はじめに
みなさんこんにちは、晴れる屋メディアチーム所属の島田と申します。
前回に引き続き、今回も新セット『機械兵団の進軍』の中から、個人的に感動したカードやみなさんに伝えたいことがあるカードを紹介していきたいと思います。
今回のセットはVS新ファイレクシア最終決戦!ということで、過去に登場したさまざまな次元や登場人物たちが勢ぞろい。何度も登場したおなじみのキャラクターから「その次元そんな設定だったの!?」と驚くようなマイナー情報まで、マジックの歴史が押し寄せるストーリー総決戦的セットになっております。1つのセットに詰め込んでいい情報量じゃないよ!
設定大好き勢が嬉しい悲鳴を挙げるのを眺めるこの企画、よろしければお付き合いください。
なお、私は毎回以下のような基準でカードを選んでおります。
・絵が可愛い
・カードデザインが美しい
・ストーリーでかっこよく活躍する
・翻訳が上手い
・キャラが好き
・昔のカードのリスペクトが詰まってる
・なんか強そう
・ドラフトで100枚ピックしたい
などなど…つまり特別決まったテーマがあるわけではないので、お気楽な気持ちでご覧ください。
また、今回もMTG公式サイトに掲載されている『機械兵団の進軍』のストーリーのネタバレを含みます。ご了承ください。
それでは始めましょう。
カード紹介
《大天使エルズペス》
エルズペス…立派になって…(ホロリ)
初登場時から辛い運命と戦い続け、一部ではMTG不幸キャラ代表とまでいわれていたエルズペスさんがなんと大天使に覚醒。ストーリーで偉大な先達に導かれて天使として覚醒するシーンかっこよかったな~!天使になったからか性格も超然とした感じになっていましたが、通常版イラストのポーズはなんだか可愛らしいですね。
あと能力が初代エルズペスのリメイクっぽくなってるのも良い![+1]で出てくる兵士は能力が増え、[-2]は永続的になり、奥義は初代が「今自分の周りにあるものを強固に守る」能力だったのが「失われてしまった弱い者たちを蘇らせる」能力になっていて対比が美しいです。
しかし、ここまでガラッと人柄が変わってしまうと彼女に因縁のある2人のプレインズウォーカー、アショクとケイリクスの反応が気になるところ。特に「エルズペスの運命をあるべき形に姿に織り直すため特別に創られた」という出自を持つケイリクスにとって、彼女は存在意義そのものと呼べる存在。今の状態には思うところがあるのでは…再登場待ってますよ。
《太陽降下》
カード名かっっっこよ!!!
太陽の神ヘリオッドがファイレクシアの手に堕ち、天から降り注ぐ光で己を信仰している民たちを無に帰す衝撃の光景。地上の人々にとってはまさに”太陽が落ちてくる”ような絶望的状況だったことでしょう。仮にこの戦いを生き残ったとして、こんな光景を見てしまったら尋常な精神ではいられないだろうな。昔ガンダムにそういう人いた気がする。
効果が《ファイレクシアの再誕》のリメイクなのも熱いですね。《ファイレクシアの再誕》といえばリミテッドでは盤面をリセットしながら自分だけ強いクリーチャーが残る強力レアとして有名だったんですが、1マナ軽くなった上に破壊が追放になってさらに凶悪度アップ。トークンの変身が必要なのも、返しのターンでソーサリーの除去を打たれ辛いという点ではメリットになり得ます。シールド戦で引きたいレアNo.1といえるでしょう。
リミテッド神挑戦者決定戦で《太陽降下》を引きたいあなたは、今日から毎日ヘリオッド神に祈りを捧げましょう。しかしリミテッド神決定戦は相手も神だからな…高橋リミテッド神に祈りを捧げて毎日ドラフトの練習をする方が効果があるかもしれない。
《金属の徒党の種子鮫》
クリーチャータイプ「ファイレクシアン・サメ」!それは完全にB級サメ映画なんよ。というか当たり前のように飛行を持ってるけど、サメって本来海の生き物ですからね?ギタクシアス派の人たちは何を参考にしてこのサメを生み出したんだ。
ところで「種子鮫」って何なんでしょう。最初は種の名前なのかと思いましたが、軽く調べただけでは現実世界に近そうな種はおらず。サメの種子=卵ってことはキャビア?しかしどんなに美味しかったとしても、ファイレクシア魚の卵を食べたい気持ちにはならないな。
そういえば卵があるってことは卵生なんだよなと思いながら生態を調べていたら、サメは魚類としてはめずらしく体の下側にある交接器を用いて交尾をするらしいです。ということは、大量に生えているそれってもしや!?さすがに数が多すぎるか…形が似ているから培養器を生んでる最中なのかも。どっちにしてもちょっといかがわしさを感じるな。
《フェアリーの黒幕》
いや顔似すぎだろ!以前ジョークで津村 健志さんのプレイヤー・スポットライト・カードという話をしたことがあるのですが、これは正真正銘2021年世界王者である高橋 優太さんのプレイヤー・スポットライト・カードです。過去の2枚は直接デザイン元の本人とお会いしたことがなかったから「似てるかもな」くらいの印象だったけど、これはほんとにそっくり。最初見たとき実写かと思ったもん。
フェアリー使いとして有名なことを反映してか、クリーチャータイプがフェアリーなのも粋ですね。能力も隙を付いてアドバンテージを取っていく技巧派タイプでイメージにぴったり。誰かが「このカードを出してアドバンテージを稼いでるときのあんちゃん(高橋さんのあだ名)は、マジでこういう顔してそう」って言ってて笑っちゃった。
しかしここまで似てると個人的に気になることがあって、痛そうな除去を打つのに抵抗があるんですよね。しかもこのセット《無慈悲な再利用》だの《焼尽の逆刺》だの痛そうな除去多いんだもん。あくまでゲームではあるんですが、慣れるのに時間がかかりそうです。《証人保護》くらいでなんとか…。
《完成化という名の贈り物》
やだ翻訳素敵!英語名は「Gift of Compleation」なのでそのまま訳すと「完成化の贈り物」となりそうですが、それを「完成化という名の贈り物」と訳すことによって「ファイレクシアにとっては贈り物だが、贈られた側にとっては全くもって悪夢である」という断絶が浮き上がってくる素晴らしい翻訳です。
小説のタイトルとかではたまに見るけど、マジックのカード名で出てくるのは初かな?こういうちょっと洒落た表現って、最初の一回にすごく勇気がいるんですよ。特にカード名ってある程度テンプレがあるはずなので、そこから外れてでも素敵な訳を目指した決断を褒めたたえたい。
あまりにも効果が有名すぎて普段意識しないけど、《血染めの月》も結構な意訳というか洒落た訳ですよね。それとも過去の文学作品とかに元ネタがあるのかもしれない。
翻訳のお仕事の裏話もいつか聞きたいな!とはいえ機密情報を取り扱ってるはずだから話せないことも多いんでしょうが、名訳を見るたびにその裏側にどんな想いがあるのか知りたくなります。いつかプロジェクトXに出てくれ。
《燃える都市》
《ラースの灼熱洞》以来赤にときおり現れるダメージ増やし系エンチャント、今回は《焦熱の解放》以来の3倍と来ました。倍率が上がると複数枚出したときの加速力がすさまじいので(2倍だと3枚出しても8倍止まりだけど、3倍だと2枚で9倍・3枚で27倍!)、どうにかしてたくさん並べたいところです。《エストリッドの祈祷》なんてどうかな。
そしてこのカード、シチュエーションがめっちゃかっこいいんですよ!ニューカペナに現れて圧倒的な力で街を破壊するアトラクサと、長い年月を経て作り上げられた都市そのものを武器としてそれに立ち向かうニューカペナの住人たち。最終的に土建屋の人々の手によって崩された建物の残骸がアトラクサの頭上に降り注ぎ、彼女を討ちます。
なんて痺れる展開だ。「堕天使は堕ちたままであれ」、戦いを締めくくるヘンジー・トーリさんの台詞もニューカペナらしく洒落てます。かつて天使を利用してファイレクシアから街を守ったデーモンたちが、今回はファイレクシアの天使を相手取る流れもまるで演出されたかのように美しい。あれ、そういえばアトラクサに対してニューカペナに行けって言ったのエリシュ・ノーンでは…。
《インガとエシカ》
イラストめっちゃ可愛い!今回伝説のクリーチャーがタッグを組んで戦うイラストはどれも次元の世界観を描き出していて素敵なのですが、これは飛びぬけてポップで明るい雰囲気です。この走ってる道、完全に某レースゲームのレ〇ンボーロードでは?あと想像より《エシカの戦車》を引いてる猫が小さい!この猫たち、これでも2/2のはずだが。
しかもこんなに頑張って戦車を引いてるのにクリーチャータイプに反映されてなくて可哀想。それとも猫の形を取っているだけで、実際は神の一部分という扱いなのかな?神といえばひっそり後ろに飛んでいる鴉もたぶん《囁く鴉、ハーカ》ではないでしょうか。
表に出てこないけどこっそり助けてくれるの、いかにもアールンドっぽい。でもほかのレジェンドたちはタイプ行が長くてかっこいいから、どうせなら「人間・神・猫・鳥」にしてくれてよかったのよ。4種類あっても漢字ばっかりで《虚ろな歩哨トークン》よりタイプ行がすっきりしてるから大丈夫!
《万物の座、オムナス》
オ、オムナスーっ!これまで1つずつ色が増えていたのでいずれ5色版が出てくるだろうと思ってはいましたが、こういう形で登場してしまうとは。マナコストの中央に燦然と輝くファイレクシア・黒マナシンボル、マジックの5色が「白・青・黒・赤・緑」の順番で並んでいることを、これ以上ないほど活かした並び方が最悪で最高ですね。
初代オムナスに近いマナが消えない能力も、黒マナに変えるようになって途端に邪悪な雰囲気に。ふと思いましたが、エリシュ・ノーンが実権を握った今でもファイレクシア化=黒のイメージがあるのはちょっと不思議です。そもそも肉体のないエレメンタルをどうやってファイレクシア化したんだ?謎が深まる。
5色のカードでマナコストがこんな並びになるのも初めてなら「ファイレクシアン・エレメンタル」のタイプも初めてだし、テキストに「色マナ・シンボル」という用語が登場するのも初めてと実は新要素ずくめの1枚。
能力も最初読んだときはどうなるのかよくわからなかったので、使ってみようと思っている方はもう一度テキストを読み返しましょう。マナを加える能力は3色以上のカードじゃなくても、たとえばでもオッケーなんですね。…強くね?
《過去と未来の剣》
『ダークスティール』の《火と氷の剣》《光と影の剣》から始まった2色剣サイクルが19年の時を経てついに完結!最後の1枚がミラディン(ファイレクシア)を舞台としたセットで登場するのも熱いし、《過去と未来の剣》というカード名なのも熱いです。サイクルを締めくくるのにふさわしいカード名だ。
最初に日本語版を見て英語版は「Sword of Past and Future」かな?と思ったら「Sword of Once and Future」とな。このOnce、《過去と未来》《むかしむかし》で見たことある!しかも「Once and Future」には「永遠の」という意味もあるらしいです。マジック:ザ・ギャザリング、英語の勉強になるゲームだなー。
さらにこの剣、直前に登場した《鉱炉と前線の剣》と能力が対比っぽくなってるんですよ。《鉱炉と前線の剣》はすぐそこにある未来(ライブラリーの上2枚)しか選べない代わりに、どんなに壮大な行動(マナコストの大きいカードや土地)でも成し遂げられ、《過去と未来の剣》は未来を先読み(諜報2)して豊富な選択肢(墓地)から選べる代わりにこじんまりした行動(2マナ以下)しか起こせない。赤緑と青黒、それぞれの色らしさが出ていて美しいデザインだなー。
《タルキールへの侵攻》
新カードタイプ「バトル」から代表して紹介するのはこの1枚。とにかくイラストがめちゃくちゃかっこいい!バトルの横向きイラスト、正直カードテキストがちょっと見辛くて困ってたけどここまでイラストがかっこよかったら許します。アート・カードで全面イラストが見られるので、ぜひご覧あれ。
しかしオジュタイと戦っているこのメカドラゴン、稲妻のブレスを吐いていることや顔の形・翼が4枚あることから考えると、ファイレクシア化したコラガンなのでは?だとするとズルゴはかつて仕えた相手と戦っていることになり、可哀想な状況に。彼も結構不憫キャラだな。
裏面ではフレーバーテキストにサルカンが登場し、元気そうで一安心。毎回既存のキャラクターのカードを何十枚も登場させるわけにはいかないでしょうから、こうやってフレーバーテキストで生存確認をさせてくれるのはありがたいです。ストーリーの外で闇堕ちしたり死んじゃったりすると悲しいからな。今回も統率者セットで大変な目に遭ってる人がいるけど…
おわりに
今回はここまで。ほかにも『機械兵団の進軍』にはたくさんの魅力的なカードがありますので、ぜひカードリストを見てお気に入りの1枚を探してみてください。通常版と特別版のカードリストを置いておきます。
また『機械兵団の進軍』の特設ページがオープンしています!こちらからも各種商品の購入ができるだけでなく、『機械兵団の進軍』に関する記事や動画がまとめてご覧いただけますので、ぜひご活用ください!
それではみなさま、『エルドレインの森』でお会いしましょう。また次回!