるので重要です。
5C Creativity
《不屈の独創力》によってトークンを《残虐の執政官》に変身させる1枚コンボで、特に複雑な仕込みを必要とせず4ターン目に《ドワーフの鉱山》をフェッチすることでコンボを決めることができます。
コンボデッキとカテゴライズされていますが、《不屈の独創力》に頼らずとも《鏡割りの寓話》でアドバンテージを稼ぎつつ、マナを伸ばして最終的に《残虐の執政官》を素でプレイして勝つことも可能です。
《力線の束縛》や《時を解す者、テフェリー》を搭載した多色バージョンや《苦々しい再会》や《頑強》といったリアニメイト要素も採用したバージョンなど、構築の自由度が高いのもこのデッキの特徴です。
☆注目ポイント
白をタッチするメリットとして《力線の束縛》を使えることが挙げられます。モダンでは序盤の《敏捷なこそ泥、ラガバン》を処理できるか否かが非常に重要なので、1マナのインスタントでの除去は貴重です。
《虹色の終焉》はソーサリーなので《敏捷なこそ泥、ラガバン》対策としてはそこまでですが、《力線の束縛》と同様にフレキシブルな除去としてデッキの種類の多いモダンでは重宝します。
最近は《苦々しい再会》と《頑強》を採用したバージョンも見られるようになりましたが、モダンは墓地に対するマークが厳しいため《不屈の独創力》のみに絞られています。また《不屈の独創力》と比べると性能の面では劣りますが、追加の踏み倒し手段として《異形化》が採用されています。
サイドに追加の踏み倒し先として採用されている《エメリアの盾、イオナ》は、Burnや《孤独》など白い除去を使うデッキとのマッチアップでサイドインされます。デッキによっては出されるだけで詰んでしまいます。
総括
大会結果を見ていきましたが、先日の禁止制限告知でも説明がされていたように現在のモダンはさまざまなアーキタイプが活躍できる良環境といえます。
『ファイレクシア:完全なる統一』のカードも多く使われており、今後のメタゲームがどうなっていくのか楽しみですね。
USA Modern Express vol.91は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!