はじめに
みなさん、こんにちは。晴れる屋メディアチームです。
昨日の禁止制限告知では構築フォーマットに変化はありませんでした。代わりに、ブースターへと手が加えられることが発表されました。
【翻訳記事】『カルロフ邸殺人事件』よりドラフトおよびセット・ブースターが統合され、新たに「プレイ・ブースター」が登場します。2つのブースターの特徴を受け継いだ本製品形態について、首席デザイナーであるマーク・ローズウォーターよりご説明いたします。 https://t.co/Z1ePr2lJA5 #mtgjp pic.twitter.com/SZ4krVTeRb
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) October 16, 2023
リミテッドで慣れ親しんだドラフト・ブースターと開封を楽しんだセット・ブースターが統合され、新しく「プレイ・ブースター」が登場するというのです。これ、本当にリミテッドで遊べるのかなどの疑問が浮かび上がるばかり。
本稿では、新しく登場するプレイ・ブースターについてみていきます。
「プレイ・ブースター」とは
「プレイ・ブースター」とはセット・ブースターとドラフト・ブースターを合わせた新たなブースターの名称です。それぞれに不足していた部分を補い生まれたことでリミテッドでも遊べますし、同時に開封欲を満たすコレクション性の高い設計となっています。
『ゼンディカーの夜明け』から始まったセット・ブースターはプレイヤーの間に開封の楽しさを広めました。アート・カードやフォイルが固定で封入され、レアカードにいたっては複数枚出ることもしばしば。予想だにしない開封結果に一喜一憂した方も多いのではないでしょうか。
ですが、同時に問題も発生していました。ブースターの種類が増えたことで店舗の在庫を圧迫したり、リミテッドイベント開催時にブースター不足や種類を間違えるということが起きたのです(こちらは公式の記事にて詳細に語られています)。
これらブースターの種類増加に起因した諸問題を解決すべく、2024年発売の『カルロフ邸殺人事件』からプレイ・ブースターが発売されるにいたったのです。
プレイ・ブースターの内訳
早くプレイ・ブースターの中身が知りたいですよね。『カルロフ邸殺人事件』より登場するプレイ・ブースターは次のカードから構成されます。
見慣れたコモン・アンコモン・レアなどにまじって、今までなかった「ザ・リスト」や不特定カードの枠が設けられています。よくよく数えてみると、既存のドラフト・ブースターに比べて総枚数が減っています。限られたカードプールからデッキを構築するリミテッドにおいて、ゲーム性は担保されるのか気になります。
(※注意:細部はセットごとに異なる可能性があり、新エキスパンション発売時に公開される「『セット名』をコレクションする」記事を参照する必要があります。)
ドラフト・ブースターとの相違点
既存のドラフト・ブースターとの相違点は「ゲームでプレイ可能なカード総数の減少」「確定コモン枠の減少」「ザ・リストと不特定カードのカードの封入」の3点です。順次見ていきます。
ゲームでプレイできるカードの観点ではドラフト・ブースターが15枚だったのに対して、プレイ・ブースターは14枚です。限られたカードで対戦するリミテッドでは死活問題となりかねません。ドラフトでは3枚、シールドでは6枚少ないカードプールでの構築となるのですから。
ゲームでプレイ可能なカード総数の減少にともない確定コモン枠が1つ削られました。1ブースターにつきコモンは最大でも9枚しか出ません。低レアリティのカードが主役となるリミテッド戦において、コモンの減少はどんな影響を及ぼすのか気になります。
ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社開発部の主席デザイナーであるマーク・ローズウォーター/Mark Rosewater曰く、「今後は使用に耐えないコモンを少なくすることで15枚目の必要性を減らし、14枚でも我々の望むプレイ体験をもたらしてくれる」とのことです。枚数を減らす代わりに個々のカードパワーレベルを上げるとも読み取れます。
さらに上記画像の第7枠及び第13枠、第14枠はレアリティが変化する枠となります。メインセットのコモンの代わりに「ザ・リストと不特定カードが封入」されている可能性があるのです。「ザ・リストと不特定カード」の3枠はコモン~神話レアとまちまちであり、パック毎にレアリティにバラツキが生まれることになります。これにより1パックからレアや神話レアが最大4枚出現します。
「ザ・リスト」
プレイ・ブースターの最大の特徴ともいえるのが、「ザ・リスト」が封入されている可能性があることです。「ザ・リスト」とは、セット・ブースターで手に入るマジック30年の歴史から選ばれたカード群です。エキスパンションごとに選定され、過去には《梅澤の十手》や《時を超えた英雄、ミンスクとブー》など構築戦でもおなじみの強力カードが収録されてきました。
8回中7回、あるいは87.5%の確率で、この第7枠からは7枚目のコモンが出現しますが、稀に「ザ・リスト」のカードが手に入るとのことです。
また「ザ・リスト」収録のカードは、それがもともと使用できるフォーマットにて使用できます。
「スペシャル・ゲスト」
これまで、「ザ・リスト」は昔のカードの再録がほとんどでしたがプレイ・ブースターでは、収録カードに少し手が加えられます。最初のプレイ・ブースターの「ザ・リスト」には、そのセットとテーマ的に結びついた再録カードに新たなアートを用意するカードが10枚収録される予定です。こちらは「スペシャル・ゲスト」カードと呼ばれ、扱いはセットごとに異なります。
「スペシャル・ゲスト」に加えて、新規アートが用意されない再録カードが40枚リストに収録されます。そのうち30枚がコモンやアンコモン、10枚がレアや神話レアとなっており、「ザ・リスト」はこれまでの300枚から数を減らすとのことです。
「スペシャル・ゲスト」は『カルロフ邸殺人事件』に先駆けて、『イクサラン:失われし洞窟』にて初登場します。
今後のドラフトの展望
ブースターの構成が変化したことで、ドラフトをはじめとしたリミテッドには影響が出ます。極端な話、シールド戦で6パックすべてから不確定枠でレアが登場した場合、24枚ものレアを手に入れられるのです。レア枠のみのプレイヤーと比べるとその差は4倍。格差の激しいフォーマットになるかもしれません。
プレイ・ブースターによるドラフトは、アーキタイプの概念が変化する可能性があります。これまでのドラフトは軸となるアンコモンと関連する大量のコモンから構築されてきましたが、コモンの総数が減り、これによりアーキタイプの再現性は低くなることが予想されます。加えて、レアや神話レアの総数が増えるため、シナジーよりもカードパワーが優先されるドラフト環境になるかもしれません。
では『エルドレインの森』のカードを使って、視覚的にプレイ・ブースターを想定してみます。まずは従来のレアリティの枚数通りのドラフト・ブースターから(レア:1、アンコモン:3、コモン:10、基本土地:1、トークン:1)。
続いてはレアや神話レアが最大枚数出現した場合のプレイ・ブースターです。
プレイ・ブースターの不確定枠から高レアリティのカードが登場した場合、上記のような枚数になります。3枚の《がぶりんご飴》(コモン)が同数の《忠義の徳目》(神話レア)となる可能性を秘めているのです。
懸念されるのはレアリティの向上により、リミテッドにおける爆弾(=ボム)と呼ばれるカードが頻出し、ゲーム自体を壊してしまうのではないかという点です。
マーク・ローズウォーター曰く「たしかにレアや神話レアのパワーレベルを持つカードは増えるが、低いレアリティのカードでもより多くの解答を得られるようにする」とのこと。全体的なカードパワーの上昇はあっても、1枚のレアで負ける心配はないように設計されているようです。
おわりに
ドラフト・ブースターに代わる「プレイ・ブースター」の登場と聞き、当初は慣れ親しんだリミテッドが破壊されてしまうのではと疑問が浮かびました。しかしながら、今回の発表を読む限り、リミテッド環境を考えながらデザインされているように思えます。こうなると早くプレイ・ブースターを使ったリミテッドを体験してみたくなりますね。
今後も晴れる屋メディアでは、マジックの最新情報をみなさんにお届けしていきます!
また今回のブースター再編については動画でも解説しているので、ぜひご覧ください!