はじめに
こんにちは、松浦 拓海(@ura_frst)です。
2/11-12日に行われた『チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド2』でトップ4の成績を残すことができました。これにより、4月末にシアトルで行われるプロツアーの権利を獲得しました。
最後の試合で勝てていれば、世界選手権の権利も獲得できていたので残念ではありますが、2連続の『チャンピオンズカップファイナル』トップ8入りは非常に嬉しいです。3連続のトップ8、そして世界選手権出場を目指して次回も頑張ります。
今回は、実際に『チャンピオンズカップファイナル』で使用したラクドス想起について話していきたいと思います。ラクドス想起は去年の『プロツアー・指輪物語』でも使用し、8-2の成績を残していて使い慣れてるデッキです。《激情》の禁止により当時より弱体化していますが、それでもモダン環境の中でトップレベルの強さのデッキだと自分は感じています。
ラクドス想起とは
1ターン目に《悲嘆》+《まだ死んでいない》のコンボで2枚ハンデスしながら4/3・威迫のクリーチャーで殴っていくアンフェアなデッキだと思われる方もいるでしょう。もちろんそういった試合も数多くあり、コンボが決まってしまえばどんな相手に対してもかなり優勢になります。
ですが、実際にはコンボを決める試合ばかりではなく、《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《思考囲い》からの《ダウスィーの虚空歩き》《オークの弓使い》でゲームが始まり、《致命的な一押し》や《溶鉄の崩壊》などの除去で盤面をさばきながら、《鏡割りの寓話》や最終的には《黙示録、シェオルドレッド》《死の飢えのタイタン、クロクサ》といった展開でミッドレンジとして戦うことばかりです。パイオニアのラクドスミッドレンジで使われているカードも多いので、ほぼパイオニアみたいな手札もよく来ます。
ハンデスや除去、《ダウスィーの虚空歩き》による墓地対策、サイドからは《血染めの月》などの対策カードも採用できるので不利なデッキが少なく、どんな相手にも対等に戦うことができます。
デッキ解説
こちらが実際に使用したデッキリストです。ほとんどの呪文は、従来のラクドス想起に採用されているカードと同じです。土地はこれまでと違いがありますが、クリーチャーは鉄板といってもいいカードしか採用していないので「ほかに候補となるようなカードがあったけど、こちらを選んだ」というカードだけ触れていこうと思います。
《致命的な一押し》
1マナの除去は《稲妻》も採用圏内のカードですが、「紛争」を達成することで《創造の座、オムナス》や《スランの医師、ヨーグモス》など《稲妻》では倒せない4マナのクリーチャーを倒せる点や、黒いカードなので《悲嘆》でピッチコストにできるなどの差で《致命的な一押し》のほうが優れていると判断しました。もちろん《稲妻》を本体に撃って勝つ試合もあるので、《稲妻》にも良い点はあります。
《溶鉄の崩壊》
《終止》と比較してこちらを採用。《レンと六番》《時を解す者、テフェリー》《大いなる創造者、カーン》《飢餓の潮流、グリスト》といったプレンズウォーカーを倒せることや、《精力の護符》《硬化した鱗》など1マナ以下のクリーチャーではないパーマネントを破壊できることもメリット。インスタントじゃないとダメという場面がほぼなかったので、《溶鉄の崩壊》を選択しました。
《軍団の最期》
リビングエンドやトロンなど撃ちどころがなく腐ってしまうデッキもありますが、黒いカードなので一応《悲嘆》のコストにすることもできます。デッキ公開制の大会なので、1本目から相手に《衝撃の足音》を連打されないよう1枚は採用しようと思いました。ヨーグモス・カスケードクラッシュ・ラクドス想起・バーンなど多くの相手にサイドインするので、今回のメタゲームなら2枚メインに入れてもよかったかもしれません。
諜報ランド
ほとんどの試合でフェッチから持ってきます。強すぎます。2枚目があれば……という場面もありましたが、2枚入れると引いてしまう確率が上がるので1枚に抑えました。
これまでは土地20枚が一般的でしたが、20枚はこのデッキにとってギリギリのバランスで、土地が詰まって負けてしまうことも多かったので1枚増やしています。もし《大音声の劇場》が手札にきてタップインが理由で負けたとしても、本来は土地ではないカードなので気にしないことにしました。
《育成泥炭地》
後半戦に強くする意味で能力を持っている土地を数枚採用したいと思っていました。《ロークスワイン城》は《悲嘆》コンボがそろっているときに1ランドでキープができなかったり、起動が重く使いにくいことが気になっていましたが、このカードは起動が軽く非常に使いやすいです。勝利の決め手になるほどのインパクトはないかもしれませんが、思い返すとあの1ドローが効いたという試合はとても多いです。
なぜ白黒の《無声開拓地》ではないのかというと、環境に白いカードを使ったデッキよりもヨーグモスやカスケードクラッシュなどの緑を使ったデッキが多く、宝物・トークンを使わずに唱えられたり、《断片無き工作員》のような黒赤以外の色のカードも宝物1個からプレイできるので《育成泥炭地》を採用しています。
戦い方について
自分から積極的に《悲嘆》を想起することが大事だということです。デッキによって決め手となるカードをプレイしてくるターンは違います。
「続唱」呪文や《飢餓の潮流、グリスト》は3マナで、《一つの指輪》は4マナです。唱えられたら一気に劣勢になるようなカードをプレイされる前のターンには、《まだ死んでいない》を持っていなくても《悲嘆》を《暴露》のようにプレイすることが大切です。
また《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ダウスィーの虚空歩き》が効果的で盤面に残って欲しいと思ったら、除去を落とすために《暴露》として使うのもいいと思います。実際に本戦では、《悲嘆》+《まだ死んでいない》のコンボよりも《暴露》として使った回数のほうが圧倒的に多いです。
マリガンは相手や先手か後手かによって変わりますが、《悲嘆》コンボがないからという理由でマリガンはしないほうがいいです。今のラクドス想起にとって《悲嘆》コンボはあくまでブン回りパターンの1つに過ぎません。
1ターン目から《思考囲い》や《敏捷なこそ泥、ラガバン》で動けたり、1マナのアクションがなくても《ダウスィーの虚空歩き》《オークの弓使い》などが効果的なマッチアップのときや、除去からの《鏡割りの寓話》が見えているときなど、最初の1-2ターン連続でなにもできないハンド以外はキープすることが多いです。
サイドボーディング
実際に『チャンピオンズカップファイナル』でおこなったサイドボーディングを紹介していきます。
ラクドス想起
vs. ラクドス想起
《敏捷なこそ泥、ラガバン》は《オークの弓使い》に焼かれてしまうだけではなく、《オークの弓使い》から出た軍団・トークンでも止まってしまいます。つまり、2ターン目以降は攻撃が通りにくく処理されやすいカードということになります。
同じ色のカードしか入っていないミラーマッチなので、もし攻撃が通って呪文が捲れればすべて唱えられるので強力であることは間違いないのですが、それは攻撃が通ればの話です。このミラーマッチではカード1枚の差が大きく、《オークの弓使い》で簡単に処理されてしまうとその分の差で負けやすいです。なので、先手でも後半引いたときのことを考えて1枚も残さないようにしています。
もしミラーマッチをより意識するなら、《軍団の最期》よりも《砕骨の巨人》や《コラガンの命令》をサイドに増やすのがよいと思います。除去をしたあとに攻め手を用意できるカードなので、《軍団の最期》よりも確実にアドバンテージを得ることができます。相手が《悲嘆》コンボ以外の展開なら活躍してくれるはずです。とにかくこのマッチアップでは、サイド後にラガバンを残さないことを心がけています。
ゴルガリヨーグモス
vs. ゴルガリヨーグモス
《オークの弓使い》は相手の《オークの弓使い》を倒すことはできるものの、その後はなにもしないので抜いています。また《沼》が1枚しか入っていないことが多いので、2色のデッキなのに《血染めの月》がかなり効きます。マナクリーチャーをしっかり除去していくことが重要です。
カスケードクラッシュ
vs. カスケードクラッシュ
相性が良いとはいえませんが、フィーチャーテーブルでも戦ったように拮抗した戦いになります。サイ・トークンを対処できる《仕組まれた爆薬》《軍団の最期》《碑出告が全てを貪る》などのカードを入れれば入れるだけ勝てるようになるかと考えていたのですが、これ以上サイ・トークンを対処するためのカードを増やすと《ティシャーナの潮縛り》や《緻密》などで押し切られてしまうので単体除去を抜きすぎないことも重要です。
イゼットマークタイド
vs. イゼットマークタイド
個人的には相性が良いと感じていて、直前に《ギルドパクトの力線》デッキのために《シェオルドレッドの勅令》を用意するまでサイドチェンジ0枚で戦っていました。負けパターンは《濁浪の執政》+カウンターで守られることなので、ハンデスを後半まで我慢したりして相手のカウンターを回避しましょう。また《厳しい説教》が多く入っているので、それも意識したプレイを心がけましょう。
リビングエンド
vs. リビングエンド
この試合は、相手の《死せる生》の前に《ダウスィーの虚空歩き》を墓地に落としておくことが重要になります。
相手の《死せる生》が唱えられたときに墓地に《ダウスィーの虚空歩き》があれば、《ダウスィー》が戦場に帰ってきて、《死せる生》が《ダウスィー》によって虚空カウンターが乗った状態で追放になります。そうすれば、《死せる生》を打ち返すことができます。
なので、自分の《ダウスィーの虚空歩き》を破壊できる《致命的な一押し》はサイドアウトしてはいけません。また《ダウスィーの虚空歩き》を常に墓地に送り込むことができるように、あえてアタックしないというプレイも重要です。マリガンで《ダウスィーの虚空歩き》を見つけることが大事なので、あっさり3ターン目に《死せる生》が決まって負けてしまいそうな手札はマリガンしていきましょう。
ドメインズー
vs. ドメインズー
今回の大会では対戦する機会がなかったのですが、非常に厳しいマッチアップに感じています。力線ドラコを対処できるようにデッキ提出の直前に《シェオルドレッドの勅令》を採用しました。《血染めの月》系のカードは《ギルドパクトの力線》を貼られてしまうと無意味なので入れないことにしました。
力線ドラコが決まったときの破壊力は目を見張るものがあるとはいえ、やはり力線というカードの性質を考えると安定はしなさそうだと思っているので、これ以上は増えないのではないかと予想しています。
おまけ:当日のレポート
ラウンド | 対戦デッキ | 対戦結果 |
---|---|---|
R1 | ゴルガリヨーグモス | 〇×〇 |
R2 | ゴルガリヨーグモス | 〇〇 |
R3 | イゼットマークタイド | ×〇〇 |
R4 | リビングエンド | 〇〇 |
R5 | ラクドス想起 | ×〇〇 |
R6 | カスケードクラッシュ | ×× |
R7 | オムナス | 〇〇 |
R8 | トロン | 〇〇 |
R9 | ラクドス想起 | 〇〇 |
R10 | リビングエンド | 〇×× |
R11 | アミュレットタイタン | ×〇〇 |
R12 | – | ID |
準々決勝 | カスケードクラッシュ | 〇×〇 |
準決勝 | カスケードクラッシュ | 〇×× |
という結果でトップ4で終わりました。9回戦の小坂さんとのラクドス想起ミラーと、トップ8の2試合はフィーチャーマッチとなっていますので、ラクドス想起に興味がある方は動画で見ていただけると面白いかもしれません。
そして1日目の夕飯に食べたのはこちら。
明日に向けてドカ食いしました pic.twitter.com/8SI9l6Wxa0
— Takumi Matsuura (@ura_frst) February 11, 2024
メニュー名が「モンスターミートプレート」。見た目も名前もインパクト最高です。
これを食べたことで2日目を戦う元気が出ました。みなさんも大会前日や大会の途中の食事はしっかりとって元気に戦うのをオススメします!
2月23日からシカゴで行われるプロツアーでも、現地での食事なども交えてレポートを書く予定ですのでよろしくお願いします!
ここまで読んでいただきありがとうございました!これを読んでラクドス想起をより楽しんでいただければ嬉しいです!それでは!