TLS2023の現場から:初日突破者のデッキ選択
晴れる屋メディアチーム
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全国各地での予選を突破した強豪、”神”タイトル獲得者、そして招待されたプロプレイヤー。252人がしのぎを削ったTHE LAST SUN 2023初日。
パイオニア4ラウンド、レガシー4ラウンドで5勝したプレイヤーが2日目に進むことができる。厳しい戦いを乗り越えた初日突破者にデッキ選択の理由を聞いてみよう。
高橋 優太
Card Rush Pros所属。「青黒フェアリー」での国内グランプリ2連覇をきっかけに、マジックに人生をオールイン。第27回マジック世界選手権では世界王者の座を獲得し、プレイヤー・スポットライト・カード《フェアリーの黒幕》となった。
――初日を5-0と無敗で突破、おめでとうございます。パイオニアではフェニックスを使用されていましたね。最近は赤マナの出るマナベースを持たない”ダークフェニックス”が話題ですが、高橋選手のフェニックスはどのようなものなのでしょうか。
「今回使用したのはティムールフェニックスです。《探索するドルイド》を使いたくて緑を加えています」
――レガシーでも《探索するドルイド》を入れるためにデルバーがティムールカラーになっていますね。
「出来事で唱えると2枚の衝動ドロー+本体で1枚のカードが3枚分になり、非常に強いです」
「《探索するドルイド》はフェニックスにおいてはキャントリップでサイズを上げることができるだけでなく、フェニックスに対してサイドインされる墓地対策を無視できるクロックです」
「一見フェニックスと相性がよさそうな《錠前破りのいたずら屋》ですが……1/3飛行警戒なんて出してもしょうがない。その点、《探索するドルイド》は本体も強いのがいいところ」
――続いてレガシーについてお尋ねします。今大会、”多色豆の木”はレガシー最大勢力となりました。どういったところが魅力だと思いますか。
「《豆の木をのぼれ》使いたいですよね。《表現の反復》よりも引けます。除去撃たれても相手が損します」
――《豆の木をのぼれ》コントロールは4色以上にするプレイヤーが多い中、高橋選手のデッキは青黒緑の3色におさえていますね 。これはなぜですか。
「《不毛の大地》を使いたかったからです。色を増やせば増やすほど《不毛の大地》に弱くなります。一方で3色くらいなら自分も《不毛の大地》が使えます。いまのレガシーには《ウルザの物語》や《古えの墳墓》など強い土地がたくさんありますから、《不毛の大地》はぜひ使いたいカードです」
――高橋選手にとって今年の大きなトピックに《フェアリーの黒幕》があると思います。改めて振り返ってみていかがですか。
「自分のアイコンができてうれしいですね!もしいつかマジックをやめたとしても……そんなことはないんだけども(笑)、マジックの歴史にカードとして残ることができた。本当に光栄なこと。教科書に載ったようなものです」
吉森 奨
BIGs所属。昨年の「 THE LAST SUN」優勝者。「マジックはスポーツであり、プレイヤーはアスリート」と信条に掲げる。ほかにLMCC2014 優勝 PWCC2014 トップ4など。
――パイオニアでは《奇怪な具現》コンボを使用していましたね。
「やっぱり慣れているデッキにしたいと思いました!」
「《地質鑑定士》型の発見コンボがいなくなって、《密輸人の回転翼機》が解禁されたから、環境がアグロに動くと考えました。アグロとの戦いではこちらが有利。逆に、自分が苦手な青白のコントロールデッキは減ります」
「常滑(チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1)では《クイントリウス・カンド》型の発見コンボを使用していました。こちらは禁止を免れましたが、これもボロス召集のような早いアグロデッキは厳しいと判断しました」
――今日は早いコンボデッキとして「アブザン探検コンボ」も少なくありませんが、対戦はいかがでしたか。
「クリーチャーを触るのは得意なので苦手意識はありませんでしたが、数は多いと思っていたので《巨大焦がし大口》をメインとサイドに1枚ずつ入れていました。対戦相手のライフゲインを止めるので、コンボの阻害になります。探検コンボのクリーチャーは小粒ばかりなので、4/3は壁としても十分強力で、うまく時間を稼いでくれます」
――レガシーは豆の木コントロールですね。これはなぜでしょう。
「正直、レガシーはメインのフォーマットではないので自信がありません。でも、この一年は《豆の木をのぼれ》と《力線の束縛》に世話になったからね!今年の最後はこのカードを使いたかったんです」
河合 伶旺
第23期モダン神、モダン東海王、プレイヤーズコンベンション千葉2023 モダンオープン優勝など、《不屈の独創力》コンボでこの1年のモダン競技シーンで存在感を示してきた。今年のモダンシーンの主役の1人と言えるだろう。
――河合選手といえば《不屈の独創力》デッキの使い手としてモダンでの活躍が目覚ましい1年でしたね。今回はパイオニアなんですが……
「はい!《不屈の独創力》です!」
「正直、練習する時間がなかなか取れなくって、慣れているデッキを使いたいと思ったんです。コントロールデッキなら実際にゲームしなくても対戦を見ることで練習できます。それに……やっぱり好きなカードですしね!」
――レガシーは《魔の魅惑》ですね。これはなぜでしょう。
……というと?
「そう、4マナで急に勝つという意味では《不屈の独創力》なんですよ!」
「実はレガシーはもともと遊んでいなかったんですが、神決定戦の対局料とモダンオープンの賞金を何に使おうかって考えたときに、”マジックで手に入れた金はマジックで使わなきゃな!”って思ってレガシーを組むことにしました。友達にいろんなデッキを貸してもらったんですが、一番気に入ったのが《魔の魅惑》だったんです」
「クリーチャーで勝つデッキが好きですね。パイオニアの《不屈の独創力》でも《残虐の執政官》だしたいな~」
片山 龍一
先日の第5期パウパー神決定戦で「カルドーサレッド」を使用し、神の4期防衛を阻みあらたなパウパー神の座に就く。過去にはEternal Party 2020でトップ8入りなど、エターナルフォーマットで活躍する。
――パイオニアはボロス召集ですね。奇しくも先日のパウパー神決定戦と似ていますが、偶然ですか?
「どちらも不慣れなフォーマットなので、”押し付け”の強いデッキを使いたいと考えていました。結果、似たようなデッキ選択になっちゃいましたね」
――レガシーはなぜ《死の影》なのでしょうか。
「自分はレガシーがメインのフォーマットで、《死の影》は長くプレイしている慣れたデッキです。好きなカードを使いたかったんです」
――現在のレガシー環境を鑑みて、《死の影》の立ち位置はいかがでしょう。
「あんまりよくないですね。《豆の木をのぼれ》コントロールが増えたことで、環境に《剣を鍬に》が増えてしまいました」
「《剣を鍬に》を撃たれると自分のライフが増えてしまって《死の影》が小さくなってしまいます。コンバットで常に《剣を鍬に》をケアして動かないといけない。でも好きなカードを使いたかったので」
平山 怜
Hareruya Pros所属。プロツアー『ドミナリア』への出場を皮切りに若くして競技シーンへと飛び込む。 一線を画すプレイスキルと高いマジックIQにより、『The Finals 2019』『プレイヤーズツアー・オンライン3』で準優勝、『チャンピオンズカップファイナル サイクル1』では念願の優勝を果たすとともにマジック最高峰の舞台・世界選手権への出場を決める。 また、晴れる屋が行う『神決定戦』では、ユーモア溢れるワードセンスと忌憚のない解説が人気。
松浦 拓海
Hareruya Pros所属。アグロデッキを得意とし、エリア予選を赤単アグロで、チャンピオンズカップファイナル サイクル1を白単人間で突破すると、プロツアー・ファイレクシアでも同じく白単人間で自身初となるトップ4に入賞。店舗予選から一気に世界選手権の権利まで獲得し、スター選手の仲間入りを果たす。 また、同シーズンの全プロツアーで2日目に進出しており、安定感のある実力者であることを証明した。
――平山さんはアブザン探検コンボですね。
平山「ええ。これは《地質鑑定士》なので(※3ターンキルが可能なデッキという意味)」
――松浦さんはいつもの白単
松浦「ええ。今回のテーマは感謝です(プロツアー『ファイレクシア』でトップ4に入れた思い入れのあるデッキを使いたかったという意味)」
――コンボデッキが得意な平山さん、アグロが得意な松浦さんらしい選択ですね
――パイオニアの最大勢力はラクドスでしたが、お二人から見てどう感じますか?
平山「コプターが入ってアグロに寄っている印象。そんなにって感じです」
松浦「まだ答えにたどり着いていないって感じはします。《太陽の執事長、インティ》とか、《輝かしい聖戦士、エーデリン》をブロックするだけのクリーチャーになってたし。逆に、もっと研究が進んだら手が付けられなくなるのかも」
――「レガシーはお二人そろってラクドスリアニメイトでしたね。ご一緒に調整されたのでしょうか」
平山「ぜんぜん、たまたまです。こいつ(松浦)、デッキが同じだと知らずに俺からカード借りようとしてましたからね!」
松浦「デルバーもいいなーと思っていたんですけど、練習時間が少ない中で使うには厳しいと思ってリアニメイトにしました」
平山「まあ、我々”フェアデッキ”を愛するものとしてはね!リアニメイトは1マナで7/7の生物を出して殴るデッキだから」
松浦「もっと練習する時間があればなー」
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