ローテーションを迎え、激変したスタンダード環境
最新セット『ブルームバロウ』の登場に伴い、スタンダードフォーマットは7月26日にローテーションを迎えた。
スタンダード環境のマナベースを支え続けた各種トライランドが使えなくなり、トップメタであった版図ランプをはじめ、多色デッキは構築を大幅に見直すことになったであろう。破格のカードパワーを誇る《偉大なる統一者、アトラクサ》は健在だが、《力線の束縛》を早期ターンに構えることができたからこそ、版図ランプはさまざまなデッキと渡りあえたのではないだろうか。
また、版図ランプと競うように長らくトップメタとして君臨していた《策謀の予見者、ラフィーン》を有するエスパーミッドレンジも、偉大なるトライランドにマナベースを支えられた多色デッキの一つだった。
- 2024/07/15
- 第27期スタンダード神挑戦者決定戦:メタゲームブレイクダウン
- 晴れる屋メディアチーム
そして、ローテーション直前に開催された、前回の『第27期スタンダード神挑戦者決定戦』。
土地をタップインする多色デッキの隙を突き、スピードで圧倒するボロス召集が台頭。それに対して《一時的封鎖》と《太陽降下》を効果的に使えるアゾリウスコントロールに人気が集まり、使用率No.1となったのがアゾリウスコントロール、次いでボロス召集というメタゲームになったのである。
あれから2ヵ月。《ヴォルダーレンの美食家》の退場はボロス召集をジェスカイ召集へと変貌させた。そして《放浪皇》と《記憶の氾濫》を失ったコントロールは、打ち消しを捨てて新しい形へと進化していくことになる。
新時代のスタンダードが幕を開ける。
メタゲームブレイクダウン
新生デッキが集結した、『第28期スタンダード神挑戦者決定戦』。前回を上回る107名が参加したメタゲームの様子をお届けする。
デッキ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
ゴルガリミッドレンジ | 21 | 19.09% |
ジェスカイ召集 | 7 | 6.36% |
ボロスハツカネズミ | 6 | 5.45% |
ディミーアミッドレンジ | 5 | 4.55% |
アブザンコントロール | 5 | 4.55% |
《もがく出現》 | 4 | 3.64% |
グルール雄姿 | 4 | 3.64% |
アゾリウスメンター | 4 | 3.64% |
ボロスコントロール | 4 | 3.64% |
黒単 | 3 | 2.73% |
版図ランプ | 3 | 2.73% |
オルゾフミッドレンジ | 3 | 2.73% |
ファルコンギャンビット | 3 | 2.73% |
ラクドス雄姿 | 2 | 1.82% |
4色レジェンズ | 2 | 1.82% |
《碑出告と開璃》 | 2 | 1.82% |
オルゾフコウモリ | 2 | 1.82% |
アゾリウスアグロ | 2 | 1.82% |
洞窟コントロール | 2 | 1.82% |
《無慈悲な殺戮》ランプ | 2 | 1.82% |
アゾリウスコントロール | 2 | 1.82% |
ジェスカイコントロール | 2 | 1.82% |
白単 | 1 | 0.91% |
赤単 | 1 | 0.91% |
緑単 | 1 | 0.91% |
ナヤ雄姿 | 1 | 0.91% |
ボロス召集 | 1 | 0.91% |
ボロス装備 | 1 | 0.91% |
ナヤランプ | 1 | 0.91% |
《陰湿な根》 | 1 | 0.91% |
シミックテラー | 1 | 0.91% |
ラクドストカゲ | 1 | 0.91% |
バントポイズン | 1 | 0.91% |
イゼットランプ | 1 | 0.91% |
ゴルガリランプ | 1 | 0.91% |
ディミーアネズミ | 1 | 0.91% |
グリクシスネズミ | 1 | 0.91% |
マルドゥレジェンズ | 1 | 0.91% |
ラクドスリアニメイト | 1 | 0.91% |
オルゾフコントロール | 1 | 0.91% |
ティムールミッドレンジ | 1 | 0.91% |
《最後の贈り物の運び手》コンボ | 1 | 0.91% |
合計 | 110 | 100% |
※提出されたデッキリストすべてを集計しています。
ゴルガリミッドレンジ 21名(19.09%)
今大会、なんと使用率19.09%と圧倒的なシェアを獲得したのがゴルガリミッドレンジだ。
以前からプレイヤーのあいだでは「ローテーションの影響を一番受けないデッキ」という評価を得ており、元から完成度の高いデッキではあった。
ハンデス、除去、リソース獲得手段に優れており、ミシュラランドの《眠らずの小屋》まで高性能と隙のないデッキだ。
さらに、『ブルームバロウ』で《亭主の才能》という新戦力が加わり、《裏切りの棘、ヴラスカ》と即死コンボを実現させるという強化もあった。
- 2024/08/21
- ゴルガリミッドレンジ
ビートダウンとコンボの両軸で攻める!
強いままのビートダウンプランに加えて、終盤はまさかの即死コンボまで狙える。相手からすれば、対応がとても難しいデッキであろう。
カードパワーだけで見れば、ゴルガリミッドレンジに比肩しうるデッキはいくつも思いつく。しかし、『神挑戦者決定戦』の長丁場を安定して勝ち抜けるデッキという観点からは、ゴルガリミッドレンジ以上の選択肢はないのかもしれない。
ジェスカイ召集 7名(6.36%)
使用率6.36%で2位となったのが元・ボロス召集ことジェスカイ召集。1ターン目にアーティファクト・トークンを生成しながら戦場に居座れるクリーチャーは、現スタンダード環境の広いカードプールを見渡してみても、《ひよっこ捜査員》と《遠眼鏡のセイレーン》の2種類だけだ。
2ターン目に《上機嫌の解体》から《イーオスの遍歴の騎士》まで繋げる流れは環境最速&最強のムーブであることは確かであろう。
また、青をタッチするおもな理由は《遠眼鏡のセイレーン》であるが、副産物としてサイド後に《交渉団の保護》といった打ち消しを用意することが可能となった。天敵であった《太陽降下》をはじくことで、白系のコントロールデッキは思わぬ痛手を負うことになるのだ。
また、全体強化の恩恵を受けやすい《遠眼鏡のセイレーン》という飛行戦力が加わったことで、《戦導者の号令》も採用しやすくなった。以前の環境では採用を見送られることも多かった「全体強化兼飛び道具」は、新しいスタンダードで再評価されているようだ。
ボロスハツカネズミ 6名(5.45%)
使用率5.45%で堂々の3位となったのが新生デッキのボロスハツカネズミだ。現スタンダードでは「雄姿」系のアグロデッキはおなじみであるが、このデッキは一味違う。
今大会でも一定数の使用者がいるグルール、ラクドス、ナヤなどほかの雄姿デッキは強化呪文を集中させる一点突破の動きを狙うが、このデッキはそれだけに頼らない。
種族がハツカネズミであることのシナジーを活かしつつ、横並べ+全体強化というウィニーデッキの鉄板ともいえる戦略が光る。さらに、《岩山炎の後継者、メイブル》が残した装備品「岩山炎」がある限り、後続のクリーチャーたちに速攻と雄姿の誘発をもたらすのだ。
たとえ《太陽降下》されたとしても、このハツカネズミたちの進軍は簡単には止まらない。
スピードとサイズアップに加えて、継戦能力まで高めているボロスハツカネズミ。新時代のエースとなれるだろうか。
おわりに
以上、第28期スタンダード神挑戦者決定戦のメタゲームブレイクダウンをお届けした。
『ブルームバロウ』からの新カードが活躍し、新しい風が吹き続ける現スタンダード環境。
激戦を勝ち抜くのは、はたしてどんなアーキタイプなのであろうか。新生デッキの活躍に注目したい。