第13期パイオニア神挑戦者決定戦:メタゲームブレイクダウン

晴れる屋メディアチーム

第13期パイオニア神挑戦者決定戦:メタゲームブレイクダウン

2024年。

1月の冷たい空気が肌を刺す朝、第13期パイオニア神挑戦者決定戦に参加する150名のプレイヤーが高田馬場に集結した。

大いなる創造者、カーン地質鑑定士密輸人の回転翼機

昨年の「チャンピオンズカップファイナル愛知」から「禁止制限告知」、「THE LAST SUN2023」までの激動の3週間を経て、『イクサラン:失われし洞窟』後のパイオニア環境もそろそろ成熟しつつある頃だろうか。

新年最初の大型イベントとなった今回のパイオニア神挑戦者決定戦。今年一年の幸先の良いスタートを切るべく参加者が選択したデッキは如何に。

さっそく実際のメタゲームを見ていこう。

メタゲーム

デッキ 使用者数 使用率
ラクドスミッドレンジ 31 19.75%
アゾリウスコントロール 15 9.55%
アブザン探検 9 5.73%
イゼットフェニックス 8 5.10%
赤単 7 4.46%
ロータスコンボ 6 3.82%
異形化コンボ 6 3.82%
グルール機体 6 3.82%
奇怪な具現 5 3.18%
ゴブリン 5 3.18%
パルへリオンシュート 4 2.55%
アゾリウスロータス 4 2.55%
白単人間 4 2.55%
ディミーアフェニックス 3 1.91%
灯の分身コンボ 3 1.91%
白日の下にコントロール 3 1.91%
風景の変容コンボ 3 1.91%
ボロス召集 2 1.27%
イゼットエンソウル 2 1.27%
呪禁オーラ 2 1.27%
アタルカレッド 2 1.27%
青黒コントロール 2 1.27%
その他 25 15.92%
合計 157 100.00%

※提出されたすべてのデッキリストを集計しています。実際の参加人数は150名でした。

▼ラクドスミッドレンジ 31名(19.75%)

鏡割りの寓話思考囲い砕骨の巨人

使用率1位に輝いたのはラクドスミッドレンジ。《鏡割りの寓話》を中心に、《思考囲い》《砕骨の巨人》をはじめとする黒と赤の優秀な呪文を駆使して戦うデッキだ。 群雄割拠のパイオニアであらゆる対面に五分以上の戦いを見込めるという点は、このデッキを使うには十分すぎる理由になるだろう。

密輸人の回転翼機太陽の執事長、インティ

最近のラクドスミッドレンジでは相手のライフを攻めることに特化したタイプが一般的になってきている。《密輸人の回転翼機》《太陽の執事長、インティ》は序盤から積極的に攻めていけるカードでありながら、《密輸人の回転翼機》のルーティング能力と《太陽の執事長、インティ》の手札を捨てた時の能力が噛み合うことでアドバンテージを稼ぐことができる。対戦相手には無視できない脅威となるだろう。

死の飢えのタイタン、クロクサ

《死の飢えのタイタン、クロクサ》の採用も再び定着化しつつある。《密輸人の回転翼機》《太陽の執事長、インティ》の能力による手札の捨て先として最高のカードでありながら、墓地から脱出してゲームを速やかに終わらせることもできる。(その脱出に必要なコストも《密輸人の回転翼機》《太陽の執事長、インティ》がまかなってくれる!)

勢団の銀行破り

またラクドスミッドレンジの中には《勢団の銀行破り》を採用してリソース勝負に持ち込めるようにしたタイプも存在する。特にラクドスミッドレンジミラーでは互いに1:1交換を繰り返して消耗戦になることも多いため、《勢団の銀行破り》によるカードアドバンテージの差で勝負を決める狙いがあるのだろう。

▼アゾリウスコントロール 15名(9.55%)

吸収ドミナリアの英雄、テフェリー放浪皇

ラクドスミッドレンジに続いたのはアゾリウスコントロール。各種カウンターと全体除去で序盤をしのぎ、《放浪皇》《ドミナリアの英雄、テフェリー》で蓋をするクラシカルなコントロールデッキだ。先月行われた「THE LAST SUN 2023」では数を減らしていたが、ここにきて一気に使用率を伸ばしている。

一時的封鎖

これまでサイドボードでの採用が多かった《一時的封鎖》だが、今は《至高の評決》の枠を押しのけてメインボードからの採用がトレンドなようだ。3マナと軽く、クリーチャー以外も対処できる「追放」除去であるという点で、《一時的封鎖》の方が今のパイオニア環境にマッチしているのかもしれない。隆盛しているアブザン探検はもちろん、ラクドスサクリファイスやボロス招集にも劇的に刺さるカードだ。

孤児護り、カヒーラオレスコスの王、ブリマーズ威厳あるカラカル

サイドボードには相棒《孤児護り、カヒーラ》をはじめとする猫クリーチャーが複数採用されている。除去を減らしてきた相手に対し、クリーチャーでのビートダウン戦略をとるアグレッシブサイドボードだ。 《オレスコスの王、ブリマーズ》で猫トークンを展開し、《威厳あるカラカル》で絆魂とサイズアップを付与すればダメージレースをひっくり返すことができる。

クチルの側衛

《クチルの側衛》は他のサイドカードとシナジーを持つ「猫」クリーチャーでありながら墓地対策やライフゲインもできるいぶし銀なカードだ。限られたサイドボードの枠で「クリーチャー枠」と「墓地対策枠」を1枚で兼任している。イゼットフェニックス等に対しては《呪文貫き》《否認》されない墓地対策として活躍できそうだ。

▼アブザン探検 9名(5.73%)

アマリア・べナヴィデス・アギーレ野茂み歩き

使用率3位はアブザン探検。《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》《野茂み歩き》による無限探検を軸にしたコンボデッキで、現在のパイオニアでは最速となる3ターンキルも可能なデッキだ。昨年12月の禁止制限告知以降に急激に数を増やしており、「THE LAST SUN 2023」ではラクドスミッドレンジに次いで使用者が多かった。

アブザン探検は研究が進んだことでリストの大半が固定化されつつある。「THE LAST SUN 2023」の時点ではまだ採用にバラつきがあったが、最近はほぼ固定化されつつあるのが《霊気貯蔵器》だ。

霊気貯蔵器

《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》《野茂み歩き》とのコンボによって得たライフをそのまま勝利に変換できるのが《霊気貯蔵器》だ。《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》のパワーが20になるまでの「探検」で、もし《霊気貯蔵器》が見つかったらそのままデッキトップに置いておく。そうすれば、もし《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》が除去されてしまったとしても、その過程で得た大量のライフをコストに《霊気貯蔵器》の50点砲で勝利することができるのだ。

〇注目デッキ「赤単」

熊野と渇苛斬の対峙僧院の速槍勝負服纏い、チャンドラ

赤単の使用者がなんと7名!イゼットフェニックスに次いで全体で5番目の使用率となった。パイオニアのアグロデッキの座を白単人間やボロス招集に明け渡していた赤単だが、ここにきて環境の隙を突くことに成功するのだろうか?ここからは赤単使用者7名中3名が使用していた一風変わった赤単を紹介する。

最深の力、オヘル・アショニル

イクサランの深淵の神、《最深の力、オヘル・アショニル》が4枚採用!「エルドレインの王権」期のスタンダードで大活躍した《朱地洞の族長、トーブラン》を彷彿とさせるこのカード。自分が戦闘以外のダメージを対戦相手に与えるなら、それを《最深の力、オヘル・アショニル》のパワー分にしてしまう豪快な能力を持つ。《最深の力、オヘル・アショニル》が戦場にいる時に 《熊野と渇苛斬の対峙》 を出せば4点ダメージ!

大歓楽の幻霊暴れ回るフェロキドン

《最深の力、オヘル・アショニル》の能力を最大限活かすため、戦闘以外でもダメージを与えられるような構成になっている。《大歓楽の幻霊》は軽い呪文を連打するデッキに取っては悪夢のようなカードで、除去を探すためにドロー呪文を唱えることすら難しくさせる。《暴れ回るフェロキドン》はライフ回復を阻害しつつ、クリーチャーの展開を咎める。どちらも細かくダメージを刻んでいくタイプのカードだが、《最深の力、オヘル・アショニル》と組み合わさることで、残りライフを一気に致死圏内まで持っていかれてしまうだろう。

展望

2024年最初のパイオニアメタゲームブレイクダウンをお届けした。

最大母数は依然ラクドスミッドレンジであったが、全体としては群雄割拠の環境になっていると言えるだろう。 とはいえ、このままラクドスミッドレンジの天下が続くのであれば《奇怪な具現》のようなスケールで押しつぶすデッキが再び頭角を現してくるかもしれない。

1か月後には新セット『カルロフ邸殺人事件』の発売を控えている。《偉大なる統一者、アトラクサ》を筆頭に、2023年に発売されたセットはどれもパイオニアに大きな影響を与えた。2024年のパイオニアはどんなカードが登場し、活躍するのだろうか。今年も引き続き、パイオニアのメタゲームに注目だ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

晴れる屋メディアチーム 晴れる屋メディアチームの記事はこちら

このシリーズの過去記事

過去記事一覧へ