パイオニアに激震!?場に出たら即死のコンボが「発見」されてしまった
こんにちは、晴れる屋メディアです。
今週末の11月25日からプレイヤーズコンベンション愛知が開催されます。『イクサラン:失われし洞窟』発売後の新環境における最初のビッグイベントに備え、みなさん思い思いのカードを試している頃ではないでしょうか。
さて、プレイヤーズコンベンション愛知ではパイオニア・フォーマットによる大型イベント『チャンピオンズカップファイナル』が行われますが、現在、パイオニア界を震撼させる即死コンボデッキが横行していることはご存じでしょうか?
この記事では話題となっているパイオニアの「発見」コンボについて取り上げていきます。
新たなメカニズム「発見」の登場
これまでのパイオニアは比較的フェアなデッキが多い環境でした。
《鏡割りの寓話》や《黙示録、シェオルドレッド》のようなパワーカードを中心に攻め立てるラクドスミッドレンジや、軽量呪文を駆使して高速に墓地を肥やしながら《弧光のフェニックス》でライフを詰めるイゼットフェニックスがメタの中心におり、極端なコンボデッキが幅を利かせる事態になってはいなかったのです。
そんな中、新セット『イクサラン:失われし洞窟』が発売。《魂の洞窟》を始めとした強力な新カードたちに加え、新メカニズムである「発見」がパイオニアに新しい風を吹かすのではないかと期待されていました。
発見N―マナ総量がN以下であり土地でないカード1枚が追放されるまで、あなたのライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していく。それをマナ・コストを支払うことなく唱えるか、あなたの手札に加える。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
※マナ総量…『ストリクスヘイヴン:魔法学院』以前のルールでは「点数で見たマナ・コスト/Converted Mana Cost」と呼ばれていました。
「発見」は過去にあった「続唱」を彷彿とさせる能力です。
デッキ構築を工夫することで特定の呪文を確実に、かつマナ・コストを支払うことなく唱えることができる能力は非常に強力であり、「続唱」を軸にしたデッキが多く活躍しました。
それと比較すると「発見」は参照するマナ総量の数値がやや大きめに設定されていたことで採用できるカードの幅が狭く、「続唱」のようなデッキ構築をするのは簡単ではない……ように思えました。
そんな折、とある大会の結果に注目が集まります。
「発見」コンボの華々しすぎるデビュー
先日、Magic Online上で行われた大規模なパイオニア大会『Pioneer Showcase Challenge』。431名が参加したこの大会で勝ち残った上位32名のうち、「発見」を使うデッキの使用者は2名のみでした。
しかし、その両者ともが決勝に勝ち進み、1,2フィニッシュを決めたことにより「発見」の強さが全世界に知れ渡ることになります。
2023年11月19日『Pioneer Showcase Challenge』
1位 発見コンボ(クイントリウス型)
2位 発見コンボ(地質鑑定士型)
3位 ボロス召集
4位 イゼットフェニックス
5位 イゼットフェニックス
6位 ラクドスサクリファイス
7位 ラクドスミッドレンジ
8位 イゼットフェニックス
「発見」はパイオニアに新しい風を吹かせるどころか暴風雨となる巨大なパワーを秘めていたのです。
それでは実際、「発見」コンボとはどんなデッキなのでしょうか。
▼クイントリウス型「発見」コンボ
『Pioneer Showcase Challenge』を制したtrioskこと市川ユウキ選手が使用したクイントリウス型「発見」コンボのデッキを見ていきましょう。
このデッキは《クイントリウス・カンド》が着地しただけでコンボがスタートし、そのまま対戦相手のライフを削りきります。いわゆる1枚即死コンボデッキです。
《クイントリウス・カンド》の[-3]能力で発見4を行うと、デッキから《灯の分身》か《賢いなりすまし》が見つかります。
これらを《クイントリウス・カンド》のコピーとして戦場に出すと、再び発見4ができるため、コピーできるカードが山札からなくなるまで「発見」を繰り返します。「発見」を繰り返す度に《クイントリウス・カンド》の誘発型能力が誘発し、相手のライフを吸い取っていきます。
デッキの中に《クイントリウス・カンド》をコピーできるカードは6枚しか入っていませんが、ループの途中で《灯の分身》を「発見」できれば伝説でない《クイントリウス・カンド》のコピーを生成することができ、ライフを吸い取る速度も倍々になっていきます。このデッキが巷でゾウさん増産コンボと言われているのはこのためです。
分割カードのマナ総量は、(スタック上にあるときを除いて)両方の呪文のマナ・コストの合計として扱います。《徙家/忘妻》の場合、徙家が2マナで忘妻が5マナであるため、カードのマナ総量は7になります。そのため「発見」を阻害することはありません。
★注目ポイント
《嘶くカルノサウルス》は、3マナ払って手札から捨てることで除去としての役割を持ちます。また、本体も戦場に出たときの能力で「発見5」が誘発するため、《クイントリウス・カンド》からの「発見」コンボに繋がる可能性があります。《灯の分身》や《賢いなりすまし》が見つかった場合も、カルノサウルスのコピーになることで「発見」をやり直すことができます。
あらゆるフォーマットで実績のある《力線の束縛》もこのデッキでは重要な役割を持ちます。サイドボード後に相手から出された対策カードを、インスタントタイミングで対処することができます。土地以外なら何でも追放できるため、《真髄の針》のような置物を出されても安心です。
《大狸》の魂力能力と《豆の木の巨人》の出来事を使えば、《クイントリウス・カンド》を出すのに必要な5マナ目に1ターン早くたどり着くことができます。それぞれがクリーチャーとして十分なサイズを持っているため、「発見」コンボが決まらずゲームが長引いた際には信頼できるアタッカー/ブロッカーとしての運用もできそうですね。
▼地質鑑定士型「発見」コンボ
続いて、準優勝したドイツのプレイヤーであるJan-Moritz Merkelが使用した地質鑑定士型の「発見」コンボのデッキを紹介します。
こちらは《地質鑑定士》からスタートし、そこから《異界の進化》や《嘶くカルノサウルス》、《ドゥームスカールのタイタン》を絡めることで戦場に次々と並んだクリーチャーがすべて速攻を持ち、そのまま殴って勝利するデッキです。
①《地質鑑定士》を戦場に出し、「発見3」で《異界の進化》を唱える。(追加コストは地質鑑定士)
②《異界の進化》から《嘶くカルノサウルス》を戦場に出し、「発見5」が誘発する。
③「発見5」から《地質鑑定士》を戦場に出し「発見3」が誘発。《異界の進化》唱え、《嘶くカルノサウルス》を戦場に出し「発見5」が誘発。
④上記⓵~⓷を繰り返したのち、山札にある最後の《異界の進化》から《ドゥームスカールのタイタン》を戦場に出す。
⑤複数並んだ《嘶くカルノサウルス》たちに速攻と+1/+0の修正を与えて攻撃。
途中で《玻璃池のミミック》のようなコピー呪文を「発見」した場合でも、《地質鑑定士》や《嘶くカルノサウルス》のコピーになることで「発見」を継続できます。
★注目ポイント
《マグマ・オパス》や《創造の発露》のような一時的なマナ加速カードをたっぷり10枚以上採用しています。2ターン目に2マナ構えてターンを渡し、次の相手ターンの終了時に宝物トークンを生成。次の自分のターンに土地を置くことができれば4マナに到達、《地質鑑定士》からコンボを始められます。
《豪奢/誤認》は少し変則的な除去です。軽いマナ・コストの除去を採用できないこのデッキにとっては貴重な選択肢でしょう。
《詭謀/奇策》は一見使い道がなさそうですが、序盤に3点除去として捨てた《嘶くカルノサウルス》を《奇策》でリアニメイトできます。
環境最速で1枚即死コンボ
紹介したように「発見」コンボは極めて再現性の高い即死コンボという実態があります。
さらに、このデッキを凶悪たらしめているのが、マリガン耐性とコンボ開始までの速さです。どのような型であっても1枚のカードとそれを唱えるためのマナがあればいいので、マリガンに強いデッキと言えます。また、最速3または4ターン目にコンボが始まるため、相手に対策カードを準備する暇を与えません。
パイオニアの歴史を振り返ると、カード2枚で早いターンに勝利できるコンボデッキはどれも禁止を受けてきました。「発見」コンボはそれらをさらに上回る速さを持ち、コンボスタートに必要なカードは1枚。そんなデッキが存在してしまっているのが現在のパイオニア環境です。
「発見」コンボ対策の難点
一見、《ドラニスの判事》のようなヘイトベアや《減衰球》のような置物で「発見」コンボ対策をすることは可能です。
しかし、「発見」コンボの真の強みは対策カードに対する解答の豊富さかもしれません。相手ターン中にバウンスや除去を打つことで返しの自分のターンには問題なく「発見」コンボに入ることができます。
本来であれば「マナ総量の小さい呪文を採用できない」というデッキ構築において強烈なデメリットがあるにも関わらず、《力線の束縛》や分割カードが採用できるため、 対策の対策が容易なのです。
おわりに
今回はパイオニアで暴れに暴れている「発見」コンボについて紹介しました。
しかし、『イクサラン:失われし洞窟』発売後の新環境はまだ始まったばかりです!《鏡割りの寓話》や《帳簿裂き》のような強力なカードがイクサランの洞窟にはまだまだ眠っているかもしれません。
今週末は『チャンピオンズカップファイナル』、12月には『THE LAST SUN』、年が明け1月には『第13期パイオニア神挑戦者決定戦』も開催されます。このまま「発見」コンボの独走を許すのか?それを上回る新デッキが誕生するのか?
パイオニアが今後どうなっていくのか、目が離せません。