はじめに
みなさん、こんにちは。
8月に『BIG MAGIC Open Vol.13』がレガシーで久々に開催されるなど、日本国内のレガシーイベントも充実していますね。
さて、今回の連載では『Legacy Showcase Challenge』と『Legacy Challenge』の結果を見ていきたいと思います。
『Legacy Showcase Challenge』 3/16
Dimirのワンツーフィニッシュ
MOで『Legacy Showcase Challenge』が320名で開催されました。今大会でもDimir Reanimatorが最もポピュラーなデッキで、高い勝率を維持しています。Grixis DelverがReanimatorの次に高い勝率となっており、Dark Depthsもプレイオフに2名と健闘していました。
今大会の決勝にはDimir ReanimatorとDimir Scamが勝ち残り、Dimirカラーのデッキが頭一つ抜けている状況です。
デッキ紹介
Dimir Scam
現在はDimir Reanimatorのほうが主流ですが、ミッドレンジスタイルのDimir Scamもまだまだ強い戦略のようです。
☆注目ポイント
《ダウスィーの虚空歩き》は《オークの弓使い》と並んで現環境の最高クラスの2マナクリーチャーで、Reanimatorなど墓地を使ったデッキが幅を利かせている環境では脅威となります。
《もみ消し》がメインからフル搭載されています。フェッチランドの起動を打ち消して相手のマナ基盤を攻めることはもちろん、《力線の束縛》や《悲嘆》など強力な誘発型能力を持つカードが散見されるため、現在のレガシーは《もみ消し》を強く使える環境になります。
サイドボードには最近話題の《サーボの網》が見られます。過去のスタンダードで猛威を振るっていた《リシャーダの港》を対策するために『インベイジョン』から登場したアーティファクトで、相性が悪いLands対策として使われ始めました。
『Legacy Challenge 32』 3/22
Painterとハイブリッドした8 Castが優勝
金曜日の『Legacy Challenge 32』で優勝したのはPainter要素を搭載した8 Castでした。Delver系ではTemur Delverが健闘しており、Dimir Reanimatorは優勝こそ逃したものの高い勝率を維持しています。
デッキ紹介
8 Cast
今大会で優勝したのは8 Castに《絵描きの召使い》+《丸砥石》コンボをハイブリッドしたデッキでした。
コンボ一辺倒ではなく、《思考の監視者》や《物読み》といったドロースペルでリソースを供給することでロングゲームに対応することができます。
最近は《溶融》を使うGrixis DelverよりもDimir Reanimatorが人気があるため、現在アーティファクトデッキはいい立ち位置にあります。
☆注目ポイント
《絵描きの召使い》+《丸砥石》コンボはこのデッキの主要な勝ち手段であり、《意志の力》でバックアップしながら仕掛けることができます。また《ウルザの物語》でキーパーツである《丸砥石》をサーチできるため、一貫性があり決めやすいのもポイントです。
《湖に潜む者、エムリー》は《水蓮の花びら》や《ミシュラのガラクタ》を再利用してカードアドバンテージを得る以外でも、コンボパーツである《絵描きの召使い》を墓地からプレイできるため、相手にとっては真っ先に除去したいクリーチャーです。《湖に潜む者、エムリー》に除去を使わせられれば、《絵描きの召使い》が生き残りやすくなります。
《ウルザの物語》以外でも《大いなる創造者、カーン》によってキーカードをサーチできるのでコンボの安定性は高めです。《罠の橋》や《機能不全ダニ》《トーモッドの墓所》といったカードもあるので、様々なマッチアップにメインから対応することができます。
Dimir Reanimator
現環境のトップメタであり、高い勝率を維持しています。もともと強力なデッキでしたが、《地底街の下水道》など新カードによって強化され続けています。《悲嘆》や《オークの弓使い》をプレイしつつ《残虐の執政官》や《偉大なる統一者、アトラクサ》といった大型クリーチャーをリアニメイトする戦略は、対処が困難であり脅威となります。
環境も徐々にReanimatorに対応してきており、LandsやPainterといったメインから墓地対策にアクセスできるデッキも見られるようになってきました。
☆注目ポイント
《地底街の下水道》はこのデッキを一気にトップメタへと押し上げました。フェッチランドで持ってきた後に諜報のスタックで《渦まく知識》をプレイすることで、手札の《残虐の執政官》や《偉大なる統一者、アトラクサ》を墓地に置くことができます。手札の質を向上させつつリアニメイトをセットアップすることができるようになり、安定性が向上しました。
もともと1本目の勝率が高かったReanimatorでしたが、サイド後もリアニメイトパッケージが抜けて《厚かましい借り手》や《ダウスィーの虚空歩き》などのクリーチャーが投入され、従来のDimir Scamに寄せる変形サイドボード戦略を取っているため、今までのReanimatorと比べると対応されにくくなっています。
Dimir Scamのところでも挙げましたが、サイドに採用されている《サーボの網》はこのデッキにとって相性の悪いLands対策として注目を集めています。《イス卿の迷路》や《ウルザの物語》などLandsの使用するやっかいな土地の多くをシャットアウトすることができます。
『Legacy Challenge 32』 3/23
Temur Delverが優勝
最近追加された日本時間の昼間に開催される『Legacy Challenge32』は、日本のMOレガシープレイヤーにとっても参加しやすい時間帯になっています。
今大会で優勝したのはTemur Delverでした。Reanimatorなどコンボが幅を利かせているので苦手なコントロールが減少傾向にあり、Grixis Delverとともに健闘しています。
デッキ紹介
Temur Delver
MOの強豪である_INF_はアメリカ時間の朝に開催された『Legacy Challenge 32』でも同様のデッキでトップ4に入賞していました。
Temur DelverはGrixis Delverと異なり《オークの弓使い》が使えないため、相手の《オークの弓使い》を効率的に対処しにくいのが難点となりますが、ほぼ青赤なので基本地形の《島》を採用する余裕がありマナ基盤が安定しています。《探索するドルイド》によるアドバンテージのおかげで青黒系のデッキとも戦いやすいのも、このバージョンを選ぶ理由になります。
☆注目ポイント
《探索するドルイド》は《オークの弓使い》に引っかからないアドバンテージ源で、《悲嘆》のハンデスからのリカバリーもしやすくなります。また、カードアドバンテージよりもクロックが優先されるコンボやLandsとのマッチアップでは普通にプレイするという選択肢もあります。
Reanimatorなどコンボデッキが多い環境なので《相殺》や《否定の力》といったカードがメインから採用されています。特に《相殺》は1マナのスペルを多用するDimir ReanimatorとDelver同型に強いカードなため、現在はメインからでも十分に使えるカードになります。
基本地形の《島》を採用できるため、このデッキが苦手とするコントロールやLandsなど特殊地形を多用するデッキとのマッチアップでは、《血染めの月》で相手をロックするという選択肢もあります。
『Legacy Challenge 64』 3/23
Dimirに強いデッキ土地単
日曜日に開催された『Legacy Challenge 64』はトップ8にReanimatorの姿がなく、Landsやメインから《未認可霊柩車》を4枚採用したMono Red PrisonなどReanimatorに強いデッキが入賞していました。そのため、今大会ではReanimatorの勝率はそれほど高くなくトップ16にもわずか1名となっています。
デッキ紹介
Lands
最近よく見られるようになったLands。墓地対策である《ボジューカの沼》をメインから採用しており、《壌土からの生命》や様々なユーティリティランドでゲームをコントロールしていくデッキです。カウンターやハンデス、除去に耐性があるため、Dimir ScamやDimir Reanimatorに強いデッキになります。
これらのデッキはGrixis Delverと異なり《発展の代価》などで逆転される心配がなく、《溶融》も使えないので《ウルザの物語》も対処されにくくなります。
☆注目ポイント
デッキ内の多くの重要なカードが土地であり、それらを《輪作》で状況にあわせてサーチしながら戦います。墓地対策になる《ボジューカの沼》をインスタントタイミングでサーチできるため、Reanimatorに対しては1マナの妨害として機能します。
《探検の地図》は《演劇の舞台》+《暗黒の深部》コンボを揃えたり、追加の《ウルザの物語》などをサーチできる優秀なカードです。《ウルザの物語》によって墓地対策の《魂標ランタン》にアクセスすることができる意味も大きく、このデッキがReanimatorに強い理由のひとつになります。
Landsはコンボに苦戦を強いられるデッキですが、メインから採用されている《抵抗の宝球》はそれらの相性の改善に貢献しています。《古えの墳墓》や《モックス・ダイアモンド》といったマナ加速を利用することで1ターン目からプレイすることができ、コンボデッキやデルバー系など多くのマッチアップで有利にゲームを進めることができます。
サイドの《剣を鍬に》は《濁浪の執政》などフィニッシャーに対する明確な解答であり、サイド後にクリーチャーを複数投入してくるDimir Reanimatorとのマッチアップでも使えます。
総括
Dimir Reanimatorがトップメタなこともあり、メインから墓地対策を採用したデッキが増加傾向にあります。1マナのスペルを多用するReanimatorや同型に効く《相殺》をメインから採用したデルバーデッキも複数上位で見られます。
特にメインから墓地対策が使えて軸をずらしたLandsは、Dimir Reanimatorと相性がいいデッキなので現環境でいい立ち位置にあります。デルバー系はLandsや多色コントロールに強い《血染めの月》が使えるIzzet Delverタッチ《探索するドルイド》が良さそうです。
USA Legacy Express vol.232は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!