はじめに
お疲れ様です。てんさいチンパンジー(@tensai_manohito)です。今回はパイオニアから「ロータスコンボ」を紹介します。
ロータスコンボは過去にも紹介したことがあるため、一部内容が重複する部分がありますがご了承ください。単体で完結しているため、以前の記事を読んでいなくても十分楽しめる内容になっています。
- 2022/08/12
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- 増田 勝仁
ロータスコンボとは
ロータスコンボとは、《睡蓮の原野》を用いた土地コンボデッキです。《睡蓮の原野》を複数枚並べることで、《見えざる糸》《砂時計の侍臣》《熟読》といった土地をアンタップする呪文の価値を高め、そこから増えたマナを用いて《出現の根本原理》を唱えます。《出現の根本原理》を唱えられれば、以降は何をやってもおおむね勝ちます。
安定した5ターンキルが可能で、それよりも遅いミッドレンジ・コントロールデッキ全般を得意とします。反面、相手への妨害が皆無&こちらの守りが手薄なので、キルターンの早いボロスヒロイックやアマリアコンボを苦手としています。
サンプルリスト
採用カード紹介:メインボード
直近で大きな変化があった箇所に絞って解説します。
マナベース
土地は27枚と多めに採用されています。詳細は後述しますが、これは新たに採用した《大ドルイドの魔除け》をスムーズに唱えるためです。そのため、《天上都市、大田原》のように緑マナが出ない土地も極力減らしています。
土地に枠を割いた都合上、《衝動》のような手札を調整するカードの枠を削っています。なので《神秘の神殿》+《迷路庭園》を多めに採用し、占術・諜報でドローを操作して手札を調整します。
《大ドルイドの魔除け》
衝撃の新戦力です。
メインは土地サーチで使います。《森の占術》と同様に《睡蓮の原野》《演劇の舞台》などの土地をサーチします。これで《睡蓮の原野》が実質12枚体制になってキープ率が大幅に向上しました。また、クリーチャーをサーチすることも可能なので、マナに余裕があれば《溺神の信奉者、リーア》《願いのフェイ》をサーチしてフィニッシュ手段に繋げることもあります。
アーティファクト・エンチャント追放も強力です。《減衰球》や《高山の月》など、ロータスコンボが苦手とする置き物をサイドスロットを圧迫することなくメインから無理なく対策できます。
意外に思われるかもしれませんが疑似格闘も使用頻度は高いです。サイド後に《エメリアのアルコン》《傑士の神、レーデイン》などの対策クリーチャーを除去するのに使います。《龍王ドロモカ》《偉大なる統一者、アトラクサ》などの絆魂持ちクリーチャーで疑似格闘すればライフも得られるので相性が良いです。
ただし、《大ドルイドの魔除け》は緑のトリプルシンボルと唱えるためのハードルが非常に高いです。これを安定して唱えるために従来の土地構成を変更する必要があります。以前はロータスコンボの土地枚数は24枚前後が主流でしたが、《大ドルイドの魔除け》を採用している現在は、色マナの出ない《演劇の舞台》を3枚に減らした上で26枚前後が主流です。今回紹介するリストは《演劇の舞台》を4枚にしての27枚とかなり多めです。
《成長のらせん》
この枠は一般的に《樹上の草食獣》が採用されていますが、今回は不採用です。代わりに《成長のらせん》をフル投入しています。これは《大ドルイドの魔除け》を採用する思想に寄せているためです。
《大ドルイドの魔除け》を唱えるには緑3マナ必要です。従来はコンボ成立までに必要な土地は「《睡蓮の原野》」「《演劇の舞台》」「生け贄用の適当な土地×2枚」の4枚だったため、3枚目の適当な土地は不要でした。しかし、《大ドルイドの魔除け》の採用後はそれを唱えるために3枚目の土地が必要になります。つまり、必要なリソースが土地1枚分増えています。
たかが1枚……と思うかもしれませんが、そこでさらに《樹上の草食獣》で手札を減らしてしまうと、唱えるために必要なリソースの多い《大ドルイドの魔除け》がより唱えにくくなります。なので初動の加速は諦め、リソースを減らすことなく加速が可能な《成長のらせん》に変更しました。
《成長のらせん》は相手のターン終了時に土地を置けるため、《大ドルイドの魔除け》とともに相手の《減衰球》をケアしやすくなる副次的なメリットがあります。相手が《減衰球》を置いてきたなら《耐え抜くもの、母聖樹》《大ドルイドの魔除け》で除去し、何もなければ《成長のらせん》《大ドルイドの魔除け》で《睡蓮の原野》を置く、といったパターンが作れます。頻出するわけではないですが、《大ドルイドの魔除け》と合わせてインスタントタイミングで土地を伸ばせるようになった強みを活かした格好です。
また、直近の環境はアマリアコンボの影響でアグロデッキ全般が衰退しており、《樹上の草食獣》のようなブロッカーを立てる必要がないというのも《成長のらせん》を肯定する理由になっています。
《闇の誓願》
実質2マナのチューターとして運用可能で、状況に合わせて《見えざる糸》か《出現の根本原理》をサーチすることが多いです。《出現の根本原理》の選択肢に留まらず、道中でも《悪魔の教示者》のように使えるその使い勝手の良さから、一般的な枚数に加えてさらに増量しています。墓地対策の影響を受ける点はイマイチですが、後述するサイドプランでそもそもサイド後は全部抜いてしまうことも多いです。
《願いのフェイ》
この枠は《大ドルイドの魔除け》の登場前は《希望の標、チャンドラ》が主流でした。《大ドルイドの魔除け》の登場後は魔除けでサーチ可能な《願いのフェイ》が優先されるケースが多いです。《願いのフェイ》は勝ち手段(=《副陽の接近》)とフィニッシャー(=《出現の根本原理》)を兼ねています。サイド枠を使ってしまうのが難点ですが、代わりにメイン枠を圧縮できます。
採用カード紹介:サイドボード
《偉大なる統一者、アトラクサ》《原初の災厄、ザカマ》
《耳の痛い静寂》《エメリアのアルコン》《傑士の神、レーデイン》《乱動する渦》のような呪文を妨害する対策を乗り越えるフィニッシャーたち。最近ではあらゆる黒/青が含まれるデッキから《夢を引き裂く者、アショク》が飛んでくるので、特にサイド後は《出現の根本原理》の信用度が落ちます。そのため、《アショク》の常在型能力の影響を受けない・単体で戦えるこれらのクリーチャープランに切り替えることが多いです。
《龍王ドロモカ》
対コントロール用のフィニッシャー。《偉大なる統一者、アトラクサ》《原初の災厄、ザカマ》と異なりこれ単体で勝つことが目的ではないこと、《大ドルイドの魔除け》からサーチできることを加味して1枚のみの採用です。
《耐え抜くもの、母聖樹》
メインに3枚採用しているので、サイドのこれは4枚目になります。もちろん《減衰球》対策です。《自然のままに》《造反者の解放》《萎れ》などではなく《耐え抜くもの、母聖樹》を優先している理由は「手札破壊で抜かれない」からです。ラクドス吸血鬼が《思考囲い》《減衰球》をセットで採用しているので、それを考慮しての《母聖樹》です。
《沈黙》
打ち消しを強引に突破するバックアップ。ロータスコンボは相手の打ち消しを乗り越えるために《終止符のスフィンクス》《龍王ドロモカ》《思考のひずみ》などが使われています。しかし、すべて完璧というわけではなく、それぞれ穴があります。
《終止符のスフィンクス》は《全知》やクリーチャーを打ち消しから守れませんし、《龍王ドロモカ》は《霊気の疾風》、《思考のひずみ》は《ナーセットの逆転》でずらされる可能性があります。どれも万能ではありません。完璧な突破方法がない以上、一番軽いものが優れていると判断して《沈黙》を多めに採用しました。
対青いデッキではもちろんのこと、ミラーマッチでも強力です。《溺神の信奉者、リーア》で使いまわして半ロック状態を継続することもできます。
プレイアドバイス&TIPS
《出現の根本原理》はマスターしなくていい!
「《出現の根本原理》の選択肢が難しい!」というのがロータスコンボの通説であったり、このデッキを敬遠する理由だというのを耳にしますが、そんなことはありません。たしかに複雑なパターンはありますが、それはあくまで例外です。基本パターンを覚えておけば9割はカバーできます。紹介しているリストは意図的に採用カードを絞っているため、選択肢もほとんどありません。
「①《全知》」「②《闇の誓願》」「③《熟読》」「④《溺神の信奉者、リーア》」。この4枚から3つを選ぶ選択肢は4通りです。
■基本パターン
[2]:①《全知》 ②《闇の誓願》 ④《溺神の信奉者、リーア》
[3]:①《全知》 ③《熟読》 ④《溺神の信奉者、リーア》
[4]:②《闇の誓願》 ③《熟読》 ④《溺神の信奉者、リーア》
この4パターンを覚えておけば大丈夫です。
困ったら[1][2][3]のどれかを選んでおけば悪いことにはなりません。相手が除去を構えてそうなら《溺神の信奉者、リーア》を含まない[1]を、相手から干渉されない場合は《リーア》は最強のマナ加速&リソースになるので[2][3]を選びます。
手札に追加のリソースがない(=《全知》を置いてもあまり意味がない)場合は、《全知》を含まない[4]を選べばよいです。《睡蓮の原野》が1枚のときに仕掛けた場合などは《大ドルイドの魔除け》を含めることもありますが、上記の4枚の組み合わせでどうしてもダメだったら検討してみる程度でいいでしょう。
相手のリストを覚えておく
ロータスコンボはサイドに別のフィニッシャーを採用していることが多いです。《長老ガーガロス》《精霊龍、ウギン》《原初の災厄、ザカマ》などが主流で、今回は《偉大なる統一者、アトラクサ》を採用しています。
相手の対策カードに合わせてフィニッシャーを切り替えるので、相手のデッキが一般的にどういった対策カードを採用しているのかを覚えておく必要があります。たとえば、ラクドス吸血鬼やイゼットフェニックスは《夢を引き裂く者、アショク》を採用しているのが直近のトレンドです。
なので、これらを相手にするときは《出現の根本原理》のパッケージをすべて抜いてクリーチャープランに交換します。仮に2本目に長引いて《夢を引き裂く者、アショク》がまったく見えなかったら、もとの《出現の根本原理》プランに戻すのものよいでしょう。
ただ、どうしても相手の構成が分からない・サイドをイメージできないというときはあるでしょう。そういったときは、とりあえず2本目はクリーチャープランに切り替えたほうが無難です。ロータスコンボは環境の上位デッキであり、まったく対策していません!ということはほとんどありえないからです。
《減衰球》《高山の月》《クレンコの轟音砕き》のような《睡蓮の原野》そのものを対策するパターンは《出現の根本原理》だろうと《ザカマ》だろうと同じなので関係ないですが、《エメリアのアルコン》《耳の痛い静寂》《乱動する渦》《カンバール》のような呪文対策の場合は、《出現の根本原理》か《ザカマ》《アトラクサ》かでは結果がまったく異なります。
仮に対策カードを引かれずにフィニッシュまで持っていけた場合でも、《ザカマ》《アトラクサ》であれば十分に相手を圧倒できる力があります。
《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》、どっちから置く?
《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》を両方持っていた場合、どちらから先に置くかの選択肢があります。
《睡蓮の原野》から置いた場合、次のターンに《演劇の舞台》を置く→《睡蓮の原野》をコピーする際に1マナ余ります。つまり、《砂時計の侍臣》+《見えざる糸》と持っていれば《演劇の舞台》を置いたターンに即コピー→アンタップと動けるため、そこから追加で《見えざる糸》や《熟読》があればそのターン中に《出現の根本原理》まで繋がる可能性があります。
《演劇の舞台》から置いた場合、当たり前ですが《睡蓮の原野》を置くかどうかの選択肢を後ろにずらせます。相手視点で《減衰球》を持っている場合、できれば《睡蓮の原野》が置かれてから《減衰球》を唱えたいはずですが、これを1ターンずらされる格好になります。仮に《減衰球》を置いてきた場合はその時点では色マナが出るので《耐え抜くもの、母聖樹》《大ドルイドの魔除け》で除去も可能です。
また、《エメリアのアルコン》に対しても《演劇の舞台》から先に置くことでケア可能です。《睡蓮の原野》がもとからタップインなので、先に《演劇の舞台》を置けば《睡蓮の原野》を置いたターン中にコピーが可能です。《睡蓮の原野》から置いてしまうと、《演劇の舞台》が《エメリアのアルコン》の常在型効果のせいでタップインになってしまい、コピーが1ターン遅れてしまいます。
加えて、《クレンコの轟音砕き》が入っているデッキに対しても《演劇の舞台》から置いたほうが良いです。思想は《減衰球》に対して1ターン遅らせる考え方に近いです。
先に《睡蓮の原野》を置いた結果、《演劇の舞台》でコピーする前に《睡蓮の原野》を割られるとほぼ負けです。先に《演劇の舞台》を置いた場合、《クレンコの轟音砕き》を唱えるターンが1ターン遅れるため(仮に唱えられても破壊するのが《演劇の舞台》ならほとんど影響はありません)、その間に《睡蓮の原野》を置く→《演劇の舞台》でコピーを済ませておきましょう。その返しに《クレンコの轟音砕き》が唱えられて《睡蓮の原野》を破壊されてしまいますが、コピーされた《睡蓮の原野》が残っているのでまだなんとかなります。
パターン分けで覚えるのが面倒!という方は「メイン戦は《睡蓮の原野》」「サイド後は《演劇の舞台》」と覚えておけばよいでしょう。
《願いのフェイ》が抜かれても諦めるな!
今回紹介したリストは勝ち手段を《願いのフェイ》に絞っています。そのため、何らかの方法で《フェイ》がゲームから追放されると、実質の勝ち手段を失うことになります。《思考囲い》で落とされた《フェイ》が《墓地の侵入者》に追放される、もしくは《殺戮遊戯》《漂流自我》で直接《フェイ》が追放される……などなど。このような状況に陥った場合でも、まだ諦めるのは早いです。
《全知》と《溺神の信奉者、リーア》でリソースはほぼ無限&手札のカードは唱えたい放題になるので、まずはそれを目指します。《全知》の設置後は《森の占術》で《天上都市、大田原》をサーチし、《リーア》を除去から守れる体制を整えた上で《大ドルイドの魔除け》を駆使して戦場を空け、《リーア》《砂時計の侍臣》の攻撃でライフを削っていきましょう。
《演劇の舞台》は相手のミシュラランドをコピーすることでクロックとしても運用可能です。《成長のらせん》ですべての《演劇の舞台》を戦場に置きましょう。除去から守るために使った《天上都市、大田原》は《バーラ・ゲドの復活》で再利用して、とにかく《溺神の信奉者、リーア》だけは絶対に守ります。これらを総動員してなんとか相手のライフを削って勝ちます。
とはいえ、厳しい戦いになります。どうしても《漂流自我》一発で負けるのが許せない!という場合は《首謀者の収得》や《ハイドラの巣》を採用して勝ち手段を増やすのも手です。
《見えざる糸》を使いこなせ!
ソーサリー
パーマネント1つと、他のパーマネント1つを対象とする。あなたはその前者をタップまたはアンタップしてもよく、その後、その後者をタップまたはアンタップしてもよい。
暗号(その後、あなたはあなたがコントロールするクリーチャー1体に暗号化した状態で、この呪文カードを追放してもよい。そのクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、それのコントローラーはその暗号化したカードのコピーを、それのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。)
《見えざる糸》は「暗号」によって思わぬマナ加速が可能になります。以下、非常に参考になる例があるので引用させていただきました(※本人の許可を得ています)。
ここから勝ちます。右の5枚が手札で、舞台はコピー前、フェイの酔いは解けてて、相手の場・リアクションは考慮しません。 pic.twitter.com/ILdTGNjt6a
— 若みどり (@greenhouse103) March 31, 2024
(すでに土地は置いてます。ここから勝てるのか…?)
これはかなり上級テクニックになりますし、この状況自体100試合やっても出会わないようなめずらしい状況です。ただ、いざこの状況になったときに勝てるかどうかは引き出しを持っているかどうかによります。自力で気づけないことは一生気づけないままなので、この例を覚えておくだけでも大きなプラスになると思います。
マリガン判断
本項ではマリガン判断について解説します。
基本的には《睡蓮の原野》に繋がる見込みがない手札は無条件でマリガンです。また《森の占術》《大ドルイドの魔除け》があっても、色マナが出ない/手札の土地が少なければマリガンです。
《演劇の舞台》に拘る必要はありません。《成長のらせん》で手札枚数をキープしやすい&土地を伸ばしやすくなったので、《演劇の舞台》を使わずに物理的に《睡蓮の原野》を2つ並べる展開や《睡蓮の原野》+適当な土地2枚から《見えざる糸》→《出現の根本原理》と唱えるパターンも増えました。
キープ例①
《睡蓮の原野》+《演劇の舞台》+適当な土地2枚があれば、ほかはなんであっても大体キープです。追加のマナ加速やフィニッシャーがあれば完璧です。
キープ例②
《大ドルイドの魔除け》でもキープできるパターンが増えたのは大きなアップデートです。ただし、最低でも緑マナが出る土地×2枚以上とのセットになります。1枚以下の場合は《大ドルイドの魔除け》=《睡蓮の原野》としてカウントしません。
マリガン例①
《睡蓮の原野》がないことを除けば完璧ですが、《睡蓮の原野》がありません。マリガンです。
マリガン例②
ありがちな「あと1枚引ければ……」という手札。これはマリガンです。仮にもう1枚土地が引けて《睡蓮の原野》が置けたとしても、もう1枚の《睡蓮の原野》(《演劇の舞台》)が置ける見込みがないため、あまり良い初手ではありません。
サイドボーディング&簡易マッチアップガイド
主要マッチアップのサイドボーディング紹介します。マッチアップ毎の焦点なども簡単にまとめましたので参考にしてください。
ラクドス吸血鬼
vs. ラクドス吸血鬼
メイン戦はスピード勝負です。無妨害でただクロックを並べられるだけならば5ターンキルが間に合いますし、《思考囲い》で妨害されるだけならいつかは《睡蓮の原野》がそろってしまいます。《傲慢な血王、ソリン》+《血管切り裂き魔》が高速で決まるか、クリーチャー展開&《思考囲い》連打でなければメイン戦は必勝でしょう。
サイド後は《強迫》《減衰球》《夢を引き裂く者、アショク》などが追加されて妨害がてんこ盛りに。《アショク》はフィニッシャーを《出現の根本原理》から《ザカマ》《アトラクサ》に差し替えることでケアしますが、それでも《森の占術》《大ドルイドの魔除け》のサーチは封じられてしまいます。なので、可能な限り《アショク》が戦場に出る前に消化する必要があります。仮に《森の占術》と《成長のらせん》の2択になった場合は先に《森の占術》から唱えましょう。
《減衰球》はあまりケアしすぎないほうが良いです。サイド後は《思考囲い》《強迫》などの妨害でもキープしてきて、メイン戦以上に妨害が飛んでくるため、それらすべてに対処しながら安全にコンボが決まる……というのはほとんどありえません。自身のマリガンの多さも相まって、大体はケアできません。そういう場合は無理せず割り切って《睡蓮の原野》を戦場に送り出しましょう。最悪なのはケアして迂回した結果、特に対策と関係なく負けてしまうことです。ガンガン突っ張りましょう。
《アショク》をケアしてクリーチャープランに切り替えているので、リスト公開制などで相手のデッキに採用されていないことが分かっているなら、クリーチャープランに切り替えずに《出現の根本原理》のままのほうが良いです。
イゼットフェニックス
vs. イゼットフェニックス
メイン戦から《夢を引き裂く者、アショク》が入っている可能性が高く、適正ターンに唱えられるとほぼ勝ち目はありません。一応、《天上都市、大田原》で退かすことはできますが、《アショク》が出てからでは《森の占術》でサーチできないためあまり現実的ではないです。なので、《アショク》に関しては出てこないことを祈るしかありません。
ただ、これはカード単位での不利なだけであり、構造的にはロータスコンボのほうが圧倒的に有利です。妨害も《呪文貫き》程度で、いくら《宝船の巡航》でカードを引かれてもそれを戦場に還元するスピードが遅いので、安定して5ターンキル可能です。
サイド後は《アショク》に対抗する方法が増えるので戦いやすくなります。《出現の根本原理》と異なり、《アトラクサ》《ザカマ》は唱えたターンに勝つことはできません。だからといって、相手がこれらに即対処してそのまま勝てるかと問われると答えはNOなので、普通にターンを返しても問題ありません。《大ドルイドの魔除け》で《帳簿裂き》を除去しておけば大量にライフも回復できるので安泰です。
ラクドス吸血鬼同様、《夢を引き裂く者、アショク》が採用されていないのであれば《出現の根本原理》のままにします。
アマリアコンボ
vs. アマリアコンボ
メイン戦は恐ろしいことに相手への妨害手段はほとんどありません。《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》+《野茂み歩き》のコンボが成立してターンを返した瞬間に負けです。巨大化した《アマリア》にワンパンされるか、《霊気貯蔵器》で50点砲撃を撃ちこまれるか。死に方も選べません。
最速で3ターン目にコンボが成立するため、そうなるとまったく追いつけません。相手がマリガンなどでラグって4~5ターン目のコンボ成立であればまだ間に合う可能性があります。ロータスコンボ側からできることは祈る以外にはありません。運よくターンが帰ってきたときに、ちゃんと勝てるようにいつも通りやれることやりましょう。
サイド後は多少マシになります。《一時的封鎖》は戦場の《アマリア》《野茂み歩き》だけでなく、《裕福な亭主》などが出した宝物・トークンなどもまとめて流せる便利な全体除去です。ただし、《機能不全ダニ》で取り返されてしまう危険性もあるので、過信は禁物です。
《大ドルイドの魔除け》は速度を犠牲にして安定性を上げているカードなので、アマリアコンボのような高速コンボ相手にはかなり悠長なカードです。サイド後は減らしましょう。
ロータスコンボ
vs. ロータスコンボ
残念ながら運ゲーです。先手/後手しかゲームに影響はありません。「《演劇の舞台》のコピーに対応して《耐え抜くもの、母聖樹》で破壊する」「《砂時計の侍臣》を素出しする」など、多少のテクニックはありますが、先手/後手の差に比べれば些末なことです。先手が取れるように祈りましょう。
サイド後も基本的には同じです。よりミラーを意識するのであれば《旅するサテュロス》《ナーセットの逆転》のような有効なカードを取るのも手ですが、今回は対《夢を引き裂く者、アショク》を意識したサイド構成になっているので、対ロータスコンボは手薄になっています。この辺りはトレードオフになるので、好みに合わせて変更してみてください。
アゾリウスコントロール
vs. アゾリウスコントロール
古来より有利とされているマッチアップ。現代になっても相性に変化はありません。
メイン戦で重要なのは「行動回数で突破する」というのを意識することです。《龍王ドロモカ》《沈黙》のような打ち消しを突破するカードがないため、1ターンに1枚唱えて、それが打ち消されて……ではアゾリウスコントロールのペースになってしまいます。なので、仕掛けるときは1ターン内で必ず2-3枚と組み合わせることを心掛けましょう。
そのためにまずは大量のマナを用意します。《森の占術》《大ドルイドの魔除け》を駆使して《演劇の舞台》をサーチして、《睡蓮の原野》を量産します。相手は土地サーチに打ち消しを使うと肝心の仕掛けカードに対する打ち消しがなくなってしまうので、基本的にこれらは通さざる得ません。
逆に土地サーチに打ち消しを使ってくるような展開になったのであれば、仕掛けが1枚でも毎ターン仕掛けるようにします。この辺りは相手の行動から逆算して臨機応変に立ち回りましょう。
サイド後も戦い方は変わりません。土地を伸ばす。仕掛けは同一ターンで。鉄の掟です。また《沈黙》は最強の仕掛けです。わずか1マナで《ドビンの拒否権》を釣り出すことができます。もちろん、通ったら終わりです。《龍王ドロモカ》は相手の打ち消しを気にせず仕掛けられます。《霊気の疾風》で戻されても山札の上に乗せれば次のターンに同じ仕掛けが可能なので悲観することはありません。
こちらがロータスコンボと分かると《廃墟の地》で《演劇の舞台》が狙われやすくなるので、《廃墟の地》が起動できないタイミングで《演劇の舞台》を戦場の基本土地にコピーしておくのが有効です。これによって《廃墟の地》で《演劇の舞台》が対象に取られなくなるので、安全に《演劇の舞台》で《睡蓮の原野》をコピーできます。
白日ニヴ
vs. 白日ニヴ
昔はこの手の鈍足ミッドレンジには滅法強かったものの、現在は不利という認識です。《クレンコの轟音砕き》の追加で一気に相性が逆転しました。当然、《漂流自我》で一発KOです。両方ケアするのは不可能です。どちらも《白日の下に》でサーチされるので再現性が非常に高いというのもダメです。唱えられる前に倒すしかないですが、そうなると先手4ターン目がラストターンという厳しい現実……。
サイド後も有効なカードはほとんどありません。《漂流自我》で《願いのフェイ》が抜かれたときの対策で《原初の災厄、ザカマ》を、《白日の下に》のカウンター用に《沈黙》を追加していますが、どちらもそこまで有効ではありません。現状の構築での精一杯の対策です。どうしても対策したい!というのであれば、メインに《首謀者の収得》《ハイドラの巣》を採用し、サイドに《神秘の論争》を取るのが良いでしょう。
『サンダー・ジャンクションの無法者』からの新戦力
最後に『サンダー・ジャンクションの無法者』からデッキに入る可能性のあるカードを2枚紹介します。
《堂々たる撤廃者》
再録でパイオニアリーガルに。ほぼ《沈黙》のように使えますし、《大ドルイドの魔除け》でもサーチ可能です。《マラメトの模範、クチル》よりも軽い&単色で唱えやすいですし、《龍王ドロモカ》とも異なり《霊気の疾風》にも当たりません。
《倦怠の宝珠》
こちらも再録でパイオニアリーガルに。似たような能力である《静寂をもたらすもの》《門衛のスラル》と異なり、無色かつアーティファクトなので唱えやすい&除去されづらいです。ロータスコンボに限らず、アマリアコンボに対して有効なサイドカードとして活躍しそうです。おわりに
ロータスコンボのガイドは以上になります。
このデッキは複雑な見た目に反してプレイは意外と簡単なので、パイオニア初心者にオススメしたいコンボデッキです。逆にメタゲームを読んで使用デッキを選ぶ競技プレイヤーにとっても、一度覚えておくとポジションの良いタイミングで”手札”として選べるようになります。
今までは敬遠してた方や興味がなかった方も、これを機に一度ロータスコンボに挑戦してみるのはいかがでしょうか。
増田 勝仁(X)
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