はじめに
みなさんこんにちは。
日本国内では『プレイヤーズコンベンション千葉2023』でモダンオープンがありましたね。『指輪物語:中つ国の伝承』はモダンにも影響を与える強力なセットで、話題の《一つの指輪》を含めた複数のカードが活躍しています。
さて、今回の連載では『モダンオープン』『Modern Showcase Challenge』『Modern Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
プレイヤーズコンベンション千葉2023 モダンオープン
モダン神がモダンオープンを制する
2023年6月24日
- 1位 5C Creativity
- 2位 5C Elementals
- 3位 Izzet Murktide
- 4位 Izzet Murktide
- 5位 Rakdos Grief
- 6位 Living End
- 7位 Grixis Shadow
- 8位 Golgari Yawgmoth
トップ8のデッキリストはこちら
『プレイヤーズコンベンション千葉2023』で開催されたモダンオープンは、早速《一つの指輪》や《喜ぶハーフリング》といった新カードを採用した5C Elementalsが準優勝していました。
また《気前のよいエント》や《オリファント》といった「サイクリング」クリーチャーを採用したLiving Endなど、『指輪物語:中つ国の伝承』を活用したデッキが多数勝ち残っています。
そんななか優勝を果たしたのは、現モダン神でもある河合 伶旺選手でした。得意の5C Creativityを使用しての優勝です。
デッキ紹介
5C Elementals
『指輪物語:中つ国の伝承』からの新戦力によって大幅に強化された多色エレメンタル。
《虹色の終焉》や《力線の束縛》といった軽い優秀な除去と、《時を解す者、テフェリー》《レンと六番》といったプレインズウォーカーや《創造の座、オムナス》でアドバンテージを稼ぐことができるミッドレンジです。Izzet Murktideに強く、TronやAmulet Titanといった土地コンボは苦手なマッチアップになります。
☆注目ポイント
《一つの指輪》は今話題になっている強力な4マナアーティファクトで、唱えて場に出ると「プロテクション(すべて)」を得ることができます。相手の戦闘によるダメージはもちろん、火力スペルや《思考囲い》《残虐の執政官》などを無力化することが可能です。
レジェンド・ルールを利用して2枚目の《一つの指輪》をプレイすると、「重荷カウンター」をリセットすることができるため4枚採用しても大きな問題にはなりません。また、《時を解す者、テフェリー》でバウンスすることでもカウンターをリセットできます。
《創造の座、オムナス》との相性が良く、「上陸」での回復によりライフの損失を抑えてくれます。さらに2回目の「上陸」で生まれるマナで《一つの指輪》をプレイし、プロテクションを得るといった動きもできます。
もうひとつの新戦力である《喜ぶハーフリング》は、タフネスが2なので《レンと六番》や《オークの弓使い》で落とされず、《敏捷なこそ泥、ラガバン》とも相撃ちを取ることができ、《血染めの月》にも耐性が付きます。
打ち消されない能力により、2ターン目にカウンター不能の《時を解す者、テフェリー》をプレイできるようになったため、Living EndやTemur Cascadeといった「続唱」デッキとのマッチアップで後手スタートをしても負けにくくなりました。
『機械兵団の進軍:決戦の後に』から登場した《復活した精霊信者、ニッサ》も新しめの戦力。フェッチランドと《レンと六番》により能力を活用しやすく、《創造の座、オムナス》や《孤独》を確実に手に入れることができます。
Modern Showcase Challenge 6/24
新セットによって強化されたLiving End
2023年6月24日
- 1位 Living End
- 2位 Boros Convoke
- 3位 Azorius Control
- 4位 Simic Hardened Scales
- 5位 Rakdos Grief
- 6位 Living End
- 7位 Tron
- 8位 Asmo Food
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『指輪物語:中つ国の伝承』実装後初の『Modern Showcase Challenge』。人気フォーマットのモダンらしく、スイスラウンド10回戦の長丁場となりました。
デッキ紹介
Living End
今大会で優勝したのはLiving Endでした。「サイクリング」によってデッキを回すことができ、《悲嘆》や《否定の力》などコンボを無理やり通す手段もあるため安定しています。
『指輪物語:中つ国の伝承』から基本土地タイプを持ってこれる「サイクリング」クリーチャーが登場したことで、デッキ構築にも変化が見られます。
Living Endはカードアドバンテージの影響が出る前に勝負を決めることができるため、《一つの指輪》を使わないデッキのなかで有力な選択肢になります。
☆注目ポイント
1マナで「サイクリング」によって森をサーチできる《気前のよいエント》が登場したことで、デッキ内の土地を切り詰めることに成功しています。フェッチランドで基本土地の島をサーチしておくことで、《血染めの月》を張られても《気前のよいエント》で森を持って来れば《断片無き工作員》や《暴力的な突発》といった「続唱」スペルがプレイできます。
コンボ対策をしてくる相手には、サイド後に《厚かましい借り手》《緻密》《忍耐》といった瞬速クリーチャーと、追加のカウンターである《神秘の論争》を投入してテンポデッキ寄りにシフトしていく選択肢もあります。
Rakdos Grief
現環境のトップメタの一角とされているRakdos Griefも、『指輪物語:中つ国の伝承』よって強化されています。
メインから《血染めの月》を無理なく採用することができるため、5C ElementalsやTron、Amulet Titanなど多くのデッキに強く立ち回れます。
☆注目ポイント
プレビュー段階で環境に大きな影響を与えると予想されていた《オークの弓使い》が、早速フル搭載されています。《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ドワーフの鉱山》のトークンに対する解答になり、《稲妻》や《致命的な一押し》といった除去よりも優先して採用されていることからもこのクリーチャーの強さが分かります。
新環境になってさまざまなデッキに採用されている《一つの指輪》やLiving Endに対しても睨みをきかすことができ、今後は黒を使う多くのデッキの主力としてよく目にすることになりそうです。
サイドに複数採用されている《指輪の誘い》は、場に最低でも1体のクリーチャーが必要となりますが、デッキの構成を変更することなく指輪メカニズムを活用することができます。毎ターンドローできれば、「想起」コンボによって消費された手札を補充可能です。
Modern Challenge 7/1
モダンでも大活躍のオーク
2023年7月1日
- 1位 4C Omnath
- 2位 Grixis Shadow
- 3位 Dredge
- 4位 Tron
- 5位 Rakdos Grief
- 6位 4C Omnath
- 7位 Hammer Time
- 8位 Jund
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デッキ紹介
Tron
Tronも《一つの指輪》によって強化されたデッキです。多色コントロールや4C Omnathといったデッキが復権してきているため、Tronなど土地コンボにとって有利な環境になっています。
Izzet MurktideやRakdos Griefなど《血染めの月》を採用したデッキも見られますが、《耐え抜くもの、母聖樹》や《機能不全ダニ》など最近のセットから解答となるカードを複数獲得しているため、以前と比べると対処しやすくなりました。
☆注目ポイント
《一つの指輪》は苦手としていたアグロデッキに対して時間を稼ぎつつ、フィニッシャーを引き込めるTronにとってもっとも欲しかったタイプのカードです。このタイプのデッキにありがちな、中盤以降マナ加速を引きすぎて脅威が来ずに負けることも少なくなりました。
Tronの強みは、何といっても常在能力によって相手の《一つの指輪》の起動を止められる《大いなる創造者、カーン》が使えることです。アーティファクトをゲーム外からサーチできる[-2]能力は、実質《一つの指輪》の水増しになり相手よりも《一つの指輪》をプレイする機会が増えます。
Grixis Shadow
《オークの弓使い》はGrixis Shadowでも主力の1枚として採用されています。《孤独》を搭載した多色コントロールとの相性は良くないものの、ハンデス・カウンター・効率的なクロックとそろっているためコンボデッキに強いデッキになります。
☆注目ポイント
いままで《死の影》以外のクロックは《ドラゴンの怒りの媒介者》や《敏捷なこそ泥、ラガバン》とIzzet Murktideに似たラインナップでしたが、《オークの弓使い》が加わったのはGrixis Shadowの強みといえます。
《死の国からの脱出》がアドバンテージ源として採用されています。「探査」など墓地を減らすカードがなく、軽いスペルが多いので必然的に墓地にカードが溜まっていきます。《ミシュラのガラクタ》を数回再利用するだけでもアドバンテージを稼ぐことができるため、中盤以降の息切れ防止になります。
Modern Challenge 7/2
指輪が支配する環境
2023年7月2日
- 1位 4C Control
- 2位 Breach Combo
- 3位 Golgari Yawgmoth
- 4位 Grixis Shadow
- 5位 Hammer Time
- 6位 Golgari Midrange
- 7位 Azorius Control
- 8位 Amulet Titan
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デッキ紹介
4C Control
Azorius Controlをベースに《レンと六番》や《創造の座、オムナス》といった多色の強力なカードが加えられており、コンボやコントロール同型に強くなっています。
《孤児護り、カヒーラ》が「相棒」として採用されているため、《孤独》をピッチでプレイするコストに困ることもありません。
☆注目ポイント
《水辺の学舎、水面院》は《一つの指輪》をアンタップすることができるので、さらにアドバンテージを稼ぐことができます。2枚目の《一つの指輪》や《時を解す者、テフェリー》を引き当てれば、「重荷カウンター」の蓄積によるライフロスも防げます。
《虚空の杯》は「続唱」デッキやHammer Time、Izzet Murktide、Grixis Shadowなど、0-1マナスペルを使うデッキの多くをシャットアウトできます。それに加えて《否定の力》や《対抗呪文》といったカウンターが採用されているため、一般的な4C Omnathと比べるとコンボデッキとのマッチアップに強い構成になっています。
総括
モダンにおける『指輪物語:中つ国の伝承』の影響は大きく、特に《一つの指輪》は多色コントロールやTron、Amulet Titan、Golgari Yawgmothなどさまざまなデッキの強化、復権に貢献しています。
一方で特に収穫がなかったIzzet MurktideやTemur Cascade、Creativity Comboといった旧環境で活躍していたデッキは苦戦を強いられそうです。
USA Modern Express vol.98は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!