Just Nowスタンダード! vol.18 -プロツアー優勝は版図ランプ!今回、大活躍したカードたち-

紳さん

はじめに

こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。

精神の決闘者精鋭射手団の目立ちたがり安らかなる眠り

先週末は「プロツアー『サンダー・ジャンクションの無法者』」が開催され、新環境におけるメタゲームの変遷に注目が集まりました。

世界中からシアトルに集まった207名の強豪プレイヤーは、どんなデッキ選択をしたのでしょうか。メタゲームブレイクダウンと合わせて、プロツアーを振り返ります!

プロツアー『サンダー・ジャンクションの無法者』

メタゲームブレイクダウン

デッキ 使用者数 使用率
エスパーミッドレンジ 65 31.40%
ボロス召集 22 10.60%
ティムールランプ 19 9.20%
4色レジェンズ(スライムローム) 17 8.20%
版図ランプ 14 6.80%
アゾリウスコントロール 10 4.80%
ディミーアミッドレンジ 9 4.30%
ラクドスアグロ 8 3.90%
赤単アグロ 8 3.90%
ゴルガリミッドレンジ 5 2.40%
ディミーアコントロール 5 2.40%
ジャンドランプ(《世界魂の憤怒》) 2 1.00%
グルールアグロ 2 1.00%
オルゾフブロンコ 2 1.00%
ティムール果敢 2 1.00%
アゾリウスアーティファクト 2 1.00%
その他 15 7.5%
総計 207

ご覧の通り、200名を超えるプレイヤーのおよそ3分の1がエスパーミッドレンジを選択するという、支配的なメタゲームとなりました。

策謀の予見者、ラフィーン婚礼の発表喝破

空中戦、縦の突破力、横並べ戦略、打ち消し、除去、パーマネント破壊とすべてが揃い、なんでもできるエスパーミッドレンジはとても魅力的なデッキです。

長きにわたって実績を積み上げ、各選手たちの練度も高く、自信を持ってこのデッキを選択するプレイヤーが多かったのではないでしょうか。

大会結果

それでは注目の大会結果です。なお、TOP8に残るためには初日のドラフトの成績も大きく影響しますが、シングルエリミネーション以降はスタンダード構築のみで行われております。

プロツアー『サンダー・ジャンクションの無法者』

優勝 版図ランプ

準優勝 アゾリウスコントロール

TOP4 ボロス召集

TOP4 エスパーミッドレンジ

TOP8 4色レジェンズ(スライムローム)

TOP8 エスパーミッドレンジ

TOP8 4色レジェンズ(スライムローム)

TOP8 ティムールランプ

TOP8デッキリスト

優勝は井川 良彦選手の版図ランプで、準優勝は高橋 優太選手のアゾリウスコントロールでした

日本人選手の1,2フィニッシュとなり、我らがHareruya Prosの松浦 拓海選手もTOP4という素晴らしい成績を収めております。

優勝 「版図ランプ」

こちらが優勝したデッキのリストです。井川選手、本当におめでとうございます!

中心核の瞥見洞窟探検地図作りの調査

今回、版図ランプを持ち込んだプレイヤーは14名おりましたが、そのなかでもかなり独創的なデッキ構築となっております。

従来のリストでは《ゼンディカーへの侵攻》が必須パーツとされておりましたが、不採用に。代わりに早いターンからプレイできる《中心核の瞥見》《洞窟探検》でマナ加速を行います。《洞窟探検》はキャントリップがあるため終盤で引いても腐ることがなく、中盤以降にトライランドをアンタップインで置けることのテンポの良さも見逃せません。

魂の洞窟金属の徒党の種子鮫偉大なる統一者、アトラクサ

井川選手のデッキは《魂の洞窟》が4枚フル投入されており、それらを探しながらマナ加速を行えるのは《地図作りの調査》ならではの動きです。青系のデッキに対して、強く戦えます。

サイド後は《魂の洞窟》を「ファイレクシアン」で指定することにより、《金属の徒党の種子鮫》《偉大なる統一者、アトラクサ》をどちらも打ち消し不可で唱えることができます。《金属の徒党の種子鮫》《力線の束縛》のシナジーは極めて強力で、今大会でも活躍する場面が多く見られました。

長い別れ

メインサイド合わせて4枚採用の《長い別れ》はトップメタのエスパーミッドレンジに対して強いカードです。《否認》《喝破》を搔い潜ってクリーチャー除去を行い、《策謀の予見者、ラフィーン》の「護法」を無視することができます。

安らかなる眠り事件現場の分析者舞台座一家の中庭

そして、なんといっても《安らかなる眠り》の新加入が版図ランプの立ち位置を強烈に押し上げました

これにより天敵であるティムールランプ(世界魂ランプ)との相性が大幅に改善され、メイン戦こそ絶望ですが、サイド後は《強靭の徳目》を割り続ければほとんど負け筋がないという状況を作り出すことができます。

準々決勝、ショーン・ゴダード選手との2時間に及ぶ激闘は歴史に残る名試合となりました。

特に第5戦目が凄まじいゲーム内容です。井川選手が《安らかなる眠り》を張ることに成功し、ショーン選手の《記憶の氾濫》《否認》してウィンコンディションとなったあとのトップドローがあまりにも衝撃的過ぎて、しばらく忘れられそうにありません。

プロツアー優勝というこの上ない結果を残した版図ランプは、どこまで快進撃を続けるでしょうか。

準優勝 「アゾリウスコントロール」

第27回世界王者の高橋選手は、ここでもアゾリウスコントロールで準優勝という素晴らしい成績を収めました。

幻影の干渉三歩先

新メカニズム「放題」を活かし、《幻影の干渉》《三歩先》が採用されております。打ち消しでありながらマナに余裕があるときは打ち消し+αの活躍を見せ、特にゲーム終盤の《三歩先》「打ち消しながら手札を増やす」という悪魔的な強さのカードとなっていました。

太陽降下大スライム、スローグルク見捨てられたぬかるみ、竹沼

また、アゾリウスコントロールの使用者は10名とマイノリティでしたが全体的な勝率が高く、今大会においてかなり良いデッキ選択だったようです。

エスパーミッドレンジの台頭を狙い撃ちした4色レジェンズ(スライムローム)が一定数のメタを占めましたが、このデッキは《太陽降下》を苦手としています。そもそもエスパーミッドレンジにも《太陽降下》は刺さりますね。

一時的封鎖ひよっこ捜査員ヴォルダーレンの美食家上機嫌の解体

アグロデッキに対しても強く、メインとサイド合わせて4枚フル投入の《一時的封鎖》はボロス召集にとって鬼門となり、松浦 拓海選手との準決勝でも危なげない展開で勝利を収めました。

魂の洞窟ティシャーナの潮縛り

《魂の洞窟》から出てくる《偉大なる統一者、アトラクサ》などゲームエンド級のクリーチャーも、サイド後は《ティシャーナの潮縛り》でなんとか被害を最小限に食い止めることが可能です。

《三歩先》の登場で明確に強化されたアゾリウスコントロール。新環境のトップメタとなるでしょうか。

注目デッキ 「4色レジェンズ(スライムローム)」

今大会、アゾリウスコントロールと並んで勝率が高く、「勝ち組」となったのが4色レジェンズ(スライムローム)でした。

大スライム、スローグルク天上都市、大田原見捨てられたぬかるみ、竹沼耐え抜くもの、母聖樹

《大スライム、スローグルク》と魂力土地のループは半永久的なアドバンテージを稼ぎ、あらゆるフェアデッキに対して優位に立ちます。

侵攻の伝令、ローナ正直者のラトスタイン陽気な擲弾兵、薬瓶砕き伝説の秘宝

新カードの《正直者のラトスタイン》を用いた無限コンボも内蔵され、対戦相手からするとタップアウトなどの隙を見せることが大きなリスクとなります。こうしたコンボをちらつかせることで、相手の動きに制限をかけてしまえるのがこのデッキの強みでもありそうです。

今大会ではトップメタのエスパーミッドレンジを狩り続け、TOP8に2人を送り込みました。

太陽降下安らかなる眠り温厚な襞背未認可霊柩車

しかし、トップメタに強い反面、自身も苦手なカードが環境に多いという辛い現実があります。

優勝した版図ランプ、準優勝したアゾリウスコントロールのどちらにも《太陽降下》および、墓地対策カードが多く取られており、上位対決で遅れを取ることとなりました。

強迫否認

カラー的にハンデスや打ち消しを多く採用できるので、今後の研究次第で《太陽降下》を克服できるなど、大きな伸びしろがあるデッキだと感じます。

エスパーミッドレンジがトップメタであり続ける限り、このデッキの優位性は保たれることでしょう。

注目デッキ 「オルゾフブロンコ」

さて、ここまで既存デッキの活躍ばかりをお伝えしてきたので、最後に新進気鋭のオルゾフブロンコについてご紹介できればと思います。

今回のプロツアーでは使用者が2名と少ないながら、どちらのデッキもスタンダード構築ラウンドで6勝(勝ち越し)という結果を残しました。

腐食の荒馬終末の影限りない強欲

ブロンコこと《腐食の荒馬》は「騎乗」後、攻撃時誘発でライブラリートップを公開し、そのカードのマナコスト分のライフを失わせる能力を持ちます。

そこで目をつけたのが、新カードの《限りない強欲》でした。ライブラリーから好きなカードを選んでライブラリートップに置くことができるため、《腐食の荒馬》との相性は凄まじいです。

しつこい負け犬選定された平和の番人鋼の熾天使

「騎乗」するクリーチャーとしては《選定された平和の番人》で妨害したり、《鋼の熾天使》で飛行を付与しながら《腐食の荒馬》で殴り続けるプランが強そうです。

必ずしも必殺コンボを狙わなくても、単純にでハンドアドバンテージを得ながら攻撃ができれば十分ではないでしょうか。ただし、除去にはひたすら弱そうです。

離反ダニ、スクレルヴ限りない強欲

《離反ダニ、スクレルヴ》《腐食の荒馬》を守ったり、仮に倒されても《限りない強欲》で第二のブロンコを探せることまで考慮すると、意外と再現性は高いのかもしれませんね!

今回のプロツアーをきっかけに、この新しいデッキが活躍の幅を広げていくと面白そうです。

おわりに

改めて、今回のプロツアーは世界のマジックプレイヤーに対して森山JAPAN」の名前を強く印象付ける結果となりました。ともあれ、日本人選手の活躍は誇らしく、とても良い刺激をいただきましたね!

今回、TOP8に入賞した選手たちは世界選手権出場の権利も手にしております。みなさん、世界選手権でも頑張ってください!

腐食の荒馬身代わり合成機早駆ける業火、カラミティ

そして、『サンダー・ジャンクションの無法者』環境はまだまだ序盤です。ここから既存デッキを打ち砕く、新しいデッキがいくつも誕生することでしょう。

来週の大会結果もお楽しみに。それではまた!

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紳さん マジック愛に生きるフリーライターです。モダン、パイオニア、スタンダードでローグデッキを使い、勝利を目指す! 至って真剣勝負の毎日です。 紳さんの記事はこちら