12月4日の禁止制限告知を受けて
皆さん、こんにちは!晴れる屋メディアです。
2023年12月4日、マジック:ザ・ギャザリングの公式ウェブページにて禁止制限告知が発表されました。
パイオニアとモダンにおいてはかなり大きな変化となった今回の禁止制限告知を受けて、各フォーマットが今後どのような盛り上がりを見せるのか、まとめてお伝えします!
パイオニアで解禁&禁止が発表!
まずはパイオニアで《地質鑑定士》と《大いなる創造者、カーン》の禁止が発表されました。
《地質鑑定士》が禁止
《地質鑑定士》による発見コンボの危険性については以前、こちらの記事でも触れさせていただきました。
このデッキは2ターン目の宝物・トークン生成により、3ターン目には《地質鑑定士》の着地からそのままゲームを終わらせてしまいます。
パイオニアに存在するすべてのデッキに対して序盤から《地質鑑定士》への対応を要求してしまうため、健全ではないと判断されたようです。
ただ《地質鑑定士》は禁止になりましたが《クイントリウス・カンド》は使用できるため、発見コンボはまだまだ実現可能です!パイオニアに激震を与えた1枚即死コンボの夢は今しばらく見続けることができそうですね。
《大いなる創造者、カーン》が禁止
《大いなる創造者、カーン》は主に《ニクスの祭殿、ニクソス》を用いた緑単信心などで活躍していました。
《大いなる創造者、カーン》の[-2]能力はサイドボードの脅威や対策カードをあまりにも簡単に持ってくることができてしまいます。
パイオニアにおいてこの戦略を突破するのは容易ではなく、多くのフェアデッキに対して必要以上のプレッシャーをかけ続けてしまっていたことが問題と判断されたようです。
加えて、《大いなる創造者、カーン》の常在型能力によって対戦相手だけが一方的にアーティファクトの起動型能力が使えなくなることでアーティファクトをメインとした戦略のデッキが存在しづらいなど、メタゲームを歪めている可能性もありました。
唯一無二ともいえる能力を持った《大いなる創造者、カーン》が禁止になることは残念ですが、新たにアーティファクト軸のユニークなコンボデッキが誕生する可能性も大いにあり、ワクワクしながら今後のメタゲームを見守りたいと思います。
《密輸人の回転翼機》が解禁!
解禁して大丈夫なのか?と多くのプレイヤーが感じたことでしょう。まさかの《密輸人の回転翼機》の解禁が発表されました。
2016年9月30日発売の『カラデシュ』で登場したこの機体は、当時のスタンダード環境とパイオニア環境で大暴れしました。
序盤から登場する上に軽いコストで搭乗でき、飛行持ちであるゆえの攻撃性能の高さ、攻撃時&ブロック時に誘発するルーター能力の有用性、ミシュラランド同様、ソーサリーのクリーチャー除去があたりにくいなど、さまざまな点で優秀です。
コストが無色2マナというプレイしやすさから採用されるデッキを選ばず、スタンダードではほぼすべてのデッキがメインに4枚フル投入するほどの採用率を誇りました。
また、当時のパイオニアにおいては大量に1マナクリーチャーを採用した高速アグロデッキ「黒単」の隆盛を支えるなど大活躍しました。この時代の「黒単」をパイオニア最高のビートダウンデッキと考えるプレイヤーも多かったのではないでしょうか。
この高すぎるパフォーマンスを受け、《密輸人の回転翼機》は2017年1月20日よりスタンダードで禁止、2019年12月3日よりパイオニアで禁止となります。なんと、スタンダードではわずか3か月ほどしか活躍できなかったんですね。
そして4年の刑期を終え時を経て、パイオニア環境で再び日の目を浴びることになったのです。
それでは実際、《密輸人の回転翼機》はどんなデッキで採用されるでしょうか。
噂では《密輸人の回転翼機》に乗りたくてウズウズしているのが《太陽の執事長、インティ》と言われています。カードを捨てるたびに衝動的ドローが誘発するため相性は抜群。《太陽の執事長、インティ》が搭乗し続ける限り、《密輸人の回転翼機》の上には+1/+1カウンターがどんどん乗っていきます。
《太陽の執事長、インティ》がすんなりデッキに入りそうなラクドスミッドレンジではもちろん、ボロス招集やグルール機体といった前のめりなアグロデッキでの採用も検討されますし、ルーター能力をひときわ有効活用できるパルへリオンシュートなどでも活躍が期待できそうです。
そして《密輸人の回転翼機》が再び暴れることになった場合、対抗策としてパイロットと機体をまとめて対処できる《コラガンの命令》の採用などはいかがでしょうか。
禁止と解禁で大きく環境が変わったパイオニアの今後に注目しましょう!
モダンで《激情》《豆の木をのぼれ》が禁止
つづいて、モダンで《激情》と《豆の木をのぼれ》が禁止された件について簡単にまとめます。
《激情》についてはモダンのTier1デッキであるラクドス想起、カスケードクラッシュ、4色エレメンタルなどに採用されており、クリーチャー・デッキの存在を許さないほどの活躍をしていました。
とりわけ、ラクドス想起における《激情》をピッチコストで唱えて《まだ死んでいない》で蘇らせる動きが特に問題視されました。わずか黒1マナで対戦相手のほとんどのクリーチャーを除去した上に4/4の二段攻撃が戦場に残るのは脅威であり、その支配力によってモダンにおけるクリーチャーを軸としたデッキの多様性が失われていた可能性があります。
想起デッキファンの方々にとって《激情》の禁止は寂しいですが、《悲嘆》や《孤独》といった蘇らせて楽しいクリーチャーはまだまだ健在ですので、新たなステージで想起デッキが活躍することを期待します。
《激情》と共に禁止になった《豆の木をのぼれ》は簡単にカードを引け過ぎました。
モダンにおけるベスト除去カード《力線の束縛》を唱えるだけでカードが引けますし、《孤独》や《激情》をピッチコストで唱えたときのデメリットを帳消しにするばかりか、複数の《豆の木をのぼれ》が戦場にあれば手札がむしろ増えるという事態が起きます。ついには続唱によって《衝撃の足音》の代わりに《豆の木をのぼれ》を唱えるデッキまで誕生するほどのカードパワーを見せつけていました。
《豆の木をのぼれ》が戦場に出たときにはすでにカードを1枚引いているため、最速で《豆の木をのぼれ》を破壊した場合ですら対処したプレイヤーが損をする状況であり、極めて対処が難しいカードと言えるため、禁止もやむを得ないと考えるプレイヤーは多かったのではないでしょうか。
ちなみに《豆の木をのぼれ》はスタンダードやパイオニア、レガシーなどで思う存分使用できますので、まだまだ活躍の場は残されています。
というわけで今回、モダンでは主にトップメタのデッキに対してメスが入る形の禁止制限告知となりました。《激情》の退場によってクリーチャー·デッキの反撃はなるでしょうか。広いカードプールで鳴りを潜めていたクリーチャーたちの新たな活躍を期待します!
パウパーで《僧院の速槍》が禁止
今回、パウパーにて《僧院の速槍》だけが禁止となった理由についてはガヴィン・ヴァーヘイがこちらの記事で説明をしてくださいました。
赤単デッキの勝率が特別に高いというわけではないようですが、サイドボードに赤単対策のカードをなかば強制的に採用させている現在のパウパー環境に変化を与えたいようです。
前回の『第5期パウパー神決定戦』でカルドーサレッドがすさまじい猛攻を見せた場面は記憶に新しく、元来アンコモンであった《僧院の速槍》はパウパーにおいて少しだけオーバーパワーだったのかもしれません。
《僧院の速槍》は禁止となりますが、赤1マナには《ゴブリンの墓荒らし》や《ゴブリンの爆風走り》といった優秀なアグロ向きのゴブリンがいます。これらのゴブリンはいざとなれば《ゴブリンの手投げ弾》で投げれば大ダメージが狙えますし、《僧院の速槍》の穴をしっかりと埋めてくれるのではないでしょうか。
《僧院の速槍》の禁止でパウパーにどのような変化があるか楽しみですね!
次の禁止制限告知はいつ?
各フォーマットの環境に多大なる影響を与える禁止制限告知だけに、どんなタイミングで発表されるのか気になってしまいます。
今回の禁止制限告知からの引用によると
我々は各主要セットの発売の後に告知を出す期間を設定しました。スタンダードのほぼすべての変更は新しい3年制スタンダードのローテーションと繋がった秋の禁止制限告知に年一回だけ行うという目標は変わりません。パイオニア、モダン、レガシー、ヴィンテージの変更は各主要セットの発売後の期間に行われる可能性があります。次の告知期間は『カルロフ邸殺人事件』発売後の2024年3月11日前後です。
とのことですので、ひとまずは大きく環境が変わったパイオニアとモダンに注目し、新たなメタゲームのはじまりを歓迎しましょう!
今後も禁止制限告知を含め、晴れる屋メディアではマジックの新しい情報を随時お伝えしていきます。引き続き、楽しいマジックライフをお過ごしください!