統率者戦で土地単を!?
みなさんこんにちは、晴れる屋メディアのいってつです。
今回紹介するのはある意味エターナルフォーマットらしいテーマのデッキ「土地単」です。
デッキのコンセプト
晴れる屋にライターとして入社してからというもの、僕はいろんな仕事をしてきました。その中には、後から振り返って失敗だったと感じているものもあります。その中で最たるもの……それが「世界火ケディス」でした。
《世界火》が統率者戦で解禁されるというニュースを伝えた記事のなかで考案したのがこのデッキです。
《ティボルトの計略》を探してマリガンし、2ターン目に《ロフガフフの息子、ログラクフ》を唱えて《ティボルトの計略》で打ち消す。そうするとライブラリーから《世界火》が飛び出し、全員がすべてのリソースを失い、ライフは残り1になります。2ターン後に《燃えさし爪の使い魔、ケディス》をプレイして攻撃したら勝ち。
ジョークのつもりでしたが、実際にこれを組んでMOや店舗イベントに持ちだすプレイヤーが現れたり、このデッキリストを販売するショップが現れたりと想像以上の反響があったのです。
友達に見せるびっくり箱としてはおもしろいのですが、プレイヤーの技術介入度がほぼゼロで、ゲームとしてはまるでおもしろくありません。僕はこのリストを記事に掲載したことを長らく後悔していました。
しかし、ほとんどが土地のデッキという発想はユニークでまた挑戦したいと思っていました。
うすぼんやりとまた土地ばっかりのデッキを組みたいと考えていたところ、《樹海の幻想家、しげ樹》を統率者にした土地99枚デッキのリストを目にしました。
統率者の能力で《死者の原野》などの強力な土地を探すだけでなく、維持が難しくなった《Glacial Chasm》を回収できたりと、統率者がデッキ全体とシナジーしています。
なんだ、統率者戦の土地単、面白いじゃないか!
というわけで今回紹介するデッキは土地単です!
統率者の特徴
統率者をのぞき、すべてが土地カードで構成されています。本当は《探検の地図》や《輪作》、《風景の変容》があったほうが強いのですが、「すべてが土地」という美しさを優先しました。
統率者にはまず《暗中の追跡者、エリニス》。3/3接死とまずまずのスタッツに加え、「攻撃するたびに土地をリアニメイト」できます。
《ハラスターの後継》があれば毎ターンのドローが「トップ2枚を見て、一枚を墓地に置き、ドロー」に変わります。ドローの質を良くしながら、墓地肥しが可能です。
この統率者の組合せでは「通常のセットランドとは別に」「墓地に追いた土地カードを戦場に出せて」「毎ターンのドローの質もよくなる」のです。つまり、統率領域に《踏査》《世界のるつぼ》 《森の知恵》を置いているようなものです。
土地を毎ターン2枚戦場に出せる、土地をリアニメイトできるという特徴を最大限いかしていきましょう。
相性のいいカード
そもそもどうやって勝つのか
いちばん分かりやすいのは《死者の原野》や《ウルザの物語》で大量にトークンを生成して殴り勝つというパターン。
フェッチランドを繰り返し起動したり、《ヴェズーヴァ》や《演劇の舞台》で《死者の原野》をコピーすると毎ターン大量のトークンを生成できてしまいます。
このデッキにはサーチカードがありませんが「6枚戻しのマリガン」を許容できるので、延々と《死者の原野》を探すことができます。ドローするカードがすべて土地なので、土地詰まりと無縁なのです。このあたりは世界日ケディスと似ていますね。
《ウルザの物語》は3章解決後(もちろん何も見つかりません)に墓地に置かれてしまいますが、《暗中の追跡者、エリニス》で再び戦場に戻すことができます。《ヴェズーヴァ》があれば毎ターン構築物を生み出し続けることも可能です!
各種アーティファクト・土地を出せばそれだけで構築物トークンはサイズアップ!
《巣ごもりの地》とのコンボは非常に強力で、「伝承・カウンター」を2に維持し続け、毎ターンコンスタントに構築物を生産可能になります。
構築物・トークンは1体1体がロードのようなものなので、加速度的に戦場のクロックが膨れ上がっていくのです。
無敵のガード
累加アップキープ ― 2点のライフを支払う。(あなたのアップキープの開始時に、このパーマネントの上に経年(age)カウンターを1個置く。その後あなたがこの上に置かれている経年カウンター1個につきアップキープ・コストを1回支払わないかぎり、それを生け贄に捧げる。)
Glacial Chasmが戦場に出たとき、土地を1つ生け贄に捧げる。
あなたがコントロールするクリーチャーは攻撃できない。
あなたに与えられるすべてのダメージを軽減する。
《Glacial Chasm》はダメージをすべて軽減できる最強の守り!ですが、この土地を維持するためには毎ターン増えていくライフの支払いが必要です。いつかはライフの支払いが不可能になってしまい、鉄壁の守りが剥がれます。
が、このデッキでは《暗中の追跡者、エリニス》の能力で《Glacial Chasm》を永遠に維持できます。
アップキープに累加アップキープを支払わないことを選び、《Glacial Chasm》を墓地へ。
手札から土地をプレイする。
《暗中の追跡者、エリニス》で攻撃。能力が誘発し、《Glacial Chasm》を戦場に戻す。
《Glacial Chasm》の能力で土地を生け贄に捧げる。
このような手順を繰り返すことで、ライフの支払いなしに《Glacial Chasm》を維持し続けることができます。
《暗中の追跡者、エリニス》が戦闘で死なないようにブロックされないようにするとより確実です。引きこもりながら統率者ダメージを与えて勝利できます。
このコンボを実行している間は戦場の土地の枚数が増えなくなってしまいます。そこに墓地から自力で戻ってこれる《溺墓の寺院》手札から基本土地を出せる《地形形成装置》があれば土地を伸ばしていくことができます。
ひとたびこのロックが決まると、コンバットで敗北することはほぼなくなります。土地に触れるカードを採用しているデッキはごくわずかで、それも《内にいる獣》など破壊がせいぜい。墓地に残ってさえいれば《暗中の追跡者、エリニス》の能力で戦場に戻して再びロックすることができます。
除去
土地カードでありながら戦場に干渉できるカードもわずかながら存在しています。《ロノムの口》は《迷える探求者、梓》などのランプ系デッキで見かけるカードですが、このデッキでは《流砂》や《陰謀団のピット》といった除去まで採用しています。
統率者の役割が非常に大きいこのデッキでは《ドラニスの判事》は天敵です。
墓地肥し
墓地から土地を出せるこのデッキでは墓地肥しはドロー同然。
《見捨てられたぬかるみ、竹沼》は墓地から回収できるカードが統率者か《ドライアドの東屋》のみですが、同時に3枚もライブラリーを掘り進められる土地でもあります。
《ダクムーアの回収場》は《ギトラグの怪物》などでコンボを形成することで有名な土地ですが、このデッキでは通常のドローよりも1枚多く掘り進めることができるカードになります。
《墳墓の要塞》もまた、リアニメイトできるクリーチャーが統率者か《ドライアドの東屋》くらいしかいませんが、ライブラリーを4枚掘り進められます。
いってつのイチオシ!
ここで《イス卿の迷路》の上位互換をご紹介します。
それがこの《浮氷塊》です。
あなたは、あなたのアンタップ・ステップに浮氷塊をアンタップしないことを選んでもよい。
:あなたを攻撃している、飛行を持たないクリーチャー1体を対象とし、それをタップする。浮氷塊がタップ状態であり続けるかぎり、それはそれのコントローラーのアンタップ・ステップにアンタップしない。
《イス卿の迷路》は攻撃クリーチャーの攻撃をキャンセルさせるような土地ですが、一方で《浮氷塊》は最初の一撃だけは許すものの、次からはそもそもアタックさせないことが可能です。
攻撃するだけでなんらかの能力が誘発する統率者を沈黙させられます。
おわりに
「呪文がめくれるまでライブラリーを追放・切削」系のカードで一発ライブラリーアウトするというおもしろ致命的弱点を抱えているものの、7回マリガンしてもゲームができるというマジックの基本を完全に無視した面白いデッキです。
レガシーの土地単のように派手な必殺技はないものの、せせこましくひっそりと生きて、最後にわき腹を背後から狙うようなゲームを楽しめます。このリストではフェッチランドやデュアルランドも採用しましたが、《進化する未開地》や基本土地でも十分成立するのでお手軽ですね。
背景を他の色のものにするのも面白そうです。例えば青の背景を置けば、土地サーチカードである土地、《トレイリア西部》が使用可能に!
《激励する指揮官》でトークンを強化したり、赤い背景を置いて《山》とフェッチランドをいっぱい詰めて《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を入れるのも面白いかも。
みなさんもぜひ自分なりの土地単統率者を組んでみてください!
それではみなさん、《ヴェズーヴァ》でお会いしましょう。