圧倒的な制圧力!増田式アスモフードデッキガイド

増田 勝仁

アスモフードとは

お疲れ様です。てんさいチンパンジー(@tensai_manohito)です。

今回は最近のお気に入りである「アスモフード」について紹介します。

アスモフードとは、その名の通り《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》を中心に据えたミッドレンジデッキです(※以後、《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》《アスモ》と称します)。

地獄料理書アスモラノマルディカダイスティナカルダカール楕円競走の無謀者

《アスモ》自身と専用アーティファクトである《地獄料理書》、そして無限の手札コストである《楕円競走の無謀者》をそろえることで、無限に《アスモ》の起動型能力を使えるようにするのがコンセプトです。この3種がそろうと戦場のクリーチャーは一瞬で灰になり、《アスモ》を退けない限り一切戦場にクリーチャーは残りません。圧倒的な制圧力で戦場を支配します。

反面、必要なパーツが多く、それぞれが代用の効かない役割を持っているわりには単体で機能しないという弱点も持ち合わせています。

クリーチャーデッキには滅法強く、環境上位のデッキであるラクドス想起・ドメインズーなどには有利に戦えます。逆にアンフェアデッキを苦手としており、エスパー御霊・ウルザトロンを苦手としています。

アスモフードの課題

アスモフードと一言にいっても実はいろんなタイプがあります。

太陽の執事長、インティ陰湿な根歓喜する喧嘩屋、タイヴァー

《太陽の執事長、インティ》を使ったラクドス型、《陰湿な根》を使ったゴルガリ型、それらが合体したジャンド型。この辺りはメジャーな部類です。同じカラーリングでも《恐血鬼》《縫い師への供給者》《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》を使ってよりコンボチックに寄せているタイプもあります。

時の篩イーオスのレインジャー長

ほかにもフィニッシュ手段に《時の篩》を使ったディミーア型、サーチ手段に《イーオスのレインジャー長》を使ったオルゾフ型などなど。ニッチなタイプも挙げればかなりの種類があります。


これらに共通する問題は「単体で弱いカードが大量に入っている」ということです。《太陽の執事長、インティ》も単体でみればパイオニア級のカードで、到底モダンを戦えるスペックではありません。《通りの悪霊》などとのシナジー前提のカードを増やしても、今度はそれらが《太陽の執事長、インティ》で捲れる確率が上がってしまいイマイチです。

太陽の執事長、インティ縫い師への供給者恐血鬼陰湿な根

《縫い師への供給者》《恐血鬼》などは見たままで、露骨に単体では何もしません。これらが初手付近に複数手札に来てしまうと勝手に事故ってしまいます。《陰湿な根》《湖に潜む者、エムリー》などもシナジー前提であり、単体では機能しづらいです。

地獄料理書楕円競走の無謀者

アスモフードは、ただでさえ《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》といった単体では一体何がしたいのかよく分からないカードがたくさん入っています。縦のシナジーを増やせば増やすほど、最大値は上がる一方で安定感の欠片もない、せいぜい”面白い”止まりのデッキになってしまうのです。

《アスモ》を強く使うために弱いカードが入ってしまう”というジレンマ。この問題を解決しない限りアスモフードはTier3デッキ止まりです。

既存のアスモフードの問題点はそれだけではありません。「《楕円競走の無謀者》に代わるカードが存在しない」というのも重大な欠陥です。アスモフードは先に述べた通り、《アスモ》《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》をそろえるデッキです。ただ、これは厳密には以下の3つの要素の組み合わせと言い換えられます。

① 食物・トークンを利用するカード

② 食物・トークンを生むカード

③ 手札コストを供給するカード

破滅の終焉舞台座一家の料理人、ロッコイーオスのレインジャー長

《アスモ》は①に相当します。《アスモ》自身は代用が効かないものの《アスモ》をサーチするカードは意外と多いです。

陰湿な根構築物トークン

食物・トークンの利用という意味では《陰湿な根》《ウルザの物語》で作った構築物・トークンも①のカードと言えます。

地獄料理書

《地獄料理書》は②に相当します。《地獄料理書》《アスモ》さえサーチできればそのまま手に入るため、《アスモ》のサーチ手段が豊富である点からも①と②は比較的そろえやすいです。一応、《金のガチョウ》のように《地獄料理書》以外にも食物・トークンを半無限に産むカードは存在します。

楕円競走の無謀者ゴブリンの太守スクイー

しかし、③である手札コストを供給するカードはほとんど存在しません。《楕円競走の無謀者》が最強で、次点で《ゴブリンの太守スクイー》です。ただでさえ《楕円競走の無謀者》が単体で何もしないのに加えて、その劣化とも言えるカードを嬉々として何枚も採用する気にはなれません。

《楕円競走の無謀者》をサーチする手段としていくつか実績のあるカードもありますが、どれも使い勝手はイマイチです。

《エラダムリーの呼び声》

エラダムリーの呼び声

《楕円競走の無謀者》だけでなく《アスモ》もサーチ可能と最高ですが、白+緑という色が弱いです。どちらも《アスモ》と絡まない色なので色を増やす必要があり、最低でも3色+《ウルザの物語》という組み合わせになってしまい、バランスが悪くなってしまいます。

《不敬な教示者》

不敬な教示者

色やマナコストは適正ですが、サーチまでのラグが気になります。ただでさえ《ウルザの物語》をテンポよく戻されてしまう《時を解す者、テフェリー》に対して、より弱くなってしまうのがイマイチです。

《ウルヴェンワルド横断》

ウルヴェンワルド横断

アスモフードはパーマネントが多く、能動的にカードが墓地に落ちにくく昂揚しづらいです。《地獄料理書》で墓地に貯めてからこのカードでサーチして……というのは本末転倒です。

カードが3種×4枚のコンボデッキでは再現性は低いでしょう。これが既存のアスモフードが抱える問題点です。構成パーツを以下のように増やすことは可能です。

① 食物・トークンを利用するカード 8枚

② 食物・トークンを生むカード 8枚

③ 手札コストを供給するカード 4枚

《アスモ》をサーチする手段を増やせば①と②を満たすため、同時に枚数を増やすことができます。しかし、これでは問題は解決していません。結局、③が4枚であることが足を引っ張ります。これがもし、③も8枚になれば──つまり《楕円競走の無謀者》に相当するカードがあれば、かつそれが単体でもプレイアブルであれば、アスモフードはもう1ランク上のデッキとして活躍できるようになることでしょう。

というわけで、その問題の解決を可能な限り目指したのが、今回紹介するグルール型の「アスモフード」です。

グルール型「アスモフード」

採用カード紹介:メインボード

《アスモ》《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》

アスモラノマルディカダイスティナカルダカール地獄料理書楕円競走の無謀者

これらのカードがアスモフードの中核です。サイド後は別として、メインから減らすことはないでしょう。

《レンと六番》

レンと六番

このカードこそアスモフードに欠けていた最後のピースだと考えています。アスモフードに欠けているのは《楕円競走の無謀者》というのはすでに述べた通りですが、この《レンと六番》こそ《楕円競走の無謀者》です。

《地獄料理書》は食物・トークンを生成するのが目的なため、手札コストさえ供給できれば質は問いません。であれば、2マナとは思えないリソースを確保できる《レンと六番》が最適と考えました。

ゴブリンの太守スクイー

この枠は《ゴブリンの太守スクイー》が最も近いと思っていましたが、1ターンに1回しか手に入らず、手札に戻るまでにもラグがあります。なにより単体で機能しません。《楕円競走の無謀者》の完全劣化です。《ゴブリンの太守スクイー》《楕円競走の無謀者》ばかりを引くことも避けたいですし、この手のシナジー前提のカードがデッキに増えることは避けたいというのもすでに述べた通りです。

一つの指輪

大量リソースという観点では《一つの指輪》も悪くないですが、それ自体を唱えるために4マナが必要(=別の手段でリソースを確保する必要がある)ためイマイチです。単体で機能するカードパワー、そしてデッキとのシナジーという二面で考えたときに《レンと六番》が最もバランスが良いと判断しました。

もちろん、普通に土地を伸ばすことで《金のガチョウ》《破滅の終焉》の価値を高めたり、ジャンドサーガよろしく《ウルザの物語》を使いまわしてお手軽リソース勝ちも狙えます。この《レンと六番》の採用こそがグルール型「アスモフード」の最大のメリットです。

《ウルザの物語》

ウルザの物語構築物トークン

アスモフードにおける構築物・トークンは異常なパフォーマンスです。なにせ《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》がそろえば毎ターン無条件で食物・トークンが増えるので、構築物・トークンのサイズが無制限にどんどん上がっていきます。

仮に《楕円競走の無謀者》を引けなくとも、手札の枚数が関係ないショートレンジの展開であれば、手札を投げ捨てて育てることもあります。すでに解説済みですが、カードの性質こそ異なるものの《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》のシナジーを活かすという意味では《アスモ》と同じ位置の役割を持ちます。

そして、このカード自身も最終的には《地獄料理書》になります。単体でデッキ全体とシナジーしている最強の土地です。何色でアスモデッキを組もうが絶対に採用します。

《敏捷なこそ泥、ラガバン》

敏捷なこそ泥、ラガバン

アスモフードという単体機能しないカードの塊デッキ(…)において、残りの枠を可能な限り普通に使って強い&多少のシナジーを持つカードで埋めることで勝率を担保するというのが今回のコンセプトです。

除去が少ないので序盤から攻撃を通すのは難しいと思うかもしれませんが、《アスモ》のパッケージがそろうと戦場が一気に空くので、そこから攻撃を通すくらいの気概で十分です。もちろん、初手に唱えられるのであればそれに越したことはないです。除去されなければそれだけで勝ちです。

ただ、システムが完成しなければ攻撃が通りづらいのもまた事実です。序盤に相手の《敏捷なこそ泥、ラガバン》と交換できるなら喜んで交換しましょう。

《金のガチョウ》

金のガチョウ

マナクリーチャーというよりは追加の食物製造機としての運用することが多いです。役割は《地獄料理書》と同じですが、手札コストは不要で毎ターン2マナで食物・トークンを産み出すので、状況によっては《地獄料理書》よりも強力です。《レンと六番》で土地を伸ばしておくと食物・トークン生成の起動型能力も使いやすいです。

《破滅の終焉》

破滅の終焉

《アスモ》は点数でみたマナコストが0なため、《破滅の終焉》をX=0で唱えるとデッキから直接《アスモ》を呼べます。2マナで《アスモ》がサーチ可能ということで、《アスモ》サーチ用の中でもコストとリターンのバランスが最も優れています。墓地からも呼べる上に後半は《金のガチョウ》《機能不全ダニ》に変換したりと腐りづらいです。

《鏡割りの寓話》

鏡割りの寓話

手札に引いた《アスモ》を唱えるためのディスカード手段としての役割を買っての採用です。単体のカードパワーはいまさら説明するまでもないでしょう。アスモフードはコピーする対象も少なければゴブリン・シャーマン・トークンの攻撃を通すための除去も少ないです。それでも十分なパフォーマンスを出していると感じます。このカード単体のスペックにはただただ驚くばかりです。

《敏捷なこそ泥、ラガバン》《レンと六番》同様、デッキにシナジーを持ちつつ単体のカードパワーがあるという点を評価しています。相手視点ではデッキとのシナジーや影響力が見えづらく、なんだかんだで除去を吸いやすい=《アスモ》が生き残りやすいというメリットもあります。

《機能不全ダニ》《影槍》

機能不全ダニ影槍

《ウルザの物語》から持ってくるアーティファクト。この枠を取り過ぎるとデッキパワーの低下を招くので、本当に最低限だけ採用しています。エスパー御霊のように墓地を利用するデッキが多ければ《虚無の呪文爆弾》を、ラクドス想起のように《ダウスィーの虚空歩き》を使うデッキが多ければ《黄鉄の呪文爆弾》を採用したりと、環境に合わせて少しづつ調整しましょう。

《感電破》

感電破

序盤に使いたい除去としては若干不安定で、初手近辺に「金属術」を達成するのは稀です。にもかかわらず《稲妻》《邪悪な熱気》よりも優先しているのは、《レンと六番》の奥義用かつ《スランの医師、ヨーグモス》の対処用です。

[1] 《レンと六番》の奥義で使いまわせる除去がないと完全に無視されてしまうため、役割を持たせるために少しは本体へ飛ばす火力を採用したい

[2] 《スランの医師、ヨーグモス》《アスモ》で倒せない(詳細は後述します)ため、この枠は絶対に《スランの医師、ヨーグモス》を倒せる必要がある

以上の理由から《稲妻》《邪悪な熱気》ではなく《感電破》を優先して採用しています。

土地関連

通常、アスモフードは土地が少なめなことが多いです。構成にもよりますが、21枚前後が一般的な枚数です。《ミシュラのガラクタ》などを採用して19枚程度に抑えているリストも存在するレベルです。ですが、今回紹介するグルール型は《レンと六番》を採用した上で24枚とたっぷり採用しています。

ウルザの物語

これは《ウルザの物語》の起動をゲームプランに組み込んでいるからです。単なる《地獄料理書》のサーチとしてカウントするなら21枚程度でも問題ないですが、今回はアスモフード=“フェアに戦っても強いミッドレンジ・クリーチャーコンボデッキ”として捉えています。

《ウルザの物語》を起動しつつ、ほかの行動も行おうとすると土地はデッキの見た目以上に大量に必要になります。なのでたっぷり多めの24枚としました。伸ばした土地は《金のガチョウ》《地獄料理書》や食物・トークンの起動にもあてるので、思ったよりフラッドを感じる瞬間は少ないです。

採用カード紹介:サイドボード

《真髄の針》

真髄の針

ほぼ《スランの医師、ヨーグモス》《飢餓の潮流、グリスト》《一つの指輪》専用。実は《アスモ》《スランの医師、ヨーグモス》が倒せません。詳しくはプレイアドバイス&TIPSの項で説明します。

《飢餓の潮流、グリスト》も直接触る手段が《感電破》くらいしかないため、《真髄の針》で直接起動型能力を止めるしかないと判断しての採用です。ちなみに《呪われたトーテム像》はなんと《アスモ》が止まってしまうため採用できません。

《エレヒの石》

エレヒの石

墓地対策としては重い《大祖始の遺産》なので微妙です。真の役割は常在型能力にあります。……もうお分かりだと思いますが、《スランの医師、ヨーグモス》用です。これで「不死」クリーチャーを使いまわされることなく除去が可能になります。かなり厚くサイドを用意していることからも分かる通り、ヨーグモス医院はかなり不利です。

《虚無の呪文爆弾》

虚無の呪文爆弾

墓地対策は取りたいものの、《大祖始の遺産》《レンと六番》《地獄料理書》での回収があるため、自身の墓地を飛ばしたくないので却下。《魂標ランタン》《トーモッドの墓所》はリソースが減ってしまうのでできれば採用したくないです。

ただでさえ単体で何もしないカードが多いなかで、この手の対策のみのカードを採用すればデッキが回らなくなることは目に見えています。なので、手札が減らず相手だけを対象に取れる《虚無の呪文爆弾》を採用しました。1枚だけ《草むした墓》が採用されているのはこのためです。

《耐え抜くもの、母聖樹》

耐え抜くもの、母聖樹

《レンと六番》との組み合わせで土地コンボを手っ取り早くハメます。《耐え抜くもの、母聖樹》を大量に採用することが肯定されるのも《レンと六番》の評価に繋がっています。《敏捷なこそ泥、ラガバン》《アスモ》で起動が軽くなるのもポイントで、2マナで破壊し続けてもテンポが悪いですが、1マナなら話は別です。

《高山の月》

高山の月

主に土地コンボ用ですが、《減衰球》よりも軽い点を評価しています。《ウルザの物語》をメインプランの組み込んでいる都合上、可能な限りトークン生成で起動したいので、少ないマナで動きたいため影響力よりも軽さを重視しています。

《毒を選べ》

毒を選べ

ドメインズー、アミュレットタイタンなどを想定しての採用です。《ギルドパクトの力線》《ウルザの物語》《精力の護符》をテンポよく除去できます。《ギルドパクトの力線》さえ退ければ《ドラコの末裔》《アスモ》で除去できますし、《精力の護符》がなければ《原始のタイタン》《イリーシア木立のドライアド》《アスモ》でハメられます。

プレイアドバイス&TIPS

本項はアスモフードを使用するにあたっての簡単なプレイアドバイスになります。

《アスモ》は急いで唱えなくてもいい

アスモラノマルディカダイスティナカルダカール

アスモフードは《アスモ》《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》を目指すデッキですが、これらがそろってもその場で勝ちになるコンボデッキではありません。《アスモ》が戦場に出た際の誘発に対応して《稲妻》などで除去されてしまって、次のターンに出てきたクリーチャーを倒せない……となっては、せっかくの強みを活かしているとはいえません。

1枚目の《地獄料理書》をサーチする目的などであれば問題ありませんが、《アスモ》を戦場に出すのは可能なら食物・トークンを2つ用意しつつ、相手のクリーチャーが出てくるまで待つほうがよいです。

《ウルザの物語》用のアーティファクトは入れ替えよう

影槍機能不全ダニ

《影槍》《機能不全ダニ》《ウルザの物語》からサーチ用です。しかし、すべてのマッチで必要なわけではありません。なんとなくこの枠は触れないほうがいいと思われているのか、サイド後も残される傾向にありますが、不要なマッチではちゃんとサイドアウトしましょう。

特に《影槍》は効く・効かないがハッキリしたカードです。アミュレットタイタン・ウルザトロン・エスパー御霊など、ライフが関係ない・クリーチャー戦闘を行わない相手に対しては不要です。

《アスモ》にこだわらない

《アスモ》はフェアゲームで強いカードです。当然ですが相手のクリーチャーが出てこないと何もしないバニラです。つまり、対コンボデッキなどでは無力です。そういったゲームで積極的に《アスモ》を唱えてもゲームへ与える影響はほぼゼロです。

ウルザの物語構築物トークン地獄料理書

そういった相手には《アスモ》で戦っても無駄です。土俵が違います。代わりに《ウルザの物語》で構築物・トークンを作って、《地獄料理書》で育てるプランが有効です。《楕円競走の無謀者》が引けていなくても構いません。そういった相手には手札がいくらあっても関係ありません。手札をどんどん投げてて爆速で構築物・トークンのサイズを上げて殴り倒しましょう。

《スランの医師、ヨーグモス》が倒せない!

《アスモ》は対象のクリーチャーが発生源となり、自身に6点を与えるというめずらしいタイプの除去です。多くの場合は普通の6点火力と大差はないですが、対象にしたクリーチャーが接死を持っているのであれば、タフネスに関係なく死亡しますし、対象にしたクリーチャーが絆魂を持っているのであれば、自身のパワーと関係なく6点のライフを得ます。

スランの医師、ヨーグモス

この仕様(?)によって絶対に倒せないクリーチャーが環境に存在します。それは《スランの医師、ヨーグモス》です。誰が書いたか謎の「プロテクション(人間)」により、《スランの医師、ヨーグモス》自身が人間のため一切ダメージを受けません。

そもそも《アスモ》自身が人間なので対象に取れませんが、《アガサの魂の大釜》《アスモ》を追放し、人間でないクリーチャーが《アスモ》の起動型能力を得たとしても、《スランの医師、ヨーグモス》はやはり倒せません。そのせいでアスモフードはヨーグモス医院には圧倒的に相性が悪いのです。負けでいいです(?)

《アスモ》を唱える条件

地獄料理書通りの悪霊鏡割りの寓話

《アスモ》は手札からカードを捨てたターンにのみBRを支払うことで唱えられます。《地獄料理書》《通りの悪霊》《鏡割りの寓話》のような手札を捨てる手段と組み合わせて唱えることが多いです。

見捨てられたぬかるみ、竹沼耐え抜くもの、母聖樹

意外と知られていないのが《見捨てられたぬかるみ、竹沼》《耐え抜くもの、母聖樹》「魂力」による起動型能力。これらも手札から捨ててるので、《アスモ》を唱えるための条件を満たしています。特に《耐え抜くもの、母聖樹》で相手の適当な土地を破壊する→《アスモ》を唱えるというプレイは頻出します。覚えておきましょう。

《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を見逃すな!

成長の揺り篭、ヤヴィマヤヨーグモスの墳墓、アーボーグ

今回紹介するデッキには入っていませんが、相手のデッキに入っている場合はラッキーです。《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》の場合、2ターン目に《ウルザの物語》を置きながら《破滅の終焉》を唱えることが可能です。テンポよく動けます。《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の場合、《楕円競走の無謀者》《虚無の呪文爆弾》が使いやすくなります。わざわざ《草むした墓》を持ってくる必要がないので無駄なライフ損失をしなくてすみます。

《楕円競走の無謀者》を墓地対策から守る

楕円競走の無謀者

《楕円競走の無謀者》が墓地で誘発しているタイミングで《大祖始の遺産》《未認可霊柩車》で追放されてしまうと《地獄料理書》用の手札コストを失い、バリューが下がってしまいます。 なので、可能であれば《楕円競走の無謀者》はなんとしてでも追放されないようにしたいです。

ポイントは《楕円競走の無謀者》《地獄料理書》から出る食物・トークンだけでなく、あらゆるアーティファクトが戦場に出ると誘発するということ。

以下の状況を想定します。

この状況で《楕円競走の無謀者》をコストに《地獄料理書》を起動したとします。

① 食物・トークンが出たことで《楕円競走の無謀者》が誘発。

② 相手が《未認可霊柩車》を起動(対象は《楕円競走の無謀者》)。

③ 対応して《ウルザの物語》を起動。構築物・トークンを生成。

④ 構築物・トークンが出たことで《楕円競走の無謀者》が誘発。

これによって《未認可霊柩車》の追放から逃れることができます。ほかにも《金のガチョウ》の起動型能力(食物・トークン生成)でも同じことができるので覚えておきましょう。

《楕円競走の無謀者》で戦え!

楕円競走の無謀者

《楕円競走の無謀者》は手札コストでしか使えないというわけではありません。なんと4マナ4/2のクリーチャーとして戦場に出すことも可能です(マナコストとテキストを読み上げただけ)。

地獄料理書金のガチョウ

仮に除去されたとしても、戦場にアーティファクトが出ればすぐに手札に戻ってきます。つまり、《地獄料理書》《金のガチョウ》と組み合わせると無敵のクリーチャーとして運用可能です。特に対イゼットマークタイドや対コントロールなど、打ち消しや除去を多用するマッチアップでは重要になります。

マリガン判断

本項ではマリガン判断について解説します。

破滅の終焉ウルザの物語

グルール型「アスモフード」は2色で収まってはいるものの、ダブルシンボルの《破滅の終焉》&色マナの出ない《ウルザの物語》が採用されているため、意外と色拘束は厳しいです。見た目に反して(見た目通りか?)土地トラブルのマリガンは多めです。

なので、色マナに余裕のある手札はゆったりキープしたいです。逆に土地1枚+《ウルザの物語》のような手札は危険です。残りの手札次第ではありますが、マリガンしたほうがよいです。

敏捷なこそ泥、ラガバン破滅の終焉レンと六番

《敏捷なこそ泥、ラガバン》《破滅の終焉》《レンと六番》の3種はキープを肯定してくれます。どれも序盤に唱えたい呪文なので、初手にあると非常に嬉しいです。次点で《ウルザの物語》も嬉しいです。アスモフードにおける構築物・トークンと《地獄料理書》の組み合わせは非常に強力です。その両方を用意できるため、単体でゲームプランになります。

残りは組み合わせ次第になります。

■組み合わせ例

《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》=食物・トークン無限生成!ただし、片方だけでは役に立たないのでマリガン候補です。

《金のガチョウ》《鏡割りの寓話》=ロケットスタート!が、どちらもそれ単体でキープするのは力不足です。

キープ例①

破滅の終焉破滅の終焉レンと六番楕円競走の無謀者
樹木茂る山麓森ウルザの物語

《破滅の終焉》《アスモ》《地獄料理書》がサーチ可能で、《楕円競走の無謀者》がいるので手札コストも確保できています。《レンと六番》《ウルザの物語》で数ターン分の動きも確約されています。

キープ例②

敏捷なこそ泥、ラガバンレンと六番鏡割りの寓話感電破
樹木茂る山麓森ウルザの物語

アスモフードとは一体なんのかと思わされる普通のミッドレンジハンドですが、これで十分に戦えるのがグルール型「アスモフード」のメリットです。

マリガン例①

金のガチョウ破滅の終焉破滅の終焉楕円競走の無謀者
影槍山ウルザの物語

「①色が悪い」「②土地が少ない」「③組み合わせが悪い」という点が3大マリガンポイントです。例はかなり露骨ですが、色が悪く仮に《樹木茂る山麓》《森》を1枚引いた程度ではまだ不十分なので、よりよい手札を求めてマリガンしましょう。

マリガン例②

金のガチョウ金のガチョウ感電破
樹木茂る山麓樹木茂る山麓踏み鳴らされる地森

組み合わせ以前の問題です。何もありません。マリガンです。土地24枚+《金のガチョウ》4枚とマナソースが多いので、こればかりは仕方ないですが……。

簡易マッチアップガイド

本項では主要マッチのいくつかに対してのサイドボーディングとマッチアップの要点について解説します。in/outパターンの参考にして下さい。

ドメインズー

vs. ドメインズー

Out

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン
金のガチョウ 金のガチョウ

In

感電破 感電破 毒を選べ 毒を選べ
耐え抜くもの、母聖樹 機能不全ダニ
ギルドパクトの力線ドラコの末裔縄張り持ちのカヴー

初手に《ギルドパクトの力線》を置かれても絶望しなくて済むのがアスモフードの長所です。《ウルザの物語》からサーチした《機能不全ダニ》《ギルドパクトの力線》を剥がせれば、《アスモ》《ドラコの末裔》《縄張り持ちのカヴー》を倒せます。

ドメインズーは基本的にライフを詰めることしかできないので、《地獄料理書》《楕円競走の無謀者》での食物・トークンを量産してそれを食べることでも延命できます。

サイド後もお互いに《毒を選べ》が入る程度なので、大きな相性改善には至りません。総じて有利です。

ヨーグモス医院

vs. ヨーグモス医院

Out

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン
金のガチョウ

In

真髄の針 真髄の針 感電破 感電破
エレヒの石
スランの医師、ヨーグモス若き狼

かなり不利です。普通に戦ったら勝てません。《アスモ》を使って《スランの医師、ヨーグモス》以外のクリーチャーを殲滅するのが一番手っ取り早いですが、そのなかには「不死」持ちのクリーチャーも含まれます。要するに非現実的です。メイン戦はとにかく構築物・トークン+《影槍》《感電破》で素早くライフを詰め、《スランの医師、ヨーグモス》の起動回数に制限を付けるしかありません。

エレヒの石真髄の針毒を選べ活性の力

サイド後は《エレヒの石》《真髄の針》で多少は除去の価値が担保されますが、相手からも《毒を選べ》《活性の力》が追加されるので、結局は不利のままです。

エスパー御霊

vs. エスパー御霊

Out

感電破 感電破 影槍

In

虚無の呪文爆弾 虚無の呪文爆弾 エレヒの石
御霊の復讐偉大なる統一者、アトラクサ

《思考囲い》《呪文貫き》のような干渉手段がないため、相手がスムーズに動いたらそれだけで負け確定です。ただ、《レンと六番》《ウルザの物語》のリソースが無限であること、《アスモ》の起動で《偉大なる統一者、アトラクサ》は一発で倒せることから、意外と粘り勝ちがあります。エスパー御霊は増えた手札を戦場に還元する方法が限られているので、《御霊の復讐》が決まったからといって諦める必要はありません。

虚無の呪文爆弾

サイド後は《虚無の呪文爆弾》が追加されて多少はマシになります。《ウルザの物語》でサーチ可能ですが、2ターン目の墓地肥やし&3ターン目の《御霊の復讐》には間に合いません。最速のベストムーブは割り切って、相手がスムーズに動かないことを祈りましょう。

ラクドス想起

vs. ラクドス想起

Out

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン

In

耐え抜くもの、母聖樹 耐え抜くもの、母聖樹 感電破 感電破
まだ死んでいない悲嘆

初手の《悲嘆》《まだ死んでいない》を受けても《ウルザの物語》《アスモ》《鏡割りの寓話》辺りですぐにリカバリーできるため、そこまで悲観することはありません。《ウルザの物語》《血染めの月》に弱いものの、出てくる構築物・トークンが大きすぎてそのまま押し切る展開が多いです。

ダウスィーの虚空歩き

ただし、《ダウスィーの虚空歩き》には注意。《レンと六番》《楕円競走の無謀者》など、墓地を経由するカードが多いので、見かけたら絶対に最優先で除去します。《感電破》は無駄に使わず、《ダウスィーの虚空歩き》用に取っておきましょう。

血染めの月

サイド後は《血染めの月》にクリーンヒットすると流石に負けるのでケア必須です。後手の2ターン目に《ウルザの物語》を置いてしまうと、《血染めの月》が貼られたときにえぐいテンポロスになるので、可能な限り後ろにずらします。《森》を2枚確保できればスムーズに動けるので、まずはそれらをフェッチランドから持ってくることを意識しましょう。

ウルザトロン

vs. ウルザトロン

Out

金のガチョウ 金のガチョウ 金のガチョウ 金のガチョウ
感電破 感電破 楕円競走の無謀者 アスモラノマルディカダイスティナカルダカール
地獄料理書 影槍

In

耐え抜くもの、母聖樹 耐え抜くもの、母聖樹 耐え抜くもの、母聖樹 機能不全ダニ
高山の月 高山の月 毒を選べ 毒を選べ
真髄の針 真髄の針

干渉手段が除去しかないメイン戦は必敗です。諦めてください。

レンと六番耐え抜くもの、母聖樹

サイド後はそれなりに対策カードが増えて十分戦えるようになります。《レンと六番》《耐え抜くもの、母聖樹》の必殺技をそろえるのが最も簡単な勝利条件で、それに繋げるために《高山の月》《真髄の針》などを追加の妨害として使うイメージです。

敏捷なこそ泥、ラガバンアスモラノマルディカダイスティナカルダカール

《アスモ》そのものは大して有効ではないですが、伝説のクリーチャーであることは重要です。《耐え抜くもの、母聖樹》の起動コストが軽くなるため、《敏捷なこそ泥、ラガバン》かどちらかは戦場に欲しいです。そのため、単体で《アスモ》になる《破滅の終焉》以外のアスモパッケージは少しずつ減らします。

アミュレットタイタン

vs. アミュレットタイタン

Out

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン
金のガチョウ 金のガチョウ 金のガチョウ 影槍
感電破 感電破

In

耐え抜くもの、母聖樹 耐え抜くもの、母聖樹 耐え抜くもの、母聖樹 機能不全ダニ
高山の月 高山の月 毒を選べ 毒を選べ
真髄の針 真髄の針

ウルザトロン同様、対土地コンボのメイン戦は絶望的……と思われるかもしれませんが、《アスモ》が定着すると

これらを咎めることはできるため、意外と耐性があります。とはいっても不利であることに変わりありませんが……ウルザトロンと比べると比較的戦えるというだけです。

精力の護符耐え抜くもの、母聖樹シミックの成長室

サイド後は対策が増えてかなり戦いやすくなります。《耐え抜くもの、母聖樹》《精力の護符》とお帰りランドのどちらを狙うかは状況次第ですが、基本的にはお帰りランドを狙ったほうがよいです。《精力の護符》を破壊すると普通に土地が伸びてしまい、そこから《原始のタイタン》を唱えられてしまいます。

《耐え抜くもの、母聖樹》を構えていれば、お帰りランドが置かれて誘発したタイミングで破壊することで、アンタップすることなく手札に土地を戻させることができるので、かなりのテンポロスを狙うことができます。

イゼットマークタイド

vs. イゼットマークタイド

Out

金のガチョウ 金のガチョウ 金のガチョウ 金のガチョウ

In

虚無の呪文爆弾 虚無の呪文爆弾 感電破 感電破
ドラゴンの怒りの媒介者帳簿裂き稲妻

フェアマッチはアスモフードの得意とするところです。1ターン1アクションだと打ち消しや除去で”餅つき”されやすいので、中盤以降は必ず2アクション以上で仕掛けます。《アスモ》は通ってもすぐ《稲妻》《邪悪な熱気》で除去されてしまうので、相手の《ドラゴンの怒りの媒介者》《帳簿裂き》といったクリーチャーが出てから場に出して、仮に除去されても相手のクリーチャーを巻き込めるようにしましょう。

ウルザの物語構築物トークン

《ウルザの物語》の構築物・トークンが7/7を越えると《邪悪な熱気》では対処されなくなるので、これを狙いつつ相手の除去を使わせたタイミングで《アスモ》を定着させられれば完璧です。

仕組まれた爆薬兄弟仲の終焉激しい叱責

サイド後は《仕組まれた爆薬》《兄弟仲の終焉》《激しい叱責》に注意が必要です。《仕組まれた爆薬》はため込んだ食物・トークンと《アスモ》がまとめて流されてしまいます。《兄弟仲の終焉》も適当に《地獄料理書》を並べていると一気に破壊されて痛い目をみます。《激しい叱責》はほぼ構築物・トークン用の除去ですが、2体の構築物・トークンを生成後に唱えられるとかなりのテンポロスになります。

いずれも景気よくパーマネントを並べている場合にクリーンヒットしやすいので、不利でもない限りは展開は小出しにしてケアしましょう。

おわりに

アスモフードのガイドは以上になります。

アスモフードは独特のガチャガチャ要素がありつつも、今回は安定感という点でメスを入れてみました。「同じデッキばかりでマンネリ化してきた」「ちょっと変わったデッキが使ってみたい」という人にオススメできます。興味を持った方はぜひとも手に取ってみてください。

増田 勝仁(X)

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増田 勝仁 リミテッドよりも構築フォーマットを得意とし、ひとたび好みのデッキを見つけるとただひたすらに使い続ける。そのやり込み具合は日本でもトップクラスで、誰よりもデッキへの理解が深く、プロからも一目置かれているプレイヤーだ。「日本一」の称号を求めて戦う「日本選手権2019」でトップ8に入賞し、舞台をオンラインへと移した「日本選手権2021 SEASON1」では使い続けたナヤフューリーで悲願の優勝。マジックの歴史にその名を刻んだ。 増田 勝仁の記事はこちら