はじめに
みなさんこんにちは、晴れる屋メディアチーム所属・認定レベル1ジャッジの島田と申します。
『ジャッジと一緒にルールを学ぼう!』では、ゲームでよく使われているカードやジャッジをしていてよく聞かれるルール”のみ”に焦点を絞り、回ごとのテーマに合わせて例を挙げ・極力わかりやすく説明していきたいと思います。
この記事が少しでもみなさんのルール理解に繋がり、ひいてはマジックの楽しさを増すことに繋がれば幸いです。
※2023/4/14時点のマジック総合ルールに基づいています。特に新カードに関するルールのため、今後のルール改定などで内容に齟齬が発生する可能性があることをご了承ください。
※文章の都合上、表現を簡略化・省略している場合があります。
※本記事は複数のジャッジが監修していますが、誤りや疑問点を見つけましたら遠慮なくお問い合わせページまでご指摘ください。
今回のテーマ:「指輪」「指輪があなたを誘惑する」
今回のテーマは、『指輪物語:中つ国の伝承』で登場した新しい状態「指輪」および「指輪があなたを誘惑する」です。
…とその前に。
『指輪物語:中つ国の伝承』のコラボ相手である『指輪物語』を知らない方にとっては「指輪があなたを誘惑する」と言われてもなんのこっちゃ?ですよね。なので、まずは『指輪物語』のごく簡単なあらすじを紹介します。
※この紹介はものすごーくざっくりしたものです。気になった方はぜひ原作小説や映画『ロード・オブ・ザ・リング』などもご覧ください。
あらすじ
中つ国という世界に、世界を征服しようとする邪悪な存在サウロンがいました。
サウロンは自分の野望のため、「一つの指輪」を始めとするいくつかの力ある指輪を作りました。
それらの指輪を手にした者は、指輪の恩恵によりさまざまな素晴らしい力や長寿を得ますが、指輪を付け続けているとそのうち心を闇に呑まれてサウロンに操られてしまいます。
サウロンは指輪の力を用いて中つ国を支配しようとしますが、それを拒む者たちとの戦いにより一度倒され、「一つの指輪」はどこかに失われた…と思われていました。
あるとき「一つの指輪」を手にしたホビットのフロドは、完全な復活と再度の征服を目論むサウロンの野望を挫くため、仲間と共に「一つの指輪」を破壊するための旅に出るのです。
つまり「指輪があなたを誘惑する」とき、サウロンは指輪を通じてプレイヤーを支配しようとしているのです。
でも大丈夫!プレイヤーであるあなたは強いので(なんせサウロンをクリーチャーとして召喚できますからね)、どれだけ指輪に誘惑されても悪影響は特にありません。そして、あなたはコントロールしているクリーチャーを「指輪所持者」に選び、いろいろな能力を与えることができます。どんどん指輪に誘惑してもらい、自分のクリーチャーを強化していきましょう。
なお原作をご存知の方には意外なことに、カードとしての《一つの指輪》はあなたを誘惑してきません。
その代わり、能力を使うとあなたに重荷を背負わせてライフを失わせます。ゲーム上はこちらのほうが悪影響なので、より使いこなすのが難しいといえるでしょう。ある意味原作通り?
前置きが長くなりましたが、次からルールの説明を始めます。
3つの新用語
指輪に関するルールでは、3つの新用語が登場します。順番に見ていきましょう。
指輪
「指輪」は紋章の一種です。ゲーム中初めて「指輪があなたを誘惑する」(後述)と、あなたの統率領域に置かれます。一度置かれた指輪は、ゲームが終わるまでずっと存在し続けます。また、ほかの効果で破壊することもできません(現在のカードでは)。
指輪には4つの能力があり、指輪に誘惑されるたびに能力が1つずつ増えていきます。「レベルアップ」や「クラス」のようなイメージですね。また、指輪に誘惑されたプレイヤーは自分のコントロールしているクリーチャーを「指輪所持者」(後述)に選ぶ必要があります。
指輪に誘惑されるたびに指輪所持者を変更することができますが、増やすことはできません。また持たせないことや減らすこともできません。1体でもクリーチャーをコントロールしているなら、必ずそのクリーチャーに指輪を持たせる必要があります。
1人のプレイヤーが持てる「指輪」は1つだけで、そのプレイヤーの指輪所持者も最大で1体しか存在しません。
指輪所持者
「指輪所持者」はクリーチャーに与えられる属性です。指輪があなたを誘惑したときに「指輪所持者」に選ばれたクリーチャーは、指輪が持っているブロック回避能力やルーター能力などを得ます。
指輪の能力が増えると、即座にそれに応じて指輪所持者は強化されます。また指輪所持者が破壊されたり手札に戻ったりしても、指輪には影響がありません。「装備品」のようなイメージですね。
所持者であったクリーチャーが死亡するなどで、指輪所持者が0体になることもあります。指輪所持者をコントロールしていないときでも、指輪に誘惑されると指輪の能力は増えていきます。
「指輪所持者」を変えたい or 「指輪所持者」から指輪を外したいと思っても自由に変えることはできません。所持者を変えたかったら、改めて指輪に誘惑される必要があります。
指輪があなたを誘惑する
「指輪があなたを誘惑する」はカードの効果などで発生するイベントの一種です。「指輪があなたを誘惑する」たび、以下のことが起こります。
・「指輪」を持っていなかったらそれを得て、指輪は1つ目の能力を得る。
・「指輪」を持っていたら、「指輪」はその次の能力を得る(最大4つ)。
・クリーチャーを1体以上コントロールしていたら、必ずそのうち1体を「指輪所持者」に選ぶ。1体もコントロールしていない場合は選ばなくていい。
この3つを覚えておけば、基本的な指輪の使い方はばっちりです。小型クリーチャーの攻撃を補助する能力がそろっているので、そういったクリーチャーがたくさん入ったデッキにぴったりの能力でしょう。たとえば《サウロンの破滅、フロド》とか!
ほかにも「指輪があなたを誘惑する」たびに誘発する能力や、特定のクリーチャーを「指輪所持者」に選んだときだけ誘発する能力も存在します。いくつか例を挙げて説明します。
「指輪があなたを誘惑するたび」
「指輪があなたを誘惑するたび」に誘発する能力が存在します。こういった能力は、あなたの指輪がすでに全部の能力を持っていたり、あなたがクリーチャーをコントロールしておらず「指輪所持者」を選べなかった場合でも「指輪があなたを誘惑する」たびに誘発します。
「指輪所持者に選ぶたび」「○○でないクリーチャーをあなたの指輪所持者に選んだ場合」
「あなたが指輪所持者を選ぶたび」に誘発する能力は、すでに指輪所持者であるクリーチャーをそのまま指輪所持者に選んだ場合でも(ほかに条件があるなら、それもチェックしたうえで) 誘発します。無理して指輪所持者を変更する必要はありません。
よくありそうな質問
ここからは説明しきれなかった部分や、実際にネット上で見かけた質問に先読みで回答していくコーナーです。
Q:相手の「指輪所持者」のコントロールを《反逆の行動》で奪った。どうなる?
A:公式のメカニズム解説記事にあるとおり、ほかのプレイヤーがそのクリーチャーのコントロールを得ると、そのクリーチャーは「指輪所持者」ではなくなります。
なので、奪った相手のクリーチャーはもう「指輪所持者」ではありません。とっさに「指輪」を外してきてしまうのでしょう。またコントロールが戻っても、次に指輪に誘惑されるまでは「指輪所持者」には戻りません。
Q:機体に搭乗して、それを「指輪所持者」にした。ターンが終了してクリーチャーじゃなくなったらどうなる?
A:その機体は依然「指輪所持者」のままです(※参考)。クリーチャーでなくなっても伝説になる効果は続きますし、再度クリーチャー化すればまた「指輪」の能力をフル活用できます。
Q:「指輪所持者」で攻撃しようと思ったら《激しい叱責》を出された。指輪の能力は消えちゃう?
A:消えません。それらの能力は紋章である「指輪」の能力なので、クリーチャーが能力を失ってもそのままです。もし能力を失わせようと思ったら「指輪」の能力を失わせないといけませんが、現時点で紋章の能力を失わせるカードはありません。
Q:自分の「指輪所持者」をコピーした。コピーは「指輪」の能力を持ってる?
A:持っていません。「指輪所持者」であることはコピーできませんし、逆に「指輪所持者」がほかのクリーチャーのコピーに変えられたとしても、それは所持者のままです。
Q:「指輪所持者」がフェイズ・アウトしたり、《イクシドロン》で裏向きになったり、《儚い存在》で追放されたらどうなる?
A:フェイズ・アウトした場合や裏向きになった場合、戦場を離れたわけではないので指輪所持者のままです。《儚い存在》などいわゆる「ブリンク」系カードの場合は、一度追放されて戦場を離れるので指輪所持者ではなくなります。
おわりに
今回の記事で紹介できるのはここまでです。ほかにもたくさん気になることがあると思いますので、そのときはプレリリースの会場でジャッジに質問するか、晴れる屋Discordのルール質問チャンネルでご質問ください。
また冒頭にも書きましたが、新カードに関するルールは今後の発表やルール変更で内容が替わる場合があります。最新のルールをチェックして、気になることはその都度ジャッジにご質問ください。
それではみなさま、次のイベントでお会いしましょう。また次回!