はじめに
みなさん、こんにちは。
先週末には『モダンホライゾン3』のプレリリースがありましたが、みなさん楽しめましたか?
さて、今回の連載では『SCG CON Las Vegas – Modern $5K』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『SCG CON Las Vegas – Modern $5K』 6/9
環境を激変させる『モダンホライゾン3』
開催日:2024年6月9日
優勝 Dimir Mill
準優勝 Temur Prowess
3位 Eldrazi Tron
4位 Mono Black
7位 Bant Nadu
8位 Bant Nadu
『SCG CON Las Vegas』で開催されたモダンの予選イベント。
先週末は『モダンホライゾン3』のプレリリースでしたが、プレリリース開催と同時に新セットのカードが使えるため『モダンホライゾン3』入りの新環境モダンでした。
新カードも早速活躍していましたが、今大会の決勝戦はDimir MillとTemur Prowessという『モダンホライゾン3』のカードが含まれていないデッキでした。
デッキ紹介
Bant Nadu
プレビュー段階で強いと言われていた《有翼の叡智、ナドゥ》を使ったデッキが早速入賞していました。《有翼の叡智、ナドゥ》とシナジーがあるとして、装備品の《手甲》が高騰したことも話題になっていましたね。
《有翼の叡智、ナドゥ》の能力によってデッキのカードを引き切り、最終的に《タッサの神託者》の特殊勝利でゲームを決めます。
《ウルザの物語》や《召喚の調べ》といったキーカードをサーチする手段にも恵まれており、サイド後は《緻密》や《忍耐》を投入してBant Flashのように振る舞うこともできます。
☆注目ポイント
《有翼の叡智、ナドゥ》は伝説なので《喜ぶハーフリング》の恩恵を受けることができ、2ターン目に出てくる《有翼の叡智、ナドゥ》は多くのデッキにとって脅威となります。《手甲》のように0マナでクリーチャーを対象に取るカードと相性が良く、《コーの先導》でも代用可能です。また、除去されたとしても能力が誘発するためアドバンテージを得られます。
新カードである《春心のナントゥーコ》も、「上陸」能力により新たな《手甲》の対象先であるトークンを生み出せるので《有翼の叡智、ナドゥ》と相性が良いです。
《有翼の叡智、ナドゥ》で出す土地はアンタップ状態で置けるため、《春心のナントゥーコ》と組み合わせることでデッキのカードすべてを引き切って《タッサの神託者》で勝利することができます。
プレビュー段階から強力なピッチスペルとして話題になっていた《拒絶の閃光》も早速フル搭載されています。3マナと普通にプレイしやすいカウンターで、《とぐろ巻きの巫女》や《氷牙のコアトル》といった軽くて青いクリーチャーも多く採用されているため、それらをピッチコストにコンボを妨害から守ることが可能です。
Eldrazi Tron
強力なエルドラージ・クリーチャーや《ウギンの迷宮》を得たことで強化され、復活を果たしたEldrazi Tron。トロンランドや《ウギンの迷宮》《エルドラージの寺院》といったマナ加速から、エルドラージ・クリーチャーやスペルを展開していきます。
☆注目ポイント
制約付きとはいえ、2マナランドが強力なことは《エルドラージの寺院》などがすでに証明しています。《ウギンの迷宮》は7マナ以上の無色のカードを追放するという条件があるためデッキを選びますが、《世界を壊すもの》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》《全ては塵》《運命を貪るもの》といったカードを複数採用できるエルドラージデッキでは条件を満たしやすくなっています。
《運命を貪るもの》は2マナランドや必要なトロンランドを探したりと、デッキの安定性の向上に貢献しています。唱えたときに有色のパーマネントを除去できるのも嬉しく、Eldrazi Tronの強化に一役買っているカードです。
《まき散らす菌糸生物》はプレイ時にマナ加速ができ「キッカー」することでランデスできる、あの《刈り取りと種まき》を彷彿とさせる能力を持つエルドラージです。《世界を壊すもの》と同様に唱えただけで能力が発動するため、ほぼ確実にアドバンテージを得ることができるのが強みです。
《世界を壊すもの》は7マナと重いためEldrazi Tronでの採用率は低めでしたが、《ウギンの迷宮》で追放できることから再評価されています。
《コジレックの命令》はエルドラージスペルなので《エルドラージの寺院》の恩恵を受けることができます。序盤を凌ぎつつ、必要なトロンランドを占術で探せる便利なスペルです。
Mono Black
モダンの黒単といえば、《陰謀団の貴重品室》によって生み出された大量のマナから《大いなる創造者、カーン》で状況に応じてアーティファクトをサーチしコントロールするMono Black Coffersが有名ですが、今大会で結果を残したのは《悲嘆》+《まだ死んでいない》のスキャムパッケージを搭載したバージョンでした。
《ファイレクシアの塔》《冬の月》《毒の濁流》といった『モダンホライゾン3』のカードも複数採用されています。黒単色ですが、優秀なハンデスや除去、墓地対策、《ロークスワイン城》や《一つの指輪》といったアドバンテージ源と、ミッドレンジに一通り必要なものがそろっています。
☆注目ポイント
Eldrazi Tronのところでも説明したように2マナランドは制限付きでも非常に強力であり、《ファイレクシアの塔》もデッキ構築によっては強力なマナ加速として機能します。このデッキでは《悲嘆》をピッチでプレイした後に《ファイレクシアの塔》を起動することで、相手の手札を破壊しながらマナ加速させるという使い方ができます。
単色デッキなので《冬の月》を強く使うことができます。特殊地形を使うデッキがほとんどのモダンでは、多くの場合で相手のみ一方的な《冬の宝珠》として機能します。相手のマナを縛っている間に《悲嘆》や《ダウスィーの虚空歩き》といったクロックでライフを攻めていけるようになりました。
モダンで使えるようになった《毒の濁流》がサイドに採用されています。《滅び》よりも軽くて使いやすいので今後よく見かけることになりそうです。
《攪乱のフルート》は瞬速で使いやすく、特定のカードに頼った多くのデッキを減速できる優秀なサイドカードになります。
そのほか注目デッキ紹介
Jund Saga
MOグラインダーでも有名なRespectTheCat(@RespectTheCat90)が、『モダンホライゾン3』の注目カードである《ネザーゴイフ》入りのJund Sagaで結果を残していたので紹介します。
《ドラゴンの怒りの媒介者》《邪悪な熱気》といったカードのために、《ミシュラのガラクタ》や《ウルザの物語》パッケージなど複数のカードタイプが採用されているので、Jund Sagaは《ネザーゴイフ》を強く使えるデッキです。
《ウルザの物語》を《レンと六番》で使いまわす動きが強力で、《毒の濁流》や《苛立たしいガラクタ》といった特定の戦略に有効なサイドカードにも要注目です。
☆注目ポイント
1マナとあの《タルモゴイフ》よりも軽い《ネザーゴイフ》ですが、自分の墓地しか参照しないところは注意が必要です。デッキ内にさまざまなカードタイプがあり、《ドラゴンの怒りの媒介者》の「諜報」で墓地を肥やせるため、《ネザーゴイフ》を強化するのは比較的容易です。
《ウルザの物語》パッケージを利用することによって《ネザーゴイフ》をさらに強化できます。Ⅲ章でエンチャント(《ウルザの物語》)が墓地に落ち、《影槍》をサーチすることでトランプルでダメージを通しにいけます。
サイドの《苛立たしいガラクタ》は「続唱」デッキなどに刺さるカードになります。《ウルザの物語》でサーチ可能で、必要ならドローに変換できます。
総括
先週末の『SCG Con Las Vegas』では、早くも『モダンホライゾン3』のカードが活躍していました。
特に優勝は逃したもののプレイオフに入賞していたEldrazi Tronと、《有翼の叡智、ナドゥ》コンボは研究が進むにつれてリストがどのように変化していくのか要注目です。
USA Modern Express vol.115は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!