ジャッジと一緒にルールを学ぼう! ~「役割」「協約」「祝祭」編~

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさんこんにちは、晴れる屋メディアチーム所属・認定レベル1ジャッジの島田と申します。

ジャッジと一緒にルールを学ぼう!』では、ゲームでよく使われているカードやジャッジをしていてよく聞かれるルール”のみ”に焦点を絞り、回ごとのテーマに合わせて例を挙げ・極力わかりやすく説明していきたいと思います。

この記事が少しでもみなさんのルール理解に繋がり、ひいてはマジックの楽しさを増すことに繋がれば幸いです。

※2023/8/28時点のマジック総合ルールに基づいています。特に新カードに関するルールのため、今後のルール改定などで内容に齟齬が発生する可能性があることをご了承ください。
※文章の都合上、表現を簡略化・省略している場合があります。
※本記事は複数のジャッジが監修していますが、誤りや疑問点を見つけましたら遠慮なくお問い合わせページまでご指摘ください。

今回のテーマ:「役割」「協約」「祝祭」

Spellbook VendorBeseech the MirrorGoddric, Cloaked Reveler

今回のテーマは、『エルドレインの森』で新登場する3つの能力「役割」「協約」「祝祭」です。

新しいカードのルールなので、詳細に解説するというよりはプレリリース前の予習として軽くイメージをつかむための軽い記事としてご覧ください。より詳しく知りたい方は「リリースノート」をチェック!

それでは始めましょう。

君の「役割」を見つけよう

役割/Role」はエンチャントのサブタイプ(「ゴブリン」とか「宝物」みたいなもの)で、さまざまなカードの効果で作られます。作られた「役割」はオーラとしてクリーチャーに付き、さまざまな修整を与えます。

『エルドレインの森』では6つ(+統率者セットで1つ)存在し、名前によって効果が決められています。ですがその前に、まずは「役割」共通のルールをチェックしましょう。

■「役割」はエンチャントのトークンです。また「オーラ」「役割」の2つのサブタイプを持ちます。

■クリーチャーに付いてさまざまな修整を与えます。もし付いているものがクリーチャーではなくなったら(「機体」に付けてターンが終了した、など)、「役割」は外れます。

無色で、マナコストを持ちません。マナ総量は0です。

■名前は「(役割の名前)・トークン」です。たとえば《怪物》の名前は「怪物・トークン」です。

■トークンなので、墓地に落ちたり追放されたら消えます。その場合も「墓地に置かれたとき」などの能力は誘発します。

■1体のクリーチャーには、プレイヤー1人につき1つの「役割」しか付けられません。2つ目が付くときは、いちばん新しく付いたものが残り、古いものは墓地に置かれます。

もし2つ以上同時に付くときは1つだけ選んで残し、それ以外を墓地に置きます。プレイヤー1人につき1個なので、2人対戦のときは1体のクリーチャーに自分と相手で1枚ずつ、最大2つの「役割」を付けられます。どちらが付けた「役割」なのか、分かりやすくしたほうがいいでしょう。

愉快な吟遊詩人驢馬面の悪ふざけ

《愉快な吟遊詩人》のように対象を取って「役割」を付ける効果は、「被覆」「プロテクション(赤)」などがあるクリーチャーを対象にできません。

一方《驢馬面の悪ふざけ》のように対象を取らない効果は、「呪禁」「プロテクション(青)」などで守られているクリーチャーにも「役割」を付けられます。

ただし、この場合も「プロテクション(エンチャント)」「プロテクション(すべて)」などで「役割」自体を付けられないクリーチャーには付けられません。またその場合、「役割」は生成されすらしません。戦場に出ないので、《ひねくれ者》の誘発型能力(後述)なども起こりません。

共通のルールがわかったところで、《エルドレインの森》に収録されている6つの「役割」を見ていきましょう。

《呪われし者》

付いたクリーチャーの「基本のパワーとタフネス」を1/1にします。そもそも「基本のパワーとタフネス」って何?という話ですが、クリーチャーの右下に書いてある数値のことです。

黙示録、シェオルドレッド

たとえば《黙示録、シェオルドレッド》の「基本のパワーとタフネス」は4/5で、《呪われし者》を付けるとその部分が1/1になります。この弱ったシェオルドレッドに+1/+1カウンターを2つ乗せると1/1に+2/+2されて3/3になります。修整の順番がルールで決まっているため、+1/+1カウンターを先に乗せて後から《呪われし者》を付けても変わらず3/3です。

《怪物》

付いたクリーチャーを+1/+1し、トランプルを与えます。

激しい叱責

《怪物》を始め「能力を与える」タイプの「役割」と《激しい叱責》のように「能力を失う」効果が被った場合、後に出たり付いたりしたものを優先します。《激しい叱責》が出た後に《怪物》が付いたら、そのクリーチャーはトランプルを持ちます。逆ならトランプルは失われます。

《王族》

付いたクリーチャーを+1/+1し、護法1を与えます。

書庫のドラゴン

《王族》が付いたクリーチャーがすでに護法を持っていた場合、相手は両方のマナを支払う必要があります。たとえば、護法2を持つ《書庫のドラゴン》に《王族》が付いていたら、相手は対象にするときに合計で3マナを支払う必要があります。

《魔術師》

付いたクリーチャーを+1/+1し、「攻撃するたび、占術1を行う」能力を与えます。

《ひねくれ者》

付いたクリーチャーを+1/+1します。この名前で強化するんだ…

また、《ひねくれ者》が墓地に置かれたとき、相手は1点ライフを失います。

別の「役割」が付いたり(それが2つめの《ひねくれ者》でも)、付いたクリーチャーが死亡したり手札に戻ったり、《ひねくれ者》が直接破壊されたりと墓地に落ちるチャンス(?)はたくさんあります。

《若き英雄》

付いたクリーチャーを直接は強化しませんが、「攻撃するたび、タフネス3以下なら+1/+1カウンターを1個置く」能力を与えます。

この能力はいわゆる「if節」で、能力が誘発するときと解決するときの2回条件をチェックします。厳しいですね。

攻撃した時点でタフネスが4以上ならそもそも誘発しませんし、能力が誘発してから解決するまでの間に何らかの理由でタフネスが4以上になっていたら解決時にカウンターは置かれません。

勇敢な追跡者、ルビー

特に《勇敢な追跡者、ルビー》など「攻撃すると誘発型能力でパワー/タフネスが上がる」クリーチャーに付ける場合、能力を解決する順番が大切です。先に《若き英雄》の能力を解決すれば、+1/+1カウンターが乗ってから+2/+2の修整を受けられます(もちろん攻撃するときにタフネス3以下ならですが)。


「役割」はこんなところでしょうか。エンチャントのトークンは比較的珍しいですが、一度覚えれば「宝物」などと同じように自然に活用できると思います。いろいろな「役割」を与えて、クリーチャーにいろんな役目を果たさせましょう。

「協約」を結ぶには対価が必要

Farsight RitualRealm-Scorcher HellkiteThunderous Debut

協約/Bargain」は呪文を唱える際に支払える追加コストで、「アーティファクト」「エンチャント」「トークン」のいずれかを生け贄にすることで呪文を強化します。 既存の能力だと『ニューカペナの街角』の「犠牲」が一番近いでしょうか。

「協約」の特徴は以下の通りです。

■「協約」は唱える際に支払うコストです。「協約」持ちのクリーチャーが《初めてのお使い》などで唱えずに戦場に出るときは支払えません。

《鏡に願いを》などで「マナコストを支払わずに唱える」場合は、「協約」の部分だけ別払いで支払うことができます。

一度の「協約」で生け贄にできるのは1つだけです。トークンが何体いても、たくさん生け贄に捧げて効果倍増!はできません。

■「協約」されている呪文をコピーしたら、そのコピーも「協約」されていてお得です。

一方、「協約」して一度戦場に出した後のクリーチャーなどをコピーしても、それは「協約」されていない扱いです。約束、忘れちゃったんだ…

やんちゃなアウフ

《やんちゃなアウフ》などのクリーチャーは、「協約」した状態で戦場に出たときに誘発する能力が適正な対象を取れないとしても「協約」できます(もったいないですが)。逆に《僻境との対峙》のように「協約」したときだけ対象を取るカードは、適正に対象に取れるものがないと「協約」できません。

小村の大食い

■「協約」自体の特徴というわけではありませんが、《小村の大食い》など唱えるときのマナが減るタイプの「協約」コストを支払ってもマナ総量自体は変わりません。

「協約」の説明は以上です。似ている能力があると比較的想像しやすいですね。

戦場に出たら「祝祭」の始まりだ

Raging Battle MouseAsh, Party CrasherLady of Laughter

祝祭/Celebration」はクリーチャーやアーティファクトが持つ能力で、そのターンあなたのコントロール下で土地ではないパーマネント(クリーチャー、プレインズウォーカー、食物、役割など)が2つ以上出ていると良い効果をもたらします。

条件が満たされている間だけ強化されるという意味では「集会」や「昂揚」と似ています。

「祝祭」の特徴は以下の通りです。

2つ以上出ていたら、後はどれだけ出ても一緒です。パーマネントが4つ出たら2倍祝祭!とはいきません。

■土地以外なら、トークンも「パーマネント」です。

「祝祭」が気にするのは「このターンに戦場に出たか」だけなので、「ターンのどのタイミングで出たか」「何の効果で出たか」「出た後にどうなったか」などは気にしません。「祝祭」の能力が誘発するときに出ていたパーマネントがすでに存在しなくても、能力は誘発します。また「祝祭」持ちが戦場にいないときに出た分もカウントします。

ジンジャーブルートパーティー破り、アッシュ

「祝祭」を持つパーマネント自身も「このターンに戦場に出た」ものとしてカウントできます。たとえば先に《ジンジャーブルート》を出し、同じターンに《パーティー破り、アッシュ》を出すと「祝祭」の条件を満たすので、《パーティー破り、アッシュ》ですぐ攻撃すると「祝祭」能力が誘発します。

チューインベイルの導き手

《チューインベイルの導き手》など「祝祭」中ずっと強化されるものは、相手のターンだとしても「あなたのコントロール下で土地ではないパーマネントが2つ以上出ている」の条件を満たせば効果を発揮します。インスタントでクリーチャーを出す効果などがあれば狙えるでしょう。

「祝祭」はシンプルですが、意外とゲーム中は「あれ?このカードいつ出たっけ?」となりがちです。目印を置いたりカードを置く場所を分けたりして、忘れないようにしましょう。

おわりに

今回の記事で紹介できるのはここまでです。ほかにもたくさん気になることがあると思いますので、そのときはプレリリースの会場でジャッジに質問するか、晴れる屋Discordのルール質問チャンネルでご質問ください。

また冒頭にも書きましたが、新カードに関するルールは今後の発表やルール変更で内容が替わる場合があります。最新のルールをチェックして、気になることはその都度ジャッジにご質問ください。

それではみなさん、次のイベントでお会いしましょう。また次回!

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