はじめに
みなさん、こんにちは。
『エルドレインの森』がリリースされMOでも実装されてしばらく経ちましたが、みなさんはモダンを楽しんでいますか?
今回の連載では、MOで開催された大規模な競技イベントである『Modern Super Qualifier』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Super Qualifier 9/10
多色デッキの復権
2023年9月10日
- 1位 4C Omnath
- 2位 Amulet Titan
- 3位 Burn
- 4位 Izzet Murktide
- 5位 Izzet Murktide
- 6位 Mono Black Control
- 7位 4C Omnath
- 8位 Mono Black Control
トップ8のデッキリストはこちら
『エルドレインの森』が実装された直後にMOで開催された『Modern Super Qualifier』では、4C Omnathが優勝しました。
プロツアーで活躍していたTronやRakdos Grief、Temur Cascadeなどは今大会のプレイオフでは不在となっています。
優勝は逃したものの、禁止解除された《定業》を得て安定性が増したIzzet Murktideや、最近よく見られるようになってきたMono Blackも勝ち残っていました。
デッキ紹介
4C Omnath
プロツアーでは負け組だった多色デッキでしたが、『エルドレインの森』から登場した《豆の木をのぼれ》によって強化され復権を果たしました。
Tronなど相性の悪いマッチアップも存在しますが、Rakdos GriefやIzzet Murktideなどに強く《創造の座、オムナス》などライフを回復する手段もあるため、《一つの指輪》を強く使える戦略になります。
《一つの指輪》のほかにも《喜ぶハーフリング》などモダン環境をシェイクアップした『指輪物語:中つ国の伝承』からの影響も大きく、特にテーブルトップのモダンではミッドレンジを好むプレイヤーが多くなる傾向にあるため、人気が出そうなアーキタイプになることが予想されます。
☆注目ポイント
《豆の木をのぼれ》はレガシーでも活躍しているカードアドバンテージエンジンで、《孤独》《激情》《力線の束縛》といった軽いコストでプレイできるカードを多用するこのデッキにマッチしています。《孤独》や《激情》で失ったピッチコストを取り戻すことができ、デッキの安定性の向上にも一役買っています。
《機械の母、エリシュ・ノーン》は相手の各種エレメンタルインカーネーションや《力線の束縛》などETB能力をシャットアウトすることができるため、ミラーマッチやRakdos Griefなど多くのマッチアップで活躍します。
《喜ぶハーフリング》によって3ターン目にカウンターされない《一つの指輪》をプレイすることができ、Izzet Murktideなどカウンターを多用するデッキにとって脅威となります。
このデッキはコンボデッキと相性が悪いため、サイドボードには対策カードが複数用意されています。《虚空の杯》はTemur CascadeやLiving Endといった「続唱」デッキだけでなく、1マナスペルを多用するIzzet Murktideとのマッチアップでも使えます。
墓地対策の《忍耐》もRakdos GriefやLiving End、Golgari Yawgmothとのマッチアップで活躍します。《耐え抜くもの、母聖樹》はTronやAmulet Titanといった土地コンボとのマッチアップのほかにも、Hammer Timeなど装備品を多用するデッキに対してもサイドインされます。
Izzet Murktide
Izzet Murktideは《定業》の解禁によって恩恵を受けたデッキです。
《オークの弓使い》は依然としてこのデッキにとって脅威で、Rakdos Griefや4C Omnathとのマッチアップはあまり相性のいいマッチアップとは言えないものの絶望的なマッチアップは少なく、プレイヤーの練度次第で環境の多くのマッチアップで互角以上に渡り合えます。
Izzet MurktideはTemur CascadeやLiving End、Amulet Titan、Tronなど4C Omnathに強いデッキに強いため、プロツアー後の環境では常に有力な選択肢とされています。
☆注目ポイント
《定業》が使えるようになったことで無理なく土地を切り詰めることに成功しており、序盤の安定性を維持しつつゲーム終盤のマナフラッドも緩和できるようになりました。《定業》のもう一つの利点はソーサリーであることで、《ドラゴンの怒りの媒介者》の「昂揚」の条件も満たしやすくなります。
キャントリップとしての総合的な性能は《定業》に譲るものの、《考慮》はインスタントなのでカウンターを構えつつデッキを掘り進むことができることもあり、引き続き採用されています。メインから採用されている《緻密》は、《魂の洞窟》や《喜ぶハーフリング》からプレイされたスペルも妨害できるので、Amulet Titanや4C Omnathとのマッチアップで活躍します。
《呪文嵌め》やサイドの《厳しい説教》は、このデッキにとって天敵である《オークの弓使い》を含めたさまざまな脅威をカウンターすることができます。また墓地対策が不採用なリストも散見されますが、Rakdos Griefやミラーマッチなどフェア、コンボ問わずに墓地を使ったデッキが散見されるので《未認可霊柩車》が取られています。
Mono Black Control
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》と《陰謀団の貴重品室》の組み合わせを利用することで生み出される大量のマナを利用して、《大いなる創造者、カーン》から状況に応じた強力なアーティファクトをサーチまたは《不憫な悲哀の行進》によるドレインで勝利します。
《大いなる創造者、カーン》など強力なスペルで圧倒する動きはTronと似ていますが、《致命的な一押し》や《不憫な悲哀の行進》《オークの弓使い》など効率的なインスタント除去に恵まれているため、《敏捷なこそ泥、ラガバン》をはじめとした相手の序盤のクロックを対処しやすく、《一つの指輪》を設置するまでの時間を稼ぎやすくなっています。
除去・墓地対策・カードアドバンテージがそろっているのでRakdos GriefやIzzet Murktideに強く、《廃墟の地》と《解体爆破場》による土地破壊と《大いなる創造者、カーン》によるロックもあるためTronとの相性も悪くありません。
☆注目ポイント
《カザド=ドゥームのトロール》は必要な土地をサーチしてくることができ、デッキの安定性の向上に貢献しています。《不憫な悲哀の行進》のピッチコストとしても有用で、《一つの指輪》や《オークの弓使い》と同様に『指輪物語:中つ国の伝承』からの新戦力の一つです。
《黙示録、シェオルドレッド》と《一つの指輪》の組み合わせは強力で、ライフを回復しつつ多大なアドバンテージを稼ぐことができます。また《黙示録、シェオルドレッド》と《オークの弓使い》のおかげで、相手は《一つの指輪》など追加ドローが使いにくくなります。
《大いなる創造者、カーン》からサーチしてこれる《隔離するタイタン》は対4C Omnath用のフィニッシャーで、4C Omnathがサイドから投入してくる《ドビンの拒否権》にも引っかかりません。
Burn
Burnは初期から存在するアーキタイプで、フェッチランドやショックランドを主要なマナ基盤とするモダンでは15点ほどのライフを削ることができればゲームに勝つことができます。
ライフと引き換えにアドバンテージを得る《一つの指輪》が環境に多いのも追い風で、大量の火力スペルによって相手のライフを速攻で削るこのデッキは現環境で有力な選択肢になります。
高額なカードが多いモダンのデッキの中では比較的リーズナブルで、これからモダンを始めたい方にもオススメできるデッキです。
☆注目ポイント
《大歓楽の幻霊》は登場して以来Burnのレギュラーを務めていましたが、《孤独》や《力線の束縛》といったカードが除去の主流になり、相手にダメージを与えることなく除去されてしまうことが多くなったことで、最近は採用を見送られる傾向にあります。
《乱動する渦》はそれらの除去に対する解答で、多くのピッチスペルを咎めることができるため今大会で優勝を果たした4C Omnathとのマッチアップにおいて最高のカードになります。
サイドボードはTemur CascadeやLiving Endといった「続唱」デッキ対策の《虚空の杯》、Rakdos Griefなどに刺さる《ヴェクの聖別者》、クリーチャーによる攻撃で勝つデッキの多くに効果的な《罠の橋》などでまとめられています。
総括
『エルドレインの森』のカードでモダンで活躍しているカードは現在のところそれほど多くはないものの、《豆の木をのぼれ》は主に4C Omnathの新たなカードアドバンテージエンジンとして環境に大きな影響を与えています。
4C Omnathはデッキパワーが高く、特にテーブルトップでは対応力のあるミッドレンジが好まれる傾向にあるため、今後も人気が出そうなデッキなので要注目です。
USA Modern Express vol.102は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!