待ちに待ったプレイヤーズコンベンション
いよいよ明日よりプレイヤーズコンベンション千葉2023が始まります。同イベントではオープントーナメントや各種サイドイベント、魅力的なステージイベントに激レアなアーティストサイン会と、さまざまなイベントが予定されています。
また、マジックの世界大会であるプロツアーへの最終関門、「チャンピオンズカップファイナル サイクル3」も開催されます。同イベントは招待制であり、参加権利を得るには複数の予選を抜けるか、前日開催の一発勝負ラストチャンストライアルで上位に入るしかありません。
本日、晴れる屋トーナメントセンター東京では「チャンピオンズカップファイナル サイクル3」への参加権利をかけて、最後の予選にあたるチャンピオンズカップサイクル3ラストチャンストライアルが開催されました。参加者157名中、権利獲得者はわずか4名と狭き門。一体どのデッキに人気が集まったのか気になるところです。
本稿では、熱戦が繰り広げられたラストチャンストライアルのメタゲームブレイクダウンをお送りします。
メタゲームブレイクダウン
早朝よりトーナメントセンター東京に集結したのは聞きしに勝る157名の猛者たち。ラクドスミッドレンジという絶対王者がいるフォーマットに対し、どのようなデッキを選択したのでしょうか。まずはメタゲームブレイクダウンを見ていきましょう。
環境の王者、揺るがず。使用者数トップはラクドスミッドレンジの37名ですが、割合としては全体の20%程度と控えめな数値となっています。豊富な干渉手段とクロック、サイドボードを含めれば不利なマッチアップがほとんどないバランスの取れたデッキであり、対策されるのを前提にしても予選突破の有力候補となりました。
2番手、3番手にはラクドスミッドレンジに狙いを絞った顔ぶれが入っています。
2番手は出会い頭の事故注意、アブザンパルへリオン。3ターン目のタップアウトすら咎める環境最高速度を誇るコンボデッキであり、コンボパーツ兼ミッドレンジプランを遂行する《エシカの戦車》により、太い攻め手を保有しています。ラクドスミッドレンジが最大母数と予想され、墓地対策が甘いとの判断から増加したと思われます。
3番手はお前のモノは俺のモノ、軽量クリーチャーを支配するラクドスサクリファイス。同じラクドスカラーながらボードコントロールに特化した戦略であり、相手のクリーチャーを処理しつつほかのリソースへと変換していきます。《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》による猫かまどコンボは地味ながら確実に相手を敗北へと追い込んでいきます。こちらもラクドスミッドレンジを狙っての選択となります。
以下、ロングゲームを得意とするアゾリウスコントロール、爆発力と無限コンボを持つ緑単信心、青系に強いロータスコンボと続きます。攻撃的な戦略が上位に少ないのもパイオニアの特徴であり、生半可なビートダウン性能ではラクドスミッドレンジに対処されてしまうためです。
ピックアップデッキ
ラクドスミッドレンジ
最大勢力となったのはパイオニア不動の首位であり続けているラクドスミッドレンジ。ボードコントロールを軸にときに手札破壊、ときにドローをまじえながら対処とアドバンテージ獲得を同時平行で実施していきます。環境トップクラスの対応力と用途の広いクリーチャーを持ちながら安定性が高く、それでいてメタゲームによって変幻自在に構築を変えてしまう隙のない戦略です。
《思考囲い》《致命的な一押し》《砕骨の巨人》《鏡割りの寓話》《黙示録、シェオルドレッド》とパワーカードのオンパレードであり、マナカーブに沿って順序良くプレイしていくだけでゲームを有利に進められます。
アゾリウスコントロール
アグロと対局に位置し、防御に全振りしているのが伝統と格式のコントロールデッキであるアゾリウスコントロール。打ち消し呪文と全体除去、プレインズウォーカーで相手の攻めを受け続け、ゲームの掌握を目指します。全知全能《ドミナリアの英雄、テフェリー》が定着したが最後、逆転は不可能といって良いでしょう。
最近では《厳しい試験官》と《不連続性》で《睡蓮の原野》の誘発型能力を打ち消すランプ型が増加しています。メインボードから打ち消し呪文が減ったことで序盤のガードは下がっていますが、増えたマナから《ドゥームスカール》や《告別》へと繋ぎ一撃の下にボードをリセットする豪快なデッキとなります。
戦略の変化は環境へ一石を投じる結果となるのか、注目の構築です。
ボロス召集
突如として現れ、メタゲームに強いインパクトを残したボロス召集。素早くクリーチャーを大量展開し、それらを《敬慕されるロクソドン》や《イーオスの遍歴の騎士》の「召集」コストにあて、戦線を強化します。か細いクリーチャーからは想像できぬほどの打点を叩き出し、《時を越えた探索》顔負けのアドバンテージカードを持ち合わせています。
2種類の「召集」クリーチャーは戦場に出た時の効果でボードを強化したり、アドバンテージを稼いで次の「召集」へと繋いでくれます。サイズも4/4と頼もしく、さらに子分を引き連れて2~3ターン目にプレイできるため、単体除去ではライフ損失を止めきれません。コントロールやコンボに対してもその速度で勝負することが可能です。
《ドロスの魔神》コンボ
新たな2枚コンボデッキとして登場した《ドロスの魔神》コンボ。コンボ内容は《ドロスの魔神》をプレイし、相手のクリーチャーへ《変態変異》をエンチャントすればアップキープに油カウンターを取り除けず勝利が確定します。コンボに必要なカード枚数が少なく、カラーボードからもかつての《タッサの神託者》と《真実を覆すもの》によるディミーアインバーターを彷彿とさせます。
《思考囲い》や打ち消し呪文など妨害カードが充実しており、ゲームをコントロールしつつ、それらをコストに《時を越えた探索》で一気にパーツを集めます。
コンボ完成には相手の戦場にクリーチャーが必要ですが、環境に存在するデッキはアゾリウスコントロールと一部のコンボデッキを除き何かしらのクリーチャーが採用されています。仮にクリーチャーを出されなかった場合には妨害手段と《ドロスの魔神》を組み合わせたビートダウンプランも狙えます。
パイオニアはラクドスミッドレンジを中心としていますが、エキスパンションが増えたことで新たな戦略、デッキが登場しています。特にボロス召集は攻撃力も高く安定しており、本戦でも一定数が見込めます。
また、本戦では《ドロスの魔神》コンボのように新たな戦略が登場するのか、今から楽しみでなりません。ほかのデッキも打倒ラクドスミッドレンジを掲げるはずであり、どのような工夫が施されるか注目したいところです。
本戦である「チャンピオンズカップファイナル サイクル3」は明日より開催されます。プレイヤーズコンベンション千葉2023のカバレージページや配信もあるためお見逃しなく!