はじめに
みなさん、こんにちは。
先週末は『BIG MAGIC Open Vol.13』にて大規模なテーブルトップのレガシーイベントが開催されました。いよいよ来週には、禁止改定も告知されます。
今回の連載では『BIG MAGIC Open Vol.13』『Buffalo Chicken Dip Legacy 16』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『BIG MAGIC Open Vol.13』 ─やはり最強はリアニメイトか─
先週末の『BIG MAGIC Open Vol.13』は参加者384名と大盛況でした。
今大会でもトップメタのDimir Reanimatorが全体の15%を占め、優勝を含めてプレイオフに2名と高い勝率を出しています。ほかには、EldraziやDimir Tempoといった『モダンホライゾン3』によって強化されたアーキタイプが中心でした。
デッキ紹介
Dimir Tempo
《ネザーゴイフ》《超能力蛙》《知りたがりの学徒、タミヨウ》といった『モダンホライゾン3』の強力なクリーチャーを多く採用したデッキで、今大会でDimir Reanimatorとともに高い勝率を出していました。
デッキに似た役割のカードが多いので《悲嘆》などハンデスに耐性があります。軽いクリーチャーで圧をかけつつ《不毛の大地》で相手のマナ基盤を攻めることができ、《超能力蛙》などアドバンテージを稼ぐ手段も複数あるため消耗戦にも強いです。また、Dimir ReanimatorやGrixis Tempo、Eldraziに強いデッキになります。
もし8月26日に予定されている禁止改定で、《悲嘆》のみが禁止になり《超能力蛙》が残るなら、Dimir Tempoは新環境で有力な選択肢になりそうです。
☆注目ポイント
最近はテンポデッキの1マナ域の主力として、《知りたがりの学徒、タミヨウ》が《秘密を掘り下げる者》よりも優先的に採用されるようになりました。《渦まく知識》が使えるレガシーでは2ターン目に変身させることができ、最速で5ターン目には奥義を使うことができます。また、相手の除去に対応して《渦まく知識》をプレイし、変身させることで除去をかわせるのは覚えておきたいところです。
現在の環境は《超能力蛙》を処理できるように《致命的な一押し》が主要な1マナ除去になっているので、《知りたがりの学徒、タミヨウ》を変身させることができれば、相手の除去を腐らせることができます。
《致命的な一押し》のほかに、《濁浪の執政》も対策する必要があるので《討伐》や《残忍な切断》といったより広い範囲の対象をとれる除去も採用されています。強力なクリーチャーが複数散見される現環境では、最低でもメインに6枚の除去がマストになります。
《もみ消し》は相手のフェッチランドや《不毛の大地》の起動を妨害してテンポアドバンテージを得る以外にも、《動く死体》や《カザド=ドゥームのトロール》のサイクリング、各種クリーチャーのETB能力などさまざまなカードに有効です。
『Buffalo Chicken Dip Legacy 16』 ─レガシーでも大活躍のNadu─
開催日:2024年8月18日
優勝 Nadu Combo
準優勝 Jeskai Control
3位 Necro Storm
4位 Doomsday
6位 Grixis Tempo
7位 Dimir Ninja
先週末にアメリカで開催された『Buffalo Chicken Dip Legacy 16』では、禁止改定直前なのもありDimir Reanimator以外のデッキを選択したプレイヤーが多かったようです。
プレイオフにはDimir Reanimatorが不在で、現在のモダンの環境を支配しているNadu、古典的なコントロールのJeskai、Necro StormやDoomsdayといったコンボデッキなどさまざまなデッキがみられました。
デッキ紹介
Nadu Combo
レガシーでも活躍している《有翼の叡智、ナドゥ》コンボ。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のように単体でも強力なクリーチャーや、《時を解す者、テフェリー》《剣を鍬に》《渦まく知識》《意志の力》といった優秀なカードがそろっているので、コンボ以外でも十分に勝てるデッキパワーがあります。
☆注目ポイント
1ターン目の《喜ぶハーフリング》からカウンターされない《時を解す者、テフェリー》や《有翼の叡智、ナドゥ》が出てくるため、青いデッキにとっては脅威となります。《有翼の叡智、ナドゥ》自身も飛行とタフネス4なので《秘密を掘り下げる者》や《ドラゴンの怒りの媒介者》といったクロックが止まり、除去されてもアドバンテージが取れる単体で優秀なクリーチャーです。
レガシーには《緑の太陽の頂点》というサーチスペルがあるので、状況に応じて緑のクリーチャーをサーチするツールボックス的な戦略を組みこともでき、《有翼の叡智、ナドゥ》や《春心のナントゥーコ》といったコンボパーツをそろえやすくなっています。
《鋭い目の管理者》は《漁る軟泥》を彷彿とさせる墓地対策を持つクリーチャーです。Dimir Reanimator以外にもレガシーには墓地を使うデッキが多く、《緑の太陽の頂点》からサーチできるのでメインから使えます。
《棘を播く者、逆棘のビル》もコンボパーツのひとつですが、コンボを決めなくても「上陸」によってクリーチャーを強化でき、複数回能力を使うだけでも十分に強力なクロックとして機能します。
Jeskai Control
長い間レガシーで活躍しているJeskai Controlも『モダンホライゾン3』からの新カードによって強化されています。《瞬唱の魔道士》や《精神を刻む者、ジェイス》といった懐かしいカードに混ざって、モダンと同様に《空の怒り》や《語りの調律》などが使われています。
☆注目ポイント
《語りの調律》はレガシーの基準では平凡な性能のスペルになりますが、キャントリップしつつエネルギーカウンターを得られるので《空の怒り》で支払うコストを軽くできます。《空の怒り》はクリーチャーだけでなく《虚空の杯》など厄介な置物も処理できるので、歴代のリセットカードの中でもトップクラスの性能を誇ります。
このリストで一番印象的なのは、メインから4枚採用された《脈打つ知識》です。3マナとレガシーで使うには少し重いですが、《渦まく知識》と同様に手札のカードをライブラリーのトップに戻せるので「奇跡」を仕込みやすくなります。
《進め、エオルの家の子よ!》はこのデッキのメインのフィニッシャーですが、3ターン目にX=1で「統治者」になりアドバンテージを稼ぐ使い方もできます。序盤に使った《進め、エオルの家の子よ!》を、ゲーム中盤から終盤に《神秘の聖域》で再利用するプレイングが強力です。
Eldraziと12 PostはJeskaiにとって相性が悪いマッチアップになるので、サイドには《記憶への放逐》や《破滅》といった対策カードがみられます。
Doomsday
Doomsdayはレガシーを代表するコンボデッキです。今回入賞したリストは、メインから《超能力蛙》や《知りたがりの学徒、タミヨウ》を採用したテンポ型のバージョンでした。
メイン戦はクリーチャーが除去の的になってしまうため、1ゲーム目は《最後の審判》コンボ、除去が減るサイド後はクリーチャーによるフェアなゲームで戦うなどゲームプランを変えることもできます。デッキリストが非公開のイベントではサイドプランを相手が立てにくくなるため、対戦難易度が高いデッキになります。
ハイブリット型なので《最後の審判》を対処されても《超能力蛙》などでゲームに勝つことができ、そのおかげでDimir Reanimatorやテンポデッキなど妨害を搭載したデッキとの相性が緩和されています。
☆注目ポイント
さまざまなデッキで見られる《超能力蛙》ですが、Doomsdayの追加の勝ち手段としても採用されています。このデッキ相手にはサイド後除去が減らされる傾向にありますが、《超能力蛙》と《知りたがりの学徒、タミヨウ》がいるため相手にとってもサイドボードのインアウトが難しくなります。
サイドからは《バロウゴイフ》と《濁浪の執政》といった追加のクリーチャーがサイドインされ、Dimir Tempoに変形することもできます。よりフェアに寄せた構成になるため、《悲嘆》や《意志の力》といった妨害にも耐性が付きます。
総括
いよいよ来週に迫った禁止改定ですが、特にここ数か月はコミュニティのなかでDimir Reanimatorが支配する環境に不満を抱いている声が目立ちます。これを考慮すると、一番現実的なのは《悲嘆》が高い確率で禁止になりそうです。
さまざまな青黒系のデッキに採用され、現環境のクリーチャーで最も高い使用率を誇る《超能力蛙》も注目されていますが、『モダンホライゾン3』が出たばかりということもあり、しばらくは様子見されることが予想できます。半年から1年後も青黒系のデッキが環境を支配するようなら、禁止の可能性もあるかもしれません。
USA Legacy Express vol.240は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!