はじめに
みなさん、こんにちは。スタンダード関連の記事を担当している紳さんです。
「Just Nowスタンダード!」では、主なスタンダードの大会結果をまとめて紹介します。入賞したデッキについて考察しながら、注目のカードやメタゲームの様相、デッキテクニックなどに触れていきますので、参考になれば幸いです。
先週は注目の新セット『イクサラン:失われし洞窟』が発売し、スタンダード環境も新しくなりました。いったい、どんな新カードが暴れたのでしょうか? それでは早速、最新のスタンダード大会結果を見ていきましょう!
11/18(土)「Standard Challenge 32」
まずは先週の11/18(土)にマジックオンラインにて行われた「Standard Challenge 32」の結果から。
優勝 「アゾリウス兵士」
新環境で最初の「Standard Challenge」を制したのはremf選手のアゾリウス兵士でした。
前環境でもハイアベレージな入賞率をキープしていた有力アーキタイプですが、『イクサラン:失われし洞窟』で獲得した《魂の洞窟》が早速の採用。
さらに新たな飛行戦力として《魅惑の悪漢、マルコム》が加わり、手札の質を整えながら安定したビートダウンを完遂します。《魅惑の悪漢、マルコム》のルーター能力によって《イーオスの遍歴の騎士》にたどり着く可能性がさらに上がったようです。
サイドボードには最強クラスの新除去カード、《失せろ》も加わりさらに盤石となりました。対戦相手が用意したアンチカードは2マナで破壊され、出てきた地図・トークンを使う余裕もほとんど与えてもらえないでしょう。《失せろ》は高速アグロ戦略に非常にマッチした万能除去として、これからも見かけることが多そうですね!
準優勝 「エスパーミッドレンジ」
アゾリウス兵士に敗れ、惜しくも準優勝となったのはetoustar選手のエスパーミッドレンジです。わずか3マナながら、定着したら手のつけようがないカードパワーを誇る《策謀の予見者、ラフィーン》が新環境でも変わらぬ強さを発揮します。
新しく採用された注目のカードは《大洞窟のコウモリ》と《地底のスクーナー船》。
メインから4枚フル投入の《大洞窟のコウモリ》は序盤から手札への干渉ができ、飛行戦力として活躍しながら絆魂でライフレースも優位にするなど目覚ましい活躍を見せています。裏返った《婚礼の発表》や《策謀の予見者、ラフィーン》《忠義の徳目》による+1/+1カウンターによる強化とも相性が抜群です。
《地底のスクーナー船》はアタッカーとしてもブロッカーとしても優秀なタフネス4を持ちながら、非クリーチャーとして全体除去を躱しつつ、探検によって土地事故の危険性まで軽減してくれるナイスな機体です。あまりにも軽い搭乗コスト1のおかげで戦場に出た《策謀の予見者、ラフィーン》や《大洞窟のコウモリ》が即座にパイロットとして才能を発揮する点も見逃せません。
今後、青絡みのビートダウンデッキでは必須級となるカードではないでしょうか。
新ミシュラの《不穏な投錨地》も安定した就職先を見つけニッコリと微笑んでいることでしょう。《太陽降下》後の荒野を優雅に飛び回る姿が目に浮かぶようです。
注目入賞デッキ 「ボロス人間」
トップ4に入賞したHamuda選手のボロス人間は、スイスラウンドで1位を獲得する好成績でした。
新しく採用された注目のカードは4枚フル投入された《千番目の月、アニム・パカル》と《太陽の執事長、インティ》。デッキ内のクリーチャーはすべて非ノームであり、能力誘発で《千番目の月、アニム・パカル》がみるみるうちに大きくなりながら戦場には大量のトークンが並びます。
《太陽の執事長、インティ》は手札を犠牲にしつつクリーチャー強化とトランプル付与を同時に行う新戦力です。手札ロスに関しては多少の不安ですが、デッキ内のカードが全体的に軽いため、ライブラリートップを追放してプレイできる能力を有効活用するチャンスは大いにあるでしょう。むしろ、実質的なルーター能力と言えるかもしれません。
これまた新戦力である《内なる空の管理人》と《勇敢な旅人、ケラン》も2枚づつ採用されています。地上をガッチリと止められたなら《千番目の月、アニム・パカル》で出したトークンを《内なる空の管理人》の強化要員に充てて空からの攻略を試みる、実践的なテクニックです。
《勇敢な旅人、ケラン》に関してはお試し枠のような形での採用でしょうか。デッキ内のほとんどが手札に加えられる条件に当てはまるものの、土地がめくれることもそれなりにありそうです。マナフラッドを回避する目的も兼ねての採用なのかもしれません。
今後とも要注目のボロス人間、新環境でどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。
11/19(日)「Standard Challenge 64」
つづいて先週の11/19(日)にマジックオンラインにて行われた「Standard Challenge 64」の結果を見ていきましょう。
2023年11月19日
- 1位 エスパーミッドレンジ
- 2位 エスパーミッドレンジ
- 3位 エスパーミッドレンジ
- 4位 アゾリウスミッドレンジ
- 5位 白単人間
- 6位 ボロス人間
- 7位 エスパーミッドレンジ
- 8位 グルールダイナソー
優勝、準優勝は同一リストの……
優勝はTheManLand選手のエスパーミッドレンジ、準優勝はduke12選手のエスパーミッドレンジとなりました。2名の使用したデッキは前日に準優勝したetoustar選手のエスパーミッドレンジと同一リストで、新環境初期の覇者であることは間違いなさそうです。
前環境から活躍をしていたアーキタイプとはいえ、新カードを多数採用しながらこれだけ安定した成績を残せるのはすごいことですね!
注目入賞デッキ 「グルールダイナソー」
僕たちは恐竜の活躍を待ってました!アグロの海を泳いで、見事トップ8に入賞した新デッキがmtgbentcard選手のグルールダイナソーです。
スタンダードでは久しぶりの登場となる1マナのマナクリ《イクサーリの伝承守り》を4枚フル投入し、2ターン目に《鎌爪の猛竜》と《好戦的な槌頭》の着地を狙います。驚きました、なんと現スタンダードは2ターン目に6/6が登場する環境なんですね。
「恐竜は《太陽降下》で絶滅する」と誰かが言っていましたが、僕はそう思いません。全体除去の返しに《猛り狂う猛竜》や《パラ二の孵化者》は速攻でライフを詰めてきますし、《ウラブラスクの溶鉱炉》というとっておきのサイドボードもあります。
除去要素も豊富で、アグロやエスパーミッドレンジなどクリーチャー主体のビートダウンデッキに対しても強く戦えます。《勝利の嚙み砕き》と《薮打ち》はたった1マナの除去で、恐竜を展開しながらテンポの良い動きを実現します。
正直、初手に《イクサーリの伝承守り》を呼び込めるかどうかでデッキの動きがぜんぜん違うとは思いますが、ブン回ったグルールダイナソーの速度と高打点には目を見張るものがあります。今回もトップ8に入賞していますし、これからの活躍が大いに期待できますね!
メタゲームについて
エスパーミッドレンジ強し。そして、予想通り《地底のスクーナー船》が大暴れしています。
はてさて、先週土日の「Standard Challenge」の結果を見る限りでは、エスパーミッドレンジを含めて考えても高速環境と言わざるを得ないメタゲームとなっております。白絡みのアグロや赤単が多数入賞し、ドメインランプやコントロールのような重めのデッキにとってはやや辛い環境と言えるでしょう。
新環境のコントロールデッキが今後、どのようにアグロデッキに対して立ち向かうのかも注目です。
《魂の洞窟》の登場により2ターン目の《かき消し》は信頼度を大幅に下げました。一方で、相対的に評価が上がるのは《一時的封鎖》や《兄弟仲の終焉》などの軽い全体除去でしょうか。これらのカードはタイミングによっては劇的な刺さり方をするので、《太陽降下》や《家の焼き払い》までの時間を稼げる可能性があります。
除去をしながらライフ回復もできる《執念の徳目》も非常に頼もしい存在です。ソーサリータイミングなので過信はできませんが、中盤~終盤まで望みをつなぐのが大切です。
もちろん、対処できないケースもあるのですが。。。
《スレイベンの守護者、サリア》といった悪夢のようなカードも健在で、アグロ戦略をどうやって乗り越えるか非常に頭を悩ませます。ランプ&コントロール使いの逆襲はあるのでしょうか?
はたまた、グルールダイナソーが本格的に暴れて恐竜が真の覇者となるのか。発見を軸にした謎のコンボデッキが誕生する可能性も? ますます目が離せない、今後のスタンダード環境に注目です! それではまた来週。