デッキテク:『モダンホライゾン3』環境のネオブランド

晴れる屋メディアチーム

矢島広道のネオブランド

『モダンホライゾン3』環境において最速のデッキはなんだろう?

この問いにあなたはどう答えるだろうか。《ルビーの大メダル》《モンスーンの魔道士、ラル》を利用したルビーストームだと答える人が多いのではないだろうか。

だが、第26期スタンダード神でありながらレガシー、ヴィンテージにも造詣が深い矢島 広道はこう答える。

画像のタイトル

矢島 広道

ネオブランドですね。理論上モダン最速デッキです」

環境最速

アロサウルス乗り新生化グリセルブランド

ネオブランド。

《アロサウルス乗り》をピッチコストで唱え、すかさず《新生化》。ライブラリーから《グリセルブランド》が登場し、ライフ回復するピッチスペル《滋養の群れ》を利用してライフゲイン→ドロー→ライフゲインを繰り返してライブラリーを引き切るコンボデッキである。

大嵐の咆哮、スラスタ籠城用投薬

今回の矢島のリストでは、最終的に《大嵐の咆哮、スラスタ》《籠城用投薬》で大幅サイズアップして一撃でライフ20点を削り切ることをゴールにしている。

絡み森の大長

《絡み森の大長》を使えば1ターン目に《グリセルブランド》着地もありうる、現在のモダンで許されている1ターンキルである。

このコンボデッキそのものは2019年から存在するものの、『モダンホライゾン3』のメタゲーム上にはほとんど――いや、まったくといっていいほど浮上していなかった。晴れる屋のデータベースにはこの1年間でわずか4件しか登録されていない。

第3ラウンド終了時、ここまで3-0の矢島選手に聞く。

――なぜいまネオブランドを選択したのでしょうか。

「明らかにルビーストームに注目が集まっていましたよね。ルビーストームを使わないがわになるなら対策は必須というかんじで」

ルビーの大メダル捨て身の儀式炎の中の過去

理論上、最速2ターンキル

「ならこっちはもっと速いデッキです。ネオブランドには理論上1ターンキルがあります」

絡み森の大長アロサウルス乗り新生化

【1ターンキルの初手の例】
これに加えて青マナが出る土地、緑のカード1枚

「いろんなデッキにチャンスがあって混沌としているメタゲームではこうした”速さ”が重要な要素だと思います。レガシーでもThe Spyを使ってますしね!」

「ルビーストームは当然対策されます。ですが、ネオブランドを名指しで対策しようなんて人はいません。そもそも、このデッキをよく知らないという人が多いと思います。サイドボードに有効的なカードがなかったり、あったとしても適切なカードになかなか気付けません」

――先ほどゲームを拝見しましたが、たしかに対戦相手はこのデッキを知らないようでしたね。

モダンホライゾン3での強化

――ネオブランドがこのイベントにあっているのは分かりましたが、『モダンホライゾン3』で強化された要素もあるのではないでしょうか。

「あります。まずは《次元の創世》です」

衝動次元の創世

「かつてはコンボパーツを探すカードとして《衝動》なんかも使っていましたが、《次元の創世》は緑が加わった《衝動》として非常にいいカードです」

アロサウルス乗り

《アロサウルス乗り》をピッチで唱えるために緑のカードが2枚必要なので、デッキのなかの緑の割合は高い方がいいんです」

「そういった意味で《フレイアリーズの信奉者》もかなりいいですね」

フレイアリーズの信奉者フレイアリーズの庭

「これは緑の呪文でありながらアンタップイン土地です。ピッチコストとしても、土地としても使えるんです」

変わり樹の共生召喚士の契約

「これまでも《変わり樹の共生》などが使われていましたが、《フレイアリーズの信奉者》はクリーチャー・呪文なので《召喚士の契約》で探すことができます。これまでは《アロサウルス乗り》を探すのみだった《召喚士の契約》が土地を探すモードを手に入れたんです」

サイドボード

――新カードを得たのは対戦相手も同じです。新環境を意識したサイドボードのカードはありますか?

嵐の乗り切り

「ストーム対策の《嵐の乗り切り》ですね。受けるだけでなく、こちらが仕掛けるときのピッチコストにもなれます」

攪乱のフルート残虐の執政官

《攪乱のフルート》《グリセルブランド》を指名されることを考えてもう一枚の《新生化》先として《残虐の執政官》をとっています」

展望

残念ながらSE進出に2勝届かなかった矢島選手のネオブランドだが、この日モダンプレイヤーはルビーストームの2キル、ナドゥコンボの3キルよりも速い1キルの可能性を思い出すことになった。

『モダンホライゾン3』環境はまだ始まったばかりだが、ネオブランドのように老兵が思いがけず名乗りを上げる日がやってくるかもしれない。

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