はじめに
みなさん、こんにちは。
10月16日に公式から禁止制限告知がありましたが、みなさんもご存じの通りノーチェンジでした。プロツアーからしばらく経ちRakdos Griefのような強いデッキは存在しますが、現環境にはさまざまなデッキが存在しています。ほかを圧倒するようなデッキがなく、個人的には今回の決定には賛成です。
さて、今回の連載では『Modern Showcase Challenge』の結果を見ていきたいと思います。
Modern Showcase Challenge 10/14
やはり最強はラクドス
2023年10月14日
- 1位 Rakdos Grief
- 2位 Yawgmoth
- 3位 Izzet Midrange
- 4位 Amulet Titan
- 5位 Burn
- 6位 Temur Rhinos
- 7位 5C Omnath
- 8位 4C Omnath
人気フォーマットのモダンということで、参加者467名と大変長丁場なイベントでした。
さまざまなデッキがプレイオフに勝ち残るなか、優勝したのはRakdos Griefでした。
Rakdos Griefはプロツアーで優勝したあとも勝ち続けており、特別に刺さる対策手段もないため当分はトップメタの座が揺らぐことはなさそうです。
デッキ紹介
Rakdos Grief
もともと強かったRakdosでしたが、『エルドレインの森』からの新カードもあり少しですが強化されています。人気、勝率ともに現環境トップクラスで、今大会の結果もそれほど驚くことではありませんでした。
☆注目ポイント
最近は《鏡割りの寓話》をメインからフル搭載したバージョンが主流です。同じ3マナ域の主力であった《歴戦の紅蓮術士》は、《オークの弓使い》に弱いため採用が見送られる傾向にあります。Ⅱ章の効果は、不要牌を有効牌に変換しつつ墓地を肥やすことができるので《死の飢えのタイタン、クロクサ》を「脱出」させやすくなります。
《アガディームの覚醒》は土地としてカウントできるだけでなく、《悲嘆》のピッチコストにもなります。また低マナ域に優秀なクリーチャーがそろっているため、呪文として唱えたときもそこそこのインパクトがあります。
Temur RhinoやLiving Endなど「続唱」デッキなどを対策するために、サイドに《虚空の杯》を多めに積んでいます。《黙示録、シェオルドレッド》はタフネスが5と固く《終止》以外では処理されにくいので、主にミラーマッチで追加のフィニッシャーとして活躍します。
5C Omnath
新カードの《豆の木をのぼれ》は、《白日の下に》や《時間のねじれ》を搭載した多色コントロールでも採用されています。《豆の木をのぼれ》以外の2マナ以下のスペルを採用していないので、《断片無き工作員》や《献身的な嘆願》といった「続唱」スペルから確定でプレイできるように構築されています。
《白日の下に》を使ったデッキは《風景の変容》デッキが代表的でしたが、《豆の木をのぼれ》が登場して以来、多色オムナスでも見られるようになりました。《風景の変容》による瞬殺コンボはないものの、《白日の下に》から《創造の座、オムナス》や《時間のねじれ》などをプレイする動きが強く、《創造の座、オムナス》のおかげでマナの捻出も容易です。
《豆の木をのぼれ》を強く使うためにデッキ内の多くのカードが5マナ以上のスペルで構成されており、一見するともっさりした印象ですが、《孤独》《力線の束縛》《残忍な切断》など軽いコストでプレイできるものが複数搭載されています。
☆注目ポイント
《徴用》は、相手の《一つの指輪》を奪う手段として「続唱」デッキなどに採用されるようになったカードで、カウンターではないため《喜ぶハーフリング》からプレイされたスペルにも効果があります。
《豆の木をのぼれ》を「続唱」から確実にプレイするために、このタイプのデッキに必ず入っていた《レンと六番》が不採用になっています。《創造の座、オムナス》の「上陸」を誘発させるために毎ターン土地を置きたいので、《レンと六番》がないのは少し不安が残りますが、《北方の大鷲》や《ロリアンの発見》といった「土地サイクリング」でカバーしていきます。
《豆の木をのぼれ》と相性の良い「探査」持ちの《残忍な切断》と《漂流》が採用されています。フェッチランドやトライオーム、土地サイクリングなどで墓地にカードが溜まるので、多くの場合1マナでプレイすることができます。
Izzet Control
よく見られるIzzet Murktideと異なり、《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ドラゴンの怒りの媒介者》などが不採用で《瞬唱の魔道士》や《アノールの焔》といったアドバンテージ獲得手段が複数搭載されています。
デッキのほとんどのカードがインスタントタイミングのカードで構成されているため、カウンターを構えつつアドバンテージを稼いでゲームをコントロールできます。古典的なコントロールが好きなプレイヤーにもオススメできるデッキになります。
☆注目ポイント
最近は《アガサの魂の大釜》など強力なアーティファクトが登場したので、《アノールの焔》のようにメインから無理なく採用できるアーティファクト対策は優秀です。また《激情》《悲嘆》《黙示録、シェオルドレッド》《スランの医師、ヨーグモス》など環境の多くの脅威を対処でき、ドローもできるので無駄になることはありません。
《敏捷なこそ泥、ラガバン》は《オークの弓使い》に対して弱く、Rakdos GriefやGolgari Yawgmothが多いメタゲームではそこまで活躍できません。このデッキでは、TronやLiving Endなど除去が少ないコンボデッキ相手にサイドインするスタイルになっています。
インスタントスピードで動けることを重視しているため、解禁された《定業》よりも《考慮》が優先されています。《瞬唱の魔道士》とも相性が良いのがポイントです。《黒曜石の焦がし口》は土地を破壊しつつ4/4クロックが残るので、プロツアーでも活躍していたTronに対して最高のカードになります。Tronはコントロールにとって苦手なマッチアップなので、オススメのサイドカードです。
Temur Rhinos
Temur Rhinosはモダンの大きなイベントでは常に上位で見かけるアーキタイプです。「続唱」スペルによって《衝撃の足音》を踏み倒す動きはコンボデッキに見えますが、除去やカウンターで相手を妨害しながら攻めるミッドレンジに近いデッキになります。
このデッキの理想的な動きは、2ターン目の相手エンド時に《火/氷》でマナを寝かして、3ターン目に「続唱」スペルから《衝撃の足音》をプレイすることです。《暴力的な突発》であれば、《否定の力》でバックアップすることもできます。
☆注目ポイント
必要な土地をサーチできる《ロリアンの発見》は、《否定の力》や《緻密》のピッチコストになり、マナが余る中盤以降はアドバンテージ源としても機能します。
《アノールの焔》は「続唱」を止める《虚空の杯》に対処でき、除去・ドローと柔軟な働きをします。「ウィザーズ」が入っていないのでボーナスは得られないと思いきや、《変わり谷》があるので狙うことも可能です。
現在はRakdos Griefが幅を利かせていますが、4C OmnathやIzzet Murktideなど青いデッキも数多く存在するので《神秘の論争》がサイドと合わせてフルに採用されています。《血染めの月》は流行りの《豆の木をのぼれ》を使った多色デッキに睨みを利かせます。
総括
《アガサの魂の大釜》や《豆の木をのぼれ》といった新戦力は、多くの既存デッキを強化しました。現環境のなかでRakdos Griefが頭一つ抜けている印象はありますが、支配的とまではいかないので特に禁止カードを出すほどの状況ではないようです。
USA Modern Express vol.104は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!