はじめに
みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームです。
本日、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストよりスタンダードのローテーションについて告知がありました。
【お知らせ】スタンダード・フォーマットに対する取り組みのひとつとして、以降セット・ローテーションの期間を「2年」から「3年」へと変更いたします。これに伴い、今年に限り『エルドレインの森』発売時のローテーションはありません。詳細は記事をご確認ください。 https://t.co/rzDLSrFNut #mtgjp
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) May 7, 2023
毎年9月ころに実施されていたスタンダードのセット・ローテーションの期間が2年から3年へと変更になるというのです。とはいえ、マジックをはじめたばかりの方やほかのフォーマットで遊んでいる方にはあまり馴染みがないかもしれません。
本稿ではセット・ローテーションの変化についてご紹介していきます。
セット・ローテーションとは?
まずはスタンダードの説明からはじめていきましょう。スタンダードとは、直近2年以内に発売されたセットのみで遊ぶフォーマットです。使用可能セットが少ないため初心者も参入しやすいフォーマットとなっていました。
先ほども述べた通り、スタンダードではあらかじめ使用期間が決められているため、それを過ぎたセットはスタンダードでは使用できません。毎年9月の最新セットの発売に合わせて、古い1年分のセットがスタンダードでは使用不可能になってきました。これを「セット・ローテーション」といいます。
直近のセット・ローテーションでは2022年9月に実施されており、『団結のドミナリア』の発売と同時に、『ゼンディカーの夜明け』『カルドハイム』『ストリクスヘイヴン:魔法学院』『フォーゴトン・レルム探訪』の4セットがスタンダード落ちしています。
今回の発表内容
スタンダードにおける全カードのライフサイクルを1年延長することです。現行のスタンダード環境より、セットがローテーションによりスタンダードを去るのは2年ごとではなく3年ごとになります。
公式記事:スタンダードに再び活気をより引用
今回の発表にはセット・ローテーションの期間を2年から3年へと変更するとあります。つまり、『エルドレインの森』の発売にともなうスタンダードのローテーションはありません。現行のスタンダードプールにあるセットは、本年の10月以降も引き続きスタンダードで使用可能なのです。
次回のセット・ローテーションは2024年の同時期に実施されます。このとき『イニストラード:真夜中の狩り』『イニストラード:真紅の契り』『神河:輝ける世界』『ニューカペナの街角』の4セットがスタンダードを去ることになります。
ローテーション延長の恩恵
今回のセット・ローテーションの変更は「プレイヤーの皆さんがスタンダードに関わる理由を増やすことが目的」とあります。以下の3つの恩恵があげられていました。
現行スタンダードのカードをより長く使えること
プレイヤーの皆さんがお気に入りのカードで長く楽しみたいと思っていることは、私たちも繰り返し聞いてきました。スタンダードは唯一のローテーションするフォーマットであり、もちろん常に新鮮さをご提供することは大切なのですが、より良い落としどころがあるのではないかと感じる部分もあります。
公式記事:スタンダードに再び活気をより引用
これは嬉しい変更点です。先ほどセット・ローテーションに際して古い1年分のセットが落ちると書きましたが、ここでいう古い1年分とは9月に発売されるものもあれば4月発売のものもあります。
『ニューカペナの街角』は4月に発売されたセットであり、同時にローテーション落ちする『イニストラード:真夜中の狩り』と比較しても半年ほど短くなっていました。スタンダートでの使用期間は1年6ヶ月ほどとなっていましたが、今回の変更によりこの期限が伸びることになります。そう、この先もスタンダートで3色土地を使用できるのです!!
本年の9月以降も3色デッキのためのマナ基盤はしっかりと用意されています。スローランドやファストランドと合わせて多色デッキを楽しめそうです。
時間をかけて、メカニズムやアーキタイプをより効果的に構築できること
セットのブロック制から離れた私たちは、高い柔軟性を得ることができました。しかしそれは同時に、セット内のメカニズムやテーマの構築力を失うことにもなりました。ローテーションの間隔を広げることで、私たちがアーキタイプを築いたり活力を与えたりする機会をより多く見出せるようになります。それは多様性の向上やアーキタイプが長持ちすることにつながり、プレイヤーの皆さんを飽きさせないような競技シーンの変化をもたらすのです。
公式記事:スタンダードに再び活気をより引用
ブロック制が排除されたことでセット間の結びつきが弱くなり、キーワード能力を軸にしたデッキの構築は難しくなっています。特定のメカニズムを中心に据えたシナジー満載のデッキよりも、単体のカードパワーを重視した構築が多くみられます。
セット・ローテーションの延長にともなうカードプールの拡大により、セットを跨いだシナジーが見つかり一本の芯の通ったデッキが構築できるようになるかもしれません。それこそ昨年のセット・ローテーションがなければ《黄金架のドラゴン》と《タルキールへの侵攻》が新たなアーキタイプとして覇権を握っていたかもしれないのです。
「色やメカニズム」に注目したデッキが多く、ミッドレンジが少ない環境を作るための強力なツールを得られること
カード・プールが広がることで、スタンダード環境は新しいデッキの種が一度に植えられるような大きな変化にも対応できるようになるでしょう。
公式記事:スタンダードに再び活気をより引用
カードパワーの集合体であるグッドスタッフを減らし、メカニズムやゲームレンジの違うデッキ同士を増加させる狙いがあるようです。実際のところスタンダートで特定のメカニズムを軸とした戦略は、アゾリウス兵士やセレズニアポイズンなど数えるくらいしかありません。戦略が多様化し、さまざまなアーキタイプが生まれるのは大歓迎です。
過去のスタンダートでは一口にアグロといっても多くの色とバリエーションがありました。部族や「信心」などセットに寄せた構築もあり、プレイヤーの腕の見せ所でした。カードプールの拡張はカード同士に互換性をもたせ、シナジーあるデッキ構築をサポートしてくれるのです。
おわりに
新たな地平線を目指すスタンダート。『エルドレインの森』以降、どのような環境になるのかまったく想像がつきません。告知には「スタンダード体験向上のための取り組みは、これで終わりではありません。」とあり、今後も手を加えていくことが示唆されています。
ただし、想像ばかりを膨らませて今を楽しまないのはもったいというよりほかなりません。先週末にはプロツアーが開催されたばかりです。
今後のウィザーズ・オブ・ザ・コーストの発表を待ちながら、今のスタンダートを楽しんでいきましょう。それではまた。