限界突破スタンダード! vol.5 -『ブルームバロウ』発売前に、一瞬の輝きを放つローグデッキを紹介!-

紳さん

はじめに

こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。

運命のスタンダード大革命 (『ブルームバロウ』発売 & ローテーション) まで残り1か月を切りました。

放浪皇策謀の予見者、ラフィーン熊野と渇苛斬の対峙

長きにわたりスタンダード環境で活躍し続けたこれらのカードともお別れとなりますが、本当にたくさんのデッキに採用されましたね。生きた証として晴れる屋のデッキリストには永遠に残り続けることでしょう。

一方で、流星の如く現れ、一瞬の輝きを見せては消えていったローグデッキたちのことも忘れてはいけません。

晴れる屋のデッキリストに掲載されるためにはなんらかの大会で好成績を収める必要がありますが、ハイパワーなガチデッキがひしめく現スタンダード環境でなんとか勝利し、貴重なリストを残してくれた素晴らしいローグデッキたちが存在します。

今回は、そんな素敵なローグデッキをいくつか紹介したいと思います!

『イニストラード:真夜中の狩り』~『サンダー・ジャンクションの無法者』環境時のローグデッキ紹介

エンジェルファイアーイグニッション

「エンジェルファイアーイグニッション!!」と、ついつい口に出して叫びたくなるカッコ良すぎる英名を持つカード、《天使火の覚醒》は多くのファンを生み出しました。『イニストラード:真夜中の狩り』で収録されたカードですね。

《天使火の覚醒》 1RW

ソーサリー

クリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。ターン終了時まで、それは警戒とトランプルと絆魂と破壊不能と速攻を得る。

フラッシュバック2RW(あなたはあなたの墓地にあるこのカードをフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後、これを追放する。)

地質鑑定士エターリの好意天使火の覚醒

デッキ内の3マナ以下のカードを《エターリの好意》《天使火の覚醒》だけにすることで、《エターリの好意》《地質鑑定士》の「発見3」から確実にイグニッションすることができました。巨大スタッツの絆魂クリーチャーが速攻で殴れるため、赤単が全盛期であり続けたスタンダード環境ではメタゲーム的に立ち位置も良かったように感じます。

忠義の徳目自律型組立工クイントリウス・カンド

3ターン目にイグニッションするためには2ターン目にクリーチャーを出す必要があり、《忠義の徳目》や「試作」を持つクリーチャーに白羽の矢が立つなど、さまざまな思い出があります。プレイヤーによって構築がぜんぜん違うのも面白かったですね!

《クイントリウス・カンド》を投入して、「発見」を連鎖させてドレインをするという勝ちパターンを追加したデッキもありました。

運よく「発見」が連チャンしたときの快感はたまりません!使ったことがないという方はぜひ、ローテーション前にイグニッションしてみてください。

《アラーラへの侵攻》コンボ

ローテーションのルールがシーズンの途中から変更されたことで、《墓所の冒涜者》《アラーラへの侵攻》《木苺の使い魔》が共存する瞬間に立ち会うことができました。

墓所の冒涜者アラーラへの侵攻木苺の使い魔

『イニストラード:真紅の契り』に収録された《墓所の冒涜者》はパーマネントからカウンターを取り除くという珍しい能力によってこのデッキを強力にサポートするカードです。

《アラーラへの侵攻》の「続唱」のような能力から《木苺の使い魔》の出来事面が唱えられるため、《墓所の冒涜者》に繋げることで一気にゲームを決めるほどの大爆発が起こります。

力線の束縛執念の徳目嘶くカルノサウルス

また、デッキを構築する際にはエンジェルファイアーイグニッションの上をいく「4マナ以下のカードを採用できない」というとても厳しい制限があり、デッキビルダーたちの腕の見せ所となりました。《力線の束縛》《執念の徳目》《嘶くカルノサウルス》など、軽量除去として使えるカードたちの強さが印象的です。

一方で、コンボが成立する確率は下がりますが、《間の悪い爆発》を採用してデッキの安定性を上げる構築もよく見られました。ボロス召集という強すぎる横並びデッキがトップティアであることが大きく影響しています。

私も1年前に《アラーラへの侵攻》を4枚フル投入した緑単を組んで大会に出ましたが、ハマったときのカードパワーの高さはえげつないです。

《墓所の冒涜者》はローテーションによってスタン落ちしますが、《アラーラへの侵攻》を使ったデッキはなんらかの形で残るかもしれませんね。まだまだ使ってみたいカードです!

スーパーネズミ算コンボ

テーブルトップ(紙)の大会では使うのを躊躇するほど、とんでもない数のパーマネントが並ぶローグデッキがありました。

完成化した賢者、タミヨウ三匹の盲目ネズミ

ネズミ算こと、《完成化した賢者、タミヨウ》《三匹の盲目ネズミ》を使ったコンボデッキです。

『神河:輝ける世界』では《放浪皇》《漆月魁渡》など強力なプレインズウォーカーが登場しましたが、《完成化した賢者、タミヨウ》もローグデッキでしっかり活躍したという事実を覚えておいてください。

墓地に落ちた《三匹の盲目ネズミ》《完成化した賢者、タミヨウ》の能力によってコピー・トークンとして生まれ変わると、「《三匹の盲目ネズミ》のトークンをコピーする能力で自身をコピーする」ことが可能となり、まさしくネズミ算的に増えていきます。

《三匹の盲目ネズミ》は1/1のハツカネズミ・クリーチャー・トークンを生成しながら、最終的にはクリーチャー全体に+1/+1修正を与えるなど、フィニッシャーとしても十分な性能のカードです。《太陽降下》を何回撃たれても、《三匹の盲目ネズミ》をすべて破壊しない限りはネズミの侵攻が止まることはありません。

栄光のドミヌス、モンドラク最深の基盤、オヘル・タク

ここまでやる必要があるのかわかりませんが、トークン生成効果が2倍になる《栄光のドミヌス、モンドラク》を戦場に出すと大変なことになります。《最深の基盤、オヘル・タク》を追加すれば、もっともっと大変なことになります。

私はテーブルトップとMTGアリーナの両方でこのデッキと対戦したことがありますが、様々な意味で恐ろしいデッキでした。

ネズミ with 《悪魔的な客室係》

最後に紹介するのは、水戸が生んだ天才デッキビルダー、オオウチ ユウタロウ氏による作品です。

悪魔的な客室係

『ニューカペナの街角』に収録された《悪魔的な客室係》は、コントロールするクリーチャーが戦場に出るたびにパワーが倍になるという、誰もが憧れる宇宙的なパワーを実現させるカードでした。

倍々計算というのは恐ろしいもので、よく「紙を42回折ると月に届く」という話を聞きますよね。《悪魔的な客室係》の場合は自身のほかにクリーチャーが5体出るだけでパワーが32に届き、ゲームに勝てる性能です。ただし、除去耐性がない上にわりと狙いがバレバレであることから、除去の集中砲火を喰らってしまい、なかなか作戦が実りそうにありません。

ネズミの王、カルモニクス下水王、駆け抜け侯

そこでオオウチさんは、自身のデッキをネズミデッキに偽装することを思いつきました。

すべての除去カードは《ネズミの王、カルモニクス》《下水王、駆け抜け侯》に差し向けられることでしょう。しかし、このデッキの真の王は《もつれる群体》《悪魔的な客室係》なのです。

悪魔的な客室係もつれる群体魔女跡追いの激情

《悪魔的な客室係》の攻撃に合わせ、《もつれる群体》《魔女跡追いの激情》を撃ち込むだけで《悪魔的な客室係》のパワーは32まで跳ね上がります。トランプルがあるのでチャンプブロックさえ許しません。

トーテンタンズの歌

また、このデッキの隠された必殺技として《トーテンタンズの歌》があります。《悪魔的な客室係》《ネズミの王、カルモニクス》のどちらと合わせても即死級の盤面が作れるカードで、撲殺か毒殺かの違いしかありません。どちらを除去しても負けとなる盤面で、悶絶する対戦相手の顔が目に浮かぶようです!

一時的封鎖切り崩し喉首狙い強迫

現スタンダードには強力な軽量除去がたくさんありますが、そんなものはサイドボードの《強迫》で抜き去ってやればよいのです。

オオウチさんはフライデーナイトマジックで3-0という成績を残し、この素晴らしいローグデッキを後世に残しました。あと3週間ほどは現役ですので、気になった方はぜひ、このデッキを使ってみてください。

新環境は7月26日(金)から!

そういえば今回、本当にたまたま偶然、ネズミ関連のローグデッキを2つ紹介しましたが、8月2日(金)に発売される新セット『ブルームバロウ』の主人公もハツカネズミなんですよね!

今度のハツカネズミはローグデッキだけの活躍に収まらないかも!?

また、「もしも有名なプレインズウォーカーやクリーチャーがブルームバロウ次元に訪れたら?」というコンセプトのアートが公開されており、こちらは「イマジン:勇敢なる生き物たち」カードとして収録されるようです。この狐ジェイス君はいったい、どんな能力を持っているのでしょう!?

そんな動物たちが大活躍するセット、『ブルームバロウ』のプレビュー予定ですが

『ブルームバロウ』のプレビュー予定

マジック公式ストーリー公開:7月2日

デビュー配信とプレビュー開始:7月9日

カードイメージギャラリーにて全収録カード公開:7月19日

MTGアリーナにてリリース:7月30日

テーブルトップ公式発売日:8月2日


『ブルームバロウ』のイベント予定

お近くのゲーム店でのプレリリース開幕:7月26日~8月1日

WPN店舗開催のオープンハウス:8月2日

ということで、プレリリースが始まるタイミング、つまりは『ブルームバロウ』に収録されるカードが使用可能となる7月26日から新スタンダード環境へと突入となります。ローテーションが起こり、『ニューカペナの街角』以前のセットはスタンダードでは使えなくなるのでご注意ください。

トーテンタンズの歌ネズミの王、カルモニクス三匹の盲目ネズミ

余談ですが、《岩山炎の後継者、メイブル》によって超絶強化されるであろう「ハツカネズミ」と《トーテンタンズの歌》から大量に出てくる「ネズミ」はまったく別の種族(クリーチャー・タイプ)です。ハツカネズミが《ネズミの王、カルモニクス》によって「毒性」を得ることはありません。

ハツカネズミデッキを組むなら、《三匹の盲目ネズミ》を使いましょう!

なにはともあれ、『ブルームバロウ』の発売日&新スタンダード環境の到来が待ちきれませんね!

そして皆さん。できれば、ローテーション前にお気に入りのデッキを晴れる屋のデッキリストに思い出として残しておくと良いですよ!

私が以前、3-0した「ドラ保護サウルス2024」は今度のローテーションで《さびれた浜》《嵐削りの海岸》を失います。実はあれから《稲妻のらせん》《峰の恐怖》を獲得し、今が一番強い状態なので、今のうちにデッキリストを残しておきたいんですよね。

やり残したことがないように、次のスタンダード環境を迎えましょう。それでは、また!

この記事内で掲載されたカード

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紳さん マジック愛に生きるフリーライターです。モダン、パイオニア、スタンダードでローグデッキを使い、勝利を目指す! 至って真剣勝負の毎日です。 紳さんの記事はこちら