はじめに
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
先週は366名が参加した大型大会、『Montreal Round 6 Regional Championship』(カナダ地域チャンピオンシップ)が行われるなど、スタンダードのメタゲームを推し量る上で興味深いデータがたくさん入手できました。
早速、オンライン大会の結果と合わせて気になるデッキをチェックしていきましょう!
5/3(金)『Montreal Round 6 Regional Championship』
まずは、『Montreal Round 6 Regional Championship』の大会結果をチェックしていきます。
5/3『Montreal Round 6 Regional Championship』
優勝 アゾリウスコントロール
準優勝 エスパーミッドレンジ
3位 ボロス召集
4位 エスパーミッドレンジ
5位 毒性アグロ
6位 シミックアーティファクト
7位 エスパーミッドレンジ
8位 4色レジェンズ(スライムローム)
366名の頂点に立ったのはアゾリウスコントロールでした。全体としてはエスパーミッドレンジが多く入賞し、今大会の勝ち組といえるでしょう。
優勝 「アゾリウスコントロール」
こちらが優勝したアゾリウスコントロールのリストです。
戦略の軸となる全体除去に関しては、軽量全体除去、追放全体除去、置き物や墓地も追放できる《告別》までバランスよく取り揃えています。
《冥途灯りの行進》はコントロールが苦手とするアグロ戦略とミシュラランドの両方に対応しながら、置き物まで触れる便利なカードです。
《放浪皇》は除去&ライフ回復をしながら2/2トークンも作れるなど盤面に干渉できる能力が強く、《廃墟の地》はコントロールの天敵である《ミレックス》を対処でき、ミラーマッチでも大いに活躍することでしょう。
そして、なんといっても4枚フル採用された《三歩先》がコントロールデッキの大躍進を支えています。
《魂の洞窟》が使える現スタンダードにおいては、打ち消し自体が信頼度を少し落としていますが、強力なプレインズウォーカーや撃たれたら負けの《世界魂の憤怒》など打ち消しが有効な場面はたくさん存在します。
《魂の洞窟》に関しては《ティシャーナの潮縛り》でフォローできる部分もあり、コントロールデッキの台頭に大きく寄与しました。
こういったバックアップも考慮すると、「放題」を活用した《三歩先》のカードパワーは異常なまでに高いと考えられます。
最低でも3マナの確定打ち消しであり、5マナで唱えると打ち消し+ルーター付き1ドロー。なかなか使う機会は少ないものの、クリーチャーやアーティファクトをコピーする能力も極めて強力です。
打ち消しが必要ない場面では、手札の質を高めるだけの用途で使用しても悪くはありません。
サイドボードを含め、対応力は随一のアゾリウスコントロール。
苦手とするマッチアップも少なく、今後はメタゲームを牽引するデッキとなりそうです。
注目デッキ 「シミックアーティファクト」
こちらは6位に入賞したシミックアーティファクトのデッキリストです。366名中の6位にこのような珍しいアーキタイプが割り込んできたのは驚きました。
環境屈指の除去である《喉首狙い》に耐性があるという点に加え、《堅いクッキー》や《高波エンジン》といったフィニッシャーがやられたとしても《アガサの魂の大釜》で煮込むことによって後継者が誕生するギミックが想像以上に強力です。
特に《アガサの魂の大釜》によって《高波エンジン》の能力を得たクリーチャーは、6/5のブロックされないクリーチャーとして驚異的な打点を稼ぎます。
《太陽降下》された返しに《ジンジャーブルート》を速攻6/5で攻撃できるのは強いですね!《生命ある象形》も全体除去にはある程度の耐性があり、粘り強く戦えそうです。
《排撃の変異》のような打ち消しをしながらクリーチャーを強化するカードがサイドに3枚採用されているのも興味深いです。《呪文貫き》と共に除去を弾いて、そのままゲームを決めることができるでしょう。
少し不安なのは、シミックというカラーが除去を苦手としている点です。《痛烈な質問》や《帆凧の窃盗犯》だけではボロス召集のような横並べ戦略に対応する手段がなさそうです。
しかし、クリーチャーのサイズが大きいことや、いざとなれば食物でライフ回復できる点を考えると、意外と頑張れるのかもしれません。
コントロール耐性があるフェアデッキとして、今後の活躍が楽しみなデッキですね!
5/4(土)『Standard Challenge 32』#1
続いて、オンラインで開催された『Standard Challenge 32』#1の結果です。5/4は2回開催されておりますので、順番にチェックしていきましょう。
5/4 『Standard Challenge 32』#1
優勝 ティムールランプ
準優勝 エスパーミッドレンジ
3位 毒性アグロ
4位 4色レジェンズ(スライムローム)
5位 エスパーミッドレンジ
6位 毒性アグロ
7位 アゾリウスコントロール
8位 ディミーアミッドレンジ
こちらの大会では53名が参加し、優勝したのはティムールランプ(世界魂ランプ)でした。
優勝 「ティムールランプ」
こちらが優勝したデッキのリストです。
特徴的なのはメインから3枚採用された《勝利の炎》で、最近オンラインで活躍しているリストはこの型が多いようです。
5マナ払えば1ドローがついてくるため、手札を減らさずに除去が行えます。また、序盤は土地を並べていくだけのこのデッキにおいて、2マナの火力としては破格の性能であることは間違いありません。
《削剥》などで倒せない《名もなき都市の歩哨》や《分派の説教者》を対処できるのが強みとなります。
さて、こちらのティムールランプですが、現スタンダード環境でもカードパワーの高さは随一です。プロツアー『サンダー・ジャンクションの無法者』では優勝した井川選手の版図ランプを一番追い詰めたのがこのデッキでした。
- 2024/04/30
- Just Nowスタンダード! vol.18 -プロツアー優勝は版図ランプ!今回、大活躍したカードたち-
- 紳さん
しかし、先週の記事でも触れましたが《安らかなる眠り》による墓地対策がかなり辛く、置き物破壊では対応できない点から新環境では立ち位置がかなり厳しくなるデッキだろう、という予想でした。
事実、ここ最近の大会では入賞の回数を減らしております。今回、優勝したことはやや意外かもしれません。
《安らかなる眠り》を乗り越える革新的なカードはいまだありませんが、サイドボードには《乱伐者、ボニー・ポール》が2枚採用されています。《安らかなる眠り》によってランプが妨害され、《世界魂の憤怒》で勝ちきれないゲームは《乱伐者、ボニー・ポール》や《産業のタイタン》で押し切るプランを選択するようです。
また、《否認》で《安らかなる眠り》を打ち消せれば、思うがままに環境最強コンボを決めることができるでしょう。
噛み合い次第では、まだまだ一線級の活躍ができるデッキということを再認識しました。
5/4(土)『Standard Challenge 32』#2
つづいて、2回目の『Standard Challenge 32』#2の大会結果をチェックしていきます。
5/4 『Standard Challenge 32』#2
優勝 アゾリウスコントロール
準優勝 グルールアグロ
3位 アゾリウスコントロール
4位 アゾリウスコントロール
5位 ゴルガリミッドレンジ
6位 エスパーミッドレンジ
7位 ティムールランプ
8位 版図ランプ
こちらの大会は65名が参加し、アゾリウスコントロールが支配的な強さを見せるなか、グルールアグロが準優勝と健闘しました。
準優勝 「グルールアグロ」
こちらが準優勝したデッキのリストです。
従来のグルールアグロに《精鋭射手団の目立ちたがり》が加わったことで、より爆発力が増した印象のデッキです。妨害されなければ3ターンキル、4ターンキルは当たり前のようにやってのけることでしょう。《精鋭射手団の目立ちたがり》を引き込めればの話ですが。
狙いがとてもシンプルな反面、《巨怪の怒り》や《祖先の怒り》に対応して《精鋭射手団の目立ちたがり》を除去されてしまうと厳しい展開となります。
一方で、《精鋭射手団の目立ちたがり》と他のクリーチャーが並んでいる場合、《精鋭射手団の目立ちたがり》以外のクリーチャーを対象にして《巨怪の怒り》などをプレイすることで、どちらが除去されても大ダメージを与えられると考えることもできますね。
オールインのように見えて、実際は堅実なプレイが可能なデッキです。
また、飛んできた除去を《蛇皮のヴェール》で弾いた時の無敵感は凄まじく、実質的にゲームを決定づけるカードとなりえます。
ブン回りしたときの破壊力はボロス召集と並ぶか、もしくは上回る破壊力がありそうです。コントロールと真っ向勝負しながら、メタゲームを大いに盛り上げてくれそうなデッキですね!
5/5(日)『Standard Challenge 64』
最後に『Standard Challenge 64』の結果をチェックしていきましょう。
5/5 『Standard Challenge 64』
優勝 ディミーアコントロール
準優勝 アゾリウスコントロール
3位 ゴルガリミッドレンジ
4位 赤単
5位 版図ランプ
6位 アゾリウスコントロール
7位 ボロス召集
8位 ディミーアコントロール
こちらの大会では84名が参加し、決勝ではコントロール対決を制してディミーアコントロールが優勝しました。
優勝 「ディミーアコントロール」
こちらが優勝したデッキのリストです。どのようにしてアゾリウスコントロールとのコントロール対決を制したのでしょうか。
当然のように4枚フル採用された《三歩先》と《記憶の氾濫》で、どんなデッキが相手でもアドバンテージ勝負では引けを取りません。
その上で、《死人に口無し》によってライブラリーから対戦相手のデッキのキーカードを抜き去ることができるのはディミーアコントロールならではの芸当です。特にコントロール対決においては、《記憶の氾濫》をデッキからすべて抜き去ることで俄然、有利なゲームとなります。
版図ランプやティムールランプなど、スケールが大きいデッキに対してはライフを詰めるよりライブラリーの枚数を削った方が簡単に勝てそうです。切削できるカードは《死人に口無し》とのシナジーもあり、とても一貫性のある戦略です。
ディミーアカラーの弱点としては、エンチャントやアーティファクトにほとんど触れない点が挙げられます。現環境だと《婚礼の発表》や《ウラブラスクの溶鉱炉》が脅威であり、これらを対処するには《強迫》や《否認》、あるいはレアケースですが《天上都市、大田原》を引き込むことが求められます。
以上の点を踏まえると、対応力はアゾリウスコントロールに分がありそうですが、コントロール対決となった場合はディミーアコントロールに軍配が上がると思われます。
いずれにしても、コントロールがとても強い環境になりつつあるな、という印象です。アゾリウスとディミーア、どちらが主流となるでしょうか。
おわりに
今回、スタンダードでは《三歩先》が大フィーバーしましたが、パイオニアでも『サンダー・ジャンクションの無法者』およびビッグスコアのカードが徐々に使われて結果を出し始めています。
白単人間では《収集家の檻》が、黒単《無駄省き》では《敵意ある調査員》が採用され、注目を集めました。それに影響されてか、スタンダードでも《敵意ある調査員》を採用したデッキがチラホラと登場しており、改めてカードパワーの高さを感じます。
まだまだ新カードが活躍しそうですね!来週の大会結果もお楽しみに。それではまた。