はじめに
みなさん、こんにちは。富澤です。
『統率者マスターズ』が発売されましたが、すでに遊ばれましたか?多人数ドラフトは普段の個人ドラフトとも構築の統率者戦とも違った味わいがあります。統率者との一期一会を楽しみましょう。個人的には《宝石の睡蓮》を引いてドラフトを楽しみつつ、構築デッキも強化したいなあなんて思っていたり。
話が脇道へとそれましたが、『統率者マスターズ』は統率者戦以外の一部の構築フォーマットでも使用可能であり、パウパーにも影響を及ぼすかもしれません。つい先日もコモン落ちカードをご紹介したばかりでした。
同セットは新規のコモンカードはありませんが、一部のパワーカードがコモン落ちしたことで何かしらの影響が出ているはずです。ちょうど今月は『第4期パウパー神挑戦者決定戦』をはじめ、『第5回パウパー提督決定戦』や『静岡店パウパー番長決定戦』などパウパーの大会が目白押しの月となっています。大会を前にパウパーの現状が気になるところです。
そこで今回は、直近のセットのカードを使用したデッキをご紹介します。
パウパーとは
パウパーとは、これまでにコモンとして収録されたことのあるカードだけを使って戦うフォーマットです。コモンとして収録された経験さえあれば、コモン以外のバージョンでも使用できます。たとえば、《対抗呪文》はコモンバージョンでも、アンコモンバージョンでも、ミスティカルアーカイブでもOKです。
- 2022/4/15
- もう資産は持っている。パウパーをはじめよう。
- 晴れる屋メディアチーム
ここ最近のアップデート
直近でパウパーに加わったのは『指輪物語:中つ国の伝承』と『統率者マスターズ』です。前回の記事でご紹介したカードを含めて、注目カードを見ていきます。
『機械兵団の進軍』では《レンの決意》と《精神の交差》という2種類のリソース補充カードが加わりました。《レンの決意》は《無謀なる衝動》の異名再録にあたり、《実験統合機》と合わせて選択肢が広がりました。
『指輪物語:中つ国の伝承』ではモダンやレガシーでも活躍中の「土地サイクリング」が登場。起動コストが1マナと軽く、安定性を担保しつつデッキパワーの底上げに繋がるため、パウパーでも注目です。ほかには小型クリーチャーと《ケンクのアーティフィサー》の対策を兼ねた《火の中へ投げ捨てる》が収録されています。
『統率者マスターズ』からは《きらきらするすべて》がコモンで収録。《天上の鎧》や禁止カードである《頭蓋囲い》並の打点アップが期待できます。汎用性は低いものの、特定の戦略を大幅強化してくれます。
カード単位でみる最新デッキ
それでは最新セットのカードを使ったデッキを見ていきましょう。
《きらきらするすべて》
《きらきらするすべて》デッキとしてご紹介するのは「親和」と「オーラ」。アーティファクトとエンチャントにフィーチャーしたデッキです。
親和
「親和」はアーティファクトを主体としたビートダウンデッキ。クリーチャーから土地にいたるまでそのほとんどがアーティファクトであり、デッキ全体で戦略をバックアップするよう構築されています。マナカーブにそってアーティファクトを並べ「親和」を稼いでいき、0マナで《金属ガエル》や《マイアの処罰者》を展開。《物読み》や《命取りの論争》でアドバンテージを稼ぎます。
大量に並んだアーティファクトを打点へと変換してくれるのが《きらきらするすべて》です。一度の攻撃でライフを削りきるのが望ましく、《羽ばたき飛行機械》か《大霊堂のスカージ》へと貼り付けたいところです。どちらも除去体制は皆無なため、余裕があれば《サイバの暗号術師》か《金属の叱責》でサポートします。
呪禁オーラ
「呪禁オーラ」はその名の通り単体除去に耐性を持つ《林間隠れの斥候》か《ぬめるボーグル》へオーラを張り付けていくビートダウンデッキ。《悪魔の布告》に代表されるプレイヤーを対象にとる除去以外では対処されないため、安心して育てていけます。《アルマジロの外套》はクリーチャーデッキに対して無類の強さを誇ります。
展開力こそ先の親和に劣りますが、除去を気にせず《きらきらするすべて》をプレイできるのは明確なメリットです。ほかにも《天上の鎧》や《祖先の仮面》など類似効果を持つオーラがあり、これらを組み合わせることで巨大なクロックを作り上げます。
《つぶやく神秘家》
ジェスカイブリンクは戦場に出たときの誘発型能力(ETB能力=Enter The Battlefield)を持つクリーチャーと《儚い存在》を組み合わせてアドバンテージを稼ぐコントロールデッキ。《熟考漂い》や《古術師》を明滅させて鉄壁の手札を築いていきます。
《つぶやく神秘家》は攻防を担う存在であり、デッキの半数近くを占める非クリーチャー呪文とシナジーを形成します。《稲妻》や《対抗呪文》で脅威を対処しているだけでトークンが生成されるため、気がつけば無視できない数に。手札を減らさずに効果が誘発する《定業》や《熟慮》は最高のパートナーといえます。
《レンの決意》
赤単はシステムクリーチャーを用いたバーンタイプのデッキです。《ケッシグの炎吹き》や《熱錬金術師》を展開した後、インスタントやソーサリーなどを連打して追加ダメージを与えていきます。《無謀なる衝動》はリソースを稼ぐと同時にダメージを与えてくれる戦略に合ったカードです。
《レンの決意》は《無謀なる衝動》の追加にあたります。有効牌を引き込みやすくなったのは当然として、連鎖性が向上しています。衝動的ドロー自体の採用枚数が増えたことでドロー呪文同士が連鎖しやすくなり、リソース切れをおこしにくくなりました。
土地サイクリング
「土地サイクリング」は中速デッキでの採用が目立ちます。テキストに書かれた基本土地タイプを持つ土地カードをサーチでき、それには一部の2色土地も含まれています。たとえば、《ロリアンの発見》は《島》のほかに島と沼タイプを持つ《汚染された帯水層》を探せるため、タップインによるテンポロスに目をつむれば、一度のサイクリングで2色を確保できる革命的なカードといえます。
グルールポンザ
グルールポンザは《東屋のエルフ》や《楽園の拡散》からマナ加速し、土地破壊を挟みながら「続唱」持ちの《乗り込み部隊》や《苛立つアルティサウルス》を目指すランプデッキ。
《気前のよいエント》を採用したことで、土地総数の削減と同時に赤マナの安定供給を実現しています。《高地の森》は森タイプを持っているため、「森サイクリング」によるサーチが可能なのです。《苛立つアルティサウルス》の「続唱」先としても申し分なく、飛行を持つフライヤーから《トレイリアの恐怖》にいたるまでガッチリと受け止めてくれます。
ディミーアテラー
ディミーアテラーは墓地へインスタントとソーサリーを貯め、早期に《トレイリアの恐怖》や《グルマグのアンコウ》をプレイするデッキ。定着後は打ち消し呪文や《殺し》で攻撃をサポートしていきます。
このデッキでも「土地サイクリング」+デュアルランドシステムを採用し、《沼》なしでもマナベースを安定させています。このデッキの《ロリアンの発見》は単に2色土地を持ってくる以上のメリットがあり、《殺し》の代替コスト条件を満たし、《渦まく知識》のリシャッフルとしても使えるのです。
おわりに
今回はカード単位に焦点をあてて、パウパーの最新デッキをご紹介しました。『統率者マスターズ』に収録されたばかりの《きらきらするすべて》は早くも使用されていましたね。今後も活躍が期待できそうです。
パウパーはコモンだけで遊べるため、構築のハードルが低いフォーマットでもあります。お手持ちのカードBoxを空けてみてください。そこにお宝が眠っているかもしれませんよ。晴れる屋各店でも随時大会を開催中です。
当日どんなデッキが活躍するのか今から楽しみでなりません。みなさま、ぜひ奮ってご参加ください。