はじめに
こんにちは。Hareruya Prosの佐藤です。
佐藤 啓輔:Hareruya Pros所属。構築戦のなかでもミッドレンジを得意とする。2021年8月のチャレンジャー・ガントレットでトップ4に入賞し、今年9月に開催予定の世界選手権への出場を決めた。プライベートではTwitterにラーメンの写真をよくアップロードしているグルメである。
『プロツアー・機械兵団の進軍』がついこの間終了したばかりで余韻が冷めない状態かと思いますが、新しいセットである『機械兵団の進軍:決戦の後に』が本日発売されました!
今回は新しい販売形態となっており、通常の独立したセットではありません。『機械兵団の進軍』にて終結したファイレクシア戦争の「その後」を補足する形で追加される小規模セット(収録枚数50枚)であり、スタンダードで使用可能となっています。
プレインズウォーカーの多くが灯を失ったり、次元間を繋ぐ領界路が出現するなど、背景ストーリーにも注目のセットですね。
今回はこの『機械兵団の進軍:決戦の後に』の注目カードを紹介させていただこうと思います。主にスタンダード目線で評価していきますが、一部は他フォーマットでの観点も取り入れています。
それではよろしくお願いします。
色別おすすめカード
白
《銅纏いの先兵》
クリーチャータイプ・人間に新しいバリエーションが追加です。これ以外の人間クリーチャーに+1/+0修正と護法1を付与してくれます。一見大したことなさそうな護法1ですが、スタンダードでよく見かける《策謀の予見者、ラフィーン》がそのいやらしさを証明しています。
スタンダードにおいては白単やアゾリウス兵士のような白系アグロデッキでの起用が期待できます。特に《スレイベンの守護者、サリア》との組み合わせは強力。
パイオニア以下の白系人間デッキでも採用が検討されますが、層が厚い2マナ圏に割って入れるか注目です!
《大都市の改革家》
赤を軸に据えたアグロ系デッキに対して強力な一枚。呪禁付与によりプレイヤーを対象とした火力をシャットダウンし、火力による除去をライフに変えることで、ライフを高水準に保ってくれるでしょう。戦闘ダメージでもライフを回復する効果は誘発するため、ダメージ反転を内蔵したようなクリーチャーになっていますね。
そして、呪禁で防げるのは火力呪文だけではありません。スタンダードで猛威を振るっている《絶望招来》を防ぐことができるのもポイントです。
さらに、クリーチャータイプ・天使でありライフを得る能力もあることから、今後パイオニアのセレズニア天使デッキで居場所を見つけられるかもしれません。
青
《ヴェズーヴァの漂う者》
強力クリーチャーが多く、ライブラリー操作手段が豊富なレガシーでの活躍が期待できます。ライブラリーの一番上を確認できるため、《予報》のようなカードとも相性が良いですね。
レガシーを代表する強力なクリーチャーである《引き裂かれし永劫、エムラクール》をライブラリートップに置いてコピーしちゃいましょう!
黒
《アヤーラの誓約者》
白の《銅纏いの先兵》に続きクリーチャータイプ・人間に新しいバリエーションが追加です。威迫持ちで止めにくく、攻撃を通すたびにサイズが上がり続けます。ちょうど4個乗ると《悪魔の教示者》相当のサーチ能力が誘発し至れり尽くせり。
単体で達成するのは難しいので+1/+1カウンターを置くサポートと組み合わせたいですね。パイオニアにおいては《サリアの副官》や《光輝王の野心家》などが候補にあがります。
ただし、サーチ能力の誘発は戦闘ダメージが入ったときにカウンターが追加されたタイミングとなるので注意です。
《アーボーグの掃除屋》
《墓地の侵入者》を彷彿とさせる墓地対策内蔵の生物。
《墓地の侵入者》と比較すると、護法とクリーチャーを追放した際のライフドレインはありませんが、その代わりにサイズアップと《魂剥ぎ》のように追放したクリーチャーの能力を得ることができます。
《偉大なる統一者、アトラクサ》を追放することでお手軽強力クリーチャーを作ることも夢ではありません。まずは破壊不能や呪禁による除去耐性を付与して、ゆっくり育てていくのが理想です。
総合的には《墓地の侵入者》の方が優先されると考えていますが、コンボ要素の側面があるため組み合わせによっては今後よく見かけると思います。
赤
《無謀な始末》
アーティファクト限定の《ギャンブル》。スタンダードというよりは、パイオニアやモダンで可能性を感じる一枚です。
たとえば《パルヘリオンⅡ》のような墓地に落としたいキーカードを直接サーチして墓地に送り込むようなことも可能です。
今後のカードプールの広がりと共に期待が膨らむカードとなりそうです。
緑
《復活した精霊信者、ニッサ》
「上陸」により《水蓮のコブラ》を彷彿とさせるマナ生成能力が誘発し、高マナ域へのアクセスや複数アクションへのサポートになります。2度目の誘発はマナを生成するだけでなくアドバンテージ獲得に繋がります。
上記の能力を有効活用するため「上陸」と相性の良い各種フェッチランドを使用できるモダンでの活躍が期待できます。
《創造の座、オムナス》や各種インカーネーションなど強力なエレメンタルクリーチャーが揃っているのでこちらも合わせて使用したいですね。
《温厚な襞背》
「キッカー」のような能力を持つ恐竜。
誘発する能力は汎用性があり便利なクリーチャーです。3/3というサイズでありながら墓地と置物を両方に対応できるのでメインボードからも採用しやすいのが嬉しいですね。
墓地や置物がスタンダードよりは重視されるパイオニアでの活躍が期待できます。 同じモードを複数選ぶことはできないので注意。
多色
《不屈の将軍、ジリーナ》
こちらもクリーチャータイプ・人間の新しい選択肢です。
サイズアップするような能力はなく、同マナ域のライバルに比べるとメインでの採用は見送られるかと思います。しかし、代わりにタイミングは場に出た時限定ながら墓地対策能力を持つため、環境次第ではサイドボード後によく見かけることになると思います。
自身を生け贄にすることで除去耐性を持たせることもポイントで、全体除去にて盤面をコントロールするデッキにとって厄介な存在です。
《悟った喪失者、ナーセット》
自軍へ果敢付与による強化と《戦慄衆の秘儀術師》のようなアドバンテージ獲得能力を持つクリーチャー。ぜひ《僧院の導師》と組み合わせることで、盤面とアドバンテージ獲得の両方で暴れさせたいです。
単体で果敢を能動的に誘発させることが可能なため、色は3色ですが総じて強力クリーチャーです。
《囚われの黒幕、オブ・ニクシリス》
能力誘発条件であるちょうど1点のライフを失うという条件に対し、スタンダードでは《鬼流の金床》、 パイオニアでは《大釜の使い魔》+《魔女のかまど》が良い相棒であり、サクリファイス系のデッキで活躍できそうです。
アドバンテージを得ると同時にサイズアップによるフィニッシャーを兼ねる姿は、 同じくサクリファイス系のデッキで活躍する《フェイに呪われた王、コルヴォルド》と重なります。
また、下準備は必要ですが《完全なる統一》との組み合わせにより即死コンボを決めることもできます。
(1)《囚われの黒幕、オブ・ニクシリス》と《完全なる統一》の両方が出ている状態で1点ダメージを何かしらの方法で与える
(2)《囚われの黒幕、オブ・ニクシリス》にカウンターが1つ乗り、《完全なる統一》で1点ダメージが入る
(3) (1)へ戻る。ライフが尽きるまでダメージが入る。
どんなデッキでも入るクリーチャーというわけではありませんが、条件が整えば大暴れ間違いなしです。
無色
《再鍛されたレガシー、カーン》
このセット唯一のアーティファクトカードです。
最低5/5と十分なサイズを兼ね備え、《トレイリアのアカデミー》…とまではいきませんが アーティファクト中心のデッキで使用できれば大量にマナを生成することが可能です。
《ウルザの物語》や強力なアーティファクトの多いモダンで使用したいとろですが、自身は5マナと少し重く、 モダンのスピード感についていけないことが考えられます。可能であればスタンダードで使用したいですね。
モダンに比べるとスタンダードはカードプールが狭く形にすることは難しいかもしれませんが、せっかくなので強く使える構築を模索したいです。
佐藤のイチオシ!
今回多くのカードを紹介させていただきましたが、そのなかでも僕が特に使ってみたいカードは《悟った喪失者、ナーセット》です。
疑似的な全体強化能力でフィニッシャーになる得るポテンシャルがありながら、動き出したらアドバンテージも稼げるのが魅力です。
インスタントやソーサリー以外に、クリーチャーでも土地でもないという縛りはあるもののパーマネントもコピーすることができるため、強力な英雄譚である《鏡割りの寓話》や新しく登場したバトルもコピー可能です。
英雄譚やバトルは変身のときに追放されて消えてしまうので第二面は使えませんが、第一面を使えるだけでも充分強力ですね。
(5月13日修正: ルールの誤りを修正しました。申し訳ありません。)
似た理由で、フィニッシャー性能とアドバンテージを稼げる能力を兼ね備えた《囚われの黒幕、オブ・ニクシリス》も同様に使ってみたいですね!
おわりに
以上、『機械兵団の進軍:決戦の後に』の注目カードの紹介でした。
小規模拡張セットという新しい試みであり、枚数は少ないながら面白いカードが多かった印象です。多人数戦を意識したデザインのカードも多く、統率者戦目線だとまた違った見方ができるので面白いですね。
プロツアーを経たスタンダードにまた新たな変化が加わることになるのでとても楽しみです!
ここまで読んでいただきありがとうございました。それではまた!