はじめに
みなさん、こんにちは。
『モダンホライゾン3』がリリースされ、新環境に入りましたが、みなさんはレガシーを楽しんでいますか?
今回の連載では、先週末にMOで開催された『Legacy Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Legacy Challenge 32』 6/11
『モダンホライゾン3』の新カードによって強化されたCephalid Breakfast
開催日:2024年6月11日
準優勝 Eldrazi Post
『モダンホライゾン3』がMOに実装された直後に開催された『Legacy Challenge』。
今大会では、新カードの《有翼の叡智、ナドゥ》によって大幅に強化されたCephalid Breakfastが複数入賞していました。
優勝したのは、新カードを一切採用していないDimir Reanimatorとなっています。
デッキ紹介
Cephalid Breakfast
《有翼の叡智、ナドゥ》はレガシーでもCephalid Breakfastの新戦力として活躍しています。モダンではその強さから『モダンホライゾン3』の《甦る死滅都市、ホガーク》とも形容されており、プレビュー段階からこの伝説のクリーチャーを軸にしたデッキが話題になっていました。
デッキの動きは、《手甲》や《コーの先導》といった0マナで対象を取れるカードと《セファリッドの幻術師》によってライブラリーのカードをすべて墓地に落とし、《戦慄の復活》をフラッシュバックして《タッサの神託者》をリアニメイトして勝利します。
コンボパーツのほかにも《意志の力》や《剣を鍬に》といった妨害スペルも複数採用されており、《有翼の叡智、ナドゥ》のおかげでミッドレンジプランも取りやすくなりました。
☆注目ポイント
《セファリッドの幻術師》は単体では貧弱で《オークの弓使い》に弱かったため、タフネスが4ある《有翼の叡智、ナドゥ》はアドバンテージを取りやすくデッキの強化に貢献しています。土地でないカードが捲れた場合は手札に加えるので、《覆いを割く者、ナーセット》や《オークの弓使い》といった追加のドローを制限する能力にも引っかからないところも強みです。
《行き届いた書庫》と《迷路庭園》という2種類の諜報ランドが採用されています。手札に来てしまった《タッサの神託者》や《戦慄の復活》は、《渦まく知識》とフェッチランドを組み合わせて諜報ランドで墓地に落とすことが可能です。
サイドの《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》は新カードの《苛立たしいガラクタ》と似た能力を持っていますが、影響があるのは対戦相手のみなので《戦慄の復活》など0マナでスペルをプレイすることが多いこのデッキでは《苛立たしいガラクタ》よりも優先されます。
《有翼の叡智、ナドゥ》を加えたことによって4色になったため、《虹色の終焉》でより多くのパーマネントを処理できるようになりました。特に墓地対策である《虚空の力線》は、このデッキのプランAである《セファリッドの幻術師》コンボを妨害されるので対策は必須です。
『Legacy Challenge 32』 6/14
令和のネクロ
土曜日に開催された『Legacy Challenge』は複数のコンボデッキが入賞していました。
そのなかでも、現代の《ネクロポーテンス》として注目されていたカードである《ネクロドミナンス》を採用したストームコンボは要注目です。
デッキ紹介
Necro Storm
現代版の《ネクロポーテンス》としてプレビュー段階から注目を集めていた《ネクロドミナンス》を軸にしたストームコンボ。《暗黒の儀式》によって1ターン目にプレイできるレガシーでは脅威になります。
デッキの動きとしては、《暗黒の儀式》やマナアーティファクトなどを使って《ネクロドミナンス》を1ターン目にプレイ。終了ステップに19点ライフを支払って19枚のカードをドローし、ストームを稼ぎながら《風に運ばれて》を唱えて《鏡に願いを》から《苦悶の触手》をプレイして勝利します。
☆注目ポイント
スペルをインスタントタイミングで唱えられるようになる《風に運ばれて》を利用することによって、終了ステップに《ネクロドミナンス》の能力で大量にドローした後にコンボを決めることができます。マナ加速を利用することによって、1ターン目にコンボによって勝つこともできます。
青いデッキとのマッチアップでは、《否定の契約》や《別館の大長》によって無理矢理コンボを押し通すことが可能です。
オールインコンボは《意志の力》に弱いため対策は必須です。サイドの《苛立たしいガラクタ》は《意志の力》や《否定の力》といった0マナカウンターをシャットアウトするため、コンボデッキの青いデッキを対策する手段として機能します。
『Legacy Challenge 64』 6/15
新環境でも強いDimir
『モダンホライゾン3』リリース後もDimir Reanimatorは高い勝率を維持しています。
プレビュー段階から話題になっていた《超能力蛙》は、Dimir ReanimatorやDimir Scam、Grixis Delverの新戦力として活躍しています。今大会で優勝したのは新カードを複数採用した緑単のEldrazi Postでした。
デッキ紹介
Grixis Delver
『モダンホライゾン3』の《超能力蛙》を採用したGrixis Delverが結果を残しています。
基本的な構成は旧環境のものとそれほど大きな変化は見られず、コンボデッキが多い現環境では良チョイスになります。
☆注目ポイント
《超能力蛙》は軽いスペルを複数採用したこのデッキにフィットしており、飛行を付与できるのでダメージを通しやすくテンポデッキにとって貴重なアドバンテージ源になります。プレインズウォーカーにダメージを与えた際もドローでき、手札を捨てることにより永続的に強化できるため、火力系の除去にもある程度の耐性があります。
Delver系のアドバンテージ源は最近では《探索するドルイド》が見られましたが、《超能力蛙》は《意志の力》の青カウントにもなるためテンポデッキの定番のカードになりそうです。
《有翼の叡智、ナドゥ》や《超能力蛙》など強力な青いカードが登場したため、《紅蓮破》がメインから除去枠として採用されています。
またコンボデッキが流行っているので、追加のカウンターとしてメインから《否定の力》と《呪文貫き》も搭載されています。特に《呪文貫き》は、コンボデッキの多くが青対策として採用している《苛立たしいガラクタ》に引っかからないことも採用する理由になります。
《海の先駆け》は《月の大魔術師》よりもプレイしやすく、《月の大魔術師》と異なりLandsやEldrazi Postなどのマナを制限しつつキャントリップや《濁浪の執政》をプレイすることができます。
デッキ紹介
Dimir Reanimator
最近のReanimatorは、メインは《悲嘆》+《再活性》のコンボによって相手のプランを妨害しつつ、《残虐の執政官》や《偉大なる統一者、アトラクサ》をリアニメイトする戦略で、サイド後は《ダウスィーの虚空歩き》や《オークの弓使い》といったクリーチャーを追加してミッドレンジ寄りにシフトしていくスタイルになります。
墓地に依存したコンボデッキは、墓地対策が追加されるサイド後に苦戦する傾向にありましたが、クリーチャーを追加したミッドレンジプランを取る選択肢もあるため、対戦難易度が高いデッキになります。
もともと環境最強クラスのデッキでしたが、『モダンホライゾン3』から《超能力蛙》が登場したことでさらに強化されました。
☆注目ポイント
《超能力蛙》はリアニメイトするクリーチャーを墓地に落とす手段として機能します。単体でアドバンテージを稼ぐことができ、青黒のマルチカラーなので《悲嘆》や《意志の力》のピッチコストとしても運用できます。メインのコンボとサイド後のミッドレンジの両方のプランにフィットした優秀なクリーチャーです。
サイドの《ダウスィーの虚空歩き》は、墓地対策&追加のクロックとして機能するため、ミラーマッチをはじめとしたさまざまなマッチアップでサイドインされます。また《有翼の叡智、ナドゥ》や《超能力蛙》といったクリーチャーを対策するために《四肢切断》も採用されています。
《ウルザの物語》を対策する手段に貧しかったため、サイドの《溶融》用に赤がタッチされています。3枚採用された《厚かましい借り手》は、《マリット・レイジトークン》や《虚空の力線》など置物対策&追加の勝ち手段として機能します。
総括
『モダンホライゾン3』は予想通りレガシーに大きな影響を与えており、特にCephalid Breakfastなどで採用されている《有翼の叡智、ナドゥ》や、複数のデッキで採用されている《超能力蛙》のほかにも、《ネクロドミナンス》《苛立たしいガラクタ》《まき散らす菌糸生物》《攪乱のフルート》《次元の結節点》など様々なデッキが新カードによって強化されています。
Dimir Reanimatorは依然として高い勝率を維持しています。Necro StormやCephalid Breakfastなどコンボデッキが多いため、新環境でもこのデッキはトップメタの一角を担うことが予想されます。
USA Legacy Express vol.236は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!