TLS2023の現場から:黒単マスターが語る《ドロスの魔神》

晴れる屋メディアチーム

黒単マスターが語る《ドロスの魔神》

パイオニア3ラウンド目が終了した。

この時点で3-0している上位卓にあの男の姿があった。

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あらゆるフォーマットで黒単を使い、デーモンコレクターとしても知られるナカノ アキノリ選手だ。

聞けば、《ドロスの魔神》で順調に勝ち点を稼いでいるのだという。

ドロスの魔神

「今日はパイオニア、レガシーで《ドロスの魔神》8枚ですよ」

黒単、そしてデーモンに精通するナカノ選手に《ドロスの魔神》の魅力をたずねた。

ドロスの魔神

「黒4マナということで、まず《黙示録、シェオルドレッド》と比較されていますが、こちらは制空権を得るという点で秀でています。また、タフネスが《黙示録、シェオルドレッド》より大きい6ということで、フェニックス系デッキでみられる《稲妻の斧》を耐えることができます」

黙示録、シェオルドレッド稲妻の斧

《黙示録、シェオルドレッド》も自身が殴ることができれば6点クロックですが、チャンプブロックされればそうはいきません。その点、《ドロスの魔神》はそもそもがブロックされにくいうえに、チャンプブロックされてもやはり2点クロックです」

対戦相手がコントロールしているクリーチャー1体が死亡するたび、それのコントローラーは2点のライフを失う。

――なるほど、そう聞けば《ドロスの魔神》のほうがより信頼のおけるクロックのように感じます。

「それに、《黙示録、シェオルドレッド》と違ってこいつは伝説じゃないんで重ね引きしてもOKです。誘発が重なるようになるのでより強力です。元はシェオルドレッド4枚、魔神3枚でしたが、枚数が逆転しました」

ドロスの魔神は、油カウンター4個が置かれた状態で戦場に出る。

あなたのアップキープの開始時に、ドロスの魔神の上から油カウンター1個を取り除く。その後、これの上に油カウンターがないなら、あなたはこのゲームに敗北する。

――《ドロスの魔神》といえば、登場時に特殊敗北効果が話題になりました。実際、この効果で負けることはありますか?

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8枚の魔神を前に力説するナカノ選手

「このカードめちゃくちゃ使ってるので、負けたことも”ないことはない”のですが、本当に数えるほどですね。《ドロスの魔神》で 3回殴ってもまだ相手が死んでいないって状況って、めちゃくちゃ絆魂されているとかでそもそも《ドロスの魔神》関係なく負けているはずなんです」

無情な行動

《無情な行動》でカウンターを取り除かれてしまう……ということもなくはないのですが、かなりのレアケースですね」

――レガシーではいかがですか。

「対戦相手のクリーチャーが死亡することで発生する2点ルーズが強力です。例えばセファリッドブレックファーストとの対戦では《戦慄の復活》をフラッシュバックで唱えたら6点ルーズになるため、ライフレースがより簡単になります。対戦相手によっては《黙示録、シェオルドレッド》よりも強いです」

Hagra Maulingハグラの群れ穴

―― 《ハグラの噛み殺し》 も気になります。これはどういった意図なのでしょうか。

これは 《金属モックス》 に刻印できる土地です。はじめは《アガディームの覚醒》にしていたんですが、これは呪文としてプレイする機会がほとんどなくて、アンタップインすることもあんまりなかったんです。結果、除去の方が強いという判断になりました」

ナカノ選手をTCの対戦スペースに見送ったあと、私は《ドロスの魔神》の価格を調べた。執筆時点で300円。このカードが本当に《黙示録、シェオルドレッド》よりも優先されるカードなのだろうか。

そう考えているうちに第4ラウンドが始まり――私はゲームを観戦した。ボロス召集相手に鮮やかに2-0。《上機嫌の解体》で2点ルーズが発生。つぎつぎ出てくる小粒のクリーチャーでは《ドロスの魔神》がまったく止まらない。《黙示録、シェオルドレッド》ではこうはいかなかっただろう。ナカノ選手は《ドロスの魔神》とともにパイオニアのラウンドを全勝で終わらせた。

2日目にはフィーチャーテーブルに登場。その鮮やかなゲームメイク、《ドロスの魔神》の使われ方に注目。

そして私はひっそりと《ドロスの魔神》を4枚注文したのだった。

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