はじめに
みなさん、こんにちは。
いよいよ来月には、待ちに待った『モダンホライゾン3』がリリースされますね。プレビューも公開され始めていますが、みなさん好きなカードは見つかりましたか?
さて、今回の連載では『Grand Open Qualifier Bologna 2024』と『Modern Challenge』『Modern Showcase Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Grand Open Qualifier Bologna 2024』 4/27
優勝はJund Creativity
『Grand Open Qualifier Bologna 2024』はヨーロッパで開催された大規模なテーブルトップのモダンのイベント。かつてのグランプリを彷彿とさせる2日制のイベントでした。
今大会の上位は、Domain ZooやAmulet Titanといった定番のデッキや『サンダー・ジャンクションの無法者』からの新カードである《精鋭射手団の目立ちたがり》によって大幅に強化されたProwessが中心となっています。そして、優勝したのはJund Creativityでした。
デッキ紹介
Jund Creativity
相性が悪かったTemur Rhinosが、禁止改定によって弱体化してトップメタから退いたため復権してきました。
Creativityはトップデッキが強いデッキなため、Rakdos Scamなどハンデスを主な妨害手段として使うデッキに強く、速度のあるProwessは厳しいマッチアップになります。
いくつかバリエーションが存在しており、今大会で優勝したJund Creativityは《不屈の独創力》以外にも《頑強》で《残虐の執政官》をリアニメイトする手段も用意されているなど、よりコンボに特化したバージョンになります。
☆注目ポイント
《苦々しい再会》は《残虐の執政官》を墓地に落とす手段であり、《頑強》プランにスムーズに移行できます。マナに余裕があれば、リアニメイトや《不屈の独創力》で出した《残虐の執政官》に速攻をつけて一気にゲームを決めにかかれます。
《思考囲い》は自分を対象にすることで、手札に来てしまった《残虐の執政官》を墓地に落とす手段としても使えます。1ターン目に《思考囲い》で《残虐の執政官》を墓地に落とし、次のターンに《頑強》でリアニメイトする動きは非常に強力です。
万能な布告系の除去である《毒を選べ》がサイドにとられています。これにより、《ドラコの末裔》《一つの指輪》《ウルザの物語》などさまざまな脅威に対応することができるようになりました。
複数の土地を破壊できる《テラストドン》は、TronやAmulet Titanといった土地コンボ相手にサイドインします。《毒を選べ》や《テラストドン》、追加の《耐え抜くもの、母聖樹》が投入されるサイド後は、Amulet TitanやTronとの相性が改善されます。
『Modern Challenge 32』 5/3
強化された果敢ビートダウン
開催日:2024年5月3日
優勝 Amulet Titan
準優勝 Gruul Prowess
3位 Domain Zoo
4位 Living End
5位 4C Omnath
6位 Amulet Titan
7位 Rakdos Scam
『サンダー・ジャンクションの無法者』からの新カードによって一気にトップメタの一角にまで強化されたProwessは今大会でも準優勝と好成績を残していました。
デッキ紹介
Gruul Prowess
『サンダー・ジャンクションの無法者』から登場した《精鋭射手団の目立ちたがり》によって大幅に強化されたProwess。果敢クリーチャーを軽いスペルで強化していく高速アグロデッキで、3ターン目にはゲームを決めてしまえる爆発力がこのデッキの魅力です。
《表現の反復》を使えるIzzetバージョンが主流でしたが、最近のセットから登場した新戦力を獲得したGruulバージョンも結果を残しています。
☆注目ポイント
《精鋭射手団の目立ちたがり》がモダンで注目を浴びるのにそれほどの時間を要しませんでした。実質「果敢」が2度誘発するので、瞬間的に高打点を出すことができます。飛行と速攻を持ち合わせているため攻撃も通りやすく、「計画」によってマナを浮かせることができるため、スペルを一気に連打することも可能です。
《探索するドルイド》はロングゲームを渡り合う上で重要なアドバンテージ源になります。覚えておきたいこととして、自分の終了ステップに「出来事」でプレイすれば、次の終了ステップまで追放されたカードをプレイできます。コントロールデッキとのマッチアップでは、相手がタップアウトした隙にプレイすることで確実にリソースを稼ぐことが可能です。
《タール火》《ミシュラのガラクタ》《死の国からの脱出》とさまざまなカードタイプがそろっているので、このデッキの《タルモゴイフ》は序盤から脅威的なサイズになりやすいです。また《損魂魔道士》よりも優先して採用されているところから、ほかのProwessよりもロングゲームを意識した構成になっていることが分かります。
『Modern Challenge 32』 5/8
まだまだ健在のLiving End
開催日:2024年5月8日
準優勝 Living End
3位 4C Control
4位 Living End
5位 Living End
6位 Amulet Titan
7位 Domain Zoo
8位 Living End
デッキ紹介
Living End
《暴力的な突発》が禁止になったことで大幅な弱体化を強いられ、一時期は環境から姿を消していたLiving Endでしたが、代わりに《献身的な嘆願》を採用したバージョンが上位で複数見られるようになりました。
「続唱」タイミングがソーサリーにはなりますが、サイクリングカードの恩恵でデッキの動きが安定しているため、現在でも十分にトップメタと渡り合える強さのようです。
☆注目ポイント
《暴力的な突発》に代わる3マナの「続唱」スペルとして選択されたのは《献身的な嘆願》でした。《緻密》や《否定の力》のピッチコストにもなり、プレイする際に対象を必要としないことが、同様に候補として挙がっていた《悪魔の戦慄》よりも優先されている理由になります。
軽いカードが採用できないLiving Endにとって、0マナで妨害できる《悲嘆》や《緻密》は貴重なカードです。特に《緻密》は対策が必須である《忍耐》のほかにも、《ダウスィーの虚空歩き》や《時を解す者、テフェリー》といった致命的なカードに対処することができます。
仕掛けるタイミングがソーサリータイミングになったことでカウンターで妨害されやすくなったため、サイドの《時を解す者、テフェリー》は有力な追加の妨害手段になります。《虚空の杯》のような対策もバウンスできるため、サイドのスペースに余裕があれば採用したいカードになります。
『Modern Showcase Challenge』 5/10
環境最強クラスのクリーチャーベースのコンボデッキ
毎月開催されているMOのプレミアイベント『Modern Showcase Challenge』。今大会を制したのは現環境トップメタの一角であるGolgari Yawgmothでした。
デッキ紹介
Golgari Yawgmoth
「不死」クリーチャーと《スランの医師、ヨーグモス》を用いたクリーチャーコンボデッキです。《召喚の調べ》によって状況に応じてクリーチャーをサーチしてこれるため、安定性も兼ね備えています。
《スランの医師、ヨーグモス》が除去されずに生き残れば、場のクリーチャーを除去しつつアドバンテージを稼ぐことができるので、Hammer Timeのように除去が少ないクリーチャーデッキに強いデッキになります。
☆注目ポイント
『指輪物語:中つ国の伝承』から《喜ぶハーフリング》が登場したことによって、カウンターを多用するコントロールやミッドレンジとのマッチアップにも強くなりました。《スランの医師、ヨーグモス》や《飢餓の潮流、グリスト》といったキーカードが通ってしまうため、それらのデッキにとってはマスト除去となります。
『エルドレインの森』から登場した《アガサの魂の大釜》は、このデッキをトップメタの一角へと押し上げました。これにより、自軍のクリーチャーに《スランの医師、ヨーグモス》や《飢餓の潮流、グリスト》の起動能力を付与することができます。またコンボ以外に墓地対策としても機能するため、Esper ReanimatorやLiving Endなど墓地を使うデッキとのマッチアップで活躍します。伝説でもあるので《喜ぶハーフリング》を経由してカウンターをかいくぐることも可能です。
《大爆発の魔道士》はTronやAmulet Titan、最近台頭してきたMono Black Coffersなど特殊地形を使うデッキにサイドインされます。自分から墓地にいけるので、《アガサの魂の大釜》で追放すれば、自軍のクリーチャーが土地を破壊できるようになります。
《機能不全ダニ》は最も軽い置物対策で、《召喚の調べ》によってサーチしてくることができます。《力線の束縛》《ウルザの物語》《一つの指輪》など、現環境には厄介な置物が多いためメインからの採用になっています。
《忍耐》は非常にフレキシブルなカードで、Living EndやEsper Reanimator対策としてメインから採用しやすい墓地対策になります。このデッキでは、ピッチでプレイした際に墓地に落ちる前に《スランの医師、ヨーグモス》でサクリファイスすることによって、アドバンテージを取り戻すことが可能です。
総括
現在のモダンは「Amulet Titan」「Golgari Yawgmoth」「Rakdos Scam」「Domain Zoo」「Prowess」「Living End」などが中心になっています。また、苦手なマッチアップであったTemur Rhinosがトップメタから姿を消したことで、「Creativity」も復権してきています。
気になる先日の禁止改定も、来月に『モダンホライゾン3』のリリースが控えているということでノーチェンジでした。『モダンホライゾン』は毎回環境を激変させるため、一部のプレイヤーの間では“モダン版のローテーション”とも言われており、今回も環境が大きく動くことが予想されます。
USA Modern Express vol.114は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!