◆新セットが出るということは・・・
いってつ:ウィンターくん、前回の《濃霧》の記事よかったよ!
ウィンター:ありがとうございます!
いってつ:でも、もう少し冒険心が欲しいところだなぁ・・・。今度『エルドレインの森』も発売されるしいい機会でしょ?
ウィンター:冒険心・・・ですか、ちょっと考えてみますね。
◆夢はでっかくアドベンチャー!
こんにちは、ウィンターです。前回の記事が好評だったようで、また記事を書く機会をいただくことができました。みなさまのおかげです、ありがとうございます!
さて、今回もパイオニアのデッキを作るのですが、いってつさんから冒険心が欲しいと言われましたね・・・。では僕のとっておきの冒険心、アドベンチャーを見せてあげましょう!
アドベンチャー、すなわち「出来事/Adventure」とは『エルドレインの王権』が初出のメカニズムです。唱えるときに「出来事」側かそうでない側どちらで唱えるかを選択し、出来事側で唱えた場合は、唱え終わった後に追放領域に「進行中の出来事」としておかれます。「進行中の出来事」になっているカードは追放領域から出来事ではない側をプレイすることが可能です。
端的に説明するのであれば1枚で2枚分の働きをしてくれるお得なカードというわけですね。食物だけに最後までチョコたっぷりです。
さて『エルドレインの王権』当時のスタンダードでは、この出来事を主軸に据えたデッキが一世風靡していました。それがティムールアドベンチャーというデッキです。
「出来事」呪文とそれに関連するカードで手札も盤面も増やして圧殺するというデッキですが、その根幹となっていたのが《幸運のクローバー》というカードです。場にあると「出来事」呪文をタダでコピーできるこのカードで、爆発的なアドバンテージを獲得していました。暴れすぎた結果、当時のスタンダードで禁止されたという背景があります。
しかしここはパイオニア、《幸運のクローバー》は現在でも問題なく使用可能です。しかも今回の『エルドレインの森』には《幸運のクローバー》「B」である《伝承の大長》が存在します!クリーチャーになっていたり、色がついていたり、マナ総量が倍になっていたりといろいろ変わっていますが、おおむね「B」であることに変わりがないでしょう!
同じ仕事のカードが8枚あればデッキになると偉い人も言っていました。早速デッキにしてみましょう!
◆まずは試作から
ウィンター:とりあえずクローバーっぽいやつ8投しました!
いってつ:たしかに《伝承の大長》が持つ効果はおおむね《幸運のクローバー》なんだけど、これで8クローバーはさすがに嘘じゃないかな?
ウィンター:禁止カードのリメイクが弱いわけないじゃないですか!これでサクッと勝ってきますね~。
いってつ:《幸運のクローバー》に夢中になりすぎて、細かいところが荒い気がするけど大丈夫かなぁ・・・
◆イベントに参加して実践!
対戦結果
白単アグロ ✕✕
ラクドスミッドレンジ ✕✕
パルへリオンシュート ✕✕
いってつ:そうだね。
ウィンター:誰だよ!《伝承の大長》をおおむね《幸運のクローバー》って言ったやつは!
いってつ:自分の発言に責任を持ってほしい。肝心の使用感はどうだった?
ウィンター:4マナでやることじゃないなぁ、というのが正直な感想ですね。それから、《伝承の大長》にはクリーチャー除去が当たってしまうのがやはり厳しかったです。
いってつ:当時の《幸運のクローバー》は除去が当たりづらいカードだったからね。
ウィンター:あとはやたら《伝承の大長》を引いていたこともあり、身動きがとりづらかったですね。
いってつ:ある意味愛されているね。ちなみにデッキを動かしていてよかったところはなかったかな?
ウィンター:《エッジウォールの亭主》や《砕骨の巨人》《豆の木の巨人》といった当時のティムール・アドベンチャーで活躍していたカードは変わらず強かったですね。
ウィンター:また、新規カードの《探索するドルイド》と《煮えたぎるバイパー》は非常に使用感がよかったです。
ウィンター:《探索するドルイド》は《幸運のクローバー》との組み合わせが強く、「出来事」側が実質2マナ4ドローとなり非常に強力でした。クリーチャー側も「出来事」呪文を連打していくこのデッキでは、どんどんカウンターが乗っていくためアタッカーとして優秀です。
ウィンター:《煮えたぎるバイパー》の「出来事」面は《厚かましい借り手》と異なりソーサリーのバウンス呪文ですが、自分のパーマネントを戻すことができます。解決策がないときに戦場の《探索するドルイド》を戻して、もう一度「出来事」で使う動きは強力でした。
いってつ:いい点もあってとりあえず一安心だね。今後の調整の方針は決まってる?
ウィンター:《伝承の大長》の枚数を調整します。サイドチェンジで毎回減らしていましたし。
いってつ:間違いを認められてえらい
◆反省を踏まえて再調整
というわけで、《伝承の大長》は《幸運のクローバー》の「B」にはなれなかったので採用枚数を減らすことにします。5枚目の《幸運のクローバー》くらいの温度感でよさそうです。空いた枠に何を入れようか、ということで「出来事」カードを調べているとちょうどいいカードを見つけました。
それが《願いのフェイ》です。当時のティムールアドベンチャーにも採用されていたカードですが、このデッキでは貴重な航空戦力も兼ねています。実は《伝承の大長》は飛行を持っているため、航空戦力も兼ねているカードでした。《願いのフェイ》であれば航空戦力の枚数を維持しながら「出来事」呪文の増量が可能です。
《願いのフェイ》の「出来事」はゲーム外からクリーチャーではないカードを手札に加える能力です。この呪文を生かすためにサイドボードも調整する必要があります。これらを踏まえて改良を行ったデッキがこちらです。
いってつ:《伝承の大長》、こんなに肩身が狭くなっちまってよ……。
ウィンター:彼にはBではなく5枚目として活躍してもらいましょう。
ウィンター:《願いのフェイ》を採用した都合でサイドを調整しています。
ウィンター:また、サイドボードのクリーチャーではないカードの種類を増やして、手札に加えるカードの選択肢を増やしています。
いってつ:《目覚めた猛火、チャンドラ》も採用しているんだね。
ウィンター:コントロールデッキに対してメイン戦でプレイできればそのまま引導火力となりますし、全体除去効果もあるのでプレイの選択肢が多いです。サーチ先として強力だと思いました!このリストでリベンジしてみます!
◆再度実践!
対戦結果
アゾリウススピリット ✕〇-
緑単信心 ✕✕
スゥルタイジャンク ✕〇✕
いってつ:なぜかメインはボロボロだけど、サイド後に勝っているゲームも出てきたね!
ウィンター:メイン戦は反省点もありましたね……。
ウィンター:スピリットについては《煮えたぎるバイパー》の「出来事」面が除去として機能しづらい状況をずっと押し付けられました。《厚かましい借り手》が喉から手が出るほど欲しかったです。
いってつ:除去の性質の差が如実に表れてしまったね。
ウィンター:次戦の緑単信心は初動の1マナエルフに触れなかったせいで、3マナ圏をポンポン置かれて圧殺されました。サイド後に《減衰球》と《ストームケルドの先兵》を採用したのですが、《ストームケルドの先兵》の「出来事」面がソーサリーであることを失念して負けました。
いってつ:それはテキストを読まなかったウィンターくんが悪いね。
ウィンター:最終戦のスゥルタイジャンクは、メイン戦で意気揚々と出した《幸運のクローバー》が《呪文貫き》されて呆然としていました
いってつ:たまにメインで使われるとびっくりするよね
ウィンター:あと全体的に言えることなのですが、毎回サイドボードで《伝承の大長》を抜いていたのでもうなしでいいような気がします
いってつ:《伝承の大長》、いい奴だったよ…さらば8クローバーの夢……。
ウィンター:全体的にあともう一歩あれば、といったところなのでさらに練りこんでみます!
◆ここまでを振り返り、最後の1ピースを求める冒険へ
デッキ自体の動かし方やリスト調整は非常に煮詰まってきたので、最後の1ピースを探すことになりました。最後の1ピースの方針は決まっていて、押し込みをかける大型クリーチャーです。序盤から中盤にかけての動きは非常に強いのですが、後半最後の一押しができずに負けるゲームが多かったです。
1枚でもいいので、劇的に戦況を変えることはできないか・・・そんなことを考えながら統率者を遊んでいたときのことです。対戦相手が出してきたとあるカードに対処できず、そのままゲームが終わってしまったのです。
そう、《星界の大蛇、コーマ》によって。ん?このカード、パイオニアリーガルか!ということで、最後のピースとして《星界の大蛇、コーマ》を採用して平日大会に参加してきました。
その結果は・・・
◆三度目の正直!
対戦結果
アゾリウスコントロール 〇〇
ローナコンボ ✕✕
ラクドスミッドレンジ ✕〇✕
ウィンター:ついに1勝とれたぞ!
いってつ:ラクドス相手にも1ゲーム取れているね!
ウィンター:《星界の大蛇、コーマ》がコントロール相手のフィニッシャーとして活躍してくれました。
ウィンター:また《願いのフェイ》を増量した関係でサイドボードのカードの種類を増やしたおかげで対応力も上がりました。カウンターを構えていそうな相手に《苦悩火》を持ってくるのは気持ちがいいです。
ウィンター:《星界の大蛇、コーマ》を採用するにあたって枚数を減らしたのは《有角の湖鯨》です。《幸運のクローバー》のコピー効果が強制なので、本体が立ち消えてしまうことがあったので使えたらラッキーくらいの除去としての採用となっています。
いってつ:負けてしまったゲームはどうだった?
ウィンター:ローナコンボとの対戦については、もう少し噛み合いがよければといったところでした。《煮えたぎるバイパー》があるとコンボに入れないので時間を稼ぐことができたのですが、2枚目の《煮えたぎるバイパー》にたどり着くことができずメインサイドともに負けてしまいました。とくに《僻境への脱出》で2回連続めくりが弱かったのは相当響きましたね。
ウィンター:ラクドスミッドレンジとの対戦はサイドボードをもう少し検討すれば・・・といったところでした。《鏡割りの寓話》については《砕骨の巨人》で対応しやすかったのですが、《絶望招来》への対応が難しかったですね。仕方なく《神秘の論争》をサイドから採用したのですが、別の軽量カウンターを採用してあればまた違ったゲーム展開になったのかなと思います。
ウィンター:全体的にデッキパワーを感じたので、もう少し調整することで3勝も夢じゃないと思います!
◆完成したデッキはこちら
今回使用したパイオニア版ティムールアドベンチャーです。
◆今後に向けて
今後はサイドボードの練りこみをもう少し進めていきたいです。特に青いデッキを気にするあまり、《神秘の論争》に頼りきりのサイドボードだったのは反省点ですね。《呪文貫き》や《軽蔑的な一撃》など軽く、致命的なカードに対処できるカウンターの採用を検討していきたいです。エルドレイン特有のカードパワーは実感できたので、次は2勝目3勝目を目指して頑張りたいです。
みなさんもせっかくの新弾ですので、新セットのカードを使ったデッキを作ってみてはいかがでしょうか。新しい環境のまだ開拓されていない部分のパイオニアとなれるチャンスです!
それではまた。