はじめに
みなさん、こんにちは。スタンダード関連の記事を担当している紳さんです。
「Just Nowスタンダード!」では、主なスタンダードの大会結果をまとめて紹介します。入賞したデッキについて考察しながら、注目のカードやメタゲームの様相、デッキテクニックなどに触れていきますので、参考になれば幸いです。
さて、『イクサラン:失われし洞窟』の発売以降、《地底のスクーナー船》を使用したエスパーミッドレンジやアゾリウスミッドレンジの快進撃が続いています。そんな中で先週、愛知県常滑市ではプレイヤーズコンベンション愛知が開催され、大型イベントのスタンダードオープンには370名が参加し大いに盛り上がりました。
常滑の地でどんなデッキが活躍したのでしょうか? それでは早速、最新のスタンダード大会結果を見ていきましょう!
11/26(日)「スタンダードオープン」
まずはプレイヤーズコンベンション愛知で行われたスタンダードオープンの結果から。
スタンダードオープン
- 優勝 エスパーミッドレンジ
- 準優勝 アゾリウスフラッシュ
- トップ4 エスパーミッドレンジ
- トップ4 白単コントロール
- トップ8 バントコントロール
- トップ8 バントポイズン
- トップ8 アゾリウスミッドレンジ
- トップ8 アゾリウスミッドレンジ
優勝 「エスパーミッドレンジ」
見事、370名の頂点となったのは鈴木 一弘さんのエスパーミッドレンジでした。
現スタンダード環境を代表するパワーカードたちが、ここでも結果を出しました。
エスパーミッドレンジに対するあらゆるアンチカードは《大洞窟のコウモリ》によって、効力を発揮する前に抜き去られます。本来であれば現スタンダード環境でもっともメタられるであろうエスパーミッドレンジですが、依然として結果を残し続ける理由の一つがこのコウモリの存在なのかもしれません。
《地底のスクーナー船》はもはや、色さえ合っていればデッキに入るレベルの採用率を誇る最強の機体で、エスパーミッドレンジに採用されるのも定番となりました。この快進撃はどこまで続くのでしょうか。
準優勝 「アゾリウスフラッシュ」
惜しくもエスパーミッドレンジに敗れ準優勝となったのは、行弘 賢さんのアゾリウスフラッシュです。
デッキ内の大半のカードが飛行や瞬速を持つため、《エラントとジアーダ》の常在型能力によってカードアドバンテージを容易に獲得することができます。なかでも《ティシャーナの潮縛り》と《放浪皇》は環境屈指のパワーカードで、妨害や除去として戦場に出た後もすみやかに戦力として加わる活躍ぶりです。
これらの小粒クリーチャーは序盤から飛行クロックとして登場し、時には《地底のスクーナー船》に乗り込んだり、《忠義の徳目》や《放浪皇》の加護を受けながら殴ってきます。中盤以降は小粒とも呼べないようなサイズに成長していることも珍しくありません。
サイドボードも含め、墓地対策・アグロ対策・置物対策・打ち消しとあらゆるデッキに対抗できるように幅広いカードが採用されています。これらのカードと《ティシャーナの潮縛り》を組み合わせながらビートダウンを遂行する隙のない戦い方は、さながら新時代のクロックパーミッションといえるでしょう。
「1000枚買え!」と言われている《ティシャーナの潮縛り》ですが、今後もスタンダードでの活躍が期待されています。
注目入賞デッキ 「白単コントロール」
トップ4に入賞するなど好成績を収めた川﨑 弘敬さんの白単コントロールも今後注目のアーキタイプです。
《第三の道のロラン》は《地底のスクーナー船》や《婚礼の発表》を破壊し、《セラの模範》や《ギラプールの守護者》はその動きを何度も再現しようとします。
《廃墟の地》と《解体爆破場》は合わせて6枚の採用で、ミシュラランドや《ミレックス》に仕事をさせません。土地でありながら最大2枚ドローができる《道路脇の聖遺》も4枚採用と、強力ながら色マナの出ない土地が合計で10枚もデッキに投入されており、単色デッキであることの強みを活かしたデッキ構築であることがわかります。
劣勢になったらリセットをかけながら、対戦相手のリソースが尽きるまでひたすら粘り強く戦います。メインとサイド合わせて3枚採用された《侵略樹、次元壊し》は、最終的にライブラリーアウトでの勝利をも見据えたカードです。
《魂の洞窟》の登場により《偉大なる統一者、アトラクサ》が簡単に打ち消せなくなった今、打ち消しに頼らずに勝ち切る構成のコントロールデッキとして注目を集めることになりそうです。
11/25(土)「Standard Showcase Challenge」
つづいて先週の11/25(土)にマジックオンラインにて行われた「Standard Showcase Challenge」の結果を見ていきましょう。
Standard Showcase Challenge
- 1位 ドメインランプ
- 2位 アゾリウスミッドレンジ
- 3位 エスパーミッドレンジ
- 4位 エスパーミッドレンジ
- 5位 エスパーミッドレンジ
- 6位 エスパーミッドレンジ
- 7位 アゾリウス兵士
- 8位 アゾリウスミッドレンジ
優勝 「ドメインランプ」
高速ビートダウンデッキに囲まれながら、優勝したのはドメインランプでした。
採用されているカードを見ても、前環境までのドメインランプとラインナップはほぼ変わらず。唯一の違いといえば《魂の洞窟》が4枚採用されていることでしょうか。《魂の洞窟》で天使を指定することで、《偉大なる統一者、アトラクサ》もキッカー込みの《怒りの大天使》も打ち消される心配はなくなりました。
全体除去が間に合うか否か、という序盤~中盤を乗り越えたあとはドメインランプが支配するゲームへと変わります。クリティカルなカードを都合よく《力線の束縛》で対処できるかどうかも重要なポイントです。
今回の優勝したデッキリストでやや珍しいと感じたのはサイドボードに4枚採用された《痛烈な一撃》でしょうか。赤単アグロデッキに対して極めて有用なカードであることは間違いありませんが、メタ的にそれほど赤単が活躍していたわけではないので、少し意外な選択に思えます。赤単アグロにさえ勝てればどうにかなる、と割り切った上での選択なのでしょうか。
《太陽の執事長、インティ》や《好戦的な一年仔》など、新しいビートダウンデッキの台頭を見据えた上での採用というのも考えられます。
上位が軒並み高速ビートダウンデッキという大会で優勝を勝ち取ったドメインランプ。改めてこのデッキの強さを再確認する結果となりました。
11/26(日)「Standard Challenge 64」
それでは最後に、11/26(日)にマジックオンラインにて行われた「Standard Challenge 64」の結果です。
Standard Challenge 64
- 1位 オルゾフミッドレンジ
- 2位 エスパーミッドレンジ
- 3位 赤単アグロ
- 4位 ドメインランプ
- 5位 エスパーミッドレンジ
- 6位 アゾリウスミッドレンジ」
- 7位 白単コントロール
- 8位 エスパーミッドレンジ
優勝 「オルゾフミッドレンジ」
《地底のスクーナー船》が大暴れをする中、優勝したのはオルゾフミッドレンジでした。
デッキ構成はエスパーミッドレンジに近いものの、メインから《黙示録、シェオルドレッド》を採用したり《永岩城の修繕》がフル投入されるなど、オルゾフカラー独自のチューニングがされています。
《永岩城の修繕》第Ⅱ章の能力により《眠らずの城塞》を捨てて戦場に出す動きはテンポがとても良さそうです。クリーチャー化した《眠らずの城塞》は《忠義の徳目》や裏返った《婚礼の発表》で強化され、ライフドレインをしながら積極的に殴るアタッカーとして重宝します。
サイドボードの《寄生性掌握》はとても良いアイディアで、人間シナジーを活用したアグロデッキが台頭する中で最高の除去カードとなりそうです。先週《千番目の月、アニム・パカル》を採用したボロス人間が暴れましたが、すでにメタカードが発見されているようですね。
メタゲームについて
《ティシャーナの潮縛り》が結果を出し、《偉大なる統一者、アトラクサ》が改めて強さを見せつけ、エスパーミッドレンジも相変わらず安定した成績を残しています。白単のようなコントロールデッキも徐々に活躍を見せていて、高速ビートダウン1強という環境にはならなさそうです。
行弘さんのようにオリジナリティの高いメタ外のデッキを大会に持ち込んで素晴らしい成績を残すという好例もありました。まだまだいろんなカードに活躍のチャンスがありそうですね!
また、今回の記事で取り上げた3つの大会における各TOP8(総勢24)のデッキの内、赤単以外のデッキすべてになんらかの白いカードが採用されています。特に《婚礼の発表》と《忠義の徳目》の採用率には目を見張るものがあり、現スタンダードは白をなくして語れない環境であるといえるでしょう。
白に対して強いこれらのカードにも注目をしたいところです。
大型大会の結果を経て、現スタンダード環境の奥深さの一端が垣間見えました。 個人的にはそろそろ神たちが暴れだす頃合いだと感じています。
さらなる新デッキの活躍が楽しみですね! それではまた来週。