ドラフト

まず初日に行われるのは『エルドレインの森』ドラフト・ブースター3つで行われるブースタードラフトです。MTGアリーナから始めた方もプレミア・ドラフトなどで遊んだことがあるかと思いますが、テーブルトップのドラフトは一味違います。

マジック：ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

MTGアリーナでは8人でドラフトを行い、ランダムなプレイヤーと対戦します。しかし、テーブルトップではドラフトで同卓した8人のプレイヤーと対戦します。つまりピックしなかったカードは相手に渡ってしまい、対戦する際にその流したカードと対面することになります。これにより、自分のデッキとは色があわないカードを、使われないためにピックしておくといったことも起こるわけです。

上級者になると隣に流したカードを覚えておいて、卓内のプレイヤーがどんな色の組合せか予想しつつ、自分が組めそうな色のデッキを見極めながらピックを進めていくことになります。かなり読み合いが発生するそんな高度なドラフト技術を、プロツアーではふんだんに楽しむことができるのです。

『エルドレインの森』リミテッド

『エルドレインの森』リミテッドは速度重視のテンポ環境です。2マナクリーチャーを起点にゲームを組み立て、コンバットトリックでサポートしていきます。

デッキが軽量化することで中長期戦でのリソース不足が懸念されますが、その点はご心配なく。再録された「出来事」は1枚で2度美味しく、リソースを補充してくれる魔法のキーワードです。

そのほかにも『エルドレインの森』にはリミテッドで使いやすいキーワード能力が揃っています。「役割」はクリーチャーを強化/弱化させるオーラであり、ゲーム展開を加速させて戦闘を優位に進める助けとなります。セレズニアカラーではオーラがリミテッドのテーマになっており、「役割」を活かしてシナジーを形成したいところです。

さらに「協約」と「祝祭」をサポートしてくれる縁の下の力持ちです。地味な効果と侮らず、「役割」を全うさせましょう。

セット全体に共通する「協約」、赤白限定の「祝祭」に加えて、忘れてはならないのが「おとぎ話」です。過去のセットで登場したエンチャントの再録であり、リミテッド向きはごく一部のみ。ですが、当たりはずれの大きい分、カードによってはゲームの趨勢を決めるだけのパワーを持っています。

ドラフトについてもっと知りたい方は、Hareruya Prosのマルシオ・カルヴァリョ選手の記事をオススメします。色の優先度やアーキタイプの指針、トップカードなど情報が盛りだくさんであり、参考になること間違いなしです。

スタンダード

環境がリセットされたばかりのスタンダードですが、アグロにコンボ、ミッドレンジ、ランプとさまざまなアーキタイプが活躍しています。現在のところ突出したアーキタイプは見つかっておらず、どんなデッキにもチャンスがあるといえます。今までにない新しいデッキが大活躍をみせるのか、デッキリストの公開が待ち遠しいですね。

ここでは直近の大会で上位入賞したデッキをご紹介します。『エルドレインの森』の新規カードにも注目していきますよ。

単色アグロ

『マジック：ザ・ギャザリング ジャパンオープン2023』を制した白単人間。伝統と格式の白アグロは《徴兵士官》などの1マナ域から順次クリーチャーを展開していき、戦線を横へ広げながらビートダウン完遂を目指します。クリーチャーの頭数が揃えば《銅纏いの先兵》や《忠義の徳目》の出番。一気に打点が伸びることになります。

注目の《忠義の徳目》はマナカーブを埋めつつ、後半はフィニッシャーとして使えるアグロ向きのパワーカード。プレイするだけで得をする「出来事」のお手本のようなデザインといえます。

赤単アグロは、序盤からクリーチャーでライフを攻めていく攻撃的なアーキタイプ。《僧院の速槍》や《擬態する歓楽者、ゴドリック》などの速攻付きのクリーチャーと直接ダメージ呪文の組み合わせにより、ほかのアグロと比べてもダメージ効率の優れたデッキです。《火遊び》や《稲妻の一撃》は除去でありながら、最後の数点のライフを削る役割も持ちます。

新戦力である《魅力的な悪漢》は複数の選択肢を持ち、赤とは思えない器用さが魅力のクリーチャーです。1枚で「祝祭」の条件を満たし、有効牌を引き寄せ、さらにはジャンプアップも可能と状況に応じた使い道が選択できます。

《巨怪の怒り》は瞬間的なバフ効果に加えて、役割・トークンを付与してくれる赤い《巨大化》。《切り崩し》に対するカウンターとして効果的であり、インスタントタイミングで「祝祭」をサポートしてくれます。

ミッドレンジ

ゴルガリミッドレンジは、高スタッツのクリーチャーを除去でサポートしながら押し込む攻め手の厚い中速デッキ。単体で攻防を制圧できる《グリッサ・サンスレイヤー》や《黙示録、シェオルドレッド》、時間経過とともにトークンを量産してくれる《下水王、駆け抜け侯》などでプレッシャーをかけていきます。また《執念の徳目》の獲得により、序盤のガードを下げずに長期戦も戦える仕様となっています。

ゴルガリミッドレンジで見落とし厳禁なのは土地にあります。《眠らずの小屋》は高い打点と食物・トークン生成により、単体でダメージレースをしかけることができるのです。起動コストはやや重いのがネックですが、ご安心を。サポート役の《開花の亀》もセットで採用されており、コスト軽減から追加の土地クリーチャー補充など1枚で補ってくれます。

コンボ

カスケードクエストは構築段階でマナ総量が4以下のカードを《木苺の使い魔》とほか最大1枚のみに絞っておくことで、《アラーラへの侵攻》から必殺必中で《木苺の使い魔》の出来事を踏み倒すコンボデッキ。当事者カードは唱える際に2つのモードからいずれかを選択するため、《木苺の使い魔》として追放されながらも《初めてのお使い》をプレイできるわけです。

デッキ構築に制限こそかかりますが《アラーラへの侵攻》1枚で完結しているお手軽コンボであり、爆発力は環境随一。《偉大なる統一者、アトラクサ》や《原初の征服者、エターリ》がわずか5マナで戦場へと出てきます。

スタンダードにどんなデッキがあるかもっと詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。