はじめに
みなさん、こんにちは。
日本国内では『THE LAST SUN 2023』の予選、『Eternal Weekend』などレガシーのテーブルトップのイベントが充実していますね。
今回の連載では『Legacy Qualifier』と『Legacy Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Qualifier 9/30
《オークの弓使い》の地位揺るがず
2023年9月30日
- 1位 Dimir Scam
- 2位 4C Control
- 3位 Elves
- 4位 Mirror Storm
- 5位 Death and Taxes
- 6位 4C Control
- 7位 Grixis Delver
- 8位 Dark Depths
『Legacy Qualifier』はMagic Onlineで開催された予選イベントで、参加するのに40QPが必要なので普段からポイントを貯めていたプレイヤーが主な参戦者になります。
今大会の上位2名が地域チャンピオンシップ予選に招待され、参加人数200名と長丁場なイベントでした。
《鏡に願いを》をフィーチャーしたMirror Stormや、定番のGrixis Delver、多色コントロールなどが入賞するなかで優勝したのは現環境のトップメタの一角であるDimir Scamでした。
デッキ紹介
4C Control
《表現の反復》禁止後は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が青いフェアデッキにおける主なアドバンテージ獲得手段でしたが、『指輪物語:中つ国の伝承』から登場したカードによってさらに強化されています。
《オークの弓使い》《進め、エオルの家の子よ!》《一つの指輪》など強力なカードのおかげでデッキパワーが高く、フェアデッキの頂点に位置するデッキになります。
《空を放浪するもの、ヨーリオン》はゲームが長引きやすいこのデッキにとって自然とフィットする「相棒」です。ゲーム終盤のフィニッシャーであり、デッキが80枚になる制限も各種キャントリップや《ロリアンの発見》によりデッキの回りが安定しています。
☆注目ポイント
最近登場したカードのなかで、コントロールを強化したカードとして真っ先に挙げられるのは《一つの指輪》や《進め、エオルの家の子よ!》などですが、《ロリアンの発見》も忘れてはならない存在です。序盤に安定して土地を置けるようになり、《意志の力》のコストにもなります。マナが余る中盤以降は素でプレイもでき、コントロールにとって必要な多くの要素がこの1枚のカードに収束されています。
多色デッキのマナ加速としては《喜ぶハーフリング》が主流ですが、《至高の評決》との相性やデルバーなど青いデッキが多いと想定して《花の絨毯》がメインから優先的に採用されています。
これまで相手のドローを咎めるカードとして《船殻破り》や《覆いを割く者、ナーセット》が使われていました。ただ最近では《オークの弓使い》がコントロールでも主要なパーツとして定着しています。
《覆いを割く者、ナーセット》のように相手の追加ドローを防ぐことはできませんが、除去としても機能するのは重要です。瞬速なのでコントロールにとって厄介だったプレインズウォーカーを対処しやすくなり、苦手なInitiativeとのマッチアップでも「イニシアチブ」を奪いやすくなりました。
Mirror Storm
《鏡に願いを》は『エルドレインの森』のなかでもインパクトのあるカードで、ストームコンボの新たなエンジンとして登場した直後から話題になっていました。
《鏡に願いを》の真価は「協約」による追加能力を使ったときに発揮されます。《ガイアの意志》と組み合わせることによって疑似的な《ヨーグモスの意志》を作り出すことができます。
☆注目ポイント
キーカードが軒並み4マナ以下なため《鏡に願いを》で容易にコンボを決めることができます。また「協約」するのに十分な数のアーティファクトが場にあれば、《鏡に願いを》からもう1枚の《鏡に願いを》をサーチしてストームを稼ぎ、《苦悶の触手》でフィニッシュを決めやすくなります。「待機」カードのようにマナコストが存在しないスペルでもプレイすることができるので、《ガイアの意志》も即座にプレイすることが可能です。
アーティファクトを多用するので《ウルザの物語》はストームコンボ以外の勝ち手段になります。《ウルザの物語》自体もエンチャントであり、トークン生成+アーティファクトもサーチできるので《鏡に願いを》の「協約」にもってこいです。
Grixis Delver
最近はTemur Delverが増えつつありますが、やはり《オークの弓使い》を使えるグリクシスがもっともポピュラーなスタイルになります。
《オークの弓使い》に弱いことから《秘密を掘り下げる者》の枚数を減らしたリストも見られるなかで、《秘密を掘り下げる者》も《不毛の大地》もそれぞれ4枚ずつ採用されています。従来のテンポデッキを踏襲した構成になっており、StormやSneak and Show、Doomsdayといったコンボデッキに強い形になります。
最近は《思考囲い》や《疫病を仕組むもの》といった黒いカードが不採用で、《オークの弓使い》とサイドの《殺し》のみの軽いタッチでイゼットベースの形になっています。
☆注目ポイント
《四肢切断》は主に《カザド=ドゥームのトロール》に対する解答として追加の除去枠に採用されるようになりました。プレイするのに色マナを必要としないため、《月の大魔術師》に対しても有効です。
Dimir Scamなど最近はフェアデッキも《再活性》を使うので、《緑の太陽の頂点》対策も兼ねる《墓掘りの檻》は多くのマッチアップで有用なサイドカードになります。《高山の月》はわずか1マナで《暗黒の深部》や《ウルザの物語》といった厄介な土地を対策することができ、「昂揚」のカードカウントにもなります。
Legacy Challenge 10/7
クリーチャーベースのコンボデッキ
2023年10月7日
- 1位 Cephalid Breakfast
- 2位 Mirror Storm
- 3位 Mono Red Prison
- 4位 Hammer Time
- 5位 Boros Bomberman
- 6位 Lands
- 7位 Reanimator
- 8位 8 Cast
今大会で決勝まで残ったのは、Cephalid BreakfastとMirror Stormの2種類のコンボデッキでした。ほかにはLands、Hammer Time、Mono Red Prisonなどさまざまなデッキが勝ち残っています。
デッキ紹介
Cephalid Breakfast
Cephalid Breakfastは《タッサの神託者》を使ったコンボデッキです。《セファリッドの幻術師》+《コーの遊牧民》のコンボでライブラリーのカードをすべて墓地に落とし、最終的に《戦慄の復活》から《タッサの神託者》をリアニメイトして勝利します。
このデッキには《石鍛冶の神秘家》を採用した型やオールイン型など複数のバージョンが存在します。《石鍛冶の神秘家》バージョンは、カウンターや除去を搭載したミッドレンジコンボ寄りの構成になっています。
このバージョンに対して《セファリッドの幻術師》コンボ対策を多く取りすぎてしまうと、《石鍛冶の神秘家》や《ウルザの物語》にまで手が回らなくなるので対戦難易度は高めです。
☆注目ポイント
《石鍛冶の神秘家》はコンボパーツである《手甲》だけでなく、コンボ以外の勝ち手段となる《カルドラの完成体》もサーチできるため、相手にとってはマスト除去になります。《カルドラの完成体》は追放系の除去が使えないデッキにとって対策が困難な脅威です。
カウンターやハンデス以外で相手の妨害を対策する手段として《オアリムの詠唱》と《時を解す者、テフェリー》が採用されています。《オアリムの詠唱》はカウンターや《外科的摘出》に対応でき、「キッカー」すれば時間稼ぎにも使えます。
デルバーなどクリーチャーデッキとのマッチアップでは、サイドに4枚も採用された《剣を鍬に》や《虹色の終焉》といった除去を投入して、よりミッドレンジ寄りにシフトして戦います。
Legacy Challenge 10/8
レガシーを代表するAncient Tombデッキ
2023年10月8日
- 1位 Boros Initiative
- 2位 Cephalid Breakfast
- 3位 Elves
- 4位 Boros Initiative
- 5位 Sneak and Show
- 6位 Grixis Delver
- 7位 8 Cast
- 8位 Selesnya Depths
優勝したBoros Initiative、8 Cast、Sneak and Showといった《古えの墳墓》を使ったデッキが複数結果を残していました。
土曜日のLegacy Challengeで優勝したCephalid Breakfastが、今大会でも準優勝しています。
デッキ紹介
Boros Initiative
《古えの墳墓》を使ったデッキは長い間レガシーで活躍していますが、そのなかでもInitiativeは今大会でも優勝、Showcase Challengeなどほかの大きなイベントでも上位で見かけることが多く、間違いなく現環境最高の《古えの墳墓》デッキといえます。
《白羽山の冒険者》が禁止になって以来、白単から《混沌の洞窟の冒険者》や《進め、エオルの家の子よ!》《鏡割りの寓話》などが使えるボロスへとシフトしていきました。
理想の動きは、マナ加速から《練達の地下探検家》や《混沌の洞窟の冒険者》といった4マナの「イニシアチブ」クリーチャーを早い段階からプレイすることです。1ターン目から《虚空の杯》(X=1)で相手をロックすることもできます。
☆注目ポイント
アドバンテージ兼エンドカードである《進め、エオルの家の子よ!》が強力なフィニッシャーとしてメインからフル搭載されています。《金属モックス》で「刻印」すれば、2色出せるようになるのも優秀です。
《エメリアのアルコン》はコンボデッキや多色コントロールの動きを著しく減速させることができます。マナ加速を利用することで1ターン目から展開できれば、デッキによっては機能不全になります。
《鏡割りの寓話》を使うことができるのもボロス型にするメリットの一つです。第Ⅱ章で、すでに場に出ている《エメリアのアルコン》や《虚空の杯》を捨てたり、変身すれば「イニシアチブ」クリーチャーをコピーする強力なムーブができます。
サイド後は1ターン目から《月の大魔術師》を展開する動きが強く、特殊地形に依存したデッキ相手に通すことができればほぼ勝ちが確定します。Sneak and Show、Reanimator、Elvesなど《緑の太陽の頂点》を使うデッキに対しては、《封じ込める僧侶》で対応します。
総括
Dimir ScamやGrixis Delverなど《オークの弓使い》を使ったデッキが現在でも結果を残し続けています。そのほかにも、《鏡に願いを》という強力なエンジンを手に入れたStormや《進め、エオルの家の子よ!》を得たBoros Initiativeなど、勢いに乗るデッキが多くいろいろなアーキタイプにチャンスのある環境です。
USA Legacy Express vol.224は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!