現在のレガシー環境
『カルロフ邸殺人事件』の発売から約2週間。発売前はレガシーにそこまで大きな影響はないと思われていた新セットだったが、今話題沸騰中なのが基本土地タイプを持つ諜報ランドだ。
この諜報ランドの登場により、レガシーのメタゲームにも大きな変化があったようだ。ここからは『第25期レガシー神挑戦者決定戦』に参加した233名のメタゲームブレイクダウンをお届けする。
メタゲームブレイクダウン
デッキ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
ディミーアリアニメイト | 27 | 11.59% |
多色豆の木コントロール | 25 | 10.73% |
グリクシスデルバー | 15 | 6.44% |
ANT | 11 | 4.72% |
スニークショー | 10 | 4.29% |
ゴブリン | 10 | 4.29% |
ティムールデルバー | 9 | 3.86% |
ラクドスリアニメイト | 9 | 3.86% |
カスケードクラッシュ | 8 | 3.43% |
黒単 | 7 | 3.00% |
ボロスイニシアチブ | 7 | 3.00% |
Doomsday | 7 | 3.00% |
ダークデプス | 6 | 2.58% |
デス&タックス | 5 | 2.15% |
ギャラクシーカスケード | 5 | 2.15% |
The Spy | 5 | 2.15% |
スタイフルノート | 4 | 1.72% |
黒単リアニメイト | 4 | 1.72% |
《煙霧の連鎖》コンボ | 4 | 1.72% |
多色コントロール | 4 | 1.72% |
セファリッドブレックファースト | 3 | 1.29% |
サルベイジャーコンボ | 3 | 1.29% |
緑ポスト | 3 | 1.29% |
オムニテル | 3 | 1.29% |
忍者 | 3 | 1.29% |
8 Cast | 2 | 0.86% |
土地単 | 2 | 0.86% |
Pox | 2 | 0.86% |
バーン | 2 | 0.86% |
ディミーアシャドウ | 2 | 0.86% |
《Thought Lash》コンボ | 2 | 0.86% |
ジュエルショップ | 2 | 0.86% |
ジェスカイデルバー | 2 | 0.86% |
ベルチャー | 2 | 0.86% |
職工エルフ | 2 | 0.86% |
その他 | 16 | 6.87% |
合計 | 233 | 100% |
使用率1位はディミーアリアニメイト、それに多色豆の木コントロールが僅差で続く形となった。さらにその下ではグリクシスデルバーやANT、ゴブリンなどさまざまなデッキがしのぎを削っている。ここからは使用率上位のデッキを順に紹介していこう。
ディミーアリアニメイト
《偉大なる統一者、アトラクサ》が登場した際に話題となったディミーアリアニメイトが再び環境入りし、そのままトップメタにまで躍り出た。以前は《入念な研究》や《実物提示教育》の入ったタイプが多かった印象だが、それからどんな変化が起こったのだろう。
『カルロフ邸殺人事件』で登場した諜報ランドは、このデッキに進化をもたらしたようだ。フェッチランドから《地底街の下水道》をサーチ、諜報の誘発に対応して《渦まく知識》を唱えれば手札のクリーチャーを諜報で墓地に仕込むことが可能だ。「墓地から釣り上げるクリーチャーとリアニメイト呪文はあるのに、墓地に送り込めない!」という悩みを土地の枠で解決できるようになったのは大きい。
サイドボードの《ダウスィーの虚空歩き》は、サイド後の墓地対策を見越したミッドレンジプランを後押ししてくれるカードだ。メインボードの《オークの弓使い》や《悲嘆》も合わさると、まるでディミーア想起のような立ち回りで軸をずらして戦うこともできる。
多色豆の木コントロール
僅差で使用率2位となったのは多色豆の木コントロールだ。昨年末に国内外で開かれた『Eternal Weekend』や先日の『日本レガシー選手権・冬』でも、《豆の木をのぼれ》を搭載したコントロールデッキは常にレガシーのトップメタに君臨している。2マナという軽いコストで設置できるのにも関わらず、《意志の力》や《力線の束縛》にドローのおまけを与えるのはあまりにも強力だ。
今回の多色豆の木コントロール使用者のうち、半数を超える16名が《聖カトリーヌの凱旋》を採用していた。《豆の木をのぼれ》でドローできるマナコストでありながら「奇跡」によりわずか2マナで戦場に降り立ち、5/5絆魂のボディでライフレースをひっくり返す。擬似的な除去耐性も持っていることから、《秘密を掘り下げる者》デッキのようなライフを攻めたいデッキにとっては悪夢のようなカードだろう。
また一部では《もみ消し》を採用しているリストもあるようだ。《上流階級のゴブリン、マクサス》や《タッサの神託者》、《偉大なる統一者、アトラクサ》のように現在のレガシー環境では《もみ消し》が有効に働く場面は多い。《聖カトリーヌの凱旋》の「奇跡」も打ち消すことができるこのカードの存在は、今後のレガシー環境にどのような影響を与えていくのだろうか。
グリクシスデルバー
ティムールやイゼットなどさまざまな型のあるデルバーデッキだが、今大会ではグリクシスカラーが最多となった。《オークの弓使い》は相手のドローソースを咎めつつ、相手の《オークの弓使い》に対する解答になるカードだ。環境上位に《豆の木をのぼれ》と《オークの弓使い》が君臨している以上、こちらも《オークの弓使い》を使うのがスマートだろう。
《溶鉄の崩壊》は、今大会のグリクシスデルバーの約7割がメインボードに2枚採用していた。フェッチランドを使うレガシーでは落魄の達成も容易く、2マナの確定除去でありながら《花の絨毯》のような置物に対処することもできる。このカードの定着化により、デルバーデッキのミラーマッチでは以前よりも《濁浪の執政》が除去されやすくなっていそうだ。
注目デッキ「スタイフルノート」
1マナ12/12トランプル!しかし戦場に出たとき「パワーの合計が12以上になるようにクリーチャーを生け贄を用意しなければならない」というデメリットを持つクリーチャー。この能力を文字通り《もみ消し》たり、《激しい叱責》で能力を失わせたりして《ファイレクシアン・ドレッドノート》を戦場に送り出す。それがスタイフルノートだ。
『カルロフ邸殺人事件』で登場した《門衛のスラル》はアーティファクトやクリーチャーの戦場に出たとき能力の誘発を妨害するクリーチャー。これまでにも《静寂をもたらすもの》や《厳しい試験官》など、出たとき能力を誘発させないクリーチャーは存在した。しかし《門衛のスラル》は瞬速を持っているため、インスタントタイミングで相手の誘発を妨害することもできるようになった。
おわりに
『第25期レガシー神挑戦者決定戦』のメタゲームブレイクダウンをお届けした。集計結果を見るとディミーアリアニメイトと多色豆の木コントロールの2強をグリクシスデルバーが追う、という様相に見えた。しかしリアニメイトにはラクドスや黒単も存在しており、それらも合わせると「リアニメイト」はメタ上位から頭一つ抜けることになる。今後は墓地対策の重要性がさらに高まっていくことになるだろう。
まだ『カルロフ邸殺人事件』が発売して間もない時期だが、4月には『サンダー・ジャンクションの無法者』。6月にはほぼ間違いなく影響が出るであろう『モダンホライゾン3』も控えている。今年のレガシーメタゲームはどう変化していくのか。注目していきたい。