はじめに
みなさん、こんにちは。
2024年もモダンの情報をみなさんにお届けしていきたいと思うので、よろしくお願いたします。
今回の連載では『SCG CON Cincinnati 2024』で開催された2つのイベントと、マジック・オンラインの『Modern Super Qualifier』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCG Con Modern $10K
新カードで強化されたマーフォーク
2024年1月7日
- 1位 Merfolk
- 2位 Dimir Mill
- 3位 Izzet Murktide
- 4位 Dimir Control
- 5位 Temur Rhinos
- 6位 5C Creativity
- 7位 Amulet Titan
- 8位 Asmo Food
アメリカ・オハイオ州のシンシナティで開催された『SCG CON Cincinnati 2024』で、モダンの大規模なテーブルトップイベントがありました。
定番のデッキが結果を残すなかで、優勝したのはMerfolkでした。
デッキ紹介
Merfolk
『イクサラン:失われし洞窟』で登場した《ティシャーナの潮縛り》によって強化されたデッキです。
Merfolkは長い間モダンで活躍しているアーキタイプで、《ヴォーデイリアの呪詛抑え》や《海と空のシヴィエルン》など最近のセットからの新戦力を獲得して強化され続けています。
禁止改定により《激情》が退場したことも、単体では小粒なサイズのクリーチャーを並べるこのデッキにとっては朗報です。《霊気の薬瓶》や《魂の洞窟》のおかげでカウンターに耐性があるため、青いデッキに強い構成になっています。
☆注目ポイント
《ティシャーナの潮縛り》は起動型能力をカウンターできるので、《仕組まれた爆薬》や《忘却石》といったスイーパー対策になります。《ヴォーデイリアの呪詛抑え》や《マーフォークのペテン師》と同様に瞬速持ちなので奇襲性もあり、隙を作らずに展開していくことができます。
『イクサラン:失われし洞窟』から登場したもうひとつの新戦力である《深根の巡礼》は、《リシャーダの荷運び》のようにタップ能力を持つマーフォークと相性が良く、除去を多用するデッキとのマッチアップで役に立ちます。
増加傾向にあるGolgari Yawgmothを対策するために、サイドには《呪われたトーテム像》が採用されています。
Merfolkは《虚空の杯》を強く使えるデッキです。X=1で設置しても《霊気の薬瓶》や《魂の洞窟》があるのでそれほど自分には影響がなく、《稲妻》や《致命的な一押し》などの1マナ除去を封じることができます。X=0で設置すれば、Living EndやTemur Rhinosといった「続唱」デッキ対策にもなります。
SCG Con Modern $20K
禁止改定後のモダンのトップメタ
2024年1月6-7日
- 1位 Golgari Yawgmoth
- 2位 Azorius Control
- 3位 Golgari Yawgmoth
- 4位 4C Control
- 5位 Rakdos Scam
- 6位 Temur Rhinos
- 7位 Temur Rhinos
- 8位 Esper Midrange
『SCG CON Cincinnati 2024』で開催されたもうひとつの目玉イベント。禁止改定後の環境で結果を残し続け、現在はトップメタの一角に位置しているGolgari Yawgmothが優勝しました。
ほかには、Temur RhinosやRakdos Scamなどが中心で、4C ControlやAzorius Controlなどコントロールも見られました。
デッキ紹介
Golgari Yawgmoth
このデッキもまた《激情》の禁止による恩恵を受けたデッキで、Amulet TitanやRakdos Scamなど相性が悪いマッチアップは存在するものの、現在トップメタの一角に位置しています。
『エルドレインの森』から《アガサの魂の大釜》を獲得したことで、全体的にデッキパワーが向上しました。今大会では見事に優勝、トップ4にも1名と安定した強さを見せます。
☆注目ポイント
《アガサの魂の大釜》は、《歩行バリスタ》《根の壁》《スランの医師、ヨーグモス》といった有用な起動型能力を持つクリーチャーを搭載したこのデッキにフィットしたアーティファクトです。
墓地から「不死」で復活してきた《絡み根の霊》や《若き狼》《オークの弓使い》のトークンには+1/+1カウンターが乗っているため、《アガサの魂の大釜》で追放したクリーチャーの能力を得ることができ、大量のマナとカードアドバンテージを獲得することができます。
《飢餓の潮流、グリスト》の能力を与えることでトークンを並べることができ、《スランの医師、ヨーグモス》が除去されてしまったとしても、《アガサの魂の大釜》でヨーグモスの能力を付与することができるため、安定してコンボが決まりやすくなっています。
《アガサの魂の大釜》は墓地対策としても機能するため「昂揚」や《レンと六番》を妨害することができ、Rakdos Scamとのマッチアップでは《悲嘆》+《まだ死んでいない》コンボを対策できます。ミラーマッチでも、相手の「不死」クリーチャーが墓地から復活してくるのを防ぐことが可能です。
Modern Super Qualifier 1/13
禁止改定後の環境でも強いRakdos
2024年1月13日
- 1位 Izzet Murktide
- 2位 Rakdos Scam
- 3位 Golgari Yawgmoth
- 4位 5C Creativity
- 5位 Rakdos Scam
- 6位 4C Omnath
- 7位 Temur Rhinos
- 8位 Rakdos Scam
Rakdos Scamは、今大会でもプレイオフに3名(1名は権利獲得)と安定した強さを見せます。キーカードの《激情》が禁止になり弱体化したとはいえ、1ターン目の《悲嘆》+《まだ死んでいない》の強力な妨害コンボは健在なため、新環境でもトップメタの一角に存続しています。
デッキ紹介
Rakdos Scam
昨年、禁止改定直後に開催された大規模なイベント『Grand Open Qualifier Barcelona 2023』で優勝したことで、《激情》がなくともトーナメントレベルのデッキだということが証明されました。
ハンデスや《血染めの月》などのおかげで、Amulet Titan、Tronといった土地コンボや、そのほかのコンボデッキに強いミッドレンジになります。
☆注目ポイント
このデッキに限らず《オークの弓使い》を採用したデッキが多いので、《歴戦の紅蓮術士》よりも《鏡割りの寓話》が優先的に採用されています。
メインから《月の大魔術師》が《血染めの月》よりも優先されて採用されているのも特徴です。Amulet Titanとのマッチアップでは、《血染めの月》は《耐え抜くもの、母聖樹》で割られていまいますが、《四肢切断》数枚以外にクリーチャー除去が採用されていないため、処理されづらい《月の大魔術師》に軍配が上がります。
『イクサラン:失われし洞窟』から登場した《溶鉄の崩壊》は、《終止》と同様に定番の除去として定着しています。「落魄」するとボーナスを得ることができ、フェッチランド以外でも《鏡割りの寓話》のⅡ章などで墓地に捨てた際も達成できます。
Modern Qualifier 1/14
安定のイゼット
2024年1月14日
- 1位 Asmo Food
- 2位 Izzet Murktide
- 3位 Rakdos Scam
- 4位 Izzet Murktide
- 5位 Temur Rhinos
- 6位 Temur Rhinos
- 7位 Izzet Murktide
- 8位 Golgari Yawgmoth
《豆の木をのぼれ》が禁止になったことでコントロールが弱体化し、Temur Rhinos、Living End、Amulet Titanなどが中心になったため、いい立ち位置にあるIzzet Murktide。
先週末のMOの予選大会でも優勝、今大会でも予選通過者も含めるとプレイオフに3名と大活躍でした。
リストにも変化が見られ、Temur RhinosやLiving Endが中心だった環境では《帳簿裂き》をフル搭載したリストがポピュラーでしたが、Amulet Titanが上位に増えたことで、ここ最近は《緻密》をメインから採用したバージョンが成功を収めています。
デッキ紹介
Izzet Murktide
《緻密》に加えて、《ドラゴンの怒りの媒介者》《敏捷なこそ泥、ラガバン》と計8体の1マナのクロックとカウンターによるバックアップで、土地コンボとのマッチアップは有利にゲームを進めることができます。
☆注目ポイント
《緻密》は《魂の洞窟》からプレイされた《原始のタイタン》にも対応することができます。Amulet TitanやTron、Golgari Yawgmoth、4C Controlなど、多くのマッチアップで活躍するクリーチャーになります。
サイドにはGolgari Yawgmoth対策として《呪われたトーテム像》が採用されています。《仕組まれた爆薬》が3枚と多めですが、Temur Rhinosのサイ・トークンやMerfolk、Hammer Time、Hardened Scalesなど幅広いマッチアップでサイドインできます。
総括
Rakdos ScamやTemur Rhinos、Amulet Titanが勝ち続けており、Golgari Yawgmothが増加したことと多色コントロールが減少傾向にある以外では、禁止改定後のモダン環境はそれほど大きな変化はない印象です。
Rakdos Scamは環境のベストデッキではなくなったものの、強力なコンボと《血染めの月》をもっとも強く使えるデッキということもあり、依然としてトップメタの一角に位置しています。
USA Modern Express vol.108は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!