はじめに
みなさん、こんにちは。スタンダード担当の紳さんです。
「Just Nowスタンダード!」では、主なスタンダードの大会結果をまとめてお伝えします。入賞したデッキを紹介しながら、注目のカードやメタゲームの様相、デッキテクニックなどに触れていきますので、参考になれば幸いです。
先週、晴れる屋では『第25期スタンダード神決定戦』が行われました。
神に挑戦する権利をかけた予選では84名が参加し、メタゲームの統計データをとることもできましたので、大会結果と合わせて紹介していきます。 それでは早速、最新のスタンダード大会結果を見ていきましょう!
12/2(土)『第25期スタンダード神挑戦者決定戦』
まずは『第25期スタンダード神挑戦者決定戦』の結果とメタゲームの統計がこちらです。
- 優勝 赤単
- 準優勝 ボロス人間
- トップ4 エスパーミッドレンジ
- トップ4 ナヤ人間
- トップ8 ドメインランプ
- トップ8 ボロス人間
- トップ8 ドメインランプ
- トップ8 ドメインランプ
デッキアーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
エスパーミッドレンジ | 14 | 16.67% |
ドメインランプ | 13 | 15.48% |
赤単 | 5 | 5.95% |
アゾリウス兵士 | 5 | 5.95% |
アゾリウスミッドレンジ | 4 | 4.76% |
アゾリウス召集 | 3 | 3.57% |
アゾリウスフラッシュ | 3 | 3.57% |
ゴルガリミッドレンジ | 3 | 3.57% |
ボロス人間 | 3 | 3.57% |
グルール恐竜 | 3 | 3.57% |
そのほか(使用者2名以下) | 28 | 33.33% |
メタゲーム的にはエスパーミッドレンジと版図ランプの2強となり、赤単やアゾリウス兵士といったアグロデッキが追随する形となりました。
優勝 「赤単」
エスパーミッドレンジと版図ランプを退け、84名の頂点となったのは矢島 広道さんの赤単でした。
赤単は現スタンダード環境で最速・最効率でライフを削りきるコンセプトのアグロデッキです。
一見、単純なデッキに見えますがクリーチャーを出す順番・タイミング、火力の使い方、リソース管理など、1つの判断ミスがそのまま敗北につながるほどシビアなプレイングを要求されるデッキです。
一方、単色であることや採用している呪文のマナコストが軽いことから、多色デッキよりも毎ゲーム安定した動きを再現できる確率が高いデッキと考えられます。
本来、赤単は絆魂を持ったクリーチャーやライフゲイン戦略に弱く、サイドボードによる対策も容易であることから弱点がとても多いデッキです。
しかし、現スタンダード環境のメタゲーム的には多色デッキが多く、トライランドのようなタップイン土地も多く採用されています。加えて、ほんの少しでもマナスクリューやマナフラッドといった「事故」が起きればテンポの面で大きく遅れをとり、その隙を赤単が見逃すことはありません。
矢島さんのデッキのサイドボードには《勝負服纏い、チャンドラ》や《タルキールへの侵攻》のようなロングゲームを見据えたカードが採用されており、少しぐらいの相性の悪さは乗り越えられる工夫もされていました。
メタゲームを上手く読んだ上で、どんなデッキが相手でも安定した勝率が見込める強度の赤単を作り上げたという印象です。
準優勝 「ボロス人間」
惜しくも神への挑戦権を逃しましたが、小林 輝さんのボロス人間も素晴らしいパフォーマンスを見せました。
《内なる空の管理人》は成長すると恐るべき飛行戦力を持ったフィニッシャーとなります。《イーオスの遍歴の騎士》はリソースを回復しながら戦線を維持できる強力なクリーチャーで、《毅然たる援軍》はたった1枚でクリーチャーカウントを2増やせるデッキの屋台骨のような存在です。
サイドボードを含めても赤の要素は《イモデーンの徴募兵》と《ランタンのきらめき》だけで、実質的には白単人間に近いデッキです。それゆえに高い安定性を誇るビートダウン戦略を実現します。
サイドボードには4枚の《婚礼の発表》。裏返れば同型デッキとの戦いにおいてクリーチャーのサイズで上回ることができ、苦手とする《集団失踪》や《太陽降下》など全体除去からの復興も助けてくれます。
ボロス人間もまた、赤単と同じく現環境のメタゲームに合った高い安定性と勝率を誇るデッキだと感じます。
12/3(日)『第25期スタンダード神決定戦』
並みいる強豪を打ち破った矢島さんの赤単を迎え撃ったのは、スタンダード神・酒井 達也さんでした。
神の使用デッキ 「エスパーミッドレンジ」
酒井さんが選択したデッキはやはりエスパーミッドレンジ。神も認める現環境の最適解ということでしょう。
しかし、普通のエスパーミッドレンジとは一味違います。もはや固定パーツと思われた《地底のスクーナー船》は不採用 で、メインから《黙示録、シェオルドレッド》を3枚採用するなど神ならではのチューンアップが施された特別仕様です。
《黙示録、シェオルドレッド》が戦場にいる状態で《策謀の予見者、ラフィーン》の謀議能力が誘発すると、大量のライフを得ることができます。
サイドボードの《常夜会一家の介入者》は《魂の洞窟》の庇護を受けた《偉大なる統一者、アトラクサ》を着地させることなく手札に戻すことができるナイスカード。絆魂を持つパワー3のクリーチャーであり、アグロデッキに対しても効果的です。
まさに現スタンダード環境にフィットした必殺のサイドボードで、「さすがは神!」と感心しました。
赤単VSエスパーミッドレンジとなった『第25期スタンダード神決定戦』。酒井さんのデッキにはメインから多数採用された絆魂持ちクリーチャーに加え、《黙示録、シェオルドレッド》による大量ライフゲインの可能性もあり、赤単にとってかなり不利なマッチアップに思えます。
しかし、終わってみれば赤単の快勝で、見事に矢島 広道さんが第25期スタンダード神の座に輝きました!
赤単というデッキからは多少の不利やデッキ相性の悪さも勢いで乗り越えるパワーを感じます。
12/2(土)『Standard Challenge 32』
つづいて、マジックオンラインにて行われた12/2(土)の『Standard Challenge 32』の結果がこちらです。
- 1位 エスパーミッドレンジ
- 2位 赤単
- 3位 アゾリウス兵士
- 4位 赤単
- 5位 エスパーミッドレンジ
- 6位 赤単
- 7位 パワーストーンランプ
- 8位 ディミーアミッドレンジ
トップ8に赤単が3名入賞するなど、ここでも安定した結果を残しています。
優勝 「エスパーミッドレンジ」
優勝したのはエスパーミッドレンジで、ここでは赤単の猛攻を凌ぎきったようです。
優勝者のデッキには今をときめく大人気カード、《ティシャーナの潮縛り》がメインから2枚、サイドボードに1枚採用されていました。改めてカードパワーの高さが広く認知されたようですね。
プレインズウォーカーをただの置物に変えたり、《魂の洞窟》&《偉大なる統一者、アトラクサ》の最強ムーブも弱体化させるなど、なにかと《ティシャーナの潮縛り》で対応できる場面が多いです。万能ではないけど、いろいろとできる、使っていて楽しいカードですね。
注目入賞デッキ 「ディミーアミッドレンジ」
トップ8に少し珍しいアーキタイプのデッキを見かけたので紹介します。
メインから《ヨーグモスの法務官、ギックス》と《黙示録、シェオルドレッド》を4枚ずつ採用という殺意の高さを見せている新型のディミーアミッドレンジです。
そもそも伝説のクリーチャーを4枚採用すると手札でダブついたときが心配ですが、《ヨーグモスの法務官、ギックス》と《黙示録、シェオルドレッド》は戦場に残っているだけでどんどん有利な展開を呼び込めるため、伝説であるデメリットなど気にする必要がないようです。
小粒ながら確実にライフを詰めてくれそうな飛行クリーチャーたちは《ヨーグモスの法務官、ギックス》と相性抜群で、《地底のスクーナー船》の乗組員としても優秀です。
エンチャントやアーティファクトにほとんど触れないことが気がかりですが、軽いクリーチャー除去や打ち消しを構えながらビートダウンを継続できるのはディミーアカラーの強みといえます。クロックパーミッションに近い動きもできそうです。
採用しているクリーチャーのスタッツが高くないため、赤単やボロス人間、アゾリウス兵士との戦いでは地上と飛行ですれ違いながらライフレースを挑む展開が多いかもしれません。そんなとき、《黙示録、シェオルドレッド》のライフドレイン能力はとても強く感じるでしょう。
今のメタゲームに合っているかどうか不明ですが、今後の活躍が気になるデッキですね。
12/3(日)『Standard Challenge 64』
つづいて、12/3(日)の『Standard Challenge 64』の結果はこうなりました。
- 1位 赤単
- 2位 バントコントロール
- 3位 グルールアグロ
- 4位 パワーストーンランプ
- 5位 ラクドスコントロール
- 6位 アゾリウスミッドレンジ
- 7位 エスパーミッドレンジ
- 8位 アゾリウス兵士
アグロ、ミッドレンジ、コントロール、アーティファクト軸のランプなど多種多様なデッキが入賞しました。とても興味深い結果ですね。
優勝 「赤単」
混戦のなか、優勝したのは赤単でした。赤単の勢いが止まりませんね!
このリストではメインから《魔女跡追いの激情》を4枚採用しています。《フェニックスの雛》のようにブロックされにくいクリーチャーや、攻撃クリーチャーの数を一気に増やせる《怪しげな統治者、スクイー》と相性が良さそうです。天敵でもある《黙示録、シェオルドレッド》を除去できるのが強いですね。
4枚採用されることも珍しくない《巨怪の怒り》が不採用である点は少し気になりました。対応して除去されたときの裏目を懸念しているのでしょうか。
今回の優勝者は《祭典壊し》3枚、《焼炉の懲罰者》4枚、《ウラブラスクの溶鉱炉》4枚、《石術の連射》4枚という 、単純明快なサイドボードを用意していました。カードを散らしたりせず、特定のデッキに対して効果的なカードを厳選したようです。
ひとえに赤単といってもいろんな構築があることがわかりますね。
注目入賞デッキ 「パワーストーンランプ」
これまで見かけなかったパワーストーンランプですが、前日の『Standard Challenge 32』につづいて2日連続の入賞です。
《市場のノーム》や《スランの蜘蛛》はアグロデッキの猛攻に対して少しの時間を稼いでくれそうです。
このデッキにおいては《太陽降下》よりも《不安定な象形橋》が優先して採用されています。全体除去をしながら、いざとなれば裏面がフィニッシャーとなりえます。
《千の月の鍛冶場》もフィニッシャーとして十分な性能だと思いますが、それでも《街並みの地ならし屋》が不採用なのは思いきった決断です。これまでのパワーストーンランプでは除去兼フィニッシャーとして必ず採用されてきました。
アグロデッキが隆盛している現在のメタゲーム的に《街並みの地ならし屋》が活躍する機会は少ないと判断したのでしょうか。
《編まれた網》も4枚採用されるなど、これまであまり注目されなかったカードも活躍しているようです。強さが未知数なデッキですが、今後もメタゲームに絡んでくるのか要注目です。
メタゲームについて
各大会の結果からもわかるように赤単が暴れています。先週まではエスパーミッドレンジと版図ランプの2強と思われましたが、今はアグロデッキが有利なのかもしれません。
一方でコントロールデッキやランプデッキの入賞も確認でき、どのデッキにもまんべんなくチャンスがあるようです。とても混沌としたメタゲームの様相を呈してまいりました!
こうなると、各種ローグデッキの活躍にも注目しなければなりませんね。
例えば先週のマジックオンライン上で行われた『Standard Last Chance』では海賊デッキが4-1という好成績を収めました。
海賊が攻撃することで最大3つの誘発型能力が発動する《熱心な略奪者、ブリーチェス》の戦闘能力は随一です。宝物や地図・トークンが戦場にでるたびに《コズミュームの略奪者、風雲船長》によって海賊が強化され、想像以上の破壊力があります。
同族デッキは海賊だけじゃありません。少しずつ使用者が増えてきた恐竜デッキにも注目です。
《イクサーリの伝承守り》のマナ加速から最速2ターン目に登場する6/6の《好戦的な槌頭》は赤単ではどうしようもありません。《嘶くカルノサウルス》のカードパワーはスタンダードでも随一ですし、メタゲームを脅かすポテンシャルは存分にあります。
海賊も恐竜もこれからの活躍が楽しみなデッキですが、もしかしたら将来的には大会で海賊VS恐竜という夢の対決が実現するかもしれませんね!
海賊VS恐竜といえば
海賊VS恐竜といえば、今週12月9日(土)に「マジック:ザ・ギャザリング超感謝祭」というイベントが開催されます!!
楽しい催し物がたくさん行われるようですが、なかでも気になるのはメインイベントの海賊VS恐竜です。海賊陣営と恐竜陣営に分かれてBO3のスタンダード勝負が行われ、勝利数を競うイベントなのだとか。
開催場所やタイムスケジュールなど「マジック:ザ・ギャザリング超感謝祭」のより詳しい情報については、いってつさんがこちらの記事で説明してくれてますので、ぜひともご覧ください。
週末も楽しいマジックライフをお過ごしくださいね。それではまた!