Translated by Riku Endo
(掲載日 2024/2/16)
はじめに
やあ、みんな!マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho(@KbolMagic)が新セット『カルロフ邸殺人事件』リミテッドについて話すためにまた来たよ。
このセットの物語はマーダーミステリーをベースにしていて、陰謀や計画が進行しながら、謎に包まれたキャラクターといくつかの事件が解決へと向かっていく。
新メカニズム
このセットには5つの新しいメカニズムが存在する。概してどれもそんなに複雑じゃないけど、これらを駆使しながら細かくすべてのアドバンテージを得ていくためには理解が必要だ。
「変装」
「変装」は「変異」と同じように機能する。裏向きでプレイして2/2の謎のクリーチャーとして場に出せて、変装コストを払うことで正体を明かし表向きになる。
「変異」との大きな違いは「変装」は裏向きのときに護法2を持っていることだ。これによって「変異」したクリーチャーよりはるかに対処するのが難しくなっている。
「変異」を持つクリーチャーの大きな問題は、表向きにするためのマナコストや方法がさまざまに異なっていたから、それを裏返すための条件を知る由もなかったことだ。これのせいで、”いつ””どうやって”「変異」したクリーチャーをブロックすべきか決めるのがとても難しかった。
今回のコツとして、変装コストが5マナ未満の「変装」を持つクリーチャーは、どれも2より大きいタフネスを持たないということだ(《切望の隼》と《古代の化身》といった例外はあるけど、どちらもパワーはたった1だから痛い目を見ることはほとんどないだろう)。コンバットで何が起こりうるかを予想するのに大きく役立つから、このことはぜひとも覚えておこう。
《オレリアの立証者》は「変装」をもつカードの良い例だ。少なくとも裏返るのに4マナかかるけどタフネスはたった2で、上で述べた「変装」したクリーチャーに関するコツと合致している。
「偽装」
「偽装」は「変装」と同じように機能する。カードを裏向きにして、護法2を持った2/2の謎のクリーチャーになるけど、ここでの違いは「偽装」しているカードの表面がクリーチャーである場合と、そうではない場合があるということだ。表向きにするためのコストは、それがクリーチャーであるならそのマナコストに等しい。
《謎めいた外套》は「偽装」できる良いカードで、たった3マナで合計パワー3、護法2でブロックされないクリーチャーを生み出すことができる。
「容疑」
「容疑」はクリーチャーに威迫を付与できるオプションで、その代わりブロックができなくなるという欠点もある。とてもシンプルだけど使い勝手のいいメカニズムで、攻めているときはさらなるアドバンテージをもたらしてくれるけど、守っているときも害にはならないかもしれない。《秘密裏の干渉者》は優れた攻撃的なクリーチャーで、戦場に出たときに自分のコントロールするクリーチャーに「容疑」をかけることができる。
「事件」
「事件」は解明条件を満たし、解明完了するとボーナス効果を得られるエンチャントカードだ。《真紅の鼓動の事件》は手札がない場合に解明条件を満たし、解明されるととても強い常在型能力を持つようになる。
「証拠収集」
最後に紹介するのが「証拠収集」だ。カードに記載されている「証拠収集」の数字以上のマナ総量になるように墓地からカードを追放することが必要になる。「証拠収集」を行うと、《ランプ光のフェニックス》であれば戦場に戻ってこられるといったように、さまざまなことができる。
各色のトップコモン
新メカニズムがどのように機能するのか、そしてそれを使うときや対峙するときに注意すべきことがわかったところで、各色のお気に入りのコモンを見ていこう。コモンはリミテッドで頻繁に目にするカードなので、これらに注目することは非常に重要だ。
白
このセットの白が本当に好きだ。小型で強力なクリーチャーが幅広く揃っていることで、白がとても早い色になっている。《ひよっこ捜査員》は基本的には《スレイベンの検査官》の同型再版で、前任者と同様にもう1枚カードを得られる優秀なクリーチャーだ。
このクリーチャーは3つの点で優れている。場にあるアーティファクトの数を増やせる点、手掛かり・トークンでドローできる点、そして盤面を軽いクリーチャーで満たす手助けとなってくれる点だ。
《市場見廻りの幻影》は軽量で早いクロックとなるクリーチャーだ。このセットには「変装」もありパワーが2以下のクリーチャーが多いから、かなり簡単に飛行を得てダメージを稼いでくれる。
《内通者》は3マナで総パワー3分を戦場にもたらしてくれる。普通はそこまで注目を集めるようなカードじゃないだろうけど、このセットでは2つのアーキタイプ、3体以上のクリーチャーで攻撃する赤白と、パワー2以下のクリーチャーを用いる白黒ととてもシナジーがある。これだけでもこのカードはコモンスロットの優先的なピックになる。
この色の除去を見てみると、《その場しのぎの束縛》はこのセットのベスト除去の1つで、たった3マナでクリーチャーを場から除去しながらライフゲインもできてしまう。
青
全体的に、このセットの青は少し弱いと思う。サポートカラーとしてはとても優れていて、研究が進んでメタが回っていけば将来的には考えが変わるかもしれないけど、現時点では青は個人的に一番好みじゃなかった色だ。
《未解決事件解明者》と《犯罪阻止のスプライト》が青で探すべきクリーチャーだ。難しい状況に対応するのに役立つから、《妥当な疑惑》と《大胆な告発》にも目を光らせておこう。
黒
黒にはこのセットのもっとも優れた除去が詰め込まれている。コモン枠の《殺害》と《闇討ち》はどちらもクリーチャーを処理できる強力な手段だ。《殺害》は最初に刷られてからリミテッドにおいて素晴らしいカードであり続けている。《闇討ち》は打ち消されないため、「変装」が持つ護法を乗り越えることができるのでこのセットでは特に優れている。
除去以外では、《貪欲なるネズミ》と似た働きができるから《無節操な探偵社員》にも興味がわいた。カード1枚と1枚で交換をしながら1/1のボディをボーナスのように場に残すことができるのは良いことだ。
赤
赤はこのセットでとても強い色で、《通電》は中型から大型サイズのクリーチャーを処理するのに有効な手段だ。《ショック》もまたとても良い。護法2のせいで対処するのが難しい「変装」したクリーチャーを簡単に倒せるからね。
《参考人》は赤のベストコモンクリーチャーで、異なる2体のクリーチャー(そのうち1体は威迫持ち)という形で場にパワー4をもたらすことで、ダメージレースをすぐさま先行させる。
緑
緑は全体的に個人的な色の好みでは中間に位置している。《神経質な庭師》はとても手堅いクリーチャーで、マナを伸ばしてくれる《トンネルの情報提供者》もまたその1枚だ。《装飾庭園の豹》もまた使い勝手が良く、マナサポートとゲーム後半の大型クリーチャーの両面で機能する。
これらのクリーチャー以外だと、堅実な《犯罪への噛みつき》からも目を離さないようにすべきだ。
カラーランキング
各色のベストコモンを分析したところで、白をトップに置こう。軽くて質のいいクリーチャーがたくさんいて、強いシナジーもある。次点で赤を選ぶだろう。良い除去があって、ほかの色と組み合わされたときに優れたシナジ―を発揮できる。緑はファッティや良いクリーチャーがたくさんいて、3番目に気に入っている色だ。
黒と青が自分のラストピックになるだろう。このフォーマットでは、黒は除去に恵まれていて青はサポートカラーとしては良い。けれどもほかの3色には少し及ばない。
アーキタイプ分析
黒赤容疑
黒赤は攻撃的なアーキタイプで、フォーマットでもっとも優れた除去を持ちながら、ブロックしづらい小粒のクリーチャーをプレイしていく。悪くない戦略で、《ルーン印の曲芸者》がこのアーキタイプの成し遂げたいことの多くを表している。
黒緑証拠収集
黒緑はこのセットではあまりシナジーを生まないアーキタイプになっている。「証拠収集」からいろいろなことをしようとして、墓地からカードを追放したときにボーナスを得ていく。「証拠収集」が優れたメカニズムであるにも関わらず、この色の組み合わせは間違いなく個人的に好みじゃない。
《陰湿な根》がこのアーキタイプのマルチカラーカードだ。リミテッドでとても強いとは感じず、このカードを使ったデッキを組むのにはいまだに少しばかり苦労している。
赤緑大型クリーチャー
赤緑は大型のクリーチャーを主としたアーキタイプで、緑をランプとマナサポートとして使いながら、相手より大きいクリーチャーを唱えられる盤面の状況を作るために赤の除去を用いていく。《ブリキ通りの噂好き》は大きな4マナ4/4警戒持ちのクリーチャーで、自身が攻撃した後でも「変装」しているクリーチャーをコンバット中に表向きにするのに役立つ。
赤白3体攻撃
赤白は3体同時に攻撃することでさまざまなボーナス効果を得ようとする。とても早いアーキタイプで、このセットでお気に入りのアーキタイプの1つだ。個人的な意見では、横に広げながら速攻を仕掛けるのがこのフォーマットにおいては良い選択だ。
いつもならアンコモンのカードをアーキタイプを代表するカードとして選ぶのが好きだけど、ここでは《犬の散歩者》がこのアーキタイプがしようとしていることを一番要約しているカードだと思う。盤面を小粒のクリーチャーでいっぱいにして、3体以上のクリーチャーで攻撃することでアドバンテージを得ようとする。
青黒手掛かり
青黒は相手より多くドローすることでアドバンテージを稼ごうとする。青の回避能力持ちのクリーチャーや黒の優れた除去セットがこの組み合わせを手堅いものにしている。《物好きな死者》は自分が手掛かり・トークンを生贄に捧げたときに墓地から手札へ戻ってくるカードで、このアーキタイプを良く表している。
緑白クリーチャー
緑白は「変装」したクリーチャーも活用しながらクリーチャーを横に広げてできるだけ多く場に出し、ゲームが進行するにつれそれらをより強化していくことを狙う。《スマーラの歩哨》はこのアーキタイプを表すのにピッタリなカードだ。
青白探偵
「探偵」アーキタイプは本当に魅力的だ。ほかの「探偵」をクリーチャータイプに持つカードと上手く機能する《証拠流出の事件》のようなカードがあるから、ほとんど同族デッキを使っているような感じがする。《私立探偵》は自分の探偵すべてに+1/+1修正を与えるとても強力なロードだ。
青緑証拠収集
このアーキタイプは「証拠収集」のメカニズムが肝心になる。個人的にはこのアーキタイプが好きだけど、黒緑のアーキタイプであったのと同じように、青緑が本当に強力な色の組み合わせだとは考えてない。《証拠審理員》がこのアーキタイプを表していて「証拠収集」をしながら手掛かり・トークンを生み出していく。
青赤調査
戦場にアーティファクト、とりわけ手掛かり・トークンを生成していくことが重要で、場にコントロールしているアーティファクトがあること、あるいは手掛かり・トークンをドローに変換していくことでアドバンテージを細かく稼いでいくアーキタイプだ。
マルチカラーの《煌く機械ドレイク》は青赤のしようとしていることをよく示していて、手掛かり・トークンを生贄にすればするほど大きくなっていく。
白黒小型クリーチャー
白黒は戦場にパワー2以下のクリーチャーを出していくことが大切になる。このアーキタイプはかなり良くて、自分で使ってみていい経験ができている。コモンとアンコモンのカードで強力なシナジーがあって、マナカーブ通りにクリーチャーを出せたときには非常に攻撃的な動きが可能だ。《たなびき飲みの吸血鬼》はこのアーキタイプを象徴するカードで、白黒のデッキを組むなら必ず入れるべきだ。
アーキタイプランキング
個人的に好きな色の組み合わせをランク付けしていこう。覚えておいてほしいのは、このランキングはこのセットの最初の体験をもとにしていて、将来的には変わっていくかもしれないということだ。
以下が今までの段階で個人的に気に入っているアーキタイプを1位から10位の順に並べたものだ。
アーキタイプランキング
1. 赤白3体攻撃
2. 白黒小型クリーチャー
3. 黒赤容疑
4. 青赤調査
5. 白青探偵
6. 緑白クリーチャー
7. 赤緑大型クリーチャー
8. 青黒手掛かり
9. 青緑証拠収集
10. 黒緑証拠収集
強力カード トップ15
ここがリミテッドの本当に重要な部分、そうだよね?コモンやアンコモン、シナジーのあるデッキの構築なんてどうでもいいよね?大切なのはそれだけで勝ててしまうくらい強いボムレアを引くことだ。
冗談はさておき、『カルロフ邸殺人事件』のリミテッドには強力なカードが多すぎる。たった10枚に選び抜くのはかなり大変だったから、代わりに上位15枚を紹介しよう。いくつかのカードはもっと注目されるのに値するからね。
15位 《華やかな支配者、テイサ》
このクリーチャーはできることが驚くほどたくさんある。手掛かり・トークンを場に出せて、パワー2のクリーチャーでもあって、手掛かり・トークンでドローしながらさらにクリーチャーを生成することもできる。これらすべてを考慮してテイサをここで取り上げた。
14位 《謎めいた外套》
複数回プレイできる可能性のある3/2のブロックされないクリーチャー、大歓迎だね!しかも運良く「偽装」されたカードがクリーチャーだったら、あとで表向きにすることもできる。
13位 《地震土竜、アンズラグ》
モグラの神様万歳!4マナで巨大な8/4のクリーチャーで、仲間と一緒に二度攻撃できる可能性を持っている。放っておけない非常に強力なカードだ。
12位 《囁きの三姉妹、トロスターニ》
たた3マナで非常に多くのことができる、めちゃくちゃに強力な神話レアのカードだ。さまざまな場面で活躍できるクリーチャーで、コンバット中に二段攻撃と接死を自分のどのクリーチャーにも与えることができ、どんな相手でもブロックする気を失わせるのに十分だ。
11位 《進化した謎、ヴァニファール》
このクリーチャーが手に負えなくなるのにはそう長くはかからない。このフォーマットには「変装」できるクリーチャーがたくさんいる。手札からカードを「偽装」することもできて、自分の「偽装」と「変装」しているクリーチャーを含むすべての無色クリーチャーに+1/+1カウンターを置ける、というのはただただぶっ壊れている。
10位 《探偵社社長、エズリム》
このカードはより調整されたバージョンの《夢さらい》を少し思い起こさせる。『テーロス環魂記』のベストカードの1枚との比較ではそんなに良さそうには見えないかもしれない。けれど10位にするのに十分強くて対処するのがかなり難しい。
9位 《真夜中の光、トルシミール》
こいつはただただ素晴らしい。5/5トランプル持ちのクリーチャーと3/2絆魂持ちのクリーチャーをたったの5マナで出すことができる。さらに良いことに両方でアタックすれば、指定したクリーチャーでその狼・トークンをブロックさせることができて、有利なコンバットを作り出すことが可能だ。
8位 《名うての殺人鬼、虐殺少女》
たったの4マナで自分のすべてのクリーチャーに「萎縮」を与えて、ドローも可能で4/4のボディもある。虐殺少女はリミテッドにおけるパワーカードであり続けている。
7位 《幽霊の裁き、ケイヤ》
このセット唯一のプレインズウォーカーであるケイヤは、自身を守ることに非常に長けていて、毎ターンスピリット・トークンを生成しながら場からクリーチャーを除去することもできる。間違いなくパックを開けたときに目にしたいカードだ。
6位 《戦導者の号令》
このリミテッドフォーマットにおいても、《栄光の頌歌》は本当に優れている。元のカードが刷られてからいろいろなことが変わったけど、クリーチャーが戦場に出るたびにダメージを与えられるようになるのに追加の色が必要になるのは、十分価値のある取引のようだ。
5位 《オレリアの立証者》
表向きにしてクリーチャーを戦場からまとめて追放することができ、さらに倒されたときには、このカードに追放されていたクリーチャーたちが戦場にそのまま戻らずにオーナーの手札に戻るという効果がこのカードをより良くしている。相手が《オレリアの立証者》を倒したときの念のための保険として、自分のクリーチャーを墓地から追放しておいてもいい。
4位 《血管切り裂き魔》
護法のコストとしてクリーチャーの生贄を要求してくるからとても処理がしづらい。対処されなければこれだけでゲームに勝ててしまう。
3位 《混沌の守護者、ラクドス》
このセットではラクドス自身が再び登場している。強力なのはいつも通りだ。今回のセットでは、対処しなければいけないパワフルな脅威でありながら、こちらの手札をいっぱいにさせないために相手は土地でないパーマネントを生贄に捧げる必要がある。
2位 《蜘蛛網の頭、アイゾーニ》
リミテッドのベストカードとして、レア枠にアイゾーニがいる。このカードをよく目にする覚悟をしておこう。いろいろなデッキに簡単にタッチで入れられるからね。1枚で3体以上のクリーチャーを生み出すカードパワーの高さを持つこのカードを見ると《墓所のタイタン》を思い出すよ。
1位 《罪人の焼却者》
相手の盤面を一掃する可能性のある巨大なドラゴンだ。ゲームを終わらせてしまうこういう大物や、そのほかに対処できるように除去呪文は確実に持っておこう。
おわりに
『カルロフ邸殺人事件』はとても早くて変化の激しいセットのように見える。ここではシナジーと「変装」や「偽装」から予想される表面に何があるか知っていることが鍵になるから、すべての「変装」できるクリーチャーをなるべく見ておくことをオススメする。
少しでもこのセットの分析を手助けできることを願っているし、このセットの経験でみんなが幸運に恵まれることを祈っているよ。俺はいくつかの事件を解明して、マントに隠れた謎のクリーチャーの正体が誰なのか突き止めるのが楽しみだ。
それじゃあまた次回!
Marcio Carvalho (X)
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