Just Nowスタンダード!vol.27 -《世話人の才能》が大躍進!ジャパンオープン優勝はボロスコントロール-

紳さん

はじめに

こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。

先週末はMTGアリーナにてスタンダード日本一を決める大会、『マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024が開催されました。

『ブルームバロウ』発売直後、そしてローテーション後の新環境で、どんなデッキが結果を残したのでしょうか。

マジックオンラインで行われた『Standard Challenge』の結果と合わせてチェックしていきましょう!

8/11(日)『マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024』

462名が参加した『マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024』は1日目に予選ラウンド9回戦を行い、2日目の決勝ラウンドはTOP64からのシングルエリミネーションという、かなり過酷なトーナメントでした。

TOP16の結果がこちらです。

『マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024』

優勝 ボロスコントロール

準優勝 アゾリウスメンター

トップ4 アブザンコントロール

トップ4 赤単

トップ8 アゾリウスコントロール

トップ8 ラクドスリザード

トップ8 ジェスカイ召集

トップ8 ドメインランプ

トップ16 《もがく出現》

トップ16 アブザンコントロール

トップ16 《陰湿な根》

トップ16 アゾリウスアグロ

トップ16 ジェスカイ召集

トップ16 ドメインランプ

トップ16 グルール果敢

トップ16 《陰湿な根》

トップ16デッキリスト

アグロ・ミッドレンジ・ランプ・コントロール・コンボとさまざまな新型デッキが多く活躍し、とてもフレッシュな大会結果となりました。

熾烈な戦いを制し、優勝したのは卯月 祐至選手のボロスコントロールで、優勝賞金50万円とレッドブル12ケースを手にしています。

また、驚くべきことに卯月選手は687名が参加した『マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2022』でもエスパーミッドレンジで優勝しており、プロプレイヤーも多く参加するオープン大会で二度目の優勝という快挙を成し遂げました。

ボロスコントロール

こちらが優勝した卯月選手のデッキ。今、話題のトークンシナジーを活かしたボロスカラーのコントロールデッキです。

世話人の才能ウラブラスクの溶鉱炉太陽降下

少し前からMOでは話題になっていた《世話人の才能》を用いたトークンシナジーですが、想像を遥かに越えた強力なドローサポートを実現します。

《ウラブラスクの溶鉱炉》は長期戦になればなるほど強力なクロックとなり、《太陽降下》で一掃してから戦場に出てくる速攻持ちのトークンは凶悪です。また、《世話人の才能》があれば《太陽降下》が生成する培養器・トークンでドローを進めることができ、全体除去をしながら《豆の木をのぼれ》でドローする、ドメインランプの動きと近しい印象です。

噴水港大天使エルズペス忠義の徳目

新カードの《噴水港》も土地ながらドロー・トークン生成の役割をこなすことができ、1/1の魚も《大天使エルズペス》《忠義の徳目》で強化されると立派な戦力となります。

《ウラブラスクの溶鉱炉》が生成したファイレクシアン・トークンは戦闘を終えれば自壊するのを待つばかりですが、これも《噴水港》でドローに変えることができ、無駄がありません。

沈んだ城塞ミレックス解体爆破場

4枚採用された《沈んだ城塞》《噴水港》《ミレックス》《解体爆破場》の能力起動を強力にサポートします。土地をしっかり戦力として計算できるのも素晴らしいです。

塔の点火失せろ稲妻のらせん一時的封鎖

軽めの除去もしっかりと採用され、アグロデッキに対するガードは下がっていません。特にライフ回復も兼ねた《稲妻のらせん》を採用できるのはボロスカラーの強みです。

セラの模範告別

《世話人の才能》《ウラブラスクの溶鉱炉》を根こそぎ破壊されると暗雲が立ち込めますが、サイドボードからは《セラの模範》が投入され、破壊された置き物を墓地から再び戦場に出す構えを見せており、隙がありません。

ローテーション前の環境ならば《告別》ですべてを失うタイプのデッキですが、《告別》がスタン落ちしたことで一躍、注目デッキとなりました。

はたして、今大会の優勝を皮切りにボロスコントロールが覇権を握ることになるのでしょうか?

緊急の検死死人に口無し羅利骨灰

今後、このデッキのライバルとなりそうなのが新型のアブザンコントロールです。

《緊急の検死》はクリーチャー・アーティファクト・エンチャント・プレインズウォーカーをたった1枚でまとめて破壊するパワーカードですし、《死人に口無し》は盤面をリセットしながら《ウラブラスクの溶鉱炉》《世話人の才能》といったキーカードをデッキからすべて抜き去ることができます。

個人的にはこのアブザンコントロールがボロスを倒し、真の覇権を握るんじゃないかと予想しております。

ラクドスリザード

トッププロである八十岡 翔太選手が使用し、見事TOP8に入賞した「ラクドスリザード」も新型アグロデッキとして注目を集めました。

玉虫色の蔦打ち雇われ爪鱗の焦熱、ゲヴ

極めて攻撃的なクリーチャーである《玉虫色の蔦打ち》《雇われ爪》《鱗の焦熱、ゲヴ》が継続的にダメージを与え、これらはブロッカーを出されたとしても、戦闘以外の方法でダメージを与えることができ、中盤以降でも腐りにくい戦力となります。

炎貯えのヤモリ思考忍びの邪術師火硝子の導師笑う者、ジャスパー・フリント

たとえ1点でもダメージを与えることができれば、トカゲたちは本領を発揮します。《炎貯えのヤモリ》《炎樹族の使者》さながらの展開力を生み出し、《思考忍びの邪術師》はほとんど《悲嘆》です。名誉トカゲの《大洞窟のコウモリ》と合わせてハンデスをすることで、アグロデッキにとって致命的なカードを事前に抜き去ります。

《火硝子の導師》は衝動的ドローで貴重な土地や呪文を確保し、アグロデッキの弱点である息切れを予防します。《笑う者、ジャスパー・フリント》もリソース獲得手段として機能するトカゲで、ラクドスではプレイできないような呪文が唱えられる可能性を秘めた面白いクリーチャーです。

上機嫌の解体イーオスの遍歴の騎士精鋭射手団の目立ちたがり巨怪の怒り

このラクドスリザードは現スタンダード環境で活躍するほかのアグロデッキと比較すると、ゲームの再現性・安定性の高さがピカイチです。

例えばボロス召集ならば《上機嫌の解体》《イーオスの遍歴の騎士》、赤絡みの果敢系デッキならば《精鋭射手団の目立ちたがり》《巨怪の怒り》がプレイできないと、デッキの出力が大幅に下がってしまいます。

その点、ラクドスリザードはいわゆる「金太郎飴」デッキです。先述したように似た役割を持つカードが多く採用されているため、大きな上振れがない代わりに下振れもほとんど起こらず、アグロデッキの新しい選択肢としてこれからの活躍が大いに期待できるアーキタイプでしょう。

稲妻のらせん一時的封鎖跳ねる春、ベーザ

また、今後はボロスコントロールがトップメタとなる可能性が高く、《稲妻のらせん》《一時的封鎖》《跳ねる春、ベーザ》の採用率が上がることが懸念されます。

アグロデッキにとって天敵となるカードですが、これらの障壁を《思考忍びの邪術師》《大洞窟のコウモリ》のハンデスによって対処できるのも、このデッキならではの戦い方です。

今後、メタゲームの一角を担う存在になれるでしょうか。

8/10(土)『Standard Challenge 32』

つづいて、マジックオンラインで行われた『Standard Challenge 32』の結果を見ていきましょう。土曜日の大会では60名が参加しました。

この大会では全体的に重めのデッキが多く入賞しました。決勝ではドメインランプとボロスコントロールが激突し、ドメインランプが優勝しています。

ここでは4位に入賞した白単に注目してまいりましょう。

白単

こちらが気になる白単のデッキリストです。ややコントロールよりのミッドレンジデッキといった印象でしょうか。

開拓地の探求者忠実な馬、フォーチュンひよっこ捜査員

《平地》をたくさん入れることができる白単では《開拓地の探求者》は戦場に出たときにハンドを確実に増やしてくれるナイスなクリーチャーです。また、《忠実な馬、フォーチュン》が手に入る確率もそれなりに高くなるでしょう。

《忠実な馬、フォーチュン》はひとたび攻撃し始めれば《開拓地の探求者》《ひよっこ捜査員》をブリンクすることでアドバンテージをどんどん稼ぐことができます。何が起きるのか不確定ではありますが、《跳ねる春、ベーザ》をブリンクするのも強い動きとなるはずです。

やっていることはモダンにおける《溌剌の牧羊犬、フィリア》と同じです。《忠実な馬、フォーチュン》には高いポテンシャルを感じます。

世話人の才能噴水港忠義の徳目大天使エルズペス

トークンシナジーも強く、長期戦においてはボロスコントロールに引けを取りません

ちなみに《忠実な馬、フォーチュン》は騎乗しなければ攻撃してもブリンクしないため、《忠義の徳目》《大天使エルズペス》の強化能力とまったく相性が悪いというわけでもなさそうです。

ウラブラスクの溶鉱炉

《ウラブラスクの溶鉱炉》がないため、中盤以降のライフを詰める能力がやや低いかもしれませんが、単色デッキである故にマナベースの安定性が高く、《噴水港》を4枚投入した際のデメリットをほとんど感じることはないでしょう。

ボロスコントロールを使っていて、どうしても序盤の土地事故が気になるという方はぜひ、こちらの白単を試されてはいかがでしょうか。

おわりに

ここ1週間は《世話人の才能》《噴水港》の大フィーバーがあり、白いデッキに多くの注目が集まりました。ボロスコントロールの快進撃はどこまで続くのでしょうか。

まだまだ紹介したいデッキはたくさんあるのですが、新環境が始まったばかりで試運転が足りず、構築が完全には固まってないデッキが多そうです。

犯行現場の再現陰湿な根

ローグデッキに目を向けると、《犯行現場の再現》《陰湿な根》を採用したコンボデッキの台頭もあり、これらのデッキの活躍も見逃せません。まさしく群雄割拠といったところで、今後はどんなメタゲームが形成されるのか楽しみですね。

次回の大会結果もお楽しみに。それでは、また!

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紳さん マジック愛に生きるフリーライターです。モダン、パイオニア、スタンダードでローグデッキを使い、勝利を目指す! 至って真剣勝負の毎日です。 紳さんの記事はこちら