はじめに
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
先週は『プレイヤーズコンベンション愛知2024』があり、スタンダードの大型大会が3つ開催されました!
『チャンピオンズカップファイナル』『ジャパンスタンダードカップ』『リバウンドスタンダード』の結果をチェックしながら、最新のメタゲームを振り返ります。
『チャンピオンズカップファイナル』
招待選手、そしてエリア予選を勝ち抜いて出場権利を得た強豪プレイヤーたち250名によって競われる国内最高クラスの大会、『チャンピオンズカップファイナル』の結果から見ていきましょう!
『チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド3』
優勝 エスパーミッドレンジ
準優勝 アゾリウスコントロール
TOP4 ゴルガリミッドレンジ
TOP4 世界魂ランプ
TOP8 世界魂ランプ
TOP8 ディミーアコントロール
TOP8 アゾリウスコントロール
TOP8 メンター
優勝は原根 健太選手のエスパーミッドレンジ、準優勝は平山 怜選手のアゾリウスコントロールでした。この結果によって、原根選手、平山選手は世界選手権出場の権利も手にしております。
ここではアグロ系のデッキは入賞せず、コントロール、ランプ、ミッドレンジといったデッキが結果を残しています。アゾリウスカラーのメンターもTOP8入賞と、興味深い活躍を見せました。
優勝 「エスパーミッドレンジ」
こちらが優勝した原根選手のリストです。
エスパーミッドレンジもさまざまな型がありますが、《婚礼の発表》のカードパワーはやはり高く、4枚フル採用されるリストが一般的になってきました。
ディミーアミッドレンジ、ディミーアコントロールのようなエンチャントにほぼ触れないデッキもメタゲーム上に存在し、着地したときのリターンはかなり大きそうです。
《漆月魁渡》や《同化の神盾》といった、やや珍しいカードの採用も見受けられ、原根選手の研究が伺えます。
《同化の神盾》で脅威を対処しながら、《婚礼の発表》によって生成されたトークンに装備させる動きは面白そうですね!
サイドにはガッツリ、3枚の《害獣駆除》が採用されています。後手2ターン目でもボロス召集の最強ムーブを対処できる可能性があるカードで、《一時的封鎖》と散らしながらの採用です。
エスパーミッドレンジはあらゆる局面に対応することができるバランスの良いデッキですが、原根選手のような練度が高いプロが使うと、本当に隙のない戦い方ができて強いと感じます!
準優勝 「アゾリウスコントロール」
我らがHareruyaPros、平山選手のリストです。準優勝という素晴らしい結果を残しました。後日、晴れる屋メディアでも平山選手の大会レポート記事が掲載される予定ですので、そちらもお楽しみに!
さて、特徴的なのはメインから2枚採用された《完成化した精神、ジェイス》です。
このカードがあるおかげでミラーマッチ、対ディミーアコントロール、世界魂ランプ、版図ランプといったロングレンジのデッキに対する勝率がかなり変わってきそうです。
[+1]忠誠度能力も防御的に使え、アグロデッキに対しても完全に腐ることがないのが良いですね!
サイドボードには《ティシャーナの潮縛り》が3枚採用されております。メインにも1枚採用されておりますが、《魂の洞窟》によって打ち消せなくなったクリーチャーを対処するために必要なカードです。
《偉大なる統一者、アトラクサ》による無慈悲な手札補充能力や《敵意ある調査員》のアドアドしすぎるハンデス能力を打ち消した上にクリーチャーをバニラ化することが可能。また、戦場に出てしまった《ウラブラスクの溶鉱炉》もシャットアウトできるなど、使い道は多岐に渡ります。
あらゆる起動型能力や誘発型能力を打ち消すことで対戦相手の計算を大きく狂わせることもでき、可能性は無限大!テクニカルではありますが、色んな場面で使ってみたくなる楽しいカードです。
そのほか、サイドボードに2枚採用された《加護をもたらす戦乙女》にも注目です。単なる絆魂持ちクリーチャーと違い、「賛助」によって1ターン限定ながらほかのクリーチャーに絆魂を付与することで、即効性のあるライフ回復として使えます。
《放浪皇》が生成した侍トークンや《太陽降下》が生成した培養器/ファイレクシアントークン、《ティシャーナの潮縛り》まで、意外と絆魂を付与したくなる対象は多そうですね!
平山選手、本当におめでとうございます。そしてお疲れ様でした。世界選手権も頑張ってください!
『ジャパンスタンダードカップ』
それでは続いて、258名が参加した『ジャパンスタンダードカップ』の結果です。
ジャパンスタンダードカップ:『サンダー・ジャンクションの無法者』
優勝 赤単
準優勝 ゴルガリミッドレンジ
TOP4 アゾリウスコントロール
TOP4 バントポイズン
TOP8 ゴルガリミッドレンジ
TOP8 ゴルガリミッドレンジ
TOP8 世界魂ランプ
TOP8 赤単
赤単が優勝、そして準優勝を含めゴルガリミッドレンジがTOP8に3名入賞という結果となりました。
優勝 「赤単」
こちらが優勝した赤単のリストです。
《焦熱の射撃》と《抹消する稲妻》を3枚、《魔女跡追いの激情》を2枚と、プレイヤーを対象にとれない除去としての火力を8枚採用しており、かなり強気なデッキ構成です。
現スタンダード環境には赤単にとって悪夢のようなクリーチャーがいますが、《黙示録、シェオルドレッド》は《焦熱の射撃》や《魔女跡追いの激情》で、《最深の裏切り、アクロゾズ》は《抹消する稲妻》でそれぞれ対処ができます。
これらの除去はコントロール相手に腐りそうですが、いざとなれば4枚採用の《魅力的な悪漢》でルーティングすることも可能。イージーな負け筋をなるべく減らしたデッキ構築が功を奏し、今回の優勝につながっているようです。
かつてはナイスサイドカードとして最強のベンチウォーマーを務めていた《ウラブラスクの溶鉱炉》も、今やメインに4枚採用されるほど定番となりました。速度を犠牲にして、コントロール系のデッキに対する勝率を底上げしています。
《巨怪の怒り》のような単体除去を合わせることで対処されるカードを不採用にし、《ウラブラスクの溶鉱炉》のような対処が難しいダメージリソースを多くデッキに組み込んでいるようです。
サイドには《未認可霊柩車》を採用しながらも、なおかつ《墓所の門番》を採用。世界魂ランプやスライムロームのような長期戦を狙ってくるデッキに対して妨害しつつライフを詰めることができ、こちらの土俵に引き込む戦い方をします。
従来の「超速度重視」な赤単とはまた一味違った、より骨太で柔軟な戦い方ができそうなデッキですね!
準優勝 「ゴルガリミッドレンジ」
惜しくも優勝を逃しましたが、TOP8に3名を送り込んだゴルガリミッドレンジは今大会一番の勝ち組デッキと言えそうです。
殴り性能も悪くない上に、ハンドアドバンテージを稼ぐ優秀なクリーチャー陣が特徴です。特に《敵意ある調査員》は着地すれば確実にアドバンテージが稼げるため、《魂の洞窟》などで打ち消せなくなるとコントロールにとって脅威となります。
フェアデッキに対しては布告除去が強く、コントロールに対してはハンデスの能力が刺さる《ヴェールのリリアナ》も強力。ハンデス(妨害)をしながら奥義へのカウントダウンを行い、隠れたフィニッシャーとしての役割も果たします。
また、メインからほとんどのパーマネントに触れることができ、サイド後を含めると「できないことがほとんどない」デッキとなります。
今後は赤単やボロス召集のような「ハンドアドバンテージの差」を活かす前にゲームを終わらせようとしてくるアグロデッキに対し、しっかりとライフを守り抜くプランが確立されると勝率が跳ね上がる予感がしますね!
『リバウンドスタンダード』
それでは最後に、198名が参加した『リバウンドスタンダード』の結果を見ていきましょう。
プレイヤーズコンベンション愛知2024 リバウンドスタンダード
優勝 ボロス召集
準優勝 ボロス召集
TOP4 エスパーミッドレンジ
TOP4 ディミーアコントロール
TOP8 ボロス召集
TOP8 ボロス召集
TOP8 エスパーミッドレンジ
TOP8 バントポイズン
優勝・準優勝を含め、ボロス召集が支配的な強さを示す結果となりました。
優勝 「ボロス召集」
こちらが優勝したデッキのリストです。
ボロス召集の一般的なリストでは一枚挿しされることが多い《ヨーティアの前線兵》を2枚採用しています。2ターン目《上機嫌の解体》によるブン回りの確率を少しでも上げたいということでしょうか。
《上機嫌の解体》から出てきたトークンを招集コストに充てて、2ターン目に《イーオスの遍歴の騎士》を着地させる一連の流れは現スタンダード最強のムーブとも言われ、ほとんどのデッキがこれに対応できません。
しかし、毎回都合よく《上機嫌の解体》や《イーオスの遍歴の騎士》をプレイできるわけではなく、やや平凡にクリーチャーを横並べして殴るだけの展開もあります。
そんな状況でも《イモデーンの徴募兵》の爆発力は高く、ブン回りがなくても勝てる安定性をボロス召集に与えています。《ヨーティアの前線兵》のようなややカードパワーが低いクリーチャーも、《イモデーンの徴募兵》と共に戦場に出れば立派な戦力となり、最後の詰めで「蘇生」が活きることもあるでしょう。
また、最近ではサイドボードに《地震波》を採用するリストが増えています。ミラーマッチやバントポイズンとの戦いで活躍しそうなカードです。
インスタント
クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つと、対戦相手1人を対象とする。地震波はその前者に2点のダメージを、その後者がコントロールしていてアーティファクトでない各クリーチャーにそれぞれ1点のダメージを与える。
《ヨーティアの前線兵》は地味ながら《地震波》の全体1点ダメージに巻き込まれず、2点ダメージの対象にならない限りは生き残ることが可能です。
これだけ環境にボロス召集が多いとミラーマッチも頻繁に起きるでしょうから、わりと無視できない特性だったのかもしれませんね。
おわりに
今回、3つの大型大会の結果を紹介しました。メタゲーム的にはアゾリウスコントロールが増えたことで、アグロやクロックパーミッションの活躍が目立ったという所感です。
コントロール側もクリーチャー対策はしているのですが、《婚礼の発表》や《ウラブラスクの溶鉱炉》のような置き物戦略にもメインから対処しつつ、《イモデーンの徴募兵》のような横の突破による爆発までしっかり対応するのは、なかなか難しいことです。
毎回、どのデッキにも15枚のサイドボードに新しい工夫が見られて、大変興味深いですね。それでは次回の大会結果もお楽しみに!