限界突破スタンダード! vol.6 -「わからん殺し」に要注意!知っておきたいローグデッキ対策-

紳さん

はじめに

こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。

限界突破スタンダード!』では、大会で入賞した実績のあるローグデッキを紹介します。

メジャーなデッキ、ガチデッキの情報については『Just now スタンダード!』や『スタンダードデッキ紹介』をぜひ、ご参考ください。

さて、来たる9月14日(土)に『第28期スタンダード神挑戦者決定戦』が開催されます。スタンダード神・磯ヶ谷 怜雄さんに挑むためには厳しい予選を勝ち抜く必要があり、そのためには対戦する可能性がある、あらゆるデッキについて予習を済ませておくべきなのは言うまでもありません。

今回は現スタンダードで注目のローグデッキを紹介しながら、初見のデッキに「わからん殺し」されないための対策についても触れていきます。

スタンダード:ローグデッキ紹介

ファルコンギャンビット

強欲の計略切望の隼知識の徳目

「ギャンビット」と言えば、かつて《黄金架のドラゴン》と共にスタンダードを暴れまわった《錬金術師の計略》を思い浮かべるマジックプレイヤーも多いかもしれません。しかし、現スタンダードにおけるギャンビットは《強欲の計略/Greed’s Gambit》のことを指します。

《強欲の計略》 3B

エンチャント

強欲の計略が戦場に出たとき、あなたはカード3枚を引き、6点のライフを得、飛行を持つ黒の2/1のコウモリ・クリーチャー・トークン3体を生成する。

あなたの終了ステップの開始時に、あなたはカード1枚を捨て、2点のライフを失い、クリーチャー1体を生け贄に捧げる。

強欲の計略が戦場を離れたとき、あなたはカード3枚を捨て、6点のライフを失い、クリーチャー3体を生け贄に捧げる。

《強欲の計略》は戦場に出たときに莫大なアドバンテージを得るかわりに、「終了ステップを迎えたとき」および「戦場を離れたとき」にとてつもない代償を要求してくる悪魔のエンチャントです。

本来であればデメリット要素が多すぎて誰も見向きもしないようなカードですが、《切望の隼》で対戦相手にプレゼントすることによって、デメリット効果を押しつけるという極悪非道なムーブが存在します。

ファルコンギャンビットとは、《切望の隼》《強欲の計略》の押しつけコンボを狙うローグデッキです

《強欲の計略》を戦場に出すだけで、カードを3枚引き、6点のライフを得て、コウモリが3体並びます。さらに《知識の徳目》の出来事面で誘発型能力をコピーすれば、効果は2倍に。

そして、ひとたび《切望の隼》で対戦相手に押しつけてしまえば、《強欲の計略》はたちまち毎ターン、ライフとクリーチャーと手札を奪い続ける超攻撃的なカードとなるのです。

強欲の計略切望の隼知識の徳目

それでは、実際にファルコンギャンビットが大会で活躍した例を紹介しましょう。

まず、関東を代表するギャンビッターといえば、Kuroiwa Satoshiさんです。数々の大会にギャンビットを持ち込んでは結果を残しており、晴れる屋静岡店で開催された『THE LAST SUN 2024 スタンダード予選』を見事、ギャンビットで抜けていました。

ウルザの物語

西では、別のプレイヤーが晴れる屋福岡店で開催された『ストアチャンピオンシップ:『ブルームバロウ』』において3位に入賞。この大会の優勝者にはテキストレス版《ウルザの物語》が贈られるということもあり、参加人数が40名と多く、かなりレベルが高い大会での入賞であったことが伺えるでしょう。

この実績を見てもわかる通り、ファルコンギャンビットは大会で当たる可能性も高く、ローグデッキのなかでも特に警戒すべき危険なデッキです。すでに、このデッキと対戦経験のある方もいらっしゃるかもしれませんね。

デッキリストページ

それでは、実績のあるKuroiwaさんのデッキリストを拝借し、このデッキと対戦する上での注意点について紹介させていただきます。

寓話の小道知識の徳目解体爆破場

まずは「わからん殺し」の観点から、小ネタを一つ。 《寓話の小道》のフェッチ起動に対し、《知識の徳目》の出来事面で起動型能力をコピーすると、基本土地を2枚、ライブラリーから戦場に出すことができます。このデッキ、ランプができるんですね。

ディミーアカラーにも関わらず、3マナ→5マナのジャンプアップが可能とはなかなか想定外です。先日、晴れる屋の平日大会でゴルガリミッドレンジを使っていた拓海さんがテンポよくクリーチャーを展開したところ、このテクニックによって4ターン目に《死人に口無し》を撃たれ、すべてを失っている場面を目撃しました。

ちなみに5マナあれば《解体爆破場》の起動型能力をコピーして、相手の土地を2つ破壊しながらランプすることも可能です。

切望の隼強欲の計略

また、ギャンビット側が5マナある状態は危険水域です。打ち消しがないデッキは、5マナある状態で《切望の隼》を「変装」でプレイされた場合に《強欲の計略》を押しつけられるムーブをまともに喰らってしまいます。裏面で戦場に出た《切望の隼》はインスタントタイミングで変装能力を起動できるため、クリーチャー除去などでは止められません。

そのため、《強欲の計略》をプレイされた場合はこまめに破壊するのが一番の対策となります。ただし、相手のターンで破壊する場合は終了ステップの開始時に《強欲の計略》のデメリット能力が誘発するのを待ってから破壊すると良いでしょう。

間違っても《強欲の計略》の出たとき能力がスタックにある状態で破壊してはいけません。デメリット能力を先に解決してから、カードを3枚引かれ、6点のライフを得られ、コウモリを3体出されてしまいます。これだけは絶対にやらないように気をつけましょう。

遠見の儀式

また、ギャンビット側はこのことを逆手にとって、出たとき能力がスタックにある状態で《強欲の計略》を協約で生け贄に捧げながら《遠見の儀式》をプレイ、なんてことをやってきます。最終的に5枚の手札とコウモリ3体が残り、非常に厄介です。8マナかかるムーブではありますが、ギャンビット相手にもたもたしているとこんなことをされてしまうのです。

強欲の計略霊気の媒介者

さて、実際に《切望の隼》を止められず、《強欲の計略》を押しつけられてしまったときはどうするのがよいでしょうか。悔しいですが、一刻も早く破壊するしかありません。《強欲の計略》が戦場を離れたときに誘発する「カード3枚を捨て、6点のライフを失い、クリーチャー3体を生け贄に捧げる」というデメリット能力は、当然ながら自分に降りかかることになります。

それでも、破壊せずに放置すると終了ステップにリソースを奪われ続けてしまいますし、《強欲の計略》をバウンスされてしまったときが最悪です。

……実質的に《切望の隼》コンボを決められたら負けと言えるかもしれませんね。

知識の徳目

ちなみに《知識の徳目》をエンチャントとして出される動きも厄介です。《強欲の計略》の威力が2倍になってしまうため、デメリット能力をものともせずにコウモリたちに殴り殺される危険があります。《切望の隼》なしでも十分、脅威となるでしょう。

亭主の才能世話人の才能

さて、ファルコンギャンビットは恐ろしいデッキですが、正しい知識とエンチャント対策さえしっかりしていれば、十分に対抗できるデッキです。現スタンダード環境は《亭主の才能》《世話人の才能》など強力なエンチャントに溢れているため、エンチャント対策カードを多めに採用しても問題ありません。

うっかりタップアウトして、《強欲の計略》を野放しにしないよう、気をつけて戦いましょう。ディミーアながらランプしてくるということも忘れずに。「もう1ターンある」と思ったらランプされて、次のターンに仕掛けられてしまいますよ!

ナヤレジェンズ

デッキリストページ

8月31日に開催された『高松竜王』決定戦で準優勝したのが、こちらのナヤレジェンズです。

このデッキに関する情報は少なく、似たような構成のデッキが『マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024』で7勝を挙げ、462人44位という好成績を収めたことが確認できるぐらいでした。「MTGGoldfish」などで類似のアーキタイプを探しても見つかりません。

ただ、ジャパンオープン44位のデッキを岩SHOWさんがマジック公式のコーナーで取り上げていました。日本の大会ではそれなりに使用者が多くなる可能性を秘めているため、改めてここでも紹介させていただきます。

統一の詩人、ファートリ落星の学者、ロクサーヌ原初の征服者、エターリ

デッキの動きとしては、《統一の詩人、ファートリ》で基本土地を探したり、《落星の学者、ロクサーヌ》《隕石》を落としながらランプをして、《原初の征服者、エターリ》で莫大なアドバンテージを得て勝利するを狙うデッキです。

アニーの加入

そして、このデッキにおける一番のキーカードとなるのが《アニーの加入》です。このカードはバグってます。本当に強い。

まず、出たとき能力でクリーチャーかプレインズウォーカーに5点のダメージを与えることが強いのですが、さらに常在型能力で伝説のクリーチャーの誘発型能力を追加でもう1回誘発させるというのがあまりにも強力です。

跳ねる春、ベーザ運命の大嵐、ドラゴンホーク忠実な馬、フォーチュン

採用クリーチャーのほとんどが伝説であり、これらの誘発型能力が2倍の威力となります。さらに《忠実な馬、フォーチュン》に騎乗して攻撃すれば、ブリンクによって出たとき能力のダブルアップが可能です!

ちなみに《忠実な馬、フォーチュン》も伝説であるため、ブリンク能力の誘発も2回に増えます。1回目のブリンクで新しいオブジェクトとして戦場に戻るため、騎乗した同じクリーチャーを2連続でブリンクすることはできませんが、2体のクリーチャーで騎乗した場合にはそれぞれ1回ずつブリンクすることが可能です。

落星の学者、ロクサーヌ原初の征服者、エターリ

さておき、《落星の学者、ロクサーヌ》《原初の征服者、エターリ》の出たとき能力が2回、《忠実な馬、フォーチュン》がいれば4回の誘発となり、これはさすがにゲームに勝てそうです。

《原初の征服者、エターリ》の裏面に関しては、プレイヤーに通った戦闘ダメージに等しい数の毒カウンターを与えるという能力があります。《アニーの加入》があれば、5点以上のダメージが通ると即死となります。まさに「わからん殺し」ですね。

アニーの加入

このデッキを相手にするなら、とにかく《アニーの加入》を破壊したいところ。しかし、除去として機能したあとの《アニーの加入》を破壊するために呪文を使うと1:2交換となってしまい、どうあっても損をするのが厄介ですね。

門衛のスラル機械の母、エリシュ・ノーン

対策としては《門衛のスラル》《機械の母、エリシュ・ノーン》などが有効ですが、これも出たとき能力以外の誘発は止められません。そもそも白絡みのデッキにしか採用できず、なかなか対処が難しいところです。

デッキ全体のパワーの高さから、打ち消しのないミッドレンジやコントロールにはめっぽう強く《跳ねる春、ベーザ》のおかげでアグロ耐性も高くなっています。

総じてデッキの完成度は高く、ローグデッキとして燻っているのが不思議なくらいです。大会で《統一の詩人、ファートリ》を見かけたら、十分にご注意ください。

リビングエンド

デッキリストページ

晴れる屋横浜店で開催された『THE LAST SUN 2024 スタンダード予選』でトップ8に入賞したデッキです。

死せる生最後の贈り物の運び手

リビングエンドと言えば、モダンでおなじみの《死せる生/Living End》を使ったコンボデッキのことですが、スタンダードには《死せる生》を内蔵した《最後の贈り物の運び手》というクリーチャーがいます。

《最後の贈り物の運び手》 6B B

クリーチャー ― 吸血鬼・デーモン

飛行

最後の贈り物の運び手が戦場に出たとき、あなたがこれを唱えていた場合、各プレイヤーはそれぞれ自分がコントロールしていてこれでないすべてのクリーチャーを生け贄に捧げる。その後、各プレイヤーはそれぞれ、自分の墓地にありこれによりそこに置かれたものでないすべてのクリーチャー・カードを戦場に戻す。

まさしく《死せる生》と同じ能力ですが、リアニメイトなどでコストを踏み倒したのでは《最後の贈り物の運び手》の能力が誘発しません。とはいえ、8マナで唱えるのは悠長すぎます。どうするのでしょうか。

アモンケットへの侵攻アモンケットへの侵攻

実は「バトル」に抜け道がありました。《アモンケットへの侵攻》は守備値が0になることで倒され、「それを変身させた状態で唱える」というバトル特有の能力が誘発します。

このとき、唱えた裏面の《ラゾテプの改宗者》を「墓地にあるクリーチャー・カード1枚のコピー」として戦場に出すことが選べるのですが、《最後の贈り物の運び手》のコピーとして戦場に出た場合、《死せる生》能力が誘発することになるのです。なんという裏ワザでしょうか。

苦難の収穫者血管切り裂き魔

その結果、お互いの墓地にあるクリーチャーが戦場のクリーチャーと入れ替わるように出てくるのですが、リビングエンド側からは《苦難の収穫者》《血管切り裂き魔》が出ることでタフネス2以下のクリーチャーが全滅し、死亡したクリーチャーの数だけ《血管切り裂き魔》のドレイン能力が誘発します。《血管切り裂き魔》が2体、3体と並べば、それだけで決着がつくことも珍しくありません。

ファラジの考古学者第三の道の創設アモンケットへの侵攻航路の作成蒸気核の学者苦難の収穫者

デッキには大量の切削やルーティング能力を持ったカードが採用され、序盤からどんどん墓地を肥やします。《苦難の収穫者》のように手札から捨てることでクリーチャー除去としても機能するカードもデッキに合っていますね。

アモンケットへの侵攻無力化

また、《アモンケットへの侵攻》の守備値は攻撃以外の方法でも、《無力化》によって守備カウンター取り除くことで0に出来てしまうため、注意が必要です。このデッキ相手に守りを固めることは、さほど意味がないかもしれません。

最深の裏切り、アクロゾズ

さて、ここで「わからん殺し」ポイントの小ネタを一つ紹介します。墓地に《最深の裏切り、アクロゾズ》がある場合、そのコピーとなって《ラゾテプの改宗者》が戦場に出たとしましょう。

この状態の《ラゾテプの改宗者》を破壊すると、《最深の裏切り、アクロゾズ》の「これが死亡したとき、これをオーナーのコントロール下でタップ状態かつ変身させた状態で戦場に戻す」能力が誘発します。「変身させた状態」とは《ラゾテプの改宗者》のことであるため、なんと、出たときにふたたび墓地にある《最深の裏切り、アクロゾズ》のコピーになることが選べてしまいます。つまり、破壊では対処できない無敵のクリーチャーとなるのです。

《解体爆破場》などでも対処できないことを考えれば、本家より強いコピークリーチャーなのかもしれません。このケースは追放除去でしか対処できないことを頭に入れておきましょう。

《血管切り裂き魔》《最後の贈り物の運び手》が墓地になくても、油断はできません。

最後の贈り物の運び手アモンケットへの侵攻無力化

さて、このデッキと実際に対戦することになった場合、メインボードに墓地対策カードを用意していないのであれば、《アモンケットへの侵攻》を引かれないことを祈りながら、全力でクリーチャーを展開して押し切るしかありません。時間をかけてもいずれは《死せる生》コンボで盤面をひっくり返されて負けてしまうので、割り切って攻めるのが得策です。

安らかなる眠り魂標ランタンクチルの側衛温厚な襞背

また、サイドボード後は徹底して墓地対策カードを投入することで、《最後の贈り物の運び手》はかなり弱体化します。ソーサリータイミングでしかプレイできない《温厚な襞背》は使いどころが難しいですが、《血管切り裂き魔》が墓地に落ちているのを確認したら、さっさと追放してしまうのも手です。

最悪、コンボを決められても、《血管切り裂き魔》が出てこなければ生き残る確率は高いです。

《安らかなる眠り》に関してはあらかじめ置いておくだけでも十分、効果を発揮します。最強の墓地対策カードですね。

ちなみに9月27日(金)発売の最新セット『ダスクモーン:戦慄の館』にて、《虚空の力線》が再録されることがわかっています。

黒いデッキはもちろん、まったく黒マナが出ないデッキであっても、墓地対策カードの新しい選択肢として採用を検討しても良いかもしれません。

《無慈悲な殺戮》ランプ

このデッキに関しては、直近の大会で活躍したデッキリストを2つほど紹介させていただきます。

デッキリストページ

まず、こちらが参加者40名で開催された、晴れる屋郡山店の『ストアチャンピオンシップ:『ブルームバロウ』』で優勝したデッキです。

デッキリストページ

つづいて、こちらが先日、MOで開催された『Standard Challenge 32』で5位に入賞したデッキリストです。

前者のデッキはやや除去コントロールよりの構成で、後者のデッキはコンボ成立に重点を置いた構成となっております。どちらにも良さがありますが、今回は後者のデッキをベースに紹介させていただきます。

斡旋屋一家の潜伏先事件現場の分析者復活した精霊信者、ニッサ強靭の徳目世界魂の憤怒ドッペルギャング

ローテーション前の環境では、《事件現場の分析者》の能力によって墓地に置かれた土地を一気に戦場に出して驚異的なアドバンテージを獲得するデッキ、「世界魂ランプ」が一躍トップメタとなったことは記憶に新しいと思います。

あれからローテーションを迎え、『ニューカペナの街角』のオートフェッチランドが使えなくなったことで、このアーキタイプは事実上の終焉を迎えたかのように思えました。

ところが、『ブルームバロウ』で登場したカードがことごとくフィットしており、もしかしたら全盛期の世界魂ランプより強いデッキが誕生しつつあるかもしれないのです。

寓話の小道進化する未開地脱出トンネル

まず、土地について。『ブルームバロウ』で《寓話の小道》が再録され、《進化する未開地》《脱出トンネル》と合わせて、それなりの数のフェッチランドが用意できることがわかりました。オートフェッチランドの1点ライフゲインは沁みましたが、それでも墓地に土地をガンガン送るという目的は達成できています。

玉虫色の蔦打ち

次に、フィニッシュ手段。《玉虫色の蔦打ち》という土地を出すだけで勝てるニューカマーが登場し、《復活した精霊信者、ニッサ》と上陸コンビを組むことになりました。

《世界魂の憤怒》と違い、先に置いておけるフィニッシャーであり、大量マナをつぎ込んだところを打ち消される心配もありません。除去はされてしまうものの、新生でプレイすれば1:2交換を狙うこともできる優秀なクリーチャーです。

森の轟き、ルムラ事件現場の分析者

極めつけは《森の轟き、ルムラ》です。なんと、これで《事件現場の分析者》が8枚体制に!殴りにいけるという観点から《森の轟き、ルムラ》の方が強い可能性もあります。

6マナは重いかもしれませんが、世界魂ランプを思い返すと《事件現場の分析者》は先置きしても大体、除去される運命でした。実際にコンボを決めるとしたら、《事件現場の分析者》をプレイ、即起動という6マナのムーブの方が多かったのではないでしょうか。

つまり、このデッキにおいて《森の轟き、ルムラ》がことさら重いわけではないということが予想されます。

復活した精霊信者、ニッサ

くわえて、3ターン目《復活した精霊信者、ニッサ》、4ターン目《寓話の小道》のフェッチ起動というムーブで6マナ出るところも見逃せません。本来、《復活した精霊信者、ニッサ》は目の敵にされるでしょうが、《玉虫色の蔦打ち》《事件現場の分析者》と順番に囮を出していけば、案外、除去を使い果たしてくれるかもしれません。

逆にいうと、このデッキと対戦する場合は《復活した精霊信者、ニッサ》に備えて除去を温存しておく必要があるということです。《事件現場の分析者》を見たらすぐに除去を使ってしまいそうですが、より危険なのは《復活した精霊信者、ニッサ》なんですね。

無慈悲な殺戮

ちなみにこのデッキ、6マナあると必殺技が撃てます。《慈悲な殺戮》はあらかじめ計画することができ、仕掛けるターンには0マナでプレイできるため、下記のようなことが可能です。

①すべての土地からマナを出し、合計6マナ以上を浮かせた状態で《無慈悲な殺戮》を唱え、すべての土地を生け贄に捧げてドロー。

②浮いてるマナで《事件現場の分析者》をプレイ&能力即起動 or 《森の轟き、ルムラ》をプレイ。墓地にあるすべての土地が戻ってくる。

③各上陸効果が誘発。宇宙へ。

とても豪快なコンボですね。《無慈悲な殺戮》で手札も補充できますし、《復活した精霊信者、ニッサ》がいればマナも出るため、上記のコンボをおかわりすることも可能に。また、打ち消しのないデッキはコンボを止める術がありません

洞窟探検

《洞窟探検》も強力です。墓地から戻ってきた土地がすべてアンタップ状態で戻ってくるため、ふたたびマナが出せるように。また、《進化する未開地》《脱出トンネル》がライフを支払わずに起動できる《虹色の眺望》となります。

もしも《復活した精霊信者、ニッサ》《洞窟探検》が揃うと、とんでもないことになりそうですね。

強迫ガイアの声、ティタニア向上した精霊信者、ニッサ恐怖の潮流

サイドボードも充実しています。安全確認の《強迫》、アグロ対策として大量のライフゲインが狙える《ガイアの声、ティタニア》、置き物対策兼・追加の勝ち手段である《向上した精霊信者、ニッサ》と隙がありません。

《恐怖の潮流》もこのデッキならほぼ《審判の日》のようなもの。マイナス修正の除去は《心火の英雄》を巻き込んでもダメージを喰らわずに済むなど、良いことづくめです。

……寂しいですが、このデッキをローグデッキとして紹介できるのも、この記事が最後となるでしょう。ローグと呼ぶには強すぎます。

安らかなる眠りクチルの側衛魂標ランタン

ただし、世界魂ランプよろしく墓地対策はしっかりと刺さります。対策としてはとてもシンプルです。

『ダスクモーン:戦慄の館』では《虚空の力線》が再ろk(ry

おわりに

ウラブラスク美術家の才能

ユニークなカードがたくさんある現スタンダード環境では、日々、新しいローグデッキが誕生しています。

つい先日は《ウラブラスク》《美術家の才能》でデッキ内のインスタント&ソーサリーをすべてフリースペルにするといった面白コンボデッキが開発されておりました。こういった発想から、思わぬ最強デッキが誕生することもあります。

また、ローグデッキを知るためには、実際に使ってみることが一番です!今回、紹介した4つのデッキはいずれも強力で、大会であたる可能性も十二分にありますので、ぜひ回してみてくださいね。

ローグデッキ愛好家のみなさん、次回の限界突破スタンダードでお会いしましょう。それでは、また!

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紳さん マジック愛に生きるフリーライターです。モダン、パイオニア、スタンダードでローグデッキを使い、勝利を目指す! 至って真剣勝負の毎日です。 紳さんの記事はこちら