プロローグ

とある日、晴れる屋TC東京の地下の事務所。

きたしま：ふう、神挑戦者決定戦おわり！やっと今日の大会の記事が書き終わったぞ。

■人物紹介：きたしま

晴れる屋商品管理チームスタッフ。たまに晴れる屋の神挑戦者決定戦のカバレージを手伝っている。高校3年の冬に『ワールド・マジック・カップ2017』を見てマジックの魅力にのめり込む。

きたしまが好きなカード

いってつ：おつかれさまでした。手伝わせといてなんだけど、きたしまさんは自分では競技イベント出ないの？

■人物紹介：いってつ

晴れる屋メディアの自称編集長。コジレック野郎。最終戦績は盛り上げハッピー。

いってつが好きなカード

きたしま：それが、ちょうどこの前チャンピオンズカップの店舗予選を抜けたんですよ！！

いってつ：すごい！それじゃあ次はエリア予選だね！

「チャンピオンズカップ JAPAN & KOREA」とは

日韓地域の王者を決する大会。参加するには参加権利が必要。その権利の獲得方法はさまざまだが、「店舗予選」で入賞したプレイヤーが参加権利を得る「エリア予選」で入賞するのが一般的。

「チャンピオンズカップファイナル」で優秀な成績をおさめたプレイヤーは、世界中からプロや強豪選手が集まる「プロツアー」や「世界選手権」へ招待される。

チャンピオンズカップ JAPAN & KOREA

きたしま：ただ、僕は基本的に1人で大会に出ることが多くて、エリア予選も1人で挑むと思うと少し心細いんですよ……

いってつ：なるほど、それなら僕にいい考えがあります。

メンター：話は聞かせてもらった。私が君をプロツアーに連れて行ってやろう。

■人物紹介：メンター

マジックを愛し、メタゲームを愛した男。知人をファイナルに送り込むのが趣味。実在する。

メンターが好きなカード

いってつ：彼は僕のかつてのメンターです。僕が晴れる屋メディアの自称編集長まで上り詰めたように、きたしまくんも彼に助けてもらえばプロツアーへたどり着けるはずです。

いってつ：そしてその過程を記事にしてもらいます。
きたしまくんのように、競技マジックに憧れているけど挑戦できていない人たちの希望になってください。

「俺もファイナルに……プロツアーに行けるかも……！」

メンター：さて……きたしまくんは今度エリア予選に出るんだってね。

きたしま：そうなんです。せっかく権利を得たので、関東近辺のエリア予選は全て回ろうと思ってます。

メンター：やる気は充分だね。

きたしま：自分がマジックにのめり込むきっかけがプロツアーだったので、少しでもそのチャンスがあるなら掴みに行きたいんです。

プロツアーのトロフィー

「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」観戦ガイド

きたしま：今までは漠然とした夢だったんですけど、店舗予選を抜けてからその気持ちがさらに強くなって。

メンター：チャンスの神様に後ろ髪はないからね。できる限り協力するよ。

きたしま：ありがとうございます……！ぜひチャレンジさせてください！

こうして、新米競技プレイヤー兼新米ライターきたしまの『プロツアーへの道』が始まりました。

デッキが決まりません！

きたしま：エリア予選まであと1週間……。前日に新セット『サンダー・ジャンクションの無法者』が発売されることもあって当日のメタゲームが全然わからないよ！

きたしま：構築でも使われそうなカードもたくさんあるし、対抗色ファストランドでマナベースが改善されるデッキも多いよな……

メンター：なかなかハードなスケジュールだよね。きたしまくんは今どんなデッキを練習しているの？

きたしま：今持っているデッキは店舗予選を抜けた赤単ですね。あとはディミーアミッドレンジとボロス召集はマジック・オンラインで練習してます。

いってつ：メンターが自分で出るならどうします？

メンター：俺がスタンダードのデッキを人に勧めるときは、いつもエスパーミッドレンジを推してる。それはエスパーミッドレンジが一番「なんでもできるデッキ」だからなんだよね。除去とカウンターを兼ね備えたミッドレンジで、環境に応じてチューンすることができる。

メンター：なにより《策謀の予見者、ラフィーン》が強い。

きたしま：エスパーミッドレンジはずーーっと強いですよね。

メンター：ただ、今からエスパーミッドレンジを練習し始めてエリア予選に挑むっていうのもなかなか難しいだろうね。既にディミーアミッドレンジを練習しているんだったら、それをそのまま継続するのもいいんじゃないかな。

きたしま：マナベースが強化されるボロス召集も強そうだなあと思ってるんですが、練習するのはディミーアミッドレンジ一本に絞ったほうがいいんでしょうか？

メンター：デッキの動きがわかりやすいボロス召集は直前に練習しても問題ないだろうから、それまではディミーアの練習に専念したほうが良いと思うよ。

きたしま：確かに。自分はこれまで攻めっ気のあるデッキばかリ使ってきたので、ボロス召集の方が勝手が分かる気がします。

きたしま：よし、そうと決まれば今日から1週間みっちりディミーアミッドレンジを練習するぞ！

～1週間後～

メンター：いよいよ明日からエリア予選だね。調子はどう？

きたしま：『サンダー・ジャンクションの無法者』の発売準備もあって忙しい1週間でした……。それでもディミーアミッドレンジの練習は欠かしませんでした！カードを集めるのにも苦労しましたが、身近にカードを貸してくれる優しい先輩がいてなんとかなりました。

きたしま：《厄介者、ギサ》の枠にはもともと《最深の裏切り、アクロゾズ》の2枚目が入っていたんですが、入れ替えてみました。書いてある能力はタダ強だと思うので、上手いこと噛み合ったらいいなのお試し枠です。

メンター：『サンダー・ジャンクションの無法者』発売翌日だし、同じように新カードを試しに来る人も沢山いるだろうね。

きたしま：発売前は「そんなに……」だったけどいざ使ってみたらこのカードめっちゃ強い！って例も過去に沢山ありますからね。

メンター：それから、大切なのは睡眠をしっかりと取ること。明日は何時開始なの？

きたしま：11時に受付開始で1回戦は12時スタートなんで、いつも晴れる屋に出勤する時間とほぼ同じです！

メンター：場所も高田馬場だし、いつもの生活リズムで臨めるのはありがたいね。

きたしま：緊張もしますが、あまり気負わずにまずは楽しみたいと思います！

そんなこんなでスリーブの入れ替えとデッキリストの印刷を済ませ、万全の準備をして布団に入ったのですが……

エリア予選Day1・TCバトロコ高田馬場

きたしま：か、開始時刻が1時間早くなってる～～～～！！！！！！

チケット予約サイトであらかじめ開始時刻はチェックしていましたが、どうやらそちらの更新が追いついていなかったようです。公式のホームページ、ちゃんと見よう！

きたしま：初日から不戦敗スタートなんて勘弁してくれ～；；

それでも諦めずに息も絶え絶えで会場に到着すると、受付時間を延長してくださったようでなんとか1回戦の開始に間に合いました。あぶないあぶない。

いってつ：さっそくおもいがけない形で洗礼を受けているな……これも試練か（自宅で連絡を受けながら）

対戦結果

この日の参加者数は150名超。スイス8回戦を行い、上位12名がチャンピオンズカップファイナルの権利を獲得します。

2敗でも権利獲得の可能性がありましたが、惜しくも最終戦で敗北。最後は相手の手札の《眼識の収集》が見えているにもかかわらず地図トークンの「探検」で《ティシャーナの潮縛り》をデッキトップに残してしまい、自分の《黙示録、シェオルドレッド》の誘発型能力を縛られて負けてしまいました。

きたしま：8回戦って長い！後半の大事なところで結構すごいミスを頻発しちゃいました。

いってつ：おしい！でも学びある1日になったのであれば前進ですね。

きたしま：第6~7回戦あたりのヒリついた感じはたまらないですね！これが僕のやりたかったマジックって感じがして楽しかったです。

メンター：まずは初日お疲れさま。対戦相手や他の人のデッキで気になるものはあった？

きたしま：5回戦で対戦したディミーアフラッシュは『サンダー・ジャンクションの無法者』の新カードを沢山入れたデッキでした。なかでも《冷静なスフィンクス》は一度定着してしまうと全く除去できないし、除去できそうなターンにはそもそも出してこないのでかなり嫌でしたね。

メンター：8回戦目の2敗ラインで《陰謀の解明者》コンボに当たっているけど、トーナメントだとちょっと珍しいね。

きたしま：この前のスタンダード神挑戦者決定戦で平山 怜選手が使用していたグリクシス型でした。対戦後に相手の方と少しお話したのですが、平山さんのご友人だそうです。

メンター：対戦で知り合った人から話を聞けるのは良いことだ。トーナメントで出会う人たちはライバルであると同時に、一つの目標に向かう仲間でもあるからね。

きたしま：そうですね。僕は大会に向けて一緒に練習するような友人があまりいないので、こういうことも大事にしていきたいです。

惜しくも権利獲得はなりませんでしたが、初日から8回戦フルに戦って勝ち越しは悪くないスタート。明日以降への自信にもつながりました。

きたしま：明日の開始時刻ちゃんとチェックしてから寝よ・・・

エリア予選Day2・TCバトロコ柏駅前

前日の疲れを感じながら電車に揺られて約2時間。今日の会場は千葉県の柏です。

柏にはとある餃子を食べに一度だけ来たことがありました。今回も帰りに食べて帰るぞ！

メンター：昨日は日常の延長線上だったけど、今日はちょっとした小旅行だね。

駅前のメインストリートは歩行者天国になっており、たくさんの人たちでにぎわっていました。

対戦結果

さて肝心の予選ですが、この日の参加者数は約120名。権利獲得者は昨日と変わらず12名ですが、ラウンド数は1つ少ない7回戦でした。

初戦負けから4連勝するも、最後に失速！残念ながら今回も権利獲得とはなりませんでした。

1回戦と4回戦の相手は前日の予選で当たった方で、「今日は時間通りに来られて一安心でしたわ～」なんて会話もしつつ昨日より打ち解けた雰囲気での対戦になりました。『ライバルであると同時に、一つの目標に向かう友』という師範の言葉を思い出します。

きたしま：今日も惜しいとこまで行ったけど負けちゃった～！でもなんか……回りの卓を見るとゴルガリミッドレンジが多い気がするぞ……！

メンター：《精鋭射手団の目立ちたがり》を使うアグロデッキやボロス召集が増えることを予測して、それに強いゴルガリミッドレンジを使うプレイヤーも多かったのかもしれないね。

きたしま：ゴルガリミッドレンジ、クリーチャーの肉質が良いからディミーアミッドレンジ視点だと結構嫌なんだよな……。

メンター：《苔森の戦慄騎士》なんかは除去しても損するからね。ミッドレンジ対決で長期戦になったときに強いカードだ。

きたしま：ゴルガリミッドレンジが増えてきたら、それに強い版図ランプも数を増やすかも。

メンター：そうかもしれない。ただ週末は「プロツアー『サンダー・ジャンクションの無法者』」も開催されるから、それによって環境も変わりそうだね。

メンター：「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」でそれまで注目されていなかった《血管切り裂き魔》が急に活躍したように、まだ見ぬデッキが躍進する可能性もあるね。

きたしま：昼はエリア予選に出て夜はプロツアーを観戦……いつ寝ればいいんだ～～！

メインディッシュ（？）

予選2日目を終えた後、きたしまが向かった先は・・・

ホワイト餃子

柏名物ホワイト餃子のお店。（後に調べたところ、本店は千葉県野田市とのことでした。）

ホワイト餃子8個にご飯とスープがついた定食で900円。まんまるとして大きいのがホワイト餃子の特徴ですが、食感は揚げ餃子に近くパリッと食べられます。

今回は注文しませんでしたが、水餃子もまた違った食感が楽しめるのでおすすめです。気になった方はぜひ調べてみてください。

いってつ：僕の出身地、金沢の「第7ギョーザ」を思い出しますね……ダイエット中なのに……。

きたしま：遠征してその土地の美味しいものを食べて帰るのもまた競技マジックですよね！

旅は始まったばかり

朝早く起きて大会に赴き、その日初めて会う人との対戦で一喜一憂し、夜はヘトヘトになって帰る。エリア予選初週を終え、
自分がやりたかったマジックライフはこれだったんだな
――と強く実感しています。

ありがたいことに今後も第2週、第3週と連続して掲載予定ですので、この記事をきっかけにマジックの競技シーンを少しでも身近に感じていただけたなら幸いです。

第2週で権利取れたら第3週はどうするんだ？という心配はさておき、記事内でみなさまに良い報告ができるようにこれからも頑張ってまいります！

それではまた来週のエリア予選でお会いしましょう！

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