はじめに
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
先週は関西でスタンダードの帝王戦が開催され、大きな盛り上がりを見せました。
そのほか、オンライン大会の結果と合わせて現スタンダード環境の注目デッキをチェックしていきましょう!
5/19(日)『第19期関西帝王戦スタンダード』
まずは、5/19(日)に晴れる屋TC大阪で開催された『第19期関西帝王戦スタンダード』の結果からチェックしていきます。この日は雨にも関わらず、たくさんのプレイヤーの方々にご参加いただきました!
『第19期関西帝王戦スタンダード』
優勝 ラクドスミッドレンジ
準優勝 アゾリウスコントロール
TOP4 バントポイズン
TOP4 ディミーアミッドレンジ
TOP8 ボロス召集
TOP8 赤単
TOP8 アゾリウスコントロール
TOP8 ボロス召集
アゾリウスコントロール、ボロス召集といった環境トップメタデッキたちが勝ち上がるなか、優勝したのはラクドスミッドレンジでした。
やや意外性のある結果となりましたが、本気で帝王の座を射止める者はデッキ選択においても一味違うセンスを感じます!
優勝 「ラクドスミッドレンジ」
こちらが優勝したデッキのリストです。
《移り気な放火魔》はやや見慣れないカードですが、フィニッシャーとしての素質は十分なクリーチャーです。夜になると「威迫」「速攻」5/5というスペックに加え、攻撃時に強力なバーンダメージを飛ばせるようになります。
《無謀な嵐探し》は自身のみならず、ほかのクリーチャーにも速攻を付与できる能力が強力です。《ドロスの魔神》や《最深の裏切り、アクロゾズ》のような大型の飛行クリーチャーに速攻を持たせる動きは特に強く、コントロール系のデッキにも大きなプレッシャーをかけ続けることができます。
また、序盤に《無謀な嵐探し》をプレイして昼夜の記録を開始させることで、終盤は夜の状態で《移り気な放火魔》をプレイできる可能性が高まります。とくにコントロール系のデッキを相手にする際は、ドローゴーで夜になる機会は多そうです。
クリーチャーの採用枚数が29枚と全体的にかなり前のめりで攻撃的なデッキ構成ですが、《分派の説教者》や《ヨーグモスの法務官、ギックス》で一度でもマウントをとってしまえば、手札の補充はわりと容易です。
《太陽の執事長、インティ》は攻撃クリーチャーを強化できるほか、《税血の収穫者》が生成する血・トークンをルーター+衝動ドローに変えることができるなど、細かいシナジーがたくさん組み込まれています。
サイドボードにはアゾリウスコントロール対策の《強迫》、ボロス召集対策の《碑出告が全てを貪る》などが採用されており、隙がありません。
《無謀な嵐探し》の速攻付与が楽しくてクセになりそうなデッキです。
約2ヵ月後には2年ぶりにスタンダードのローテーションがやってきますが、この土壇場で《移り気な放火魔》という隠れた名カードが活躍したことは素晴らしいと思います。帝王のデッキ、ぜひ使ってみたいですね!
準優勝 「アゾリウスコントロール」
続いて、準優勝のアゾリウスコントロールのリストをご紹介します。惜しくも帝王の座を逃しましたが、素晴らしい成績を収めました。
除去・打ち消し・手札補充が高いレベルで揃っており、特に《三歩先》は終盤、手札を減らさずに打ち消しができる点が強力です。
勝ち手段は少ないものの、地図・トークンで成長する《不穏な投錨地》は思った以上にゲームを終わらせる能力が高く、フィニッシャーとして十分、機能します。
《放浪皇》は除去をしながらライフ回復を行いつつ、生きながらえることで2/2トークンを戦場に送り込むマルチな活躍ぶりを発揮。《完成化した精神、ジェイス》は版図ランプや同型のコントロール戦において、ライブラリーアウト勝ちが狙える切り札です。
コントロールデッキの天敵である《魂の洞窟》のマナを経由して戦場にでるクリーチャーについても、サイドボード後は《門衛のスラル》や《ティシャーナの潮縛り》で戦場に出たときの能力を封じるなどで対処可能となっております。
《ティシャーナの潮縛り》は《ウラブラスクの溶鉱炉》をシャットダウンできるのが偉いですね!
現在、ノリにノッているアゾリウスコントロールですが、ローテーション後は《冥途灯りの行進》《放浪皇》《記憶の氾濫》がスタン落ちします。
《冥途灯りの行進》の後釜は《失せろ》が務めてくれそうですが、さすがに《放浪皇》と《記憶の氾濫》は替えが効かないカードなのではないでしょうか。このデッキを最も強い形で使えるのは今だけかもしれません。
5/17(金)『Standard Challenge 32』#1
つづいて、マジックオンラインの大会結果です。5/17(金)は『Standard Challenge 32』が2回開催されました。まずは1回目の結果から。
5/17『Standard Challenge 32』#1
優勝 ボロス召集
準優勝 エスパーミッドレンジ
3位 スライムローム
4位 ボロス召集
5位 エスパーミッドレンジ
6位 世界魂ランプ
7位 ボロス召集
8位 スライムローム
この大会では56名が参加し、優勝したのはボロス召集でした。ボロス召集はTOP8に3名を送り込む活躍を見せています。
優勝 「ボロス召集」
こちらが優勝したデッキのリストです。《戦導者の号令》が4枚フル採用されているタイプは珍しいかもしれません。
《上機嫌の解体》から最速で2ターン目に《イーオスの遍歴の騎士》が着地する「ブン回り」がありつつ、横並べ戦略に《イモデーンの徴募兵》を合わせることで爆発的なダメージを叩き出す戦略は、もはやスタンダードでおなじみとなりました。
ただし今回、優勝したデッキには《戦導者の号令》が4枚採用されております。ボロス召集が誕生した初期の頃は4枚採用のデッキも珍しくはありませんでしたが、テンポの悪さから採用枚数が減らされたり、デッキによっては採用自体が見送られることもありました。
現環境ではボロス召集が強すぎることもあり、メインから《一時的封鎖》などで対策されることも多く、ライフを詰めきれないことが多かったのかもしれません。改めて《戦導者の号令》のカードパワーの高さが評価された結果でしょうか。
また、優勝したデッキのサイドボードには《エイヴンの阻む者》が3枚採用されています。主導権を握ったあとは《一時的封鎖》《危難の道》《太陽降下》などの致命的なカードを《エイヴンの阻む者》で弾いてしまえば、ほとんど勝ちとなりそうです。時間を稼ぎつつ、打点が高くなる点が素晴らしいですね!
追放領域から呪文を唱えるコストを増やす能力は《ゴバカーンへの侵攻》ともシナジーがあり、ボロス召集対策のカードをあらかじめ手札から追放する動きが強そうです。
登場時から注目を集めていた《エイヴンの阻む者》ですが、これといった実績がありませんでした。ついに《エイヴンの阻む者》を有効に使えるデッキが見つかったのかもしれませんね!
5/17(金)『Standard Challenge 32』#2
それではつづいて、『Standard Challenge 32』2回目の結果を見ていきましょう。
5/17『Standard Challenge 32』#2
優勝 スライムローム
準優勝 赤単
3位 バントポイズン
4位 赤単
5位 グルールアグロ
6位 エスパーミッドレンジ
7位 ゴルガリミッドレンジ
8位 ディミーアコントロール
この大会では92名が参加し、優勝はスライムローム(4色レジェンズ)でした。
このデッキもまた、アゾリウスコントロールやボロス召集と並んで現環境のトップメタとの呼び声が高いです。
優勝 「スライムローム」
こちらが優勝したデッキのリストです。
《侵攻の伝令、ローナ》はこのデッキのエンジンで、ルーター能力を駆使して各種コンボパーツを集めるほか、墓地に土地を送る大切な役割を果たします。
このデッキにおいて「墓地に土地が置かれる」ことは極めて重要です。《大スライム、スローグルク》が強化されるほか、《ガイアの声、ティタニア》のライフゲイン能力を誘発させ、アグロデッキとの相性を大幅に改善します。
また、各種魂力土地は《大スライム、スローグルク》で何度でも使いまわすことでアドバンテージを得ることができます。とくに《見捨てられたぬかるみ、竹沼》は墓地から《大スライム、スローグルク》を回収できるため、半永久的に使うことができるんですね。
また、《侵攻の伝令、ローナ》・《伝説の秘宝》・《正直者のラトスタイン》×2・《陽気な擲弾兵、薬瓶砕き》が揃うと《正直者のラトスタイン》を延々と唱え続ける無限ライフルーズコンボが発生します。
《見捨てられたぬかるみ、竹沼》の能力でコンボパーツを探して回収することができるため、意外と現実的に狙えるところがポイントです。
弱点としては《大スライム、スローグルク》や墓地が追放されることですが、《大スライム、スローグルク》は自身から+1/+1カウンターを3つ取り除くことで手札に戻す能力があるため、意外と《太陽降下》などにも耐性があります。
《安らかなる眠り》や《未認可霊柩車》も《耐え抜くもの、母聖樹》で問題なく破壊でき、再び墓地を溜めなおすことで解決です。致命的なカードが多いように見えて、意外とメインから対処できるケースが多く、このデッキの強さを支えています。
《大スライム、スローグルク》は次のローテーションでスタン落ちするため、このデッキが使えるのは今だけです!ぜひ、今の内に!
5/18(土)『Standard Challenge 64』
最後に、『Standard Challenge 64』の結果をお伝えします。
5/18『Standard Challenge 64』
優勝 アゾリウスコントロール
準優勝 黒単
3位 アゾリウスコントロール
4位 ボロス召集
5位 ボロス召集
6位 ゴルガリミッドレンジ
7位 エスパーミッドレンジ
8位 ゴルガリミッドレンジ
この大会では95名が参加し、優勝はアゾリウスコントロールでした。
ここでは準優勝の黒単にスポットを当てて紹介していきます。
準優勝 「黒単」
こちらが準優勝した黒単のデッキリストです。
《腐食の荒馬》は令和版《闇の腹心》と言えるカードで、ライフを気にしないのであれば攻撃時に手札を補充し続けることができます。「騎乗」すれば逆にライフルーズさせることもでき、このデッキでは3ターン目に《墓地の侵入者》《懲罰者、ケアヴェク》《ヨーグモスの法務官、ギックス》などをプレイすることで、スムーズに騎乗しながら攻撃が可能です。
また、《懲罰者、ケアヴェク》は悪事を働くたびに墓地にある黒のカードを追放してコピーを唱えることができる強力なアドバンテージ源です。《切り崩し》や《強迫》など、コストが軽いカードとシナジーが起きやすく、このデッキではメインからそれらの軽量呪文を採用しています。
さて、特筆すべきはメインから4枚採用されている《ヴェールのリリアナ》です。《策謀の予見者、ラフィーン》などを出された返しにプレイして[-2]能力で除去しつつ、以降は[+1]能力でお互いの手札を削り取るハンデスマシーンとして活躍します。
こちらだけ《腐食の荒馬》で手札補充ができる状況であれば、《ヴェールのリリアナ》のハンデス効果が重くのしかかるのは相手の方です。また、[-2]能力はプレイヤーを対象に取るため、《懲罰者、ケアヴェク》の能力を誘発させるギミックとしても有用ですね。
サイド後は《敵意ある調査員》でアドバンテージに差をつけながら、《ヴェールのリリアナ》とのシナジーでどんどん手掛かり・トークンを生成することもでき、コントロール系のデッキはかなり困ることになりそうです。
それにしても、スタンダードの黒には本当に強いカードが多いですね!《腐食の荒馬》と《懲罰者、ケアヴェク》は今後、どのような活躍を見せるでしょうか。
おわりに
大会結果全体を通して考えると、ボロス召集とアゾリウスコントロールの活躍が目立った週末だったと言えます。
私個人としては、とりあえず関西帝王のデッキをひたすら回してみたくなりました。
ちなみにトロピ大塚は《移り気な放火魔》の活躍をしっかりと予言しております。さすがの先見の明ですね。
それでは次回の大会結果もお楽しみに!