はじめに
みなさんこんにちは。
今月末には『2023 Asia Eternal Weekend』が開催され来月には『Eternal Party 2023』が開催されるなどテーブルトップのイベントが充実していますね。
さて、今回の連載では『Legacy Showcase Challenge』と『第24期レガシー神決定戦』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Showcase Challenge
レガシーでも豆の木が大活躍
2023年10月22日
- 1位 4C Control
- 2位 Dimir Scam
- 3位 Boros Initiative
- 4位 Dimir Scam
- 5位 4C Control
- 6位 Temur Delver
- 7位 4C Tempo
- 8位 Death and Taxes
毎月MOで開催される大規模なイベント『Legacy Showcase Challenge』は参加者330名だったこともあり、たいへん長丁場なイベントでした。
Dimir Scamと4C Controlのふたつが人気で、プレイオフにも複数の入賞者を出していました。テンポデッキも『エルドレインの森』の新カード《探索するドルイド》を採用したTemur Delverや、《オークの弓使い》もタッチした4C Tempoも入賞しています。
デッキ紹介
4C Control
相手の脅威をカウンターや除去で対応していく青白をベースに、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《進め、エオルの家の子よ!》といった強力なカードのために緑と赤を足した多色コントロール。
《壌土からの生命》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》といったカードでアドバンテージを稼ぎつつ、毎ターン必要な土地を確保します。《壌土からの生命》+《不毛の大地》によるロックや《神秘の聖域》+《終末》のコンボも搭載されているため、さまざまな角度から相手をコントロールできます。
☆注目ポイント
《ザンダーの居室》と《Savannah》をそろえることで、1マナで《力線の束縛》をプレイできるようになります。1ターン目に《ザンダーの居室》をサーチしておけば、2ターン目から多くの脅威に対処することができます。
《ロリアンの発見》は必要な色マナを確保する手段として機能し、青いカードなので《否定の力》や《意志の力》のコストになります。マナが余る中盤以降はアドバンテージも稼ぐことができるなど、デッキの安定性の向上に貢献しています。
《一つの指輪》は時間を稼ぎながら大量のカードをもたらしてくれます。貯まった重荷カウンターも《時を解す者、テフェリー》でリセットが可能で、失ったライフは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》で取り戻せます。《進め、エオルの家の子よ!》は主にフィニッシャーとして使いますが、相手によっては序盤に3マナでプレイして統治者になることでアドバンテージを稼ぐこともできます。
Temur Delver
旧環境のIzzet Delverをベースに『エルドレインの森』から加入した《探索するドルイド》をタッチした形のテンポデッキ。
《探索するドルイド》の「出来事」は赤マナのみでプレイできるので序盤に緑マナの必要性がそれほど高くなく、マナ基盤にそれほど負担をかけることなく緑をタッチすることに成功しています。
《探索するドルイド》を活かすために《意志の力》や《目くらまし》といった受動的なスペルを最小限にするなど、デッキ構築にも大きく影響を与えています。基本的な構成は従来のテンポデッキとそれほど変わらないためコンボに強く、除去を多数搭載したコントロールとの相性は悪くなります。
☆注目ポイント
《探索するドルイド》はあの《表現の反復》に代わるこのデッキのアドバンテージ源です。確実にアドバンテージを得るためには、相手のエンド時に「出来事」でプレイするなど工夫が必要になりますが、テンポデッキにとってもっとも欲しかった強力なドローエンジンであることに変わらず、《オークの弓使い》に引っかからないのも強みです。
《退去の印章》はレガシー基準ではそれほど強いカードには見えませんが、エンチャントなので《探索するドルイド》の「出来事」から捲れても設置しておくことができ、「昂揚」の条件も満たしやすくなります。《濁浪の執政》や《カザド=ドゥームのトロール》《マリット・レイジトークン》などを対策しやすくなり、《探索するドルイド》をバウンスすることで再度「出来事」でアドバンテージを稼ぐこともできます。
《カザド=ドゥームのトロール》など高タフネスのクリーチャーを対処するために、《邪悪な熱気》が選択されています。《定業》や《退去の印章》のおかげで「昂揚」もしやすくなっています。サイド後は《花の絨毯》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が投入され、ミッドレンジ寄りにシフトしていきます。
4C Tempo
4色となっていますが、《探索するドルイド》は主に「出来事」でアドバンテージを稼ぐために採用されているため、実質Grixis Tempoで現在のレガシーを定義するカードである《オークの弓使い》を活用していきます。
ただ、4色のマナ基盤は《不毛の大地》や《血染めの月》といったアンチ特殊地形カードに弱くなるため、土地をサーチする順番には注意が必要です。
さきほど取り挙げたTemur Delverと同様に、《オークの弓使い》に弱い《秘密を掘り下げる者》は不採用になっているなど現在のレガシーの環境に合わせた構成になっています。
☆注目ポイント
Temurと異なり重めの構成になっているので《探索するドルイド》でアドバンテージを稼ぎにくくなっているものの、強力なアドバンテージ源であることは変わらず、Dimir Scamのようにハンデスを多用してくるデッキ相手にも互角以上に渡り合うことができるようになります。
《厚かましい借り手》はメインから無理なく入るバウンスで、《濁浪の執政》や《カザド=ドゥームのトロール》《マリット・レイジトークン》《虚空の杯》などを対処できます。
第24期レガシー神決定戦
レガシーを代表するコンボデッキ
2023年11月4日
- 1位 ANT
- 2位 Boros Initiative
- 3位 Death and Taxes
- 4位 Temur Murktide
- 5位 Grixis Delver
- 6位 Mono Black
- 7位 Painter
- 8位 Temur Murktide
先週末に開催された『第24期レガシー神決定戦』は参加者255名と大盛況でした。
《オークの弓使い》を採用したデッキが支配していたレガシーでしたが、『エルドレインの森』から登場した《探索するドルイド》《鏡に願いを》《豆の木をのぼれ》によってまた環境が変化してきています。
デッキ紹介
ANT
《鏡に願いを》は新カードのなかでも屈指のカードパワーで、《水蓮の花びら》や《ライオンの瞳のダイアモンド》など0マナのアーティファクトが多いレガシーでは「協約」コストを支払うことも容易です。今大会で優勝したANTを始めとして、現環境の《暗黒の儀式》を使うコンボデッキの多くに影響を与えています。
《オークの弓使い》の影響でDelver系の支配力が弱まっているのと、《豆の木をのぼれ》を使った遅いコントロールやミッドレンジが増加傾向にあるのも、コンボデッキが勝ちやすい理由になります。
☆注目ポイント
カウンターをはじめとした相手の妨害をどのように対策するかが、コンボプレイヤーの課題となります。今大会で挑戦者となった岡 洋介氏は、多くのデッキで採用されている《オークの弓使い》を対策するために、メインから《夏の帳》をフル搭載しています。ハンデスも採用されているので、《意志の力》1枚ぐらいなら軽く乗り越えてきます。
《鏡に願いを》を「協約」で唱えれば、「待機」スペルのようにマナコストが存在しないスペルでもプレイすることができます。これにより、《ガイアの意志》が疑似的な《ヨーグモスの意志》となります。
《鏡に願いを》+《ガイアの意志》のコンボは速度がありますが、安定して「協約」するにはデッキ構築の面で工夫する必要があります。幸いANTは《水蓮の花びら》や《ライオンの瞳のダイアモンド》《金属モックス》といったマナアーティファクトを多用するため、「協約」のコストに困ることはありません。
《花の絨毯》は青いデッキとのマッチアップで追加のマナ加速として機能し、マナを捻出した後に「協約」のコストに充てることができます。《突然の衰微》は《虚空の杯》や《相殺》などやっかいな置物を処理するのに役立ちます。
Temur Murktide
《豆の木をのぼれ》はモダンの4C Omnathなどで活躍しているカードで、レガシーでも多色コントロールを中心に見られます。
加藤 翔大氏が使用していたリストは、Temur Delverをベースに《オークの弓使い》に弱く現在はポジション的に厳しい《秘密を掘り下げる者》を抜いて、《豆の木をのぼれ》や《探索するドルイド》などでビートダウンしていくミッドレンジ寄りの構成になっています。
《豆の木をのぼれ》がもたらすアドバンテージによって長期戦で有利になるため、Dimir Scamなどに対して有利にゲームが進みやすくなります。しかし、《秘密を掘り下げる者》が不在ということはクロックが遅くなることを意味しているため、今大会を制したANTなどコンボデッキとのマッチアップでは若干不利が付きます。
☆注目ポイント
《豆の木をのぼれ》によって《意志の力》をピッチでプレイした際にアドバンテージを失わずに済むため、より積極的に相手の脅威に対して打ちやすくなります。フィニッシャーの《濁浪の執政》など「探査」スペルとも相性が良く、追加の「探査」クリーチャー《天上の餌あさり》が採用されているのも印象的です。
このバージョンの弱点として《ドラゴンの怒りの媒介者》や「探査」クリーチャーが主な勝ち手段となっているため、《虚空の力線》など墓地対策に弱いことが挙げられます。そのため、サイドには軸をずらした勝ち手段として《時を超えた英雄、ミンスクとブー》が採用されています。ほかに置物対策として《活性の力》もあり、緑カウントが少ないためピッチでのプレイは難しいですが、複数の置物を対策することができることは重要です。
総括
『エルドレインの森』から登場した《鏡に願いを》は、ANTの新たなエンジンとして定着しています。《探索するドルイド》や《豆の木をのぼれ》といったアドバンテージ源が登場したことで、『エルドレインの森』リリース前の環境で活躍していたDimir Scamは減少傾向にあります。
現環境のレガシーは強いデッキは存在するものの特別に支配的なものは存在せず、『第24期レガシー神決定戦』の結果を見てもさまざまなデッキが結果を残しています。各地で開催されるEternal Weekendも楽しみですね。
USA Legacy Express vol.225は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!