はじめに
みなさんこんにちは。
今月は『指輪物語:中つ国の伝承』がリリースされますね。モダンでも使えるセットで環境にどのような影響を与えるのか要注目です。
さて、今回の連載では『Modern Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Challenge 5/20
現代のDomain Zoo
2023年5月20日
- 1位 Domain Zoo
- 2位 Golgari Yawgmoth
- 3位 Hammer Time
- 4位 Temur Cascade
- 5位 Living End
- 6位 Mono Black Coffers
- 7位 Hardened Scales
- 8位 Izzet Murktide
トップ8のデッキリストはこちら
プレイオフにはモダンの定番デッキが多数勝ち残っており、そんななかで優勝したのはDomain Zooでした。
ほかには、新カードの《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》によって強化されたHardened Scalesが好成績を残しています。
デッキ紹介
Domain Zoo
『団結のドミナリア』から《濁浪の執政》や《血染めの月》など、やっかいなパーマネントをわずか1マナで処理できる《力線の束縛》が登場したことで復権してきた多色アグロデッキ。
フェッチランドからショックランドやトライオームを持ってこれるので、基本土地タイプを簡単にそろえることができ、序盤から《縄張り持ちのカヴー》や《ニショーバの喧嘩屋》で圧をかけられます。《部族の炎》は2マナ5点火力になり、《頑固な否認》はクロックを除去から守るのに役立ちます。
《碑出告が全てを貪る》《狼狽の嵐》《安らかなる眠り》など多色なことを活かした豊富なサイドボードの選択肢も強みで、デッキの種類が多いモダンでは重要です。
☆注目ポイント
アグロといいつつ《稲妻》《部族の炎》《力線の束縛》と優秀な除去が大量に入っています。追加の除去である《タルキールへの侵攻》は《ドラコの末裔》とシナジーがあり、高打点のクロックと《部族の炎》がそろっているので簡単に変身させることができます。
《ドロモカの命令》は4つのモードすべてが優秀なカード。特に最近は《力線の束縛》《鏡割りの寓話》《ウルザの物語》と環境に強力なエンチャントが多いため、それらを対処しつつ除去もできたりと環境に合っています。
『ファイレクシア:完全なる統一』から登場した《迷宮壊し、ミグロズ》は、3マナと少し重いクロックですが置物対策にもなるクリーチャーです。Izzet MurktideやRakdos Evokeなど《血染めの月》を使うデッキは厳しいマッチアップでしたが、メインから置物に対する解答が増えたことで改善されています。
2023 Magic Online Champions Showcase Season 1
モダンでも大活躍のリアニメイト
2023年5月20日
- 1位 Reanimate
- 2位 5C Creativity
- 3位 Infect
- 4位 5C Creativity
- 5位 Eldrazi Tron
- 6位 Infect
- 7位 Hammer Time
- 8位 Dimir Mill
トップ8のデッキリストはこちら
MOの厳しい予選を勝ち抜いたプレイヤーが集う招待制のイベントMOCS本戦は、モダンとキューブで競われました。
参加者わずか8名という極めて特殊な環境だったので、普通のモダンのイベントとは異なるアプローチが見られましたが、特に印象に残ったのは優勝したReanimateでした。
デッキ紹介
Reanimate
MOの強豪プレイヤーであるMarco Vassallo選手は、Reanimateで今大会を制しました。
《御霊の復讐》で《グリセルブランド》をリアニメイトする戦略は過去のモダンでも見られましたが、このリストはコンボオールインではなく《孤独》や《悲嘆》を《儚い存在》で再利用してアドバンテージを取る、ミッドレンジ要素もハイブリットしたバージョンに仕上がっています。
☆注目ポイント
《染みついた耽溺》や《影の予言》でデッキを掘り進みつつ、《グリセルブランド》や《偉大なる統一者、アトラクサ》を墓地に落とします。《鏡割りの寓話》はマナ加速、ルーターとデッキに噛み合ったカードです。
《儚い存在》は《孤独》や《悲嘆》を再利用するほかにも、《御霊の復讐》でリアニメイトした《偉大なる統一者、アトラクサ》を「明滅」させることで能力を再利用し、エンド時に追放するデメリットを帳消しにすることができます。
サイドには《虚空の杯》《沈黙》《時を解す者、テフェリー》《否定の力》など、Temur Cascadeを強く意識した構成になっています。またサイド後は墓地対策されるため、リアニメイト以外の踏み倒し手段として《裂け目の突破》も採用されています。
Modern Challenge 5/26
フェアなBreach
2023年5月26日
- 1位 Jeskai Breach
- 2位 Rakdos Grief
- 3位 Izzet Murktide
- 4位 Rakdos Grief
- 5位 Jeskai Control
- 6位 4C Omnath
- 7位 Belcher
- 8位 Creativity
トップ8のデッキリストはこちら
Rakdos、Izzet Murktideなど《ドラゴンの怒りの媒介者》+《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキが複数入賞していました。また、新カードの《復活した精霊信者、ニッサ》を採用したElementalsやモダン版のBelcherなども見られました。
優勝したのは《研磨基地》コンボを抜いてフェア寄りの戦略にシフトしたJeskai Breachでした。
デッキ紹介
Jeskai Breach
《研磨基地》コンボや《ウルザの物語》が抜けて、《死の国からの脱出》をカードアドバンテージエンジンとして採用したデッキ。《モックス・アンバー》など単体ではあまり活躍しないコンボパーツがないので動きも安定しています。
☆注目ポイント
《死の国からの脱出》はゲーム中盤以降はコンボパーツとしてではなくアドバンテージ源としても有用で、Izzet MurktideやElementalsなどアドバンテージが重要視されるマッチアップでは最高のトップデッキになります。ただ《濁浪の執政》以上に墓地対策に弱いため、《忍耐》や《未認可霊柩車》などが多くのデッキに採用されている環境では厳しくなります。
白を使うメリットは《時を解す者、テフェリー》やサイドの《神聖なる月光》などを使えることです。これにより、Temur Cascade、Creativity Combo、Living Endなどコンボデッキとの相性が緩和されています。しかし、色を足したことで《血染めの月》には弱くなっているので気をつけていきたいところです。
Modern Challenge 5/27
安定のIzzet
2023年5月27日
- 1位 Jeskai Breach
- 2位 Izzet Murktide
- 3位 Tron
- 4位 Tron
- 5位 Domain Zoo
- 6位 5C Creativity
- 7位 Temur Cascade
- 8位 Golgari Yawgmoth
トップ8のデッキリストはこちら
一時期はトップ8から姿を消していたIzzet Murktideでしたが、ここ最近のModern Challengeでは再び上位で見られるようになり、今大会でも準優勝と好成績を残していました。
ほかには《樹上の草食獣》をメインから採用したYawgmothやTronといったデッキも入賞していました。
デッキ紹介
Golgari Yawgmoth
Golgari Yawgmothはクリーチャーベースのコンボデッキで、《スランの医師、ヨーグモス》と「不死」クリーチャー2体+《血の芸術家》が主な勝ち手段になります。
相手はコンボを常にケアする必要があり、たとえコンボがそろわなくても《スランの医師、ヨーグモス》を場に出すことができれば、アドバンテージを稼ぎつつミッドレンジとしても振る舞えます。
一見すると除去に弱そうに見えますが、キーカードである《スランの医師、ヨーグモス》はタフネス4あるため《稲妻》で死なず、「不死」クリーチャーも追放系の除去でない限り相手に多くのリソースを割くことを要求します。
4ターン目に安定してコンボを仕掛けることができ、妨害されても立て直しやすいためCreativity ComboやAmulet Titanなどほかのコンボに対しては速度勝負を挑むことができます。
《スランの医師、ヨーグモス》のおかげでHammer Timeとのマッチアップはメインから有利で、《忍耐》もあるのでLiving Endなど墓地を使うデッキとのマッチアップも互角以上に渡り合えます。一方、Rakdos Griefなど《激情》を使うデッキは相性が悪いマッチアップになります。
☆注目ポイント
このリストで興味深いのは、なんといってもメインからフル採用された《樹上の草食獣》です。《若き狼》などとともに地上をしっかりと固めるため、《敏捷なこそ泥、ラガバン》の攻撃を防ぎやすくなっています。マナクリーチャー以上にゲーム後半にあまり引きたくないカードですが、序盤の加速に貢献しつつ《召喚の調べ》のための「召集」コストとしても使いやすいということが評価されています。
《召喚の調べ》と《異界の進化》という2種類のサーチスペルのおかげで安定してコンボパーツをそろえたり、《飢餓の潮流、グリスト》で相手の脅威を対策することができます。
《毒物の侍臣、ハパチラ》は平凡な性能のクリーチャーですが、《スランの医師、ヨーグモス》を起動するたびにトークンを生成することができます。《毒物の侍臣、ハパチラ》+《スランの医師、ヨーグモス》+《若き狼》の組み合わせでも、トークンを生け贄にすることで《若き狼》の+1/+1カウンターをリセットできるのでコンボをループさせることが可能です。
Izzet Murktide
Izzet Murktideは環境に合わせたカスタマイズが効き、モダンではめずらしく特別有利なマッチアップが存在しない代わり、極端に不利なマッチアップも存在しないデッキになります。
メインから多めに採用された《呪文貫き》やフルに採用された《ドラゴンの怒りの媒介者》、サイドの《否定の力》などCreativity ComboやLiving Endなどコンボデッキが多い現環境用に調整されています。
☆注目ポイント
《濁浪の執政》は《力線の束縛》が多い現環境では《帳簿裂き》のほうが優先される傾向にありましたが、数ターン生き残れば速やかにゲームを終わらせることができるため4枚採用になっています。
《帳簿裂き》はメインから枚数が減らされていますが、墓地対策をサイドインしてくるマッチアップで活躍するのでサイドに追加として採用されています。
《思考掃き》はより早く《濁浪の執政》を展開する助けになります。フェッチランド2枚と《思考掃き》が初手にあれば、2ターン目に《濁浪の執政》をプレイすることも可能です。《濁浪の執政》をプレイする直前に《忍耐》で墓地のカードをライブラリーに戻されてもリカバリーしやすく、《ドラゴンの怒りの媒介者》の「昂揚」の条件も満たしやすくなります。
Creativity Combo、Temur Cascade、Living Endといったソーサリースピードのコンボデッキ用に《否定の力》がサイドに用意されています。特にCreativity Comboとのマッチアップでは《時を解す者、テフェリー》や《レンと六番》といったプレインズウォーカーや《鏡割りの寓話》など対象が多いため、現在のモダンではオススメのサイドカードになります。
総括
Izzet MurktideとRakdos GriefはModern Challengeでほぼ毎回結果を残しており、Temur CascadeやCreativityといった定番のデッキも上位入賞を果たしています。
《復活した精霊信者、ニッサ》や《タルキールへの侵攻》《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》など新カードも活躍しており、Hardened Scales など過去に活躍していたデッキも復権してきています。
以上、USA Modern Express vol.96でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!