はじめに
みなさん、こんにちは。富澤です。
先日までの暑さが嘘のように、急に秋めいてまいりました。気温も変化しやすく、体調管理には気をつけたいところです。せっかくの休日をベッドで寝て過ごすわけにはいきませんからね!
今週もこの秋にピッタリなスタンダードの情報をお届けしちゃいます。それでは情報局スタートです。
先週末の注目トピックは?
前回の情報局では、Standard Challengeを連覇したアゾリウス兵士についてお伝えしました。兵士クリーチャーの代わりにスタンダードがほこるパワーカード《婚礼の発表》と「召集」ギミックを採用した構築であり、デッキ全体が軽量化したことでインスタントトリックが構えやすく、隙のない立ち回りが可能となっていました。
その後もアゾリウス兵士の躍進は止まらず、なんと10/7日の『Standard Challenge』を制したことで、3大会連続優勝となりました。日曜こそ4色ランプに優勝を譲ったものの、トップ8に3名を送り込む安定感をみせています。アゾリウス兵士を止める手だてはないのでしょうか。
いいえ、ご安心を。着実にアゾリウス兵士包囲網は構築されはじめています。今回のトピックではトップメタであるアゾリウス兵士への対策に注目します。
5色中クリーチャー対策の筆頭といえば黒です。テンポ良く打ち回される《切り崩し》と《喉首狙い》には苦汁を飲まされた方も多いはず。ですが、この高効率除去をもってしてもアゾリウス兵士の展開力には追いつかない可能性があります。
そこで注目したいのは全体除去です。《危難の道》と《ぎらつく氾濫》はどちらも「召集」をベースにしたアゾリウス兵士に効果的なカードです。致命的なボードを構築されたとしてもマナ総量の軽さが仇となり、一手で壊滅的な打撃を与えられてしまいます。《天空射の士官》などの3マナクリーチャーを減らした弱点を突かれたかたちです。《ぎらつく氾濫》は自分のクリーチャーも影響を受けますが、ゴルガリやオルゾフの組み合わせでもない限り巻き添えを食う心配はありません。
ややマナ総量は重いものの、《ギックスの命令》も1枚で致命的なダメージを与えてくれます。軽量の単体除去で時間を稼ぎつつ、展開しきったところを狙いたいところ。モード次第では《イーオスの遍歴の騎士》まで含めてボードを一掃してくれます。全体除去に加えてリソースを補充したり、ダメージレースをサポートしたりと汎用性の高いカードです。
お次はメインボードから火力満載の赤。サイドボードでは《策謀の予見者、ラフィーン》すらも1マナで対処できる《石術の連射》が一般的ですが、ほかにもあるのでしょうか?
レガシーのサイドボードによく見る《祭典壊し》は「召集」ギミック入りのアゾリウス兵士対策にうってつけ。サイズよりも軽さと展開力を重視している現在の構築は一部のクリーチャーを除いてタフネス1ばかりです。《祭典壊し》は1マナの《神の怒り》として機能し、《イーオスの遍歴の騎士》を許しません。このときばかりは《雄々しい古参兵》の不採用が裏目に出てしまっています。
ただし、《婚礼の祭典》の庇護下では効果が半減どころか無効化されてしまうため、「変身」前にプレイする必要があります。
最後にご紹介するのは全体除去がお株の白。戦場を一掃しつつ、フィニッシャーまで手に入る《太陽降下》が人気ですが、アゾリウス兵士に対してはやや遅い印象です。ほかの除去との組み合わせが望ましいカードです。
先ほどの黒と同じく軽量の全体除去が目立ちます。《一時的封鎖》は《危難の道》と同じく、2マナ以下のクリーチャーを軒並み対処してくれます。さらにパーマネントまでもとれる範囲の広い仕様であり、クリーチャーと一緒に《ゴバカーンへの侵攻》まで追放してくれます。
《集団失踪》はデメリットがあるものの、軽量の《太陽降下》としてメインボードに増加中の1枚。全体除去の採用枚数を増やすことで引く確率を高め、ワンテンポ早いターンでのボード掌握を狙います。本来であれば《かき消し》をケアしたいところですが、ほとんどの場合戦場に並んだ兵士が許してくれません。完全にケアすることは難しいため、《集団失踪》《太陽降下》と連続して全体除去をプレイすることで、どちらか通したいところ。
前置きが長くなりましたが、それでは大会結果をみていきましょう。
10/8(日):Standard Challenge
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | CSwicky97 | 4色ランプ |
準優勝 | Edel | ゴルガリミッドレンジ |
トップ4 | Jaberwocki | 4色ランプ |
トップ4 | Arianne | エスパーミッドレンジ |
トップ8 | Brasatore | アゾリウス兵士 |
トップ8 | canepis16 | アゾリウス兵士 |
トップ8 | O_danielakos | 赤単アグロ |
トップ8 | _Falcon_ | アゾリウス兵士 |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
10/8(日)に開催された『Standard Challenge』で、ついにアゾリウス兵士の連勝はストップ。同大会を制したのは全体除去マシマシの4色ランプであり、ミッドレンジの猛追を振り切っています。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 |
---|---|
4色ランプ | 8 |
赤単アグロ | 6 |
アゾリウス兵士 | 6 |
エスパーミッドレンジ | 6 |
その他 | 6 |
合計 | 32 |
メインボードからボード干渉手段を増やしてコントロールへ寄せたランプ戦略が増加しています。トップ32に赤単アグロやアゾリウス兵士などクリーチャーベースのデッキが多かったこともあり、見事にメタ予想がはまったかたちです。今後、ミラーマッチが増える可能性を考慮すると《ゼンディカーへの侵攻》と除去呪文の採用枚数が焦点となってきそうです。
トップ8デッキリストはこちら。
4色ランプ
4色ランプはマナ加速呪文を使って土地を増やし、早期に高コストカードをプレイすることを目的としています。《装飾庭園を踏み歩くもの》や《ゼンディカーへの侵攻》で7マナを目指し、《太陽降下》を挟んで《偉大なる統一者、アトラクサ》や《怒りの大天使》のカードパワーをもって相手を圧倒します。マナコストの差から生まれるカードパワーの差を利用してゲームを進めるため、ミッドレンジなどの中速デッキを得意としています。
使用者は強豪・Jaberwockiであり、前日の大会でもトップ4に入賞していました。プレイヤーの技量はもちろんのこと、デッキポテンシャルの高さを自らの手で証明しています。
構築の特徴は大量の単体除去と《ゼンディカーへの侵攻》と入れ替わっている2枚の《集団失踪》。ランプミラーが少ないことを読み、定番のマナ加速の代わりにボード干渉手段を増やしてコントロールへ寄せた構築になっています。
《イーオスの遍歴の騎士》入りのアゾリウス兵士に対しては単体除去だけでは対処が追いつかず、《集団失踪》に白羽の矢が立ったかたちです。《太陽降下》の追加ではありますが、対アグロ戦では1マナの差は果てしないほど大きく、勝敗の分かれ道となりかねません。単体除去+全体除去2種類を組み合わせてボードの掌握を目指します。
アゾリウス兵士に加えて、赤単アグロもバッチリと対策しています。サイドボードに採用されている《痛烈な一撃》と《強情なベイロス》は除去やブロッカーにプラスして、ライフを回復してくれます。火力や速攻クリーチャーの存在によりライフを詰めることに特化した赤単アグロに対してはわずかなライフ回復でも効果的であり、その数点が1ターンの延命にも繋がります。稼いだ1ターンで《偉大なる統一者、アトラクサ》や《怒りの大天使》をプレイできれば、逆転も夢ではありません。
青単テンポ
青単テンポは軽量ドロー呪文で巨大な《傲慢なジン》や《トレイリアの恐怖》の高速召喚を目指すややトリッキーなアーキタイプです。《考慮》でデッキを掘り進め、打ち消し呪文でゲームをコントロールし、少数精鋭のフィニッシャーで攻めていくクロックパーミッション戦略に分類されます。軽量の打ち消しや保護呪文が多いためクリーチャーを守りやすく、重いパワーカードで勝負してくるミッドレンジやランプ戦略には強いアーキタイプです。
今回ご紹介する構築では、フィニッシャーの片翼を担う《トレイリアの恐怖》が不採用となっています。代わって採用されているのは《手練》や《錠前破りのいたずら屋》などのドロー呪文です。
《手練》を手に入れたことで1マナキャントリップが8枚体制となり、序盤の動きが安定しています。2マナの打ち消し呪文や《傲慢なジン》を引き込める可能性が上がっただけではなく、最小限の動きで確実に土地を伸ばせるようになったのです。これにより《発見への渇望》を挟まず、大量アドバンテージ源を《知識の流れ》1本に絞り込むことに成功しています。キャントリップと打ち消し呪文で無駄なく5マナまで繋ぎ、《知識の流れ》のカードパワーでもって勝負を決めるのです。
《錠前破りのいたずら屋》の「出来事」は追加の《衝動》ともいえるカードであり、60枚中土地と《傲慢なジン》を除いた34枚が拾えるカードに該当します。掘り込める枚数が多いため、必要なカードを引き込むために最適。切削後に手札へ加えるため《黙示録、シェオルドレッド》や《フェアリーの黒幕》の効果を誘発させません。マナ総量の観点では《傲慢なジン》のサイズアップには最適な1枚です。
《錠前破りのいたずら屋》本体は《火遊び》を耐えるタフネスが嬉しいポイント。警戒を活かして攻防に参加したり、《シェオルドレッドの勅令》や《ヴェールのリリアナ》への避雷針になりますね。
《錠前破りのいたずら屋》を採用したことで《かき消し》が《呪文どもり》へと変更されています。セットで採用することでわずかながら効果を引き上げてくれますし、《マナ漏出》となる可能性もあります。
そのほかの大会結果
10/7(土):Standard Challenge
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | ThaisM | アゾリウス兵士 |
準優勝 | 4AMDonuts | セレズニアエンチャント |
トップ4 | Jaberwocki | 4色ランプ |
トップ4 | _Batutinha_ | アゾリウス兵士 |
トップ8 | DarthStone | エスパーレジェンズ |
トップ8 | Manuel B | エスパーミッドレンジ |
トップ8 | remf | アゾリウス兵士 |
トップ8 | Arianne | エスパーミッドレンジ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
10/7(土)に開催された『Standard Challenge』を制したのはアゾリウス兵士。これで3大会優勝と、向かうところ敵なしのエンペラータイムへと突入しています。
クロックが早いセレズニアエンチャントはアゾリウス兵士を考えるうえで良い選択です。絆魂持ちのクリーチャーが多く、それらを強化していけばダメージレースで有利に立てます。1枚で2度美味しい《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》は除去の少ないアゾリウス兵士にとって悪魔ともいえるクリーチャーです。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 |
---|---|
エスパーミッドレンジ | 9 |
アゾリウス兵士 | 5 |
赤単アグロ | 5 |
ゴルガリミッドレンジ | 2 |
エスパーコントロール | 2 |
4色ランプ | 2 |
その他 | 7 |
合計 | 32 |
トップ8デッキリストはこちら。
おわりに
今回はアゾリウス兵士への対策カードに注目してきました。展開力と妨害手段を兼ね備えていてもいつかほころびは生まれるはずです。致命的な1枚を採用し、ゲームを有利に進めていきましょう。
それではまた次回は情報局で。